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162 通常国会 参議院予算委員会 質問

2005年3月4日(金)

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委員長(中曽根弘文君)

 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 来年度予算案ですが、発表直後から大増税、大負担増路線だという批判が沸き起こっております。朝日新聞は「老いも若きも負担増」と書きました。毎日は、本格増税路線にと。読売は「増税路線 色濃く」と、マスコミこぞってこう書いたわけです。

 もちろん、この大増税の中心が定率減税の縮小、廃止であることは間違いありませんが、そのほかにも大規模な増税が既に始まっています。年金生活されている方への増税であります。

 今年初めての公的年金の振り込みが二月十五日に行われました。これ年金の支払通知書が受給者に届いたわけですね。この通知書を見て、これ突然年金減っているんでびっくりしたとか、あるいは、初めて税金が天引きされている、どうしてこうなったんですかと、私どもの方にもいろんな疑問の声や不満の声が寄せられているんです。

 これ、今年一月からの公的年金等控除の縮小とそれから所得税の老年者控除の廃止によるものでありますけれども、今回のやり方で増税になった方は一体どれだけいるのか、いらっしゃるのか、谷垣大臣、お答えいただきたい。

副大臣(上田勇君)

 ただいま御質問にありました年金課税の見直しのことでありますが、これ、平成十六年度の税制改正におきまして、世代間の不公平、あるいは高齢者間の公平を確保するというような観点から、ある一定年齢になると一律に控除していたものを見直すということで決定されたもので、この十七年の一月の源泉控除から行われているものでございます。

 ただ、その際には、標準的な年金を、以下の年金だけで暮らしている高齢者の世帯には老年者特別加算という形で十分な配慮をしているところでございます。そうした見直しの結果、この年金課税の見直しによりまして影響を受ける人員、これ、標準的な年金を上回る年金収入のある方々を中心といたしまして五百万人程度だというふうに見込んでおります。

小池晃君

 まあいろいろおっしゃるけど、五百万というのは大変な数なんですね。で、増税額二千四百億円、一人当たり年間五万円になるわけです。

 これ具体的にお聞きしたいんですが、独り暮らしの高齢者の場合は、今までは年金が十九万円を超えないと天引きされなかったわけです。これが今回の措置によって十三万五千円程度でも天引きされるようになってしまったと。

 財務省、もう一回お伺いしたいんですが、独り暮らしの高齢者で年金額が月十九万円、こういう方だと一体幾ら源泉徴収されたんでしょうか。

副大臣(上田勇君)

 今御質問の年金額月額十九万円というのがちょうどこの見直しの前のいわゆる課税最低限の上限に大体相当する額を想定されているのだというふうに考えますけれども、今度の見直しによりまして、今までは、ですから課税最低限の範囲に入っておりましたんで、課税、納税をしていただいてなかったわけでありますが、今回の見直しによりまして、一か月当たり約四千四百円の課税、納税をしていただくというような形に想定しております。

小池晃君

 これは月四千四百円、年間にすると、これゼロだったのが約五万円ということになるわけですから、これ月十九万円の年金暮らしの方にとってみれば非常に重い負担になるわけです。

 先ほど、標準的な年金には課税してないと言うけれども、そこで言っている標準的な年金というのはいわゆるモデル年金ですよ。これは極めて特殊な、夫が四十年間働いて妻が四十年間専業主婦という、そういうパターンは所得税課税されない。確かにそうかもしれないが、平均の年金というのはこれより低いわけです。大体厚生年金でいうと十七万、こういう人みんな課税されている。しかも、所得税はそうかもしれないが、これからやろうとしている住民税の増税ではモデル年金すら課税の対象になってくるというわけでありまして、これは非常に重大な影響がある。

 しかも、私、問題だと思うのは、今回これで、これっきりで終わりじゃないんですね、こういった方々には。この負担増が皮切りとなって、これから次々と増税、負担増が続くわけですよ。これからどんなことが待ち受けているか。

 来年二月には所得税の定率減税の縮小、これでまた税金増えるわけです。四月には介護保険料が値上げされる。これはまた天引きされるわけです。六月もっと大変なんです。六月は四つあるんですね。公的年金控除の縮小が住民税に適用されるんです。それから二つ目に、住民税の老年者控除が廃止されるんです。それから、住民税の高齢者の非課税限度額が撤廃されるわけです。そして四つ目に、住民税の定率減税が縮小される。これらが一気に来年六月には掛かってくるわけですよ。

 今まで住民税ゼロだった人もこれで住民税を納める人が、納めなければいけない人が出てくる。そうすると、介護保険料は上がる、国民健康保険料は上がる。あるいは、敬老パス、シルバーパスが手数料が上がる。連動して大幅値上げになってくる。

