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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162 通常国会 参議院厚生労働委員会

  • 西武に賠償請求を/年金株式売却損 小池議員が政府批判/参院委(関連記事

2005年4月7日(木)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 個別労働紛争についてお伺いしますが、〇三年度の相談件数は十四万、そのうち紛争調整委員会のあっせん受理件数が五千三百五十二、労働局長の助言・指導申出受付件数が四千三百七十七と。先ほども議論ありましたけれども、両者合わせて六・九%で、相談件数に対して解決手続に入っているのが増えてきてはいますが、いまだまだ少ないと思うんですね。この評価と、どういう課題があるというふうにお考えか、最初にお聞きします。

政府参考人(青木豊君)

 個別労働関係紛争についての相談については、紛争調整委員会によるあっせんということももちろん説明を実際にはしているわけですが、申出申請に至らないというケースも多くあります。それはやはり、こういった相談に際して、既存の判例を説明することによりましてある程度納得していただけるということもありますし、それから、正に相談でありますので、相談員に話を聞いてもらったということで、そこで区切りを付ける、気持ちに区切りを付けられるということもあります。それから、その相談の過程でいろいろ示された判例などを踏まえまして、直接事業主との話合いをその相談者の方が希望するというようなケースもございます。そういうことで、そのことから多くの相談である程度目的を達しているということもあろうかと思っております。

 それから、今回の改正によりまして、社労士について紛争解決代理業務の拡充がなされるということでありますので、紛争調整委員会のあっせんの申請をする人についても代理人の選択の幅が広がって、これについても利用がしやすくなるんではないかというふうに思っております。

小池晃君

 相談だけで解決する人もそれはいるでしょうが、実態、相談内容を見ると、解雇にかかわるものが約三〇%と最も多くて、次が労働条件の引下げで一五・八%。雇用情勢の今の悪化の下でこういうトラブル多いわけですから、今お話あったように、やはり解決のための窓口を広げるということが非常に大事だということだと思うんです。

 関連してちょっとお聞きしたいんですが、紛争調整委員会の委員、これ高度の専門性が求められると思うんですが、社労士、弁護士や大学教授、行政経験者、人事労務実務経験者などだそうですが、これは事例、判例の研修なんというのはどんな制度になっているのか、相談件数に対応できる実態なのか、お答えいただきたいと思います。

政府参考人(福井和夫君)

 お答え申し上げます。

 都道府県労働局に置かれております紛争調整委員会の委員の研修についてのお尋ねでございます。

 紛争調整委員会の委員につきましては、弁護士、大学教授等の労働問題の専門家にお願いをしているところでございますが、法施行後間もない時期におきましては実際の解決事例が蓄積をされていなかったこともございまして、あっせんの適確かつ効率的な実施を図るために、全国の委員に御参加をいただきましてこの全国ベースの会議を開催すると、事例発表あるいは個別のケースについての意見交換などを行ったところでございます。

 その後につきましては、各々、各都道府県のこの委員会の中におきまして解決事例の蓄積が進んできたことなどから、都道府県レベルでのその実情に応じまして、例えばでございますけれども、委員就任時における制度の説明、あるいは個別のこのあっせん事例等につきまして、情報提供、意見交換会の開催等を適宜行うところにより対応してきているところでございます。

 今後とも、ただいま申し上げましたような取組が適切に実施されますよう、必要な情報提供など、私どもといたしましてもバックアップに努めまして、紛争調整委員会が一層有効に機能するようにしてまいりたいという具合に考えております。

小池晃君

 委員の中には労働法に余り詳しくない人も含まれていると聞いておりますので、やはりその個別労働紛争の解決のために国が責任持って研修や体制の強化というのは今後も必要だというふうに考えます。求めたいと思います。

 社労士の役割について大臣にここでちょっとお聞きをしたいんですが、今、裁判所の民事調停委員の中でも、あるいは全国の都道府県労働局に設置された紛争調整委員会の中でも社労士の皆さんの活躍がある。労働相談、年金相談増えていますが、こうした分野で社労士が総合労働相談所とか社労士一一〇番をつくるとか、あるいはその相談会を開くとか、未加入の事業所を回っていろんな申告の手伝いをするとか相談に乗る。

 お聞きすると、例えば離職に関するトラブルなんかが非常に多くて、社労士が離職票を作るんですけれども、自己都合と書くか会社都合と書くかでトラブルになる。そういうときにお互いの話をよく聞いて、納得した形で書く努力をしているんだとか、そういう方の話を私いろいろお聞きしまして、そういういろんなレベルのトラブルがあると思うんですが、ささいなものも含めて、コミュニケーションを取るような働き掛けも含めて、非常に大きな役割があるのではないか。

 大臣に、その社会保険労務士が今こうした役割を果たしていることについてどう評価されているか、お聞きしたいというふうに思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 いろいろ具体的にもお話しいただきましたけれども、企業経営をめぐる環境変化がいたしておりますそうした中で、就業形態の多様化でありますとか、あるいはまた人事労務管理の個別化が進展をいたしております。こうした中で、お話しいただきましたように社会保険労務士はこれまで培ってこられた労務管理分野における専門性を生かしていただいて、事業主及び労働者に対してきめ細かなサービスを行うことができます。したがって、その役割は極めて高まっていると私どもも考えておるところでございます。

 そして、今般の改正によりまして、社会保険労務士の紛争解決手続代理業務を拡大して個別労働関係紛争の解決を促進するということになりましたので、社会保険労務士の皆さんの活躍の場というのは更に拡大されると考えております。そこで、私どももそうした皆さんの一層の活用に努めてまいりたいと考えておるところであります。

小池晃君

 次に、労働争議不介入規定にかかわってお聞きしますが、二十三条規定で言う介入とはどういうケースなのか説明してください。

政府参考人(青木豊君)

 二十三条のケースというのはどういうケースかということでありますが、これは、どういう場合がその労働争議への介入に当たるかというのは具体的事情に即して個別的に判断せざるを得ないわけでありますけれども、例えば、一つには当事者の一方の行う争議行為の対策の検討、決定等に参与をすると。あるいは当事者の一方を代表して相手方との折衝に当たると。あるいは当事者の間に立って、交渉の妥結のためにあっせん等の関与をするというようなことが考えられます。

小池晃君

 まあ三つの類型というかケースがあると。この中で、今回の改正で社労士がかかわることができるのはどのケースで、かかわれないのはどのケースか、理由も含めてお話しいただきたい。

政府参考人(青木豊君)

 今回の改正で労働争議不介入規定を削除することによりまして、これまでかかわることができなかった三つの今申し上げたケースのうち、最初の当事者の一方の行う争議行為の対策の検討、決定等に参与することはできることとなります。これは一つのパターンということです。

 あとの二つのパターン、当事者の一方を代表して相手方との折衝に当たること、あるいは当事者の間に立って交渉の妥結のためにあっせん等の関与をなすことについては、今までと同じように行うことはできないというふうに考えております。これは、この二つのケースについては、これを業として報酬を受けて行うということについては弁護士法の七十二条に抵触するというふうに考えられますので、行うことができないということでございます。

小池晃君

 あと、試験や資格、研修のことをお聞きしようと思っていたんですが、ほとんど議論がされましたので、質問の方は省略します。

 最後、残る時間、ちょっと先日質問した問題について年金局長にお聞きしたいんですが、西武鉄道株で年金資金が大きな損失を生んだ問題で、前回年金資金運用基金の損失について損害賠償請求についてお尋ねしたところ、慎重に検討していると。慎重な検討の結果どうなったのか、お答えいただきたいと思います。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 西武鉄道株の売却損の取扱いについて、年金資金運用基金における御質問を先日いただきました。現時点におきましては、まだ法律の専門家の意見等も聞きながらという慎重な検討が続いておりまして、結論を得るところまでには至っていないと承知しております。

小池晃君

 いや、もう質問してから一か月ぐらいたっているわけで、慎重に検討って何をもたもたしているのかなというふうに思うんですよ。

 年金資金運用基金に聞いたんですね。そうしたら何て言っているかというと、株価下落と西武の虚偽記載との因果関係がどれだけ証明できるか分からないって、こんなふざけた話はだれがどう見たってこれ明らかなんですよね。それなのにこんなこと言っていて、いまだにこの結論が出ない。厚生年金基金連合会の方は賠償請求するという報道もされています。これは何でこの年金資金運用基金の側に損害賠償請求踏み切らないのか。何か損害賠償請求できない弱みでもあるんですか。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 一部に報道はございますが、厚生年金基金連合会におきましてもまだ結論を得ていないというふうに承知しております。

 もとより、こうした訴訟はあらかじめ様々な論点を整理する必要があると。それから、公的年金ということに関して、それぞれ厚生年金基金連合会もあり、他の団体もあり、またこうした基金もございますが、よく検討をしていただいて、間違いのないような対応をしっかりしていただきたいと考えております。

小池晃君

 いや、納得できないんですよ、私。株式運用をやって、国がそういう責任を持つんだったら、当然株主としての責任はあるんですから、そういうときに何かもたもたして、本来こういう事態が起こったときに運用機関はどういう対応すべきなのか、国はどうすべきなのかということを、その指導というのを厚生労働省ちゃんと考えておくべきだったんじゃないですか。

 こういう事態が起こっていまだにこんなていたらくだったら、私はそもそも株式運用をするような資格と能力に欠けているというふうにしか言えないと思うんですが、いかがですか、大臣。ちょっと、この問題では質問するというふうには聞いていませんけれども、こういうことで、こういう大事な問題で、いまだに検討しているで結論が出ないと、こんなことでいいんですか。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 何か後ろ向きの検討をしているかのような誤解があるとすれば、その点については少し御認識を改めていただきたいと考えております。

 もとより、こういう訴訟でございますので、十分に法理を尽くしてよく検討していただきたいということでございます。

小池晃君

 後ろ向きだか前向きだか知りませんけれども、慎重に検討すると言って、また聞いても慎重に検討すると。これで責任果たせるんですかと。私は、やっぱりこういう国民の大事な保険料を預かってFいるんだという認識に欠けているんじゃないかというふうに思いますよ、こういう対応では。大臣、やはりこれでは国民から見て、これだけ大きな損を出してもいまだにぼうっとしていると。普通の株主だったらこれはきちっと対応を取っていますよ。こんなことで株式運用する資格があるんですかと聞かれたら、私は説明付かないと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今お話しいただきましたように、まず、私どもは国民の皆さんの年金をお預かりしておる、それを極めて大事に扱わなきゃいけない、そのことはもうそのとおりでございます。

 そうした中で、まず大きくは株式運用がいいのかどうかという御議論があろうかと思いますが、これについては、私どもが今出しております結論は大きくリスクを分散しながら運用するということで、株式運用も含めて考えておるところでございます。

 そうした中で、個別に今御指摘の話が出てまいりました。これに対する対応は局長がお答え申し上げておるとおりでございますが、確かに訴訟でありますから十分な準備が必要なんだろうと。そういう意味で、慎重に検討しておるところだろうと思いますけれども、とはいえ、そういつまでも検討しておりますということを申し上げるわけにもいきませんので、私も状況はすぐ調べて、また改めての御報告をさせていただきたいと存じます。

小池晃君

 終わります。

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