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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162通常国会 参議院厚生労働委員会

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2005年3月29日(火)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 冒頭、先ほど報告がありました監修料の問題についてちょっとお聞きしたいんですが、監修料、組織的にプールしていたのは社会保険庁だけだという、そういう説明でしたね。厚労省各局別にこの間の監修料の受領額と受領人数を示していただきたいと思います。

政府参考人(鈴木直和君)

 監修料を受け取った人数、金額を部局別というお話でございますが、昨年十月に公表した全省調査を集計したところ、その部局別の監修料を受け取った延べ人数、それから金額、これは平成十一年度から十五年度までの五年間で、医政局が十一人、千八百六十八万円、保険局が二百七十一人、二億六千四百三十三万円、年金局が十六人で五百六十六万円、社会保険庁が五百七十六人、四億五千八百六十七万円、国立保健医療科学院が三人で百十七万円となっております。

 それから、全省調査の際に引き続き調査することになりましたニチネン企画分、これについての監修料につきましては、今年の一月の調査結果で判明した内訳でございますが、平成十一年度から十五年度までの五年間で、保険局が四人、百十万円、社会保険庁が三十人で三千五十一万円となっております。

小池晃君

 今お聞きしますと、保険局は二億円、社会保険庁は四億円の監修料を受け取っている、しかしほかの局が全く今出てこないというのも、これも疑わしいんですが、これだけの監修料を受け取りながら、社会保険庁以外は全く組織的なプールをやっていなかったというのは、厚労省の十九階と二十階だけではこういうルールでやっていましたけれども、ほかは全然やっていませんでしたというのも、これは説得力に欠けるんじゃないですか。これで納得しろと言われたって、これはなかなか、はいそうですかというわけにいかないと思うんですが、いかがですか。

政府参考人(鈴木直和君)

 この監修料につきましては、平成十一年のころ、いろいろ問題がございました。そういう中で見直し等が行われてきたわけですが、社会保険庁におきましては、先般の調査の結果にもありますように、ほぼすべての監修料、これは監修作業を行った職員ではなく、庶務担当が代わりに受領していた、それから庶務担当者が受け取った監修料は経理課の予算班の担当者に預けられ、定期的に職員数に応じた額が配分されていたということが明らかになりました。

 この実態、これは平成十二年度の組織再編によりまして、各課ごとに自主的に行われていた私的な助け合い、これを維持することがそういった組織再編の中で困難になったということもありまして、その助け合いの仕組みを延長して、社会保険庁の全課を通じて組織的に行われるようになったということで、その旨が調査結果にも出ております。

 これについては、組織的に管理されていたもので、深く反省すべきものというふうに考えております。

小池晃君

 社会保険庁のそういう実態は非常に問題だと思いますが、大臣、こういうルールでやっていたのは社会保険庁だけで、二億円、二億六千万円の監修料を受け取っている保険局とかいろいろあるわけですけど、もうほかでは一切やっていなかったのに社会保険庁だけだと、こう言われても、私、これはなかなか納得できない。

 大臣、いかがですか、こういう説明で国民納得すると思いますか。

副大臣(衛藤晟一君)

 先ほども官房長から申し上げましたように、過去においてやっぱり監修費につきましていろいろあるということの御指摘がなされて、平成十一年にかけて一斉に国全体としての見直しが行われたところでございますけれども、社会保険庁だけはなぜか本当にこういう形で残っていたというのは、何度調べてもそういう結果で、今私どもに入っております調査結果としてはそういう結果でございました。

小池晃君

 なぜか社会保険庁だけでって、それね、何か日本七不思議みたいなことを言われたって、それは納得できないですよ、これは、こういう説明では。これ、私、全省調査やったとおっしゃるけれども、こういう形で社会保険庁だけでやっていたことでほかでは一切やっていません、こういう説明では納得できませんし、調査不十分であり、続行すべきだということを申し上げたいと思います。

 法案の中身に入りたいんですが、今後の医療制度改革について、ちょっと最初に一問、大臣にお聞きをしたいと思うんです。

 社会保障の給付と負担の見直しの議論の中で、経済財政諮問会議の民間議員などから、社会保障給付費をGDPの伸び率の範囲内に抑えるべきだという議論が出ていまして、私、これはとんでもない話だと思っております。

