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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

164通常国会 参議院決算委員会

  • 収入で命に格差/医療改悪法案 保険外負担を拡大/参院決算委で小池議員追及 日米財界の要求(関連記事
  • 論戦ハイライト/医療改悪法案 制度を根本破壊/小池氏追及/「保険でみる努力」放棄(関連記事
2006年3月3日(金)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 二〇〇四年の税制改正で公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止が行われました。その結果、高齢者にとっては大増税だけではなくて、各種社会保険料が連動して上がっていく、雪だるま式に負担が増えるということが当初から心配されていたわけです。その結果どうなったか。正に心配どおりのことが起こっているんですね。(資料提示)

 これは、介護保険料、国保料というのは自治体によって違いますので、これは横浜市の例を挙げました。単身者で年金額が年間百八十万円のケースであります。二〇〇四年には支払義務のなかった住民税、所得税がゼロから二万一千円に、そして国保料は一万三千円から五万四千円に、こう上がっている。それから、介護保険料は今年四月に引上げが予定されておりまして、二万五千円から五万五千円になる。合計して、税と社会保険料で年間三万八千円だった負担が、これ十二万九千円になるんですね。約十万円増えるんです。この間、もう当然ですが、年金は一円も増えていない。それどころか、マイナス物価スライドで年金減っているわけです。〇・三%、来年度は下がる。五千四百円のマイナスになる。

 総理、私お伺いしたいのは、年金収入というのは、これは一円も増えない、むしろ減少している。こういうときに、税と社会保険料だけで十万円も増えるという、これで暮らしが成り立つと思いますか。これは税と社会保険料の問題なので併せてお答えいただきたい。総理、答えてください。

国務大臣(谷垣禎一君)

 今、年金課税の見直し、それに国保や介護の保険料も増大すると、こういうことでございましたけれども、個々の方に、特に介護なんかの場合、個々の方には影響を及ぼす場合があると思うんですが、どれだけいただくかというのは市町村が被保険者の所得状況に応じて、その地域は一定なんですから、ですから、今おっしゃったこと、例をどこに取られたか分かりませんが、全部にわたってそういうふうになっているとは思いません。

小池晃君

 いや、こういう例が生まれるんですよ。新たに課税になるのは今回の措置で百万人も増えるというふうに言うじゃないですか。私、これ決して、簡単に今のような答弁で済ませられる問題ではないと思うんです。

 総理、日銀の調査では、七十歳以上の貯蓄なし世帯は、これ二〇〇〇年には七・九%だったのが昨年は二二・四%になっている。三倍ですよ。ですから、貯金取り崩そうとしても、五人に一人が取り崩す貯金もないんです。これが実態であるときに、こういうその社会保険料の負担がどんどんどんどん増えていく、こういうことになれば、これは高齢者の中での貧困と格差、一層拡大することになるじゃないですか。

 社会保険料というのは物価スライドしないんですよ、消費者物価指数にも含まれませんから。社会保険料がどんどん上がっていっても年金に全然反映されない仕組みなんですよ。だから、取られる一方になるんです。こういうことでいいと思いますか。総理、お答えいただきたい。これ今、新聞でも大変な投書が殺到している大問題になっているんですよ。総理、答えてください。

国務大臣(川崎二郎君)

 今、財務大臣からお答えいただきまして、国民健康保険料や介護保険料の算定、御指摘のとおり個人住民税の課税所得、納税額を用いております。国民健康保険料については、保険料負担が増加する被保険者に対し、本来負担すべき保険料額に段階的に移っていくよう二年間の激変緩和の処置を講じております。

 また、介護保険料については、年金課税の見直しの影響を踏まえ、市町村が被保険者の所得状況に応じ、よりきめ細かな保険料段階を設けることができるなど、弾力的な保険料を賦課できるように所要の処置を講じたところでございます。

 今、財務大臣からも御答弁ありましたように、健康保険の収入また介護保険の収入、これは一定額を必要とするわけであります。したがって、これによって増える分を増収分と考えることではなくて、全体の調整の話でございますので、そういった中できちっとやっていけるように努力してまいりたいと思います。

小池晃君

 全く分かってない。これはちゃんと今言った激変緩和措置を入れて表を作っているんですよ。激変緩和でこうなっていくんですよ。激変緩和といっても最初の一、二年だけ取りませんというだけで、いずれは満額になるわけですから、こうなるわけであります。

