私は、日本共産党を代表して、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、今回の労働安全衛生法改正が、過労死及び過労自殺、精神障害の発生を防止するための措置を後退させるものだからです。
今日、事業主による労働時間管理が十分にされず、成果だけが要求されるという過酷な働き方が強いられ、多くの労働者が過労死の危険にさらされており、その防止措置の抜本的強化が求められています。ところが、今回の改定は、過重労働防止通達の中の産業医への面接、助言指導の基準である月の時間外労働が八十時間を、月百時間を超え、かつ身体に異常があり、労働者本人からの申出へと後退させるものです。予防どころか拡大する道へ逆行するものであり、賛成することはできません。
第二の理由は、労働時間の短縮に関する臨時措置法を廃止し、労働時間等の設定の改善に関する法律に変えることです。
今回の改正は、いまだ一般労働者の総実労働時間が二千時間を超えているのに、年間総実労働時間千八百時間という短縮目標を放棄し、閣議決定も廃止し、位置付けも厚生労働大臣の指針にしてしまうものです。千八百時間への時間短縮は政府の国際公約であり、それに反して長時間労働を容認してきた政府の責任こそ問われる問題です。
第三の理由は、労働保険徴収法の改正で建設業などの有期事業の保険料メリット幅を拡大することです。元々、保険料増加を避けようと労災隠しが起こっていますが、これでは現状の問題点を拡大、助長するだけです。
最後に、今回、共通点は労働という言葉が名前に付いていることだけという四本の法律が一つの法律案に一括して提出されています。この形式が許されるなら、国会の立法主義はますます形骸化してしまいます。このことも容認することはできません。
以上の理由から、本法律案には重ねて反対することを申し上げ、討論を終わります。