 高齢者がこれから増えていく中で、GDPの伸び率の範囲内に抑えれば、これは大幅な給付カットになりますし、質も低下するし、その分はすべて自己負担に押し付けられるということになるわけですし、必要な医療も保障されなくなると。医療のやっぱり原理原則を全くわきまえない議論であるというふうに考えるんですが、大臣、このGDPの枠内に社会保障給付費を抑えると、そもそもこういう考え方についてどうお考えか、最初にお聞きします。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今お話しいただきましたように、経済財政諮問会議の民間議員の方から、名目GDP等何らかのマクロ指標を設定して、そして五年程度の期間を対象に実績と指標を照らし合わせ、適時制度を見直すべきと、こういう御意見が出ておるところでございます。

 このことにつきましては、私も私なりの意見を経済財政諮問会議でも申し上げておりますけれども、さらに社会保障の在り方に関する懇談会においても、当然、経済財政諮問会議においてはもちろんでございますけれども、議論が続けられることになっておるところでございます。

 私といたしましては、医療費の伸びの適正化に取り組む必要があると、このことはそう考えておりますけれども、多くの皆さんの共通認識でありますけれども、特に医療ということになりますと、いったん病気になれば必ずサービスを提供しなければならないものでございますし、また高齢化の進展でありますとか技術進歩等による伸びが見込まれることから、過度にサービス等を削減することとなるような見直しは現実的に成し得ないと考えておるところでございます。

小池晃君

 成し得るか成し得ないというよりも、そもそも医療ということの考え方に照らしてこれは間違っているんだということを、私、はっきり言うべきだというふうに思います。

 さらに、今後の医療制度改革の方向として国保の広域化ということが言われていて、今回のはまあ第一弾だと言われていますが、私、その今の国保の現状見ても、小規模保険者ほど収納率も財政状況もいいわけですね。政令指定都市ほど収納率悪くて赤字抱えているという実態あるわけで、なぜこういうきめ細かい市町村単位から広域化しようとするのか。

 厚労省にお聞きしますが、かえってこれは弊害が大きくなるんじゃないですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 なぜ国保の広域化を進める必要があるのかという御質問でございまして、これは先ほど来、大臣からも御答弁しておりますけれども、やはり国保でございますと、小規模であるがゆえに高額な医療費の発生による影響を受けやすい、リスク分散がしにくい、財政運営が不安定になるということが一つ考えられる。もう一つは事務処理体制、様々な効率化努力というものをする余地が小規模でありますとなかなかできない。

  〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕

 そういったことで、保険者機能の発揮が十分できない保険者が少なからず存在していることから、この広域化を進めるということを申し述べているわけでございまして、具体的には、その保険者の再編統合を進めてリスク分散を行う、あるいはその被保険者に対する保健事業の充実と、こういった点において保険者機能の強化を推進することによって国保の基盤、体力を強化していきたいと、このように考えているところでございます。

小池晃君

 財政対策はもちろん大切だと思いますが、私は、市町村こそ身近に住民の実態を把握しているわけですから、その地域医療の改善に必要な対策立てることできるし、その実現のために都道府県が支援をする、そして国が財政的に支えると。それこそが地域分権、地方分権だというふうに思いますので、こういう広域化というのは正に逆行だと。

 しかも、その広域化の先取りとして今、市町村合併がどんどん進んでおりまして、そういう自治体で今何が起こっているかといいますと、例えばさいたま市は二〇〇一年に三市が合併しました。ここは国保税大幅値上げになっていて、例えば旧与野市は十万円、大宮市は七万円、浦和市は四万円、ここに岩槻加わるんですが、今年四月から岩槻市は給与収入三百四十万円の四人家族で六万円の値上げということになっている。介護保険料を合わせると七万円を超える。

 今までの実態見ますと、こういう、まあ広域化ではなくて市町村合併ですが、多くの自治体で合併することによってこれまでの上乗せ給付のサービスがなくなったりあるいはその保険料上げたりと、こういう実態進んでいる。広域化によってますますそういう傾向に拍車を掛けるのではないですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 その点につきましては、国民健康保険の運営におきまして適正な水準の、医療費に見合った保険料を取っていただくということが基本でございますので、正にそうした考え方から、結果として保険料の引上げということにつながったものではないかと考えております。

  〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕

小池晃君

 赤字保険者が実態として見ると七割以上なわけで、広域化を機会にその値上げのチャンスだということで上げているというのが実態だと私は思うんです。

 大臣、大臣は就任の会見でこう言っているんです。赤字の市町村がただ単に集まっても赤字の総額は変わらない、これを都道府県に面倒見てほしいと言った途端、都道府県はしり込みする、我々も必死で努力する。私、これはなかなか、そのとおりだと思うんですよ。

