本文へジャンプ
日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

大阪地方公聴会

  • 障害者が自立できない「支援」法案/公聴会で批判相次ぐ/大阪 自民推薦の公述人も(関連記事

2005年10月7日(金)


参考人

大阪府医師会理事 中尾正俊
障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議事務局長 古田朋也
社会福祉法人プロップ・ステーション理事長 竹中ナミ
大阪知的障害者育成会吹田支部事務局長 播本裕子
大阪精神障害者連絡会事務局長 塚本正治
小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 本当に今日はお話をお聞きして、立場の違い超えて法案の問題点が浮き彫りになるようなお話をお伺いできたかなというふうに思っております。本当にありがとうございます。

 時間の関係でちょっとお聞きするのは限られるかもしれませんが、質問させていただきます。

 播本公述人にお伺いしたいと思うんですが、法案審議に先立って私は予算委員会でこの問題を取り上げて、テレビでも中継されました。小泉首相は、播本公述人は自立できない法案なんだとおっしゃいましたが、小泉首相は自立するための対策なんだと言っています。そして、その後の法案審議でも、小泉首相も尾辻大臣も、無理のない範囲で負担をお願いしている、決して無理な負担ではない、きめ細かな配慮をしているんだ、こんなことを繰り返しているんですが、現状で示されている中身が果たして無理のない負担だというふうにお考えかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

公述人(播本裕子君)

 私は、実は小泉首相の答弁をお聞きして非常に悲しかったです。

 それはどういうことか。私だけじゃなくて私の周りの母親たちは大体そう言っています。それはどういうことかというと、先ほどから私は私の息子についての自立はどういうものかということを申し上げましたけれども、やる気のある人とおっしゃいましたか、頑張る人と言いましたか、そういう人には障害を持っていても支援しますよという言い方されたと思うんですね。これは、特に知的の障害を持つ人たちにとってはやる気を出すことまでの支援が必要なんです。そういう支援なくして重度の知的障害はやる気は起きないんですね。やる気も介護が必要なんです。そういう意味では、私の息子はこれは排除されるなと思いまして、とても悲しい思いをしました。

 それから、尾辻厚生大臣はきめ細かな配慮のあるとおっしゃいますけれども、何かきめ細か過ぎて御自身がもう理解できていなかった部分があったりとか、そんな自分が理解できないものを国民に、しかも困難を持った国民に押し付けるものではないと思います。特に、いろいろの配慮をしているということをおっしゃっていましたけれども、それはもう、例えば減免制度であっても市町村民税非課税以下ということですから、市町村民税非課税じゃなくても大変な、もうぎりぎりの人って一杯、もう特に障害者センターの調査では非常に所得低いですからね、これは全然当てはまらないと思います。

 非常に、少なくても二万五千円は残してあげますよということでしたけれども、二万五千円残してもらっても私の息子ではもう全く足りません。で、この二万五千円すら二〇〇九年度になったら二万一千円になりそうということであれば、私はこれはきめ細やかな配慮ではないと思っております。

小池晃君

 ありがとうございました。

 今ちょっとお話もありました障害者センターの調査というのも、今日、資料を配付していただいております。御自身の経験からも、本当に特に経済的な問題でそういう生活でなければ分からないような様々な困難があろうかと思うんですが、調査結果と併せてちょっと御説明願いたいんですが。

公述人(播本裕子君)

 例えば、私は子供を見ているときに、施設に入れていない子供もそうですけれども、特に車を使う仕事をしているわけではありませんでした。ですけれども、一か月のガソリン代が二万円から三万円。これは、ずうっと家にいることができないんです。それと同時に、また例えば車で出掛けていっても、やっぱり電車にも乗りたいってなるんですね。そうすると、駐禁除外車になっていますけれども、でも長時間になるかも分からない、そうしたら駐禁除外車には当たらないんですね。そうすると、駐車料金が要る、例えば駐車料金が一回入れて三千円ぐらいとか。

 それから、もう通院なんかでいったら、確かに医療費はただです。医療費はただなんですけれども、非常にいろんなこだわりがありまして、初めて行ったときにここはタクシーに乗ったということであれば、もうずうっとそこはタクシーに乗らなければいけない、道すがら自分の好きなロゴの入ったお店があればそこで買物をしなければいけないとか、そういう非常に普通では考えられない費用が掛かります。

