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162通常国会 参議院厚生労働委員会

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2005年7月28日(金)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 障害者の皆さんの中から大きな反対の声が上がっている法案です。今日も大変たくさん傍聴の方がお見えです。

 五月に続いて七月の緊急大行動では一万一千人の方が参加をして、このままの障害者自立支援法案では自立できないという訴えをされています。本法案は、障害者福祉制度発足以来の大原則であった所得に応じた応能負担から応益負担に転換して、ホームヘルプ利用者で平均四倍、通所施設で平均十九倍もの大幅な負担増を求めるものでありまして、見直しを求める切実な声が全国から寄せられています。

 大臣に最初にお伺いしたいんですが、五年前、二〇〇〇年度、支援費制度に移行する際に、法案審議で当時の丹羽厚生大臣がこう言っているんですね。だれもが安心してサービスが利用できるように、従来と同様所得水準に応じた負担、いわゆる応能負担を継続すると。この答弁に照らせば、今回、応能負担から応益負担に転換する、このことによってだれもが安心してサービス利用できなくなる、そういう事態が当然生まれるのではないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 この支援費制度の利用者負担については、これまでも様々な御議論もございましたし、御意見もございました。

 例えて言いますと、平成十年六月の中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会では何と言っておられるかといいますと、サービスの利用者に対しても介護保険制度における負担の考え方との整合性や低所得者に十分配慮した費用負担を求めるといった考え方が示されておりまして、本人の所得等に応じた利用者負担と、同一のサービスには原則として同一の負担とする定率の利用者負担の二つの仕組みが検討もされておるところでございます。今申し上げましたのは、過去いろんな御意見があったということでございます。

 そうした中で、この、今お話しになりましたけれども、平成十二年の支援費制度導入時においては、措置制度から契約制度である支援費制度への円滑な移行を図る観点などから、措置制度と同様の応能負担の仕組みにしたところでございます。そういう経過があって今日の支援費制度が導入されたということは今お話しのとおりでもございます。

 今私どもがお願いをいたしておりますのは、その支援費制度が、これはもう再三再四申し上げておるわけでありますけれども、どうしても財源として苦しい状況にある、こういうことで、是非そうしたことを解決するための一つの観点ということで今回の法律の改正をお願いしているわけでありますけれども、それによって制度が安定する、安定した制度の中で利用していただけるということも極めて次の大きな安心につながることだと私は考えております。

小池晃君

 いや、答えていないんですがね。

 五年前は応益負担にすればだれもが安心してサービスを受けられなくなると言っていたのに、一体何が変わったのかと。五年前は激変緩和とか円滑な移行なんて、議事録調べましたけれども、一言も言っていませんよ。応益負担にしたら安心できなくなる、サービス受けられなくなる、だから応能負担でいくんだと五年前説明しているんです。

 しかも、先ほどから、その支援費の予算が増大して、これ予想以上だと言うけれども、実態見れば、ホームヘルプサービスの実施市町村、身体で八割、知的で六割、精神で五割なんですよ。二割から五割の自治体はまだサービスやっていない、そういう段階なんです。だから、予算不足予算不足と言うけれども、これはあくまで予想が不十分だったんですよ。実態の、その障害者のニーズにこたえる予算を組まなかった、私は、これは政府の責任なんですよ。そのことを口実にしてこれを障害者に押し付けるなんというのはとんでもない議論だと思うんですよ。

 大臣、答えてくださいよ。五年前は、丹羽厚生大臣が、あれはたしか今井議員でしたよ、今井澄議員が聞いたときに、応益負担にしないんだと。というのは、安心してサービス受けられなくなると。それから五年間で何が変わったというんですか。所得保障は後退しているじゃないですか。何で応益負担を導入できるんですかと聞いているんです。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今お話しになりましたけれども、明らかに今後ともまだこの費用というのは増えてまいります。まだ利用しておられない方がおられる、十割には達していないということを今お述べになったとおりでありますから、十割になるということを想定しますと、またその分が増えていくというようなことが当然のこととして予想されるわけであります。

 ますます増大していくそういう費用をどうやって賄うのか、これが今日一番大きな課題になっておるわけでありますから、私どもとしては、その増大する費用を確保するために、きっちりと予算として組んでいけるように、これはもう義務的経費にするしかないと、こう考えておるわけでございまして、今回のことをお願いしておるわけでございます。

