本文へジャンプ
日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

164通常国会 参議院厚生労働委員会(薬事法改正案参考人質疑)

  • “暴挙”と薬害被害者/無試験の「置き薬」業者永続/薬事法改定案参考人質疑(関連記事
2006年4月14日(金)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 井村参考人に、検討部会長であられましたので、質問したいと思います。

 この検討会が、現行薬事法では薬剤師の下での販売というのを義務付けていた医薬品を新たに薬剤師とそれから試験によって資質が確認された者の下での販売を可能にするということにしたわけですが、この趣旨、どんな議論が行われたのかについて御紹介願いたいと思います。

参考人(井村伸正君)

 それは、この改正の議論が起こるきっかけになったんだろうと思うんでございますけれども、先ほどから何度も申し上げましたが、まあ現行と言った方がいいですね、現行の一般用医薬品の販売に関しましては、先ほども申し上げましたように、一応薬剤師あるいは薬種商が販売をするときに購入者に対して情報提供をするということが努力義務になっております。どんな薬であろうと同じように努力義務になっているわけです。結果的にはそれが十分に行われていないという実態があるという、まずその実態が先にありまして、それを何とかもっと実効性のあるものにするというのがこの新しい部会ができるきっかけだったというふうに私は聞いております。

 で、そのためにはどうしたらいいか。それは、一律に同じような情報提供をするんじゃなくて、当然医薬品にはリスクの程度に差があるだろうから、そのリスクの程度によって医薬品をできるだけ分類してみようと。その分類をしたときに、それぞれについて、そのリスクの程度に応じた情報提供の仕方もあるだろうということになっていったわけであります。

小池晃君

 ありがとうございました。

 それで、検討会の報告では、店舗販売業者や配置販売業者にも今お話あった薬剤師、登録販売者の設置を義務付けたわけですが、経過措置についてはこう書いてあるんですね。「購入者や事業活動に無用の混乱を与えないよう、新たな制度に円滑に移行できるように何らかの経過措置を設けることが必要である。」と。これは、正にその新しい規制、新しい体制をつくると、旧制度からそこにスムーズに移行していくようにするということを提言されているんだと思うんですが、新制度に移行しない部分が残る、新制度に移行しない部分も残りますよというふうにはなかなかこれ読みにくいと思うんですが、そういう議論が行われたのか行われなかったのか、そこについてはどうでしょうか。

参考人(井村伸正君)

 先ほどもちょっと申し上げましたが、部会ではその経過措置が必要だということは当然のことだというふうに考えまして経過措置を設けましょうという結論になっただけでございまして、その経過措置がどんなものであるべきかということについては特に議論をしておりません。

小池晃君

 もう一つ、今回その販売従事者については試験で資質を担保すると。この試験の在り方は都道府県でいいのかという、いろんな議論あるわけですが、いずれにしても試験を受けた人が従事をするというのが前提の議論ではないかと思うんですが、検討会の中では試験を受けない人が従事をし続けるというようなことを想定した議論というのはあったんでしょうか。

参考人(井村伸正君)

 今申しましたように、その点についての議論は十分しておりません。

小池晃君

 それから、重ねて井村参考人にお伺いしたいんですが、配置薬によっては重篤な障害はほぼないというふうに先ほど発言をされたんですが、配置薬によって被害が広がったスモンの問題についてはどのように説明をされるんでしょうか。

参考人(井村伸正君)

 スモンが配置薬によって起こったのか、それともスモンが起こった原因の一つに配置薬があったのか、それは恐らくその後の方のことだろうとは思います。それで、私は、それはもう非常に重要な副作用をもたらしたものだと思って非常に残念に思っております。

小池晃君

 いや、私はその配置薬が原因で起こったんだという言い方をしているわけではないんで、先ほど重篤な障害は配置薬ではほぼないというふうにおっしゃったんでね。

参考人(井村伸正君)

 はい、そう聞いております。

小池晃君

 そういう点でいうと、実際には配置薬を通じてスモンの被害を受けた方もいらっしゃるという事実をどのように御説明されるのかなというふうに思ってお聞きをしているんです。

参考人(井村伸正君)

 私は、特に説明はできませんが、それは極めて重大な副作用であったなとは思っております。

 しかし、それ以降、非常にそういうことについての世の中の関心が高まった以降、特に非常に重大な副作用というのが配置薬によって起こったという、そういう報告がほとんどないという、そういうふうに私は聞いております。

