以前に承知していたとすれば、こういうILOやWHOが、それまではがん原性物質という可能性を指摘していたのが断定しているという動きの中で、ヨーロッパはこれを受けて八〇年代に次々と、アイスランド、ノルウェー、スイス、デンマーク、スウェーデン、禁止措置をとっていったわけです。ところが、厚生労働省はこの時期に、八〇年代、石綿対策の経緯を見ても、ほとんど対策取ってないわけですね。私、国際的にこの発がん性が断定されていった時期に、厚生労働省がそれにふさわしい対応を取らなかったということが決定的に今の問題点引き起こしているんだということを申し上げたいと。
それから、加えて、当時、業界団体にどういう対応をしていたのかということも聞きたいんですが、これ、私、今日ここに石綿スレート協会というところが出しているパンフレットを持ってまいりましたけれども、この中に一体何と書いてあるかといいますと、「くらしに役立つ石綿スレート アスベストQ & A」というのがありまして、その中で、パンフレットに、現在使用されている石綿スレートが破損しても、また古くなっても危険はないでしょうかという質問が載っているんですね。その質問に対して、危険ありません、破損しても古くなっても石綿繊維が飛散することはありませんと。このパンフレット、ほかにもいろいろとちょっと御紹介したいような物すごいこと書いてあるんですが、破損しても危なくない、これ、石綿スレート協会が一九八七年に出しているんですね。
破損すれば危ないというのは、これ常識だと思うんですよ。ところが、業界団体はこういう宣伝していた。こういう、当時八〇年代、厚生労働省としては業界団体に何らかの指導をされましたか。