小池晃君

 結局、だから、障害者が自立できるか生きていけるかということから始まった議論じゃなくて、正に、おっしゃるように、財政のことしかない議論なんですよ、これは。

 本会議で小泉首相は義務的経費にするから安定するんだと盛んに言っている。今日もそういう議論がありました。本当に義務的経費になれば安定するのか。第一に、私、部長にお聞きしますが、移動支援、手話通訳などのコミュニケーション支援、日常生活用具、地域活動支援センター、こういう大事な仕事は義務的経費の対象じゃないですよね。ということは、支援費と同様に予算不足となるおそれあるんじゃないですか。

政府参考人(塩田幸雄君)

 障害者の地域生活を支援する上で市町村の役割が国以上に私は大きいと思います。そういう市町村の、どういう財政支援ができるかというところで、現在は在宅サービス全体が裁量的経費ということで、補助金ということで財政上の非常に厳しい制約があるということでございます。そういう中で、根幹となる介護的給付と訓練的給付を義務費として、国は、県も含めてしっかりと財政負担をするということをまずやるわけでございます。

 その上で、地域に応じて柔軟に対応できるサービスについては地域生活支援事業として、それも、事業実施は義務だけれども、財政支援は補助金という仕組みにしたということであります。全体の改正を通じて市町村に対する財政支援は強化されていると思います。

小池晃君

 そんなことないですよ。今言ったのは、私、非常に大事な事業ばかりなんですよ。これ、裁量的経費にすれば、柔軟に柔軟にとおっしゃるけれども、柔軟に削ることが十分に可能なんですよ、これ。支援費と同様に、やっぱりこれ必要なサービス受けられなくなると。これでは不安の声上がるのは、私、当然だというふうに思いますし。

 じゃ、その義務的経費にした部分は本当に大丈夫なのか。義務的経費に転換して財政を安定させるんだと、全国どこでも必要な量を平等に利用できるようにするんだというふうにおっしゃいます。全国どこでも必要なサービスを受けられるようにすることは当然保障すべきことですが、一方で平等平等と言いながら、長時間介護を必要とする人がいる、あるいは現在平均水準超えている自治体がある、こういうところは、結局、平等にということで低い水準になれば、必要なサービス量に見合った補助額が交付をされなくなる。予算不足で結局今まで受けていたサービス受けられなくなる。支援費のときの予算不足とどこが違うんですか。全く同じ事態が起こることになるじゃないですか。ここはいかがですか。

政府参考人(塩田幸雄君)

 現行の支援費制度を継続した場合と新しい法案による制度に移行した場合、どちらが市町村が障害者に対して必要なサービスを恒久的に提供できるかを比較すべきだと思います。

 現行の支援費制度は、補助金で、予算の範囲内で国は補助することができるとしか書いていない制度でございます。私たちは、そういう制度を改めて、介護については自治体に対して国と県がしっかりとした負担をするという制度に改めるということでございますので、新しい制度の方が障害者の立場からもって必要なサービスを受けられる、持続可能性という点でははるかに優れた制度だと思います。

小池晃君

 それは障害者の皆さんの実態に合った議論じゃないんですよ。役所の理屈ですよ。裁量的経費であろうが義務的経費であろうが、これ、低い水準であればこれはサービス受けられないんですよ。同じことになるじゃないですか。

 結局、肝心の水準示されていないんですよ、補助基準も報酬も。義務的経費にしますと言いながら、どの水準で出すか全く説明されなければ、義務的経費になるから安心だと言われたって安心できるわけないじゃないですか。少なくとも、補助基準あるいは報酬について、検討している水準を示さなければ私は議論成り立たないと思いますが、これいまだに示されていないんですよ。これ、どうなんですか。これ示すべきじゃないですか。

政府参考人(塩田幸雄君)

 現行の支援費制度は、あくまで制度の、法制度は補助金でありまして、予算の範囲内で国と都道府県は補助することができるという制度でございます。現行の制度の国と地方公共団体の助成の在り方でいいのかどうか、それよりも、負担金として、国と県、市町村の関係を負担金としてやった方がいいのかどうかという大局に立った議論が必要だと思います。