 私、こういうことを一握りの人だということで、全体は変わらないんだからということで言い逃れることはできないと。これ、現実にこういう負担増になる方が百万人以上の単位で出るという、そういう制度改正やっているんですよ。そのことを本当に問題にしないということ自体が大問題だと私は思います。

 それに加えて、それに加えてですよ、今度の国会に医療制度改革法案ということで高齢者の負担を増やす法案を出されております。現役並み所得の二百万人は二割負担から三割、七十歳から七十四歳までの一般は一割から二割に引き上げる。先ほど、午前中、自民党の議員からも、この負担増による悪影響を危惧する声が出た。

 昨年十月のこれ厚労省試案では、二割にする範囲というのは六十五歳から七十四歳までだったんですね。こうなると、今まで三割だった六十五歳から七十歳までの人は負担下がるわけで、私も珍しく厚労省としては負担下げる提案が出てくるのかなと思っていたらば、十二月に出た与党案では、この部分削除されてしまった。これは総理の御意見で削除されたと聞いていますが、事実ですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 医療保険全体の中で考えるべき問題であって、一定以上の収入がある方には御負担をお願いすると、しかし、所得の問題に対しては十分に配慮するようにということで、一定以下の所得に対しては負担軽減措置がとられております。

小池晃君

 私の聞いたことに答えていない。しかも、一定以上、一定以上と一握りのように言うけど、二百万人ですよ、この現役並み所得というふうに位置付けられる方は。二百万人というのは私は決して一握りの大金持ちという話ではないと思う。しかも、患者負担増だけじゃないんです。高齢者医療制度のために保険料を新たに投入されている。入院するベッドそのものを、療養病床減らすと、情け容赦ないやり方だと。

 先ほど指摘したように、〇四年以降、税と社会保険料がどんどん上がって、雪だるま式になっていると。そういうときに、医療の保険料を更に上げる、医療の窓口負担を更に増やす、こういうことをやれば、ますます高齢者の生活を窮地に追い込むことになるというふうに総理思いませんか。総理にお答えいただきたい。

国務大臣(川崎二郎君)

 厚生労働委員会でゆっくり議論したいと思いますけど……

小池晃君

 だからいいですよ、今日は。今日はだから総理に聞いているんです。

国務大臣(川崎二郎君)

 申し上げますと、三割負担を現役並みの所得がある人にはお願い申し上げました。これは、若い世代に負担をしわ寄せるわけにはいかないと。やっぱりお年寄りでも負担能力ある方にはお願いしたいと。これは自民党の御質問にも答えました。そこは是非御理解を賜りたい。

 しかし、そういっても、入院と外来を合わせた自己負担限度額のほか、現役世代と異なり、外来にかかわる自己負担限度額は設けております。また、低所得者については自己負担限度額を据え置くことにしております。いろいろな方法をやりながら、継続、持続可能なシステムをつくり上げるということが一番大事でございますので、どうぞ御理解をお願い申し上げます。

小池晃君

 いや、理解できません。先ほどから言っているように、高額所得者というけど、二百万人という層を本当に一握りというふうに言えるのかという問題はあるし、七十歳から七十四歳までについては所得にかかわりなく一割から二割に増やすわけですから、そういうごまかしは駄目ですよ。

 私、総理にもうちょっと、根本問題としてこの保険外の負担についてちょっと聞きたいと思っているんですが、その前に、この保険外負担を今度の医療制度改革というのは増やす方向が打ち出されてきているわけですね。医療の負担というのは決してこれは保険の負担だけではありません。差額ベッドの負担もあります。今、公的病院の民間委託や独立行政法人化の影響で増加している。食費、居住費などを保険から外すという動きもある。

 ここでちょっと厚生労働大臣、聞きたいんですが、保険外の自己負担というのは現時点でどれほどの規模になっているんですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 全体の規模は把握いたしておりません。一九九二年において一度概数という形でお示ししたことはございますけれども、現実は把握をいたしておりません、古い資料でございますので。

小池晃君

 幾らだったんですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 その当時ですか。

小池晃君

 通告している。

国務大臣(川崎二郎君)

 総額は、ちょっと待ってください、保険外負担といいましても、ドックもありますし、それから大衆薬も、一つ一つですね、大衆薬は八千九百四十億、人間ドックが六千億、個室等特別料金が二千百億、歯科の自由診療が四千三百億、利用料四千三百億と。全体数字としてお示ししたのかどうかと思って、概数的なものをお示ししたと思います。