 ところが、今回やったことというのは、正に赤字、都道府県しり込みするのを無理やり押し付けて、我々必死で努力すると言ったけれども、国の負担を都道府県に転嫁しただけで、国は何の努力もしてない。今回のやり方、正にそういうことになるんじゃないですか、大臣が就任会見で言われたことと照らしても。いかがでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 都道府県がしり込みしたというのは、そのとおりでございます。で、何とかそこを都道府県にも責任を持ってほしい、そういうお願いを今回した。言わば私どもが、必死という表現を今そこでは使っておりますけれども、今回の部分が必死であるかどうかは別として私どもが努力をしてお願いをしたと、こういうことで、そこで申し上げたとおりのことを今回行ったと考えております。

小池晃君

 私は、今回の法案の中に国としての必死の努力というのはどこにも見えてこないし、正に赤字の自治体併せただけでも赤字が増えるだけ、そのとおりでね。やっぱり必死で努力するというのであれば、国がしっかり財政的に支えるということに踏み出す時期なんだと、それ最後にちょっともう一回議論しますが、思うんです。

 ちょっと具体的に、今回のそのやり方による財政への影響をちょっと見ていきたいと思うんですが、先ほどからも議論ありますけれども、今は給付費に対する国の定率負担四〇%、残り一〇%が調整交付金、八%が普通調整交付金で、二%が特別調整交付金。

 この普通調整交付金は、財政力高いとされる自治体には交付されておりません。その結果、例えば横浜市などは普通調整交付金が出てないんですね。国庫負担四〇%だけです。六%、大体金額にして約百億円は市が負担している。残り五四%は市民の保険料負担になっている。これが実態です。

 今回、更に国の定率負担が三四%に引き下げられるということになれば、これは理論的な可能性としては最大六六%が保険料と市の負担ということになっていくということにもなり得るわけで、市民の保険料負担、あるいは一般会計からの支出これ以上できないということで不安が広がっているわけです。

 大臣にお聞きしたいんですが、こういう今、普通調整交付金が入ってないような自治体は特に、やっぱり今回の国庫負担削減によって住民の負担増あるいは医療内容の低下という深刻な影響出るんじゃないか。それに対してどう臨むおつもりですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今のお話はよくお聞きをする御心配であります。横浜の例でおっしゃいましたけれども、たしか横浜も調整交付金はゼロだというふうに思います。そうなりますと定率の分だけになるわけですから、それが四〇%から三四%に変化するとその定率分が四〇分の三四になるだけで調整交付金がゼロ、そしてまた新たに都道府県に移ったもし調整交付金がゼロだとするとそのまんまで終わってしまうと、こういう御心配でございます。

 そこで、私どもが今日午前中からお答え申し上げておりますけれども、そうした市町村の国保財政に急激な影響が生じないように調整を行っていただきたいということを申し上げておるところでございます。

 そしてまた、一体具体的にはという御質問もあったところでございますけれども、激変緩和措置を講ずる必要性については検討してまいりたいと考えております。

小池晃君

 私は、これでは本当に安定的な運営できない自治体が出てくる危険があるというふうに思うんですね。

 それに加えて、こういう動きもあります。都道府県の財政が逼迫しているということも重なって、これまで独自で、都道府県単位で補助金が出ていたところが、それを削減するという動きが進んでいるんです。

 例えば北海道では、市町村に対する道としての単独補助金を、九六年十二億円だったのが、〇四年で六億円、〇五年三億円に削減して、〇六年には廃止を予定しています。北海道の説明では、都道府県負担の導入などの状況を踏まえ見直すということで、正に県の補助金移管を理由にして県単独の補助金をなくすという方向が出てきている。

 厚労省にお伺いしますが、局長にお答えいただきたいんですが、今回の改正でこういう都道府県単独の補助金についてもなくしてしまうという方向に拍車を掛けることになるんじゃないか、それが市町村の保険料の値上げにつながるんじゃないかと、そういう心配出ていますが、これにはどうお答えになりますか。

政府参考人(水田邦雄君)

 まず、お尋ねの、今回の国保改革によりまして都道府県の財政負担が増大するということがあるわけでございますけれども、今回の改革によりまして導入した都道府県調整交付金の財源につきましては、所得譲与税あるいは地方交付税によりまして財政措置が行われることとなっておりますので、財政的には中立的なものとなっているところでございまして、この点は押さえていただきたいと思っております。

 次に、これが都道府県の単独事業についてどういう影響あるかということでございますけれども、基本的に、これは都道府県が独自に実施されている施策でございますので、今後とも各都道府県において自主的に御判断いただいて実施されるべきものと、このように考えております。