 そういう中で、実際のサービスを決めるのはあくまで市町村でありまして、市町村が必要なサービスを提供するために国の関与はいかにあるべきかという観点からいたしますと、私は負担金にして国と地方公共団体のルールをきちんとする方がはるかに優れていると思います。

小池晃君

 質問に全く答えていないんですよ。そういう仕組みについては分かっているんですよ。

 しかし、義務的経費になるから安心だと言うけれども、補助基準についても報酬についても示されていないわけでしょう。その水準が低ければ、幾ら義務的経費になったって必要なサービス提供されないじゃないかと、私はそのことを言っているんです。そのことを示さなければ、議論をしろと言ったってできないじゃないですか。大臣、どうですか。こういうことを示す示すと言いながらいまだに、どういう補助基準でやるのか、報酬でやるのか、いまだに示されていないんですよ。これでどうやって議論しろというんですか。

政府参考人(塩田幸雄君)

 今朝ほどからの議論でも申し上げておりますように、現在の支援費では三つの大まかな基準に基づいて国と地方公共団体で補助金のやり取りをしているということでございます。新しい制度では、障害の程度区分を更にきめ細かく設定をして、標準的な額を決めて、そのルールの下で国と自治体との、それについては実態調査をして年末の予算編成までに決めるということで申し上げているところでございます。

小池晃君

 それを年末に出すというんで何で議論ができるんだと私は言っているんですよ。その水準が、示さなければ議論のしようがないじゃないですか。

 だから、結局、いまだに補助基準も示されない、義務的経費にするから大丈夫だ、こう言うけれども、義務的経費であろうが裁量的経費であろうが、どういう水準で出されるのかが示されなければ、これは必要なサービス提供できないんですよ。長時間介護受けている人は生きていけないんですよ。自治体によっては大幅なサービス切下げが起こるんですよ。

 私は、安定する安定すると言うけれども、結局安定するのは国の支出だけで、障害者の皆さんの生活は今のような説明では到底安定できない、安心してこれを認めることなんて当然できないと思います。

 私は、最低限の議論をする土台が示されていない、これでは議論が本当にできないということを、この点についても申し上げたいと思います。

 それから、衆議院の確認答弁で、大臣は、激変緩和の観点から低所得者に更にきめ細かく配慮すると、こう言っている。しかし、一割負担の原則は変わっていないわけです。

障害者が扶養親族から外れる場合の親の増税額
父・サラリーマン、母・専業主婦、子は特別障害者(同居)の3人家族のケースで試算
単位:円
   現行 子どもが扶養から外れた場合
年収 所得税額 住民税額 合計 所得税額 住民税額 合計 負担増額
300万円 0 4,200 4,200 68,800 40,800 109,600 105,400
400万円 29,600 31,400 61,000 120,000 68,000 188,000 127,000
500万円 85,600 61,200 146,800 176,000 110,500 286,500 139,700
600万円 141,600 96,900 238,500 232,000 170,000 402,000 163,500
700万円 200,800 159,800 360,600 318,400 234,000 552,400 191,800
800万円 265,600 228,000 493,600 446,400 314,000 760,400 266,800
900万円 393,600 308,000 701,600 574,400 394,000 968,400 266,800
1000万円 531,200 394,000 925,200 712,000 480,000 1,192,000 266,800
2005年7月28日参議院厚生労働委員会 日本共産党 小池 晃
国税庁・総務省資料にもとづき作成

 資料をお配りしておりますが、これは厚労省が示しているいろんな例の中で、私は今日は通所施設に通いながらホームヘルプ利用する知的障害者の例を取り上げます。

 二十二日通所で十四万九千円、ホームヘルプ月三万円の利用の場合です。これ、今ほとんどの方は無料なんです。実効負担率一%といいますけれども、ほとんどの人、無料です。ところが、今度の制度によって生活保護世帯の負担は食費五千円になる。低所得一の場合は、食費と定率負担合わせて二万円になる。低所得二で二万三千円、一般世帯で三万二千三百円。繰り返しますが、現在の支援費制度では本人が非課税であれば利用料負担はありません。