小池晃君

 花井参考人にちょっとお伺いしたいんですが、薬被連からは、今回の検討部会にも参加をされてきて、ずっと議論にも加わってこられたわけですけれども、今回、先ほど問題点として指摘されたような、経過措置といいながら、実際は旧制度に移行するための経過措置だけではなくて、そのまま旧制度のままずっとこう進んでいけるような仕組みが残されたこと、で、その中で無資格者が事実上事業が続けられるような構造が残ってしまったということについては、議論に参加していてそういったことを想定されたのか。こういう法案が国会に出てきたことをどのようにお受け止めていらっしゃるのか、その点についてお伺いしたいというふうに思います。

参考人(花井十伍君)

 私どもの薬害被害者の代表が検討会に参加していたわけですが、その議論の中での認識の中では、やはり今回のような経過措置になるとはゆめゆめ考えていませんでした。

 なぜそう考えていなかったかといいますと、実は、検討会においては各業種の代表者も入っておりまして、しかもそれを形式的に、従来のように行政が高圧的に事務局案を押し付けて、それによって制度をつくろうということではなく、それぞれの業種の言い分も十分聞き、また非公式にもいろんな意見交換をして取りまとめたものであったわけですから、まあ、おおむねコンセンサスが得られていて、何かそのような大胆な経過措置が必要となるというふうにはちょっと考えていなかったと思います。

 したがいまして、これは私どものすべての団体とも話しましたが、これはやっぱり驚いたというふうに言っております。

小池晃君

 ありがとうございました。

 引き続き、ちょっと検討会での議論についてお聞きをしたいんですけれども、報告書では、Bグループについては、井村参考人にお伺いしたいんですが、Bグループについてはオーバー・ザ・カウンターにするよう努めるとして、さらに、そのアスタリスク付いたものについてはBグループの中でもリスクが高いということで特段の扱いをすべきだというふうにされていると思うんですが、どのような議論、どのような合意がこの点でなされているのか、お聞きします。

参考人(井村伸正君)

 それも先ほどもちょっと申し上げましたと思うんですけれども、その件に関しましては非常に時間を掛けて議論をいたしました。

 それで、オーバー・ザ・カウンターにすべてするということは、販売をする側からいたしますと、かなり店舗の内容について無理が来るというような主張も盛んに出てまいりまして、オーバー・ザ・カウンターにしなくても情報提供者が購買者に積極的にアプローチができるような、そういう陳列であればオーバー・ザ・カウンターという格好になっていなくてもいいんじゃないかということで落ち着いたわけであります。

小池晃君

 それから、対面販売の原則との関係でインターネット販売についてちょっとお伺いしたいんですけれども、この報告書では、Cグループの医薬品については一定の条件の下での通信販売のようなものも許容し得るという旨の記載があると思うんですが、このCグループについてそれを認めるということと対面販売原則ということの関係についてはどのようにお考えでしょうか。

参考人(井村伸正君)

 原則は原則でございまして、対面販売が医薬品の場合には望ましいということはだれでもそのとおりだと考えるわけでございますけれども、現在既に、例えば薬剤師が電話で相談を応需することによってある一定の時間帯では医薬品を売ることができるという、そういう措置がとられておりますので、そういうものをここで切ってしまうという形にならないというように配慮をしたものだと私は思っております。

小池晃君

 インターネット販売の問題については、花井参考人の方では、一、二類は断固認めるべきでないという今日意見書を出されておられますけれども、今のその実態ですね、かなりもういろんな形でこう出てきているような気がするんですが、実態についてちょっとお知りのことをお話しいただきたいということと、この一、二類の販売ということについてのどういう問題点が懸念されているのかという点について、ちょっとお聞かせ願えますでしょうか。

参考人(花井十伍君)

 私の知見を超えるちょっと御質問が入ったんですけれども、医療用医薬品を含めて、実はネット上の販売というのはかなり行われていますし、それから治験薬という言い方をよくしますけれども、事実上医薬品になっていなくてもネットではもう国境を越えますので、様々な物質が購入可能になっているという実態は非常に憂慮しております。

 今回、一類、二類ということに限定しまして書きましたのは、もちろん医療用医薬品は言語道断だと思っているんですけれども、今回、論点が言わば一類、二類としましたのは、先ほど海老原参考人の方も、一般の国民の利便性という感覚からいえば、インターネットの有用性というのは非常に支持されていて、これを全般的に全部駄目だということになると、逆に国民から何をやっているんだと、不便だという意見になってしまって、事実上本当にやっぱりリスクをコントロールしなきゃいけない部分が無効化するおそれがあるんではないかということで、一類と二類についてはやっぱり断固禁止するというめり張りを付けて、インターネット一切許さずというような制度設計は結果的にはうまくいかないんではないかと考えていることがあります。