小池晃君

 ちょっと無責任だと思うんですよね、やっぱり。これが本当に都道府県の事業に影響を与える危険があるわけだから、そういったことをやっぱりしっかり把握した上で対策考えるべきだというふうに思います。都道府県が判断することですから知りませんということではいけないのではないかと思います。

 加えて、保険基盤安定制度、低所得者の保険料軽減分、公費負担する制度ですが、これ軽減総額は年々増加して、これからも更に増えていくことは必至であると。これ、この国の負担二分の一を廃止をして都道府県四分の三に負担を増やすわけですが、これ十七年度は千九百億円税源移譲ということになっているんですけど、今後どんどんどんどんこの補てん額は増えていくわけで、これから先やっぱり足りなくなるんじゃないかという心配あるんですが、厚労省、これにはどうお答えになるかと、総務省にもちょっとこの点についてお考えをお聞きしたいと思います。

政府参考人(水田邦雄君)

 平成十七年度につきましては、先ほど、今先生が御指摘のとおり、都道府県負担を四分の一から四分の三に引き上げることにつきましては、税源移譲額について所要額を適正に見積もって算出したところでございます。

 これが、平成十八年度以降の実際の負担額についてでございますけれども、おっしゃいますとおり、今後の医療費の動向でありますとか経済情勢等によって異なってくるということが考えられるわけでございますが、税源移譲後、将来実際に都道府県が負担する額については地方財政全体の中で適切に措置されるべきものと、このように考えております。

政府参考人(瀧野欣彌君)

 今回の国民健康保険の基盤安定制度の一般財源化に伴います地方財政への影響ということでございますが、先ほども御指摘ございましたとおり、平成十七年度におきましては、所得譲与税千九百二十億円の税源移譲ということでございます。

 今後、この対象額がどういうふうに推移するかということについて御心配、御懸念もおありになるようでございますけれども、いずれにいたしましても、税源移譲いたしました税収の動向というのも一つ推移を見極めなきゃいけないということもございますし、それから、毎年度毎年度の必要な額につきましては、その全額を地方交付税の基準財政需要額に算入していこうというふうに考えてございますので、税収、さらにこの交付税制度を通じまして、確実に財源措置はしていくことができるというふうに我々は考えております。

小池晃君

 続いて、収納対策の問題をお聞きしたいんですが、市町村国保の約五世帯に一世帯が保険料を滞納して、短期保険証が百五万、資格証明書が三十万世帯ということになっている。収納率年々低下して、二〇〇三年度九〇・二一%、このままだと九割切るというふうにも言われていますが、局長に、この収納率低下の原因についてどうお考えなのか、お答え願いたいと思います。

政府参考人(水田邦雄君)

 ただいま先生御指摘のとおり、国保におきます平成十五年度の保険料の収納率は、過去最低、九〇・二一%になったところでございます。滞納世帯は十六年度で四百六十万世帯、全体の約一九%になってございます。

 これは、私どもといたしましては、依然として厳しい経済情勢、あるいは都市住民、特に若年層の納付意識の低下などが原因であると、このように認識をしてございます。

小池晃君

 いや、私は意識の問題じゃないと思うんですよ。経済情勢もちろんあるし、それは確かだと思いますが、若年者の意識の問題で片付けたらこの問題絶対解決しないというふうに思うんです。

 これ実態見ますと、国民健康保険、自営業者というイメージよりも、今無職世帯の比率が大幅に増えている。二十年前と比べるとどうかというと、一九八二年は一七・四%の無職世帯が二〇〇二年で五一%です。過半数が無職世帯で、三倍になっているんです。所得なしの世帯が全体の四分の一を超えているわけです。二六・六%です。

 国保加入世帯の所得はもう大幅に減少しておって、一方で所得に占める保険料の比率というのはどんどん増えているんですね。これ大臣、私調べてみたら、保険料の所得に占める割合というのが十年前は五%台だったんです。それが二〇〇二年度には八%超えているんです。収入の八%を超える保険料を取られている、平均でですよ。こういう実態がある。

 今、局長は意識の問題ということもおっしゃったんですが、私は、この保険料の負担がやっぱり耐え難いほどのし掛かっているからこそこれだけの滞納者が増えているんだと、こういう認識に立たなければ私は本当の滞納対策ってできないというふうに思いますが、大臣、その認識おありですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 ただいま申し上げましたように、都市住民、特に若年層の納付意識の低下だけでございませんで、依然として厳しい経済情勢ということがこの滞納率の背景にあるものと認識をしております。

小池晃君

 大臣。

国務大臣(尾辻秀久君)

 近年の厳しい財政状況を背景に低所得者や無職者が増加しておる、これはもうそのとおりでございます。特に中間所得者層への保険料負担のしわ寄せが大きくなっているというのも指摘をされておるところでございます。