 今回、負担軽減を図るために、先ほどからありますが、社会福祉法人による減免制度を設けるというふうに言いますが、例えばこのモデル試算の場合は、これやればどれだけの減額になるのか。どれだけの障害者が対象になるんですか。

政府参考人(塩田幸雄君)

 衆議院におけます議論を経まして、御指摘のありましたように、在宅から、いろんなサービスを在宅で受けている場合の負担増が大き過ぎるので激変緩和が必要だという議論がございました。そういった観点、今朝ほども御質問に大臣からお答えしたと思いますけれども、通所サービス、二十歳未満の児童入所施設、それから長時間サービスを利用する必要がある重度障害者のホームヘルプサービスにつきましては、激変緩和の観点から、低所得者のうち、特に支援が必要となるような方を対象にいたしまして、経過措置として、社会福祉法人による減免と、それに対する公費助成の仕組みを設けたところでございます。

 今渡されたあれですけれども、一般的なケースで言えば、上限額が一万五千円である低所得者の一のグループにつきましては、七千五百円を超える部分について減免をするということで検討をしております。それから、負担上限が二万四千六百円である低所得者二のグループの方につきましては、一万二千三百円を超える部分について減免をすることにしておりますけれども、通所施設を利用する場合には、食費負担も今回負担しますので、七千五百円の減免をするということで検討しているところでございます。詳細な仕組みについて、同一法人をした場合の名寄せとかいろんな問題もありますので、細かい仕組みについて今現在詰めているところでございます。

 まずこのケース、下のケースでありますけれども、まず通所利用料につきましては、社会福祉法人の減免制度でありますので、低所得者一の場合で申し上げますけれども、七千五百円の御負担になります。それから、ホームヘルプサービスの利用料でありますけれども、三万円ということであります、定率負担一割で三千円の御負担になります。それから、通所施設におけます食費分ですけれども、人件費相当分が給付されるということで、原材料分ということで五千円ということでございます。

 それから、低所得者二のケースでありますと、通所施設利用料については、減免がない場合は二万四千六百円でありますけれども、減免制度、七千五百円までの減免をするということを検討しておりますので七千五百円ということになります。それから、ホームヘルプサービスの利用料については三万円ということでありますので、一割負担とすれば三千円という御負担になります。それから、通所施設の食費分について、原材料分の約五千円という御負担になるところでございます。

小池晃君

 いずれにしても、今のを足し上げれば、今ほとんど費用負担なしの方が社会福祉法人の減免を利用しても一万円以上の負担増になるわけですよ。さらに、預貯金があったり親が課税者であれば一般になりますから、これは社福減免の対象外になってくる。年金収入の半分近く、三万円を超える負担が押し付けられてくる。私、こんな社福法人の減免やったって、これが何できめの細かい減免なのかと、全く負担軽減になっていないというふうに思うんです。

 それから、今回、負担の上限が世帯の所得によって決定されて家族に負担が及ぶ仕組みが問題になっております。これについて大臣は、税制と医療保険で障害者を扶養しない場合は障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できるというふうに言っているんですが、実態はどうだろうか。

 今のモデルケースで、障害者本人は二級年金を受給していてサラリーマンの父の扶養家族となっていると、こういう場合で言いますと、これまで費用負担ゼロです。ところが、新たな負担は月三万二千三百円になる。もし扶養家族から外れるという選択をした場合でも、利用料、食費負担は月二万円です。社福減免利用しても一万五千五百円で、今より負担は増えます。さらに問題なのは、扶養家族を外れた場合には父親の所得税や住民税の控除が減って増税になるわけです。それから、障害者本人の国民健康保険の保険料も新たに負担しなければなりません。

 国税庁に聞きますが、サラリーマンの父親と専業主婦の母、障害二級年金を受給している特別障害者の子供の三人家族の場合ということで、所得階層三百万、六百万、八百万といったところで、現行の所得税額と子供が扶養家族から外れた場合の税負担を示していただきたいと思います。

政府参考人(竹田正樹君)

 お答え申し上げます。

 お尋ねのそれぞれのケースにつきまして、社会保険料の額につきまして、給与の収入金額の一〇%といたしまして所得税額を計算いたしますと、まず年収が三百万円の場合の所得税額はゼロ円でございます。子供さんが扶養親族でない場合には、これが六万八千八百円となります。年収が六百万円の場合の所得税額は十四万一千六百円、子供が扶養親族から外れますとこの所得税額は二十三万二千円となります。さらに、年収が八百万円の場合の所得税額は二十六万五千六百円、子供が扶養親族でなくなりますと四十四万六千四百円となります。

