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国保料 これでも社会保障か
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「国民健康保険の構造的問題にこそメスを入れ、国庫負担を増やすべきだ」――二十九日の参院厚生労働委員会で、日本共産党の小池晃議員は、国民健康保険料の負担増が、滞納者の増加に拍車をかける実態に迫り、政府の姿勢をただしました。
現在、保険料滞納は五世帯に一世帯にのぼります。滞納に伴う短期保険証の交付は百五万世帯、一年以上滞納した世帯主に渡される「資格証明書」の交付は約三十万世帯に増えています。
各市町村が運営する国民健康保険の収支は、全体で千七十四億円の赤字(二〇〇三年度)。赤字市町村は73%におよんでいます。
背景には国民健康保険加入世帯の生活苦が深刻になっていることがあります。
厚労省の「国民健康保険実態調査報告」によると、職に就いていない世帯の比率は、一九八二年の17・4%から二〇〇二年には51・0%と約三倍に増え、半数を超えています。所得のない世帯も、全体の四分の一にのぼっているのです。
負担能力に限界のある、所得なし、低所得の世帯が増えるなかで、月収二十五万円から三十万円台のいわゆる「中間層」世帯の保険料負担が過大になっていることを、小池氏は示しました。(表参照)
大阪市では最高限度額に達している世帯が7・2%になり、全国平均5・4%を上回ります。家族四人(三十歳代で小学生の子ども二人)の世帯で年間所得四百万円のケースでは、国保料は最高額五十三万円、収入に占める割合は13・3%、国民年金保険料二人分三十二万円(年間)と合わせると21・3%。収入の五分の一がこれらの保険料負担で消える計算です。
厚生労働省の資料でも、低所得者だけでなくこれら「中間層」の保険料の滞納も増えています。
保険料の収納率が上がらず滞納が増える状況を打開するために、厚生労働省がおこなってきたのは「資格証明書」などの「制裁」による取り立てです。
しかし、それで収納率が少しでもあがったのか――。小池氏の追及に厚労省の水田邦雄保険局長は「定量的には示せない」と答えました。
こんな的外れな、厚労省の収納率アップ作戦の「奥の手」ともいえるのが、小池氏が明らかにした「滞納整理マニュアル」です(別項参照)。
同マニュアルは、滞納者を「敵」扱いにした上に、「勤務先への連絡」や「財産調査」などサラ金まがいの人権無視のやり方で取り立てを進めようとするもので、「これが社会保障制度なのか」(小池氏)と疑いたくなるひどさです。
尾辻秀久厚労相は「このマニュアルの存在を知りませんでした。読んで検討させていただきたい」とのべました。
政府は「資格証明書」の発行や「滞納整理」という制裁と、収納率を向上した自治体には交付金を増やすという「アメとムチ」で打開しようとしています。しかしいま求められるのは、国民健康保険の財政が悪くなったおおもとの原因にメスを入れることです。
「無職・所得なし世帯」の増大と合わせ被保険者の所得減少が続いています。
一方で保険財政に占める国庫負担の割合は二十年前に比べ六割に減っています。
ところが政府がやろうとしているのは、国の負担分を増やすのではなく都道府県に置き換えるというだけです。
これでは、しわよせが都道府県にきて、きめ細かな対策はおろか、保険料の負担も増え、払えない世帯もますます増えることになります。「この悪循環を断ち切る道は、国の負担の拡大しかありません」(小池氏)
尾辻厚労相は、「公費負担を引き上げるのは適当でない」と、国民の願いに背を向ける姿勢を示しました。
催告書のみの送付でなく、「催告書」「最終催告書」「差押予告書」等文書名を変えていくことにより、相手方に心理的圧迫を与え、納付を促す
ボーナス支給月の一斉催告、勤務時間外の早朝催告や夜間催告、毎月末5日間夜間催告、勤務先への催告。様々なあつれきが予想されるが、大半の滞納は、勤務先への催告で解消される
誠意のない滞納者や電話がない者、常に不在で連絡がつかない者等、対象者を選定して、臨宅を行う。夜間、日曜に臨宅する旨の通知書を差し置きするのも効果的
孫子も「敵を知り、己を知らば、百戦してなお危うからず」といっており、滞納者の状況を把握することが滞納解消の近道
共同で臨宅 ※背後霊方式 都道府県税事務所の職員が、「名乗らず参加せず」の状況で市町村職員の後ろに立っている。準備がいらない、頭数をそろえられる等メリットが多い
(国民健康保険中央会『国保保険料(税)滞納整理マニュアルI』から抜粋)
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