 したがいまして、平成十五年度より三年間の暫定措置として、低所得者の数に応じて応能保険料も含めた平均保険料の一定割合を公費で補てんすることにより、中間所得者層の保険料負担の軽減を図る保険者支援制度といった措置を講じておるところでございます。

小池晃君

 もう少しちょっと、政治家としてこれどうとらえるかということをお聞きしたかったんですが。

 資料をお配りして、今大臣が言われたことを、ちょっと先取りで大臣お話しになったんですが、資料の一枚目にあるように、本当に中間層に大変重い負担になっているというのが実態です。これ、年間所得が四百万円ぐらいで限度額にもう次々達してしまう実態があるわけですね。大阪市では最高限度額に達している世帯が七・二%です。これ全国では五・四%。これも高いんですが、都市部は非常に高い。家族四人で年間所得四百万円で国保料は最高額の五十三万円で、収入に占める割合は一三・三%です。これは国民年金の保険料を加えると二〇%を超えるわけです。年間所得三百万円でも国保料四十四万円、収入に占める割合が一四・七%。収入の一〇%、一三%、一四%が保険料で取られちゃうというのが、これ本当に深刻だと思うんですね。

 さらに、二枚目めくっていただくと、滞納の実態を見ても、収納率見ても、結構やっぱり中間所得層で非常に未納率が高くなってきている傾向があるということがあると思うんですね。二百万円から五百万円の所得層の滞納が多いと。

 先ほど大臣は、こういう所得層、こういう中間層の負担が重くなっているというような実態をお認めになって対策取っているとおっしゃいましたけど、これ二〇〇五年まで三年間の時限措置なんですよ。大臣、こういう認識であるならば、これはやっぱり継続するということになるんですか。私、当然そういう配慮が必要だと思いますが、その点は、じゃいかがなんですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 十八年度にいろいろと見直しをするということを申し上げておりますから、当然その中での課題になると考えております。

小池晃君

 私、こういう実態を一刻も放置することできないと思うんです。是非、この問題については地方が本当に安心して国保運営できる財政措置をすることこそ国の責任だし、国の負担削減を先行させるというのは余りに無責任だということを申し上げたいというふうに思います。

 さらに、今後これだけはなくて、資料の三枚目に入れましたが、この間いろいろ議論になっていますが、税制の改悪によって負担がどんどん雪だるま式に増えていくという問題がある。横浜市に住んでいる七十歳以上の夫婦でこれ見てみますと、夫の年金二百四十万円、妻三十万円のケースでいいますと、二〇〇四年度は所得税、住民税非課税ですから、国保料六万八千円と介護料五万円で、合計十一万九千円です。これが今後、公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止、非課税限度額の撤廃、定率減税の縮小、廃止ということでどうなっていくかというと、二〇〇八年にはこういう方の合計負担は二十四万九千円になります。ですから十三万円も増えてしまうということになる。収入に占める割合が四・四%から九・二%に、収入は全く増えないのにどんどんどんどん増えていくということになっているわけですね。

 大臣、この収入が増えないのにこういうように保険料負担が雪だるま式に増えていくという、こういう現状を放置していいのか。この間いろんな議論あって、お答えになっていることもあるかと思いますが、どういう対策を考えておられるのか、御説明願いたいと思う。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今の問題でございますけれども、平成十八年度からの保険料の取扱いに関するものでございます。住民税の非課税措置でありますとか、あるいは配偶者特別控除の見直しの考え方、介護保険及び国民健康保険における保険料の徴収の考え方など、それをすべて総合的に勘案しつつ検討しなければならない問題であるというふうに考えております。

 そこで、介護保険制度に関して申し上げますと、平成十八年度までの間に制度全般の見直しを予定をいたしております。保険料につきましては、非課税措置の見直しを踏まえまして、市町村が被保険者の所得状況に応じ、きめ細かな保険料段階を設定するなど、弾力的な設定を可能とすることで、被保険者の負担能力を適切に反映したものとなるように今検討いたしておるところでございます。

 また、国民健康保険制度に関しましては、緩和措置を講ずるべきかどうかについては、負担能力に応じた適切な負担という観点から、税制改正により影響を受ける者の保険料負担への具体的な影響だけでなくて、緩和措置を講ずることにより生じますところのそれ以外の被保険者の保険料負担増等についても考慮しながら検討することが必要であると考えております。