 そして、再来年の二月に何があるか。定率減税の全廃による所得税の増税だ、六月には住民税も増税だと。正に、もう次から次へと負担がどんどんどんどん増えていく、年金が減っていく。

 総理、私、お聞きしたいんです。年金生活者の暮らしというのを思い描いていただきたいんですよ。これは、年金というのは一回受給額決まれば基本的にはその額でいくわけです。最初に退職金は幾ら、年金は幾ら、それで計画を立てて、その範囲でぎりぎりで暮らしていくわけですね。ところが、そこにどかんと年間五万円も増税すると、あるいは来年二月、四月、六月と再来年二月、六月と、どんどんどんどん目減りしていく。私、こんなことやったら生活設計めちゃくちゃになってしまうと思うんです。

 総理はこうした仕打ちが年金暮らしの方々にとってどれほど過酷なものなのかということを考えたことありますか。いかがですか。総理にお答えいただきたい。総理に聞いているんです。総理に聞いているんですよ。

国務大臣(谷垣禎一君)

 小池さんがこれからの社会をどういうふうなものとして考えておられるのか私はよく存じませんけれども、やっぱり少子高齢化が進んできてこれから人口が減っていく中で、どうやったら日本社会の活力を維持できるかというのが私は、最も我々、多分共産党といえども共通のテーマと思っていただけるんじゃないかと思うんですね。

 それで、そのためには何をしなきゃならないかと。一つは、やはり行財政改革を徹底的にやっていく必要が私はあると思います。無駄を省いて必要なところに金を回していくということはやらなきゃならない。それと同時に、社会保障負担は増えていきますが、必要な公的サービスの水準はどのぐらいなのかというのをきちっと見直して、それを支えるためにはどう国民に公平に負担していただけるかというようなことを考えながら持続可能な制度をつくっていかなければ、結局、国民の安心、安全、そういうものにつながらないわけです。

 今、委員がおっしゃった年金課税や定率課税の見直しを含む税制改革、あるいは社会保険料の引上げを含む社会保障制度改革、すべてこういう観点からやったものでございまして、負担と給付というものの両面からやっているんです。今、委員は負担の方だけおっしゃったけれども、これは全体像をとらえるには私は極めてへんぱな見方ではないかと思っております。

 それで、例えば年金課税や……

小池晃君

 総理に聞いたんだ。

国務大臣(谷垣禎一君)

 いやいや、総理に聞いているんじゃない、私はお答えしているんですよ。年金課税や定率減税の見直しによる増収分、この一定額が基礎年金国庫負担の引上げ財源に充てられているんですね。それから、年金給付の総額が年々増加するんですよ。これは一年一兆円以上増えていくんですね。こういうふうに、歳入歳出両面での措置、あるいは制度改正の趣旨を私は踏まえて今の問題も御評価をいただきたいと、こういうふうに思っております。

小池晃君

 いや、全く答えていないですよね。

 あのね、高齢者が増えていくんですから年金額増えていくのは当然なんですよ。そのときにどうやって支えるのか、負担をどうやってだれに求めるのか、そして歳出削るんだったらどこ削るのかなんですよ。そこが問われているわけです。私はそのことを議論したいんですよ。

 総理、お聞きしたいんですけれども、これ、日本社会の活力だと言ったけれども、こんな形で年金暮らしの方にどんどんどんどん負担強いていって活力なんて生まれるわけないと。私、総理にお聞きしたのを答えていただきたいと。こういうやり方で負担を求めることが年金暮らしの方にどういうその負担になるのか考えたことあるかと。お答えいただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 正に、この年金を持続的に支えなきゃならないということで、どのようにこの給付と負担を考えるかという全体の中での財政状況を見た措置なんです。当然、この給付の面もこれから下げないようにどういうふうな手当てが必要かということもしております。今言ったように、確かに増える部分もあります、負担が。

 そういう中で、このまま、現状のままだと、この福祉関係費用、年金だけでなくて、医療にしても介護にしてもどんどんどんどん増えていきます。そして、その負担をどうするかということにこれから非常に苦労しているところでありまして、やっぱり負担をする部面と給付の場合のバランスを取っていくという中での措置であると。確かに、年金が多ければ多いというのは分かります。そして、かつては年金は小遣い程度だったのが、今や大きな生活の支えになっているということも事実であります。

 そういうことを考えて、この年金の制度を維持するためには、給付を下げないでどうやって持続するかという場合には、やっぱり負担の場合も負担できる層においては負担をしていただくということがないと、持続可能な社会保障制度というのは無理があるということも御理解いただきたいと思うんであります。