小池晃君

 この保険外負担というのは、私は国民経済から見ても無視できないものだと思うんですが、それを厚労省は把握すらしていないというのは、私、本当大問題だと思うんですね。

 私、試算してみたんですが、二年に一回、医療経済実態調査というのを厚労省やっている。これ抽出調査なんですが、この項目の中にその他診療諸収入というのがある。これは言わば自費に当たるということが厚労省の見解でした。それから、差額ベッドの代金もそこに入っているんです。これを全国規模に当てはめると、二〇〇三年で二兆四千億円ぐらいになっている。先ほどあったドックとか大衆薬なんかも含めれば、もっとこれは増えるはずだと思うんです。

 今回の健康保険法の改正ではこの混合診療の拡大につながる条文が盛り込まれて、最終的には撤回されましたが、保険免責制度ということも導入も一時は検討されたわけですけれども、私は、今かなりの額に上っている保険外負担があるときにこういう道を進んでいけば、公的保険の負担が増えるだけではなくて、保険外の負担までどんどんどんどん歯止めなく増えていくことになりかねないんじゃないかというふうに考えるんですが、総理、いかがですか、その点は。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 この混合診療については賛否両論あるんですが、是非とも混合診療を認めてくれという要望も強かったんです。

 この混合診療を認めないと、できるだけ先進的な医療技術あるいは海外で承認されている医薬品を使いたいという人も、使える場合は、混合診療を認めない場合には、ある程度までは保険診療は認められている。しかし、そのほかにこういう薬を使いたい、しかしこれは保険認めてくれないという場合に、どうしてもこの薬を使いたいんだと言うと今まで保険まで認められていたのまで全部受診料を負担しなきゃならないと。使いたくてもお金の問題でこれはあきらめざるを得ないという人たちから、認められていない薬でも海外でこれは有効だと、是非とも、こういう保険で認められていない薬を使いたい場合には、今まで保険の部分でも認められている部分は保険で認めてくれと、そして、保険で認められていない部分もそれは自分で負担すると。全額、一つでも保険で認められていない、一部の混合診療を認めると全額自己負担になっちゃうから、これじゃ困るから何とか混合診療を認めてくれということで、一定の部分まで保険で認められているのは保険料負担でいいですよと。これは安くなる。認められていないものを混合診療でやれば、それは負担してくださいというから、結果的に、使える人は費用、負担が少なくて使えるようになったんですよ。これで実に喜んでいる人が多いんですよ。

 これは、認めなかったら全額、一部の混合、医薬品を使った場合に全額保険が認められなくなっちゃうというのを改善したんですよ。だから、これは私はむしろ評価されてしかるべきじゃないかなと思っているんです。

小池晃君

 そういうものは保険が認められないという前提のようにおっしゃるけれども、今までの日本の医療というのは、高度の医療、新しい技術が開発される、新しい技術が出てくる、それをしっかり保険で認めるという方向で今までの医療政策というのは進んできたんですよ。それが、本当に時間が掛かるという問題ありましたよ。しかし、総理が言うように、それはもう保険じゃ利かないんだからという議論にしちゃったら、どんどんどんどん自費部分が広がっていくという流れにならざるを得ないんですよ。

 正に今回の改悪法案というのは、そういう方向を私は本当に加速する危険があると思っている。そう言っているのは、私だけではない。アメリカの保険会社なんかはそのことを今盛んに宣伝しているわけであります。(資料提示)

 これ、ごらんいただきたいのは、全国紙、ぶち抜きで広告出ました。名前は消してありますが、アメリカの保険会社です。宣伝文句に書いてあるのは、影の治療費とのし掛かる自己負担だと、こう言っているんです。影の治療費というのは、すなわち保険外負担であります。のし掛かる自己負担というのは、公的保険の負担が増えていくこと。結局、だから民間保険に入らないと大変なことになりますよ、こういう宣伝を盛んにやっているんです。