小池晃君

 収納率を引き上げるために、厚労省は総合的収納対策、収納率確保緊急プランというのを打ち出されました。市町村にも緊急プランの作成を求めていますが、この中で、資格書を発行してない保険者は発行に努めることと強調しております。資格証明書を発行してない市町村数はどれだけ今あるのでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 お答え申し上げます。

 平成十五年度において資格証明書を発行していない市町村数は全市町村数三千百四十四のうち千四百八十九、率にして四七・四%となってございます。

小池晃君

 厚労省は、二〇〇四年度から特別調整交付金の交付に当たって資格証明書の発行を条件としているんです。今までこの問題、私も何度か委員会で取り上げてまいりましたけれども、厚労省の説明は、資格書の発行というのは滞納者との接触の機会を増やすためという説明を繰り返しされてきたわけですね。滞納者と連絡を取って、あるいは分納の約束をするとかいろんな努力をしている結果、資格証明書を発行していない自治体だってあるはず。そういう自治体も、この資格証明書を発行してないからといって交付金交付しないというのは、これは本来の説明に照らしてもこれはおかしいんじゃないですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 その点につきましては、法律に基づいて発行しなければならない資格証明書を出すべき場合に出していない市町村、これを調整交付金の交付の対象外としているわけでありまして、保険者における収納対策の評価として交付されるもの、その趣旨に照らして適切なものと考えてございます。

小池晃君

 まあ適切なものではないと思いますが。

 そもそも、この資格書の問題をお伺いしたいんですけれども、滞納者との接触の機会を増やすためだと、収納率向上させるためだという説明をされてきましたが、この資格証明書を発行したことによって収納率というのは改善したんでしょうか。厚生労働省としてそういうデータなり根拠なりをお持ちだったらちょっとお示し願いたいと思うんですが。

政府参考人(水田邦雄君)

 まず、この資格証明書制度でございますけれども、一年以上滞納状態が続く被保険者に対しまして、御指摘のとおり、保険者の窓口に来訪していただきまして納付相談等の機会を増やすという目的から行っているものでございます。

 これの収納率への影響でございますけれども、収納率自体は先ほど来申し上げているとおり低下傾向にあるものでございますけれども、この資格証明書制度の義務化による効果を定量的にお示しすることは困難でございます。

 ただ、この証明書制度によりまして、これは保険料収納確保のための有効な施策であるとの御意見を保険者から聞いているところでございます。

小池晃君

 結局、何の根拠もないわけですよね。

 同時に、その資格書の発行というのが住民の医療機関への受診あるいはその健康状態に深刻な影響を与えているという、そういう指摘もございます。この点についてはどうですか。資格書の発行によって医療機関への受診などにどういう変化を与えたか調べていらっしゃいますか。

政府参考人(水田邦雄君)

 この点につきましても定量的なものはございませんけれども、正にこの資格証明書の発行を通じまして保険者の窓口に来ていただいて、個別に個々の被保険者の状況に応じた納付相談を行うように指導してきているところでございまして、こうした被保険者との接触ということがあるわけでございますので、その過程で必要な受診は確保されていると、このように考えております。

小池晃君

 全く調査もしていないし、根拠のない説明でしかないと思うんですね、今のは。

 全国保険医団体連合会の調査では、資格証明書を発行されている世帯は受診率が極端に低いということが報告されております。例えば、福岡県では一般被保険者と比べて百分の一、神奈川県では二十五分の一と。資格書というのは、これは窓口で十割負担になりますから、受け取った加入者は国保制度や行政に対して不信感持つという、そういう、かえって保険料を払わなくなるという声すらあるほどです。

 資格証明書の発行件数増えていますけれども、収納率は逆に下がっている。受診抑制も起こっている。国民皆保険制度の空洞化を政府自らが進めるようなことをやっているんじゃないかと。そういうことをやりながら影響調査もやっていないというのは、本当に無責任だというふうに思うんです。

 さらに、この緊急プランでは滞納処分の徹底というところが強調されておりまして、国保中央会が滞納整理マニュアルというのを、これを作って、これを自治体の担当者に配っているんですね。

 この滞納整理マニュアルの作成に当たって、厚労省はどのように関与してこられましたか。

政府参考人(水田邦雄君)

 御指摘のありました滞納整理マニュアルでございますけれども、滞納整理事務の重要性が高まっている中で、当該事務に対します国保担当者の理解に資するように、国保中央会が市町村の国保担当者に集まっていただいて平成十五年に作成したものでございます。

 このマニュアルにおきましては、滞納処分の手続等について法令実務に則して解説しているものでございますけれども、国民健康保険課におきましては、法制度上の視点からアドバイスを行うという形で参画をしてございます。