小池晃君

 ごまかしなんですよ。私が聞いたことに答えていないんです。

 総理は、一人一人の国民の暮らしが一体どうなるのかと考えようともしないのか、思いをはせることもないのか。私は、この通知を受け取った怒りを、怒りに震えている高齢者の思い代弁して、そしてこう聞いているのに、それに答えようともしない。余りにも私、無責任だと思う。

 財源、財源とおっしゃるけれども、年金財源のために年金暮らしの方から負担取るなんて、これほど血も涙も知恵もないやり方ないですよ。しかも、財源、財源というのであればなぜ、そんなに財源が心配ならば、来年度予算で大型公共事業、関空二期工事、滑走路、何で付けるんですか。あるいは、直轄高速道路、八ツ場ダム、垂れ流し続けているじゃないですか。こういうことを一方でやりながら高齢者に次々と負担増では、説明が付かないではないかと私は言っているんです。

 そもそも、年金課税の強化について、ちょっと北側大臣にお聞きしたいんですが、これは、定率減税の廃止も年金課税の強化も公明党が提案された問題です。北側大臣は当時公明党の政調会長だった。公明新聞には大きく北側試案というふうに紹介されておりまして、これによって打ち出されたのが今回の年金大増税であります。北側大臣は、おととし十月一日の衆議院予算委員会でこうも述べている。高収入の高齢者の方も今結構いらっしゃいますと、そういう方々についてはやはり年金課税していくこともこれからは考えるべきじゃないかと。こういう提案を受けて政府の方針になって、そしてあなたは今、内閣の一員としてこれ推進している。

 大臣にお聞きしたいんですが、こうした提案で五百万人増税になった。さらに、今後次から次へと負担がのし掛かっていくわけです。月十三万五千円の年金ですよ。こういう方まで新たに課税されたのが、これがどうして高収入の方に対する課税ということになるんですか、説明していただきたい。

国務大臣(北側一雄君)

 私の所管ではございませんが、あえて御質問でございますので答弁させていただきたいと思います。

 委員も御承知のとおり、この基礎年金の国庫負担割合、これを三分の一から二分の一にする、これ、現時点でも二兆七千億以上の財源が必要でございます。これ、ますますそれが広がってまいります。これをどうやって毎年毎年出していくのか、ここについてやはり責任ある論議をしていかないといけないわけだというふうに思っております。

 与党内でそのときもけんけんがくがくの議論をさせていただきましたが、その中の財源のやっぱり一つとして、やはり年金課税については、若い人たちの、現役の世代からだけ、からですね、その税収だけでやっていくのではなくて、やはり高齢者の皆様にも可能な範囲でやはり負担をお願いをしていくということは私は大変大事なことだと思います。その上で、今回、この年金課税については、その入ったものについてはこの三分の一から二分の一への財源にしていこうというふうに決めたわけでございます。

 また、定率減税につきましても、やはりこの定率減税の見直しも段階的に経済情勢を見ながらしていって、その定率減税の段階的な縮小、また廃止に伴うその財源について、それをやはりこの年金の三分の一から、基礎年金の三分の一から二分の一への国庫負担割合の引上げのために使っていこう。この二分の一にしていくということが、やはりこれからの高齢社会を考えたときに、やはり持続可能な年金制度にしていくためにも非常に大事なステップでございまして、それを、これはもうかねてからの課題であったわけでございますけれども、昨年の年金改革でそれへの道筋をきちんと付けさせていただいた、財源もきちんと明示をして付けさせていただいたということでございます。

小池晃君

 責任ある政党って、何か自分の財布から出しているような言い方はやめてくださいよ。年金暮らしの方々の、方からその財源を取り出すなんていうのは、これほど本当知恵のないやり方はないと。

 責任ある論議が必要だと言うんだったら、あなた国土交通大臣なんですから、国土交通省ね、関空二期工事とかあるいは直轄高速道路とか、道路特定財源なんて十分二兆、三兆あるんですよ。そういったところに責任あるメス振るっていただきたい。もう話にならないですよ。こういう増税の旗振り役をやっている公明党には本当に責任重大だと申し上げたい。

 パネル、ちょっとごらんいただきたいんですが……

委員長(中曽根弘文君)

 国土交通大臣。

小池晃君

 負担増はこれだけじゃないんです。

委員長(中曽根弘文君)

 小池君、小池君。

国務大臣(北側一雄君)

 今度は私の所管について御質問いただきましたので答弁させていただきたいと思いますが、これからの日本の社会を考えたときに、この社会保障も本当に持続可能な社会保障にしていくためには、やはり一定の経済の発展というものがなかったら社会保障が支えられないわけでございます。人口減少していく中で経済がどんどんどんどん縮小していくというふうな状況になってしまったら、これからの高齢社会の社会保障をどうするんですか。そういうことをもっと真剣に考える必要がある。