 特に私の息子の場合は、入院も何回かしましたけれども、入院のときには必ず個室料が要ります。みんなと一緒では駄目なんです。で、二十四時間付いていなければいけない、この費用も掛かります。それから、例えば水に非常にこだわりを持っているような時期が非常に長かったんですけれども、このときは水道料金が三万円、このぐらいが当たり前でした。時には六万円というときもありまして、マンションの管理人さんが心配して来られたこともあります。それから、衣服とか靴とか、そういうことでも普通の人より早く破れるんですね。なくしますし、そういう非常に普通では考えられない費用が掛かります。

 そして、あそこの調査の中で明らかになったことなんですけれども、ほとんど十万円未満です。四分の三以上が十万円未満の収入で、特に五万円未満の就労で得た収入というのは五二・二%もあります。特に、生計中心者の二割にも当たる人が二百万円以下ですから、非常に大変な生活を送っていると思います。

 それから、ほとんどの障害者が、介護者って、主たる介護者というのは母親で、家族が七八・八%というふうに出ていますし、このことは、この調査は特に知的障害を中心として調査していますけれども、知的障害者というのはヘルパーとか使っても、例えばうちの息子でいいますと、いつ困った動作をするか分からないんですね。何時から何時まで、じゃ入浴の時間だけヘルパーに来てもらいましょうということになっても、いきなり夜中にパニックを起こしたりとか、そういうことがありますから、基本的な介護は常に母親ということになるという、そういうことが明らかになりました。

 もう時間がありませんので、このぐらいで。

小池晃君

 この大阪障害者センターの調査、四千三百五十二世帯という非常に大規模なもので、厚労省がこういう調査まともにやっていませんから非常に大事な資料ではないかというふうに拝見して思ったんですが、障害者団体の中には、ある程度の負担はやむを得ないんだというような声も若干お聞きをしております。そういう中で、所属しておられる団体の皆さんの御意見は一体どうなのか。

 そして、あわせて、大阪ではこの間、いろんな団体の違いを超えて集会を開かれたり取組を進めてこられましたけれども、古田公述人も含めて、ちょっとその、どんな声が現場からは怒りの声が上がっているか、播本公述人と古田公述人にちょっとお伺いしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

公述人(播本裕子君)

 私は全日本育成会の支部に所属しておりますが、残念ながら全日本育成会の方はかなり賛成の方向で動いていらっしゃるように、おるように思います。

 ですけれども、私ども吹田支部では、会長以下全員と言っていいほど反対です。非常に大変なことだと思っています。同じ北摂地域でいいますと、高槻支部などは全日本育成会に対して抗議の行動も起こしております。ですから、これは本当に障害者の身近なところで生活をきちんと見ている人にとっては賛成できる中身ではないと思っております。

 やはり私は、今年初めて、例えば古田さんとか塚本さんとか、こういう皆さんといろんなところでお会いすることが多くなりました。これは、今までは立場が違う障害者団体で一緒に行動したことはございませんけれども、四月十四日には三千八百人、それから七月三十日は、会場が狭いからもうみんな来ないでくれ、来ないでくれと言ったのに二千百人もの人が集まるような集会が実施されました。この集会を実施したことで、その後もいろんな連携を取りながら障害者団体が行動しておりますので、これはむしろ大きなきっかけになったのではないかなと思っております。

 以上です。

公述人(古田朋也君)

 今、播本さんから言っていただいたように、大阪はいろんな障害者の横のつながりを持ってやっています。身体、知的、精神、それから難病、それからほかのいろんな障害の方、盲聾者とか、いろんなつながりを持ってやっておりまして、また事業者の立場とかも含めて、大阪府下十三団体でこの間三千八百名とかの集会を二回ほど行ってきたわけです。

 その中でみんなから言われていることは、一つはまず応益負担の問題ですね。これはとても負担できないだろうと。なぜ年金だけで暮らしているのに二万四千六百円とかも取られなあかんねん、それやったら生活保護へ行った方がいいじゃないかというふうな話をやっぱり聞くわけですね。それともう一つが、サービスの利用抑制です。これは今日も出しておりますが、介護やグループホームや作業所というふうな地域生活に欠かせない最低の基盤なんですけどね、最小の基盤なんですが、それらについても利用抑制が掛かってしまうというのは正に死活問題なんだというように中では話しております。