 加えてですが、私どもは薬害被害者ですので、医薬品に対する危なさというのは身にしみているので、一般の方々のこのアンケート結果というのはよく分かるんですが、やはりもう心配でならないわけであります。そうした視点から、せめて一、二類は断固とやっていただきたいと、こういうふうな意見をまとめたわけでございます。

小池晃君

 先ほど、花井参考人、やっぱり原点は薬害根絶で、こういう施策なり法律なり作る際に、やはり繰り返されてきた薬害の被害をどのように総括して出されたものであるかというのが決定的に重要だというお話があったと思うんですね。

 その点で、先日、内閣府が広告で、「ひろがる、NIPPON構造改革」と、構造改革の何が一番うれしいというのは、コンビニで薬の一部が買えるようになったということを大々的に宣伝をいたしました。皆さん方の抗議で撤回した部分もあるやに聞いてはおりますが、こういう広告に表れている今の日本の、これは薬事行政というより、内閣府ですから政府全体の姿勢だと思うんですが、この点についてお考えのことがあったら是非御披瀝願いたいというふうに思います。

参考人(花井十伍君)

 またちょっと私の知見を超えることだと思いますけれども、一つは、やはり規制緩和と言うときに、最も政府を小さくした場合に、でも必ず残す部分というのは、例えば警察官であるとかそういったものになると思うんですけれども、私ども薬害被害者は、やはり薬事法とこの医薬品の安全性のコントロールというのは、これは正に厚生労働省の中で一番中心となる重要なお仕事だというふうに考えております。

 したがいまして、規制緩和の是非というよりも、やはりもしこのような厚生労働省の最も重要な国民の命を守るという部分を削ったり、若しくはそんなのもっと自由にしようということをもし規制緩和と呼ぶとすれば、それは私ども薬害被害者の考え方からは随分遠い考え方ではないかというふうに思います。

小池晃君

 それから、実際に法律をどう実施するか、担保するかという体制の問題が非常に重要だということが花井参考人の意見の最後に述べられているんですが、その専任体制の強化あるいは苦情窓口の設置等の問題で、具体的にこういう施策がなければ実効ある制度にはならないんだという点での制度的な御提言、具体的にあればお聞かせ願いたいというふうに思います。

参考人(花井十伍君)

 一つ目は、先ほどの質問とも関係するんですが、結局、人的リストラが行政、地方公共団体の方で行われていまして、その人的リストラをする部分、してはいけない部分というのがあるというふうに私どもは考えております。その一つがやはり薬事監視体制における人材であります。こうしたものについては、制度設計というよりもやはり十分な人的体制を確保していただきたいというのが一点であります。

 それから、制度的提言と言うほどの大それたものはございませんが、先ほどちょっと触れましたように、市民の苦情窓口、これは言わば告げ口のような形にもなろうかと思います。業界間でもお互い監視し合うようなことがあるのかもしれませんが、やはり市民が苦情を言って、それが、本当に苦情がそのとおりなのかどうかというのを実際、査察というんですか、立入検査をして、そして速やかに様々な行政指導を行うということをうまく、例えば医療法上でありましたら病院評価機構のような、ああいう似たような何か仕組みをつくって、正に医薬品の販売の仕方を市民の目で評価していくと。そういう動きとそれから規制当局が連携しますとかなりうまい制度ができるのかもしれないなと、そのように漠然とは考えております。

小池晃君

 ありがとうございました。

 今回の法案の問題点の一つとして、私ども、配置販売業についての経過措置、配置販売業自体は非常に重要な役割を果たしているし、一定の経過措置というのはそれは当然あってしかるべしだというふうに考えておりますが、事実上永続的に旧制度のまま業務ができる、無資格で仕事ができる仕組みが残るというのを果たして経過措置と言うんだろうかという疑問を抱いておりました。その問題が検討会では正に議論されなかったということが今のお話を聞いてよく分かりまして、そういった法案が出てきているということについては非常に改めて重大な問題点だというふうに認識をさせていただいたというふうに申し上げたいと思います。

 以上で終わります。

ページトップへ
リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。 © 2001-2010 Japanese Communist Party, Akira Koike, all rights reserved.