 社会資本についても、例えばこのグローバルな経済の中で、国際競争力の向上に資するような基盤整備はやはり国がきちんとやっていく必要があるわけでございまして、国際空港もしかり、国際港湾もしかりでございます。そうしたことをする必要がないというのは、私はやはり少し考え方が違うのかなというふうに思っているところでございます。

小池晃君

 関空二期工事、八ツ場ダム、何がこれが経済の発展なんですか。国民の暮らしでしょう。個人消費が経済の六割ですよ。もう公明党という政党は福祉の党という看板は金輪際掲げない方がいい。今の議論ではっきりしたと。私、まともな説明もできないと思いますよ。

 さらに、この増税の問題だけじゃない。高齢者だけじゃない。負担増はこれだけ多くの人々に及ぶわけです、今回。高齢者は、今言ったように年金大増税だと。それから、介護保険法の改悪で、居住費、食費、全額徴収。サラリーマン、定率減税、これサラリーマンだけじゃないです、もうすべての納税者に掛かってきますが、一番被害を受けるのはサラリーマン。年金保険料も上がっていく、雇用保険料も上がる。若者は、フリーター課税の強化で、百万円足らずの税金にまで課税だと。それから、国立大学授業料、障害者も負担増、中小業者も、消費税課税業者百八十万業者拡大された。生活保護も改悪だと、こういうことがねらわれております。

 総理、負担増の対象を、これ見ていただきたい。(資料提示)どれもこれも、ただでさえ景気のあおりを受けて、私、一番しわ寄せしている人たちだと思うんですね。そういう人たちに救いの手を差し伸べることこそ私は政治の役割だと思う。ところが、今やろうとしていることは、こういう本当に国民のあらゆる分野、あらゆる階層にのべつ幕なし負担を押し付ける。私、こういうやり方は許されないというふうに思いますが、大臣、いかがですか。総理、お答えいただきたい、総理。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは、一部の負担だけを取り上げていますと、高齢者の年金にしても介護の施設等の費用にしても保険にしても、これは経済発展なり財政状況を考えないと維持できないんですよ。この負担を減らすな、増やせという主張は分かりますよ、共産党の。しかし、増やせという主張はこれだけじゃないでしょう、共産党。全部増やせ、そして国債発行は減らせ、増税するな、こんなことで予算なんか組めるわけないじゃないですか。

 全体を考えて、今の年金制度、介護保険制度、医療保険制度を維持するためにはどこの負担が必要か。しかも、野方図な財政破綻に導くような減税なり国債増発なんかできっこない、今の状況で。全体を考えて、この社会保障制度を持続可能なものにするために、それぞれの公共事業も必要なところは必要なんですよ、国際競争力考えて。しかも、公共事業を全体減らす中で関空にしてもやっているわけでしょう。そこだけ伸ばしているわけじゃないんですよ。そういう点もよく考えていただかないと、全体のバランス。

 負担ばっかり取り上げますけれども、一部ばっかりを取り上げますけれども、じゃ、一部を増やせといって、共産党は、どこを増やせ、どんどんどんどん増やせ、減らせというのは公共事業だとか防衛費というの分かりますよ、よく言っている。そんなところでもちますか。地方の公共事業たくさんやってくれと言う。防衛にしても、日本の国が日本の国でまず守る努力をしなきゃならないという姿勢を示さない限り、外国、どこまで日本を支援しますか。そういう全体のことをやっぱり考えてくださいよ。

小池晃君

 全部増やせなんて言っていないんですよ。先ほど総理おっしゃったようにね、軍事費だって削るべきだと、公共事業は削るべきだと、大型開発、無駄遣いやめるべきだと言っているわけです。負担一切増やしちゃいけないって言っていませんよ。負担を一体どこに求めるのか、この問題なんです。

 今日その問題を議論したいんですが、九九年に定率減税が導入されたときに、同時に所得税や住民税の最高税率の引下げも行われた。法人税率の引下げも実施されたんです。いずれも景気対策が理由だったんですね。ところが、その後どういうことが一体起こっているか。

 これ見てください。(資料提示)九七年から、日本の景気が大きく変わり始めた九七年から二〇〇三年の間に何が起こったか。大企業の経常利益は六兆円増えているんです。過去最高であります。恐らく〇四年度ももっと伸びるでしょう。こうした利益が一体どこに回っているか。大企業の従業員じゃないんです。大企業の従業員給与も減っているんですね、マイナス