 私ども、大阪ではみんな苦労しておりまして、最初の作業所の補助金いうたら、百万、二百万だったんです。年額ですよ、年額それでやっていました。そやから、みんな給料ってほとんどもらえずに、正に地をはうような形で、何とか行く行くは良くなるやろうということで、十年、二十年、三十年とやってきたわけです。それで、ようやく社会保険にも入れるようになってきたかなというのがこの支援費で到達した段階なんです。それが維持できるんかと思ったら、正に利用抑制でもってまた突き落とされるというような事態になってしまう。今、保険に入っているのに、またやめなければならないのかみたいな議論にもなってくるわけですね。通所者から職員がお金を取らなあかんのんか、そんなもんできるわけないやないか、そういう声も出ております。

 その辺のやっぱり実態を踏まえた議論を、僕はもう介護保険の活用とかの議論が、二、三年先であるならば、二、三年掛けて実態を基にした議論をしていただきたいというふうに切に願っております。

 以上です。

小池晃君

 障害程度区分判定の問題について古田公述人と塚本公述人からお話がありまして、これ、政府は必要なサービスは続けるんだと言っている以上、もしこれで今までサービス受けていた必要な人が除外されるとすると、これ法案の根幹にかかわる重大問題ではないかというふうに思っているんですが。

 それぞれの公述人の方にお聞きしたいんですが、何がこの問題なのか。この身体機能プラス問題行動という考え方自体では、もはやこれやれないと。根本的にやっぱり見直すべき性格なのか。その辺についてどうお考えか、お聞かせを願えればと思います。

団長(岸宏一君)

 皆さんからですか。

小池晃君

 いや、では塚本公述人。

公述人(塚本正治君)

 障害程度区分判定の問題なんですけれども、いずれにしても、これがサービス導入の入口になるわけですから、ここで共通のスタートが図れないと三障害統合というのはうそになってしまうわけです。だから、我々はこだわっておるんですけれども。

 実際、できる、できないという判定ですね。例えば、体を洗うということについて、できるのか、一部介助が必要なのか、できない、全介助が必要なのかとかいうような判定項目では、我々精神障害者の生活障害はやっぱり拾い切れないだろうな。それは状態のいいときには体を洗えます。けども、状態の悪いときにはおふろに入るのもできません。

 で、そういう、我々当事者の仲間が実際にその基本調査で、あなたおふろ入れますと聞かれたら、ほとんどの方が、この前シミュレーションしたんですけれども、入れますと答えるんですよ。ということは、この人はできるというふうになっていくわけですね。

 やっぱり今の根本的な考え方自身を、やっぱりできない頻度がどれだけあるのかというところで見る、その上でどういう支援が必要なのかというところでもう一回作り直していくというふうにしないと、はっきり言って、これは精神障害者に対する、これまでも精神障害者制度は他の障害者の制度と比べても後れていると言われてきましたけれども、だしにされた制度だなというふうに思う次第です。

 以上です。

小池晃君

 じゃ、一言お願いします。

公述人(古田朋也君)

 行動援護のときにも問題になったんですが、何か判定基準表が、物を盗むことがありますか、人に抱き付くことがありますかという大変失礼な、当事者を何か犯罪者扱いするような項目が並んでいて、共産党の方からも指摘いただいたんですけれども、その表現がちょっと緩んで、問題行動みたいな形で、物を持って帰りはることがありますかみたいな項目になっているんですけれども、基本的なところはやっぱり何か問題行動を起こす人、知的、精神はみたいな、そういうふうにとらえられていくこと自身がやっぱり当事者にとっては非常につらいことなんです。

 その辺をやっぱり、当事者がどんな支援、どんな環境を望んでおられるのかというところを明らかにするような判定項目を是非作っていただかないといけないし、また、これ非該当三割出ています。今、サービス使っている人も非該当で出たりもするんです。それぐらい、今の一次判定項目は実態、ニーズに合っていない。

 このまま突入してしまえば、現場では大混乱起こります。全部やり直しですよ。これ何万件、とても審査会で処理できるような数ではないということを十分踏まえていただいて、やはり時間を掛けて議論いただきたいというふうに思います。

小池晃君

 ありがとうございました。

ページトップへ
リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。 © 2001-2010 Japanese Communist Party, Akira Koike, all rights reserved.