小池晃君

 ありがとうございました。

 これは総務省にもお尋ねして、住民税についても試算していただいてまとめた表がお配りした二枚目の表です。これ、結局、障害者が扶養親族から外れた場合には、収入三百万円の世帯で所得税、住民税合わせて年間十万五千四百円の増税になります。六百万円の世帯では十六万三千五百円の増税になります。それから、八百万円の世帯では二十六万六千八百円の増税になるんですね。これに加えて国保料が、もし収入がなくても年間二万円から三万円の負担が掛かってくることになる。結局、本人の所得で算定したとしても利用料、食費負担は今より増えるわけです、二万円ぐらい増える。それに加えて家族が大増税、本人は国保料の負担が加わってくる。

 大臣、私、これ選択できる制度にしたんだとおっしゃいますけれども、結局、世帯の所得を選択しても本人の所得選択しても、どちらを選べと言われたって、これじゃ選択のしようがないじゃないですか。これがどうして選択できる制度だというふうにおっしゃるんですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 細かくは申し上げませんけれども、今ここで計算しておられるようにいろんなケースが生じてくると存じます。扶養している方についての税の負担増、負担額が増えたり、障害者及びその配偶者が国民保険に加入することにより負担は増えるものと、そういうケースも出てくる。いろんなケースが出てくるというふうには承知をいたしております。

 ですから、正に選択をしていただく、いろいろ選んでいただいて選択をしていただくということを申し上げているところでございます。

小池晃君

 いや、だから、選択できないって、こんなんじゃ。こんな、個人になったら大増税になるような仕組みになるわけですから、これはごまかしなんですよ。

 結局、そもそも、もう一つ聞きたいのは所得保障の問題なんです。衆議院の修正で所得確保の検討規定が盛り込まれました。これから検討するというわけですが、どれだけの所得確保をこれ目指すというふうに大臣はお考えなんですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 障害者の所得保障についてでございますけれども、それぞれの地域における自立した生活を考える上で重要な問題だと認識をいたしております。そして、さきの衆議院での修正におきまして、就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方について検討規定が追加されたところでもございます。

 この障害者の所得保障について申し上げますと、現在の国の財政状況などを、もう先ほど来ずっと御議論いただいておるところでございますが、その状況を勘案いたしますと、今、年金や諸手当を大きく改善することは難しいというふうに考えますけれども、障害者等の福祉に関する施策の実施状況等を踏まえまして、就労支援を含め、今後、総合的に検討してまいりたいと存じます。

小池晃君

 だからね、これでは議論にならないんですよ。やっぱり所得が増えれば、順序逆なんですよ、全く。所得増えれば負担増やしていいと私言いません。しかし、所得確保するというのは、これ議論の前提があるべきで、その保障がないのに、大臣、率直におっしゃいました、年金や手当が増える見込みないと。そういうときに負担だけ増やすというようなことを提起したって納得できるわけないじゃないかという法案なんです。

 私は、今度の法案というのは、正に経済的基盤が確立されていない障害者の生活を後退させる、政府が決めた、地域で自立できる生活をするという施策の根本を掘り崩すことになる。さらに、今日、何点か指摘したように、衆議院の修正によっても法案の問題点というのは何ら解決していないというのが実態だというふうに思います。

 私は、障害者の皆さん、本当にかたずをのんで見守っている重大法案。本当に今国会、残された期間は限られてまいりました。この中身に私はたとえ賛成であっても、こういう中身を拙速に審議をして無理やり押し通すようなことをやったら、私は国会が本当に障害者の皆さんの願いを裏切ることになると。これ絶対にこの法案を強行するようなことあってはならないし、徹底的に審議をして問題点を明らかにして、本当に障害者の皆さんの暮らしにとって役立つ、そういう法律を作るのが私ども国会の責任だというふうに思います。その点で、与党の皆さんにも徹底的な審議を行っていくということを本当に強く求めていきたいというふうに思います。

 質問を終わります。

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