 患者負担増というのも深刻な受診抑制をもたらすけれども、私は、その公的保険の、今言われたような公的保険の範囲を狭めていって保険外負担が増えていくというのは、医療保険制度の土台を掘り崩すことになると思うんです。保険で診てもらえる範囲が小さくなれば、差額を払わなければ、その分が出せない人は適切な治療を受けられない、そういうことになっちゃうんだ。収入の差、支払能力の差が治療内容の格差になっていくと。今までの日本というのは、どんなに先進医療でもできるだけ保険で診ようじゃないかという方向で頑張ってきたと。それをやめてしまうということになる。民間保険に入って高い保険料を払わなければ、影の医療費も、のし掛かる自己負担も支払えない、こうすればまともな治療を受けられない。

 総理、日本の医療をそんな姿にしてしまっていいのかということを今問われているんじゃないんですか。その点についてどういうお考えですか。総理、お答えいただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それは、公的保険制度をなくすものじゃないんです。公的保険というものは持続可能な制度にしていかなきゃならないと。病気にならないで、病院にも行かないで保険料を負担しているからこそ今の公的医療保険制度というのは維持されていくんです。

 そういう中で、先進的な医療、あるいは日本では使われていないけれども海外で使われている医薬品を使いたいという人、ある程度お金掛かっても使いたいというんだけれども、これを使っちゃったら、今までの保険で払われていた医療までが全部自己負担になったら、とても使うことはできないと、何とか使わしてくださいという声にこたえて混合診療を認めたんですよ。

 だから、そういう中で、これがどうして公的保険制度をなくすことになるんですか。アメリカの言うとおりやっているということになるんですか。日本国民の患者さんが要望していたんですよ。何としても自分治したい、生きたい、先進的な保険負担だと……

小池晃君

 それは保険で診ればいいんですよ。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それを全部保険で診るといったら、どれだけ金掛かるんですか。これは、保険制度というのは、公的保険制度というのは、保険料と国民の税金と患者さんの自己負担で成り立っているんです。ですから、今まで診た、保険でどうしても必要な医療は診なきゃならないというのは税金使います。

 そういう中で、なお保険では診れない特別な高度な医療ということに対しては、使いたいという人に対しては、今までの保険でも診れる制度をつくる、なおかつ自己負担でもしたいという人の選択を認めて、できるだけ患者さんの負担を少ない制度で認めたのが混合診療なんですよ。

小池晃君

 委員長、もういいです、もういいです。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 もういいですって、大事なことを話しているといいですいいですと言って、一方的な共産党の立場で負担ばっかり強調して、恩典というものを全く無視してけしからぬけしからぬと言う。余りにも偏見と誤解に満ちている質問だから正しい答弁をしているんです。

小池晃君

 これは、私、私共産党というけど、そういう党派の主張じゃないと思いますよ。これはかなり多くの医療関係者の声を私は代弁している。間違いないですよ、これは。

 いろいろとおっしゃるけれども、選択肢が広がったとしても、それは支払能力のある人にとっては選択肢広がるかもしれないけれども、支払能力なければ命の選択肢すら奪われることになるんですよ。だから、私が言っているのは、そういうものは基本的に保険で診る努力をこの間してきたではないかと、それを投げ捨てていいのかと。

 もし、ごく一部の高度の医療ということでいうのであれば、特定療養費という制度が今まであったんですよ。その制度の枠内で処理できる問題ですよ。ところが、混合診療ということに踏み切るというのは、それとは質的に違う道歩んでいくことになるんです。

 しかも、これがどういう中身なのか。こういう混合診療を熱心に推進している内閣府の規制改革・民間開放推進会議の議長オリックスの宮内会長、何を言っているか。医療イコール保険だけではなく自由診療を認めるという考え方だと、公は保険、民は自由診療で、多様な要求に応じればよいと。国民がもっと様々な医療を受けたければ、健康保険はここまでですよ、後は自分でお支払いくださいという形だと。金持ち優遇だと批判されるが、金持ちでなくとも高度医療を受けたければ家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょう。こういう人が会長として旗振り役をやって混合診療を誘導しているんだ。これは正に利益誘導じゃないですか。こんなことを許していいのかということを私問われているというふうに思います。

 これちょっと先ほど長い答弁で時間なくなってしまいましたが、私は、今度のやり方というのは正にアメリカと日本の財界の要求で、公的医療の縮小と医療の市場化を進めるものになる。なぜ彼らの負担減、なぜ彼らのもうけのために国民が大変な負担増を押し付けられなきゃいけないのか、国民皆保険を崩壊させなければいけないのか。本当に今度のやり方には一片の同意もないというふうに思いますし、医療改悪法案の撤回を求めて質問を終わります。

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