小池晃君

 アドバイスをした、それで、した結果できたマニュアル、今日、資料の四枚目に、ちょっと特徴的なところだけですけれども抜粋してまいりましたが、私、これ見ると、例えばこんなこと書いてあるんですね。

 電話の催告、ア、イ、ウ、エとあって、「勤務先への催告」というのがあって、「自宅への電話催告の効果がない場合、勤務先が判明しているものは勤務先への催告を行います。様々なあつれきが予想されますが、大半の滞納は、勤務先への催告で解消します。」とか、それから「財産調査」という中にはこういう表現まであります。「孫子も「敵を知り、己を知らば、百戦してなお危うからず」」、これは滞納者は敵だという言い方ですよ。

 それから、臨宅、お宅を訪問するやり方として、その下にありますが、「共同(二名)で臨宅します。 事前準備を要しない背後霊方式が主流です。」と書いてあるんです。米印で注釈がありまして、背後霊方式というのはどういうものかというと、「都道府県税事務所の職員が、「名乗らず参加せず」の状況で市町村職員の後ろに立っている。」ことだと、これがこういうふうにちゃんと克明に書かれているわけですね。私、これ読んでまるでサラ金だと。サラ金まがいの取立ての指南書ですよ。

 一方で、滞納をなくすために一番必要なのは私、保険料の軽減、減免制度をどうやって使いやすい制度にするかと。そんなこと一言も書かれていない。こういうものが出ているんですよ。

 大臣、厚生労働省のアドバイスして作ったものがこんなような内容になっているということについてどう考えられますか。私、これ社会保障制度と呼べるのだろうかというふうにこれ読んで思いましたが、大臣、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今の御指摘は、正直に申し上げまして初めてお聞きをいたしました。したがいまして、私自身でそれ読ませていただいてまた検討させていただきたいと存じます。

小池晃君

 こういうマニュアルが自治体の職員の元に渡って、こういう滞納している人を敵とみなして、それで過酷な取立てをやるということで本当にいいんだろうか。やっぱり国民健康保険というのは国民皆保険を支える最後のとりでだし、日本のやっぱり社会保障制度の本当に根幹、医療保険の中で根幹の制度です。それをどうやって支えていくのか、本当に真剣に考えるべきだというふうに思うんです。

 今まで議論してきましたように、資格証明書の発行、あるいは滞納整理、こういう制裁と、それからあるいは収納率向上した自治体には交付金を増やすという、あめとむちみたいなやり方で収納率を上げようとしていますけれども、私は国保財政悪化の根本原因にこそメス入れるべきだというふうに思うんです。

 国保新聞に、山口県柳井市の河内山市長という方のインタビューが出ておりまして、この方はこう言っているんですね。未納の本当の原因がどこにあるのか。徴収体制が不十分で収納率が低いところはいろいろ講じると着実に上がるだろうと、しかし、小規模な都市や町村などでは大体払っていただくべき方には払っていただいていると、どうしても払えないのは事情がある人で、そういうところは収納の仕組みを変えても余り変わらないだろうと、こうおっしゃっている。水道料金、電気料金など毎日使うものでさえ一〇〇%収納できない現実があり、幾ばくかは払えない事情がある人を国保制度が皆保険として支えている、このことを理解してもらいたい、こうおっしゃっております。私も本当にそのとおりだなというふうに思いました。

 高齢化の進展の中で、先ほど議論したように、国保の家庭というのは無職、所得なし世帯というのはどんどん増えている。構造的な変化が起こっている。そこに景気の悪化も加わって被保険者の所得減少が進んでいる。一方で、保険財政に占める国庫負担の割合は三五・五%ですから、これ二十年前に比べて六割に減っているわけです。保険料の負担能力がどんどんどんどん低下している一方で国庫負担が減ってしまっているのでは、やっぱり矛盾が深まるのはこれは当然のことであって、やっぱり国の負担分を都道府県負担に替えるというだけでは私はこの問題の解決にならない。

 厚生労働省に最初にちょっとお聞きしますが、やはり公費負担比率の引上げをやっぱり真剣に考えるべきときが来ているのではないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 お尋ねでございますけれども、国保制度、正に低所得の被保険者が多いということで財政基盤が脆弱であるということから、給付費等の五〇%という他の医療保険制度に比べて高い高率の公費負担を行っているところでございまして、保険料を財源とするということを基本とします保険制度という性格上、給付費等に対する公費負担割合のこれ以上の引上げということは私どもとしては適当でないと考えております。

