いろいろな事情はあったんでしょうが、医療が連邦政府の所管でないということで対象となっていない、まあそういう国はほかにもあると思うんで、やはりこれから各国と結んでいく際にはどういう手段が必要なのか検討する必要があるというふうに思っております。
その点、やっぱり医療の問題で、これから出張、海外派遣というだけではなくて、リタイアした後に海外で長期に暮らされるというような方が増えてきております。そういう方にとって、やはり年金だけではなくて、医療保険の調整というのも非常に大事になってきているんではないかと。
今日ちょっと御紹介したい例はドイツなんですが、これ我が国とは社会保障協定結んだ国なんですが、医療保険が協定の対象となっていないということがあって、医療保険に入れない経済的な不利益だけではなくて、市民的権利まで制限されたという実例であります。
今日は新聞記事もお配りしましたが、これ千葉県の習志野市に住んでいた八十七歳の女性です。夫が亡くなった悲しみをいやすために、二〇〇二年九月にドイツ在住の息子さんのところに半年行くという予定で当初訪問した。これ翌年の三月におふろ場で転倒して骨折して、帰国できなくなったそうなんですね。国保に加入されていたので海外療養費制度で治療を受けておられたけれども、高齢でちょっと心臓の機能も落ちたということで飛行機に乗ってはいけないということで帰国ができなかった。
滞在期間一年超えたために滞在許可申請をドイツ政府に対して行ったそうなんですが、ドイツというのは、何か健康保険に加入していないと正規の手続経て入国した人であっても不法滞在者と同じ扱いを受ける、そういうことになっているそうであります。
一方、習志野市の国保課、こちらはどう対応したかというと、二〇〇四年の七月に国保の保険の納付書が返送されてきたと。それまで保険料ちゃんと払っていたのに、返送されてきたということを理由にして住所を有しないというふうに判断をしたと。八月に被保険者資格を失効させたわけであります。
しかし、一方で、住民基本台帳には載せたままなんですね。選挙権もある。選挙はがき来ているんです。介護保険の被保険者資格は継続していて、介護保険料を払い続けていたというんですね、その後も。
これ息子さんは驚いて、習志野市からそういう連絡があったので、国際電話を掛け、一時帰国までして事情を説明したと。どうしても帰れないんだと、治療が済んだらすぐに帰国するから国保の継続をしてくれというふうに頼んだけれども、聞き入れられなかったという話なんです。
国保資格を喪失したことによって、先ほど言ったように、この女性は不法滞在者と同じ扱いを受けて、人口千二百人の村に住んでいたそうなんですが、そこから一歩も出られないと。非常に不自由な生活を強いられ、病気も悪化をして、昨年十月にドイツで亡くなられたと。こういう実例なんです。
厚生労働省にお聞きをしたいんですが、これは元々六か月以内に帰国する予定でドイツに出掛けて、国内の住居も転出届も出してないという人で、これが病気や事故によるけがで一年過ぎてしまったと、こういうケースなんですが、こういうケースで国保の資格まで奪ってしまうということに問題はないんでしょうか。