小池晃君

 給付費の五〇%だから限界なんだと、保険制度で限界だとおっしゃいますけれども、かつては違ったわけです。かつては、八四年までは、これは給付費じゃなくて医療費に対する比率だったわけですね。八四年に、それまで医療費の四五%だった国の負担割合を給付費の五割ということに変えた、医療費に照らすと三八・五%になった、そういう改革をしたわけです。以前は医療費に対する負担だったわけです。

 当時に比べて、先ほど私、大臣に言ったように、無職、所得なし、低所得世帯がどんどん国保で増えてきている、だから国の負担を増やすのは当たり前じゃないかと私申し上げている。市町村国保の赤字保険者というのは七三%です。先ほどから議論あるように、低所得者の保険料が、下げようとするとこれ中間層にどんどんしわ寄せが行ってしまうんですね。だから中間層を下げようとすると今度低所得者にしわ寄せ行く、こういう本当にイタチごっこ、にっちもさっちもいかないような状況になってきているんです。

 大臣、私、本当にこの国保の問題を崩壊から救うためにも、今必要なのは、やはり国の負担を全体として増やしていくということ、踏み切らなければ、これは保険制度として崩壊すると。保険料の負担がどんどん増えて払えない世帯が増えていく。悪循環が強まるばかりじゃないかと思うんですが、大臣、この点についていかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 経緯はいろいろあろうかと思いますけれども、昨年の三位一体の議論をいたしましたときに、これは先ほど来申し上げておるわけでありますけれども、まず保険料と公費負担の割合、これは一対一にしよう、五〇%、五〇%にしようというまず基本的なスキーム、これは意見の一致を見たと私は考えております。いずれにいたしましても、そういう結論に達したわけでございます。

 その五〇%をどう見るかということでございますが、これは局長も答えましたとおりに、保険方式で考えるということのまず基本的な考え方もございますけれども、いずれにいたしましても、その他の、例えば政管健保が一三%公費負担をしておるといったようなことと比べましても、五〇%というのは、これはもう公費負担これ以上引き上げるのは適当でないという数字であろうと考えております。

小池晃君

 先ほど申し上げましたように、給付費の五割ということじゃなくて、医療費に対する比率でかつてやっていたわけですから、保険制度になじまないという議論は成り立たないと思いますし、やはり真剣に、国保の問題解決のためには国庫負担の引上げということを検討するべきだと、それ抜きに国庫負担を都道府県に置き換えるということでも、結局矛盾のたらい回しで何の解決にもならないというふうに思います。

 最後、質問いたしませんが、大臣に申し上げたいことがあります。

 先ほど、東京高裁で原爆症の認定裁判、東数男さんに対する控訴審判決が出まして、控訴取消しと、棄却という東京高裁でも勝訴判決が出ております。

 この判決文見ますと、東さんの肝障害が原爆の放射線に起因するものと認めるのが相当であり、本件認定申請を却下した本件処分は取り消されるべきであると、原判決相当であるから、本件控訴を棄却するという判決が下りました。

 東数男さんは、実は今年の一月二十九日に今日の判決を聞くことなく七十六歳で無念の死を遂げている。奥様から談話をいただいておりますけれども、控訴を棄却するという判決を聞いて本当にうれしい、でもこの判決は私ではなく亡き夫東数男に出されるべきだったと思う、夫にこの判決を聞かせられなかったのは本当に残念だというふうにおっしゃっています。夏に肝硬変、肝臓がんというふうになって、それでお亡くなりになったんですけれども、こういうふうに奥さんおっしゃっているんですね。私は判決を聞くことなく無念の死を遂げた夫に代わって心から訴えます。厚生労働大臣は絶対に上告はしないでください。これ以上死者にむち打つようなことはしないでください。主人は本当の最期にありがとう、ありがとうと何度も言っていました。長い間応援してくださった皆さんに心から感謝申し上げますと。

 私ね、こういう裁判で御本人亡くなられた、またこれで厚生労働大臣が上告をする。これは本当に死者にむち打つような私は非人道的なものになると。こういう方向性はほとんどこの間の裁判ではもう確定してきているわけですから、私は、いたずらに政治的な理由からその紛争を長期化させるということは絶対にするべきではないというふうに思います。

 よって、大臣に申し上げたいのは、一つは、東京高等裁判所の判決を受け入れて、上告は絶対に行うべきじゃないということを一つ申し上げたいと思います。それから同時に、やはりこの間、司法の場で裁かれてきたことは、被爆者の認定行政の在り方に対する本当に断罪が続いてきているわけですから、被爆者の認定制度について、これは行政の在り方を根本的に改めて抜本的な改革を図る、そういうことが司法の場からもはっきりと行政に示されたわけですから、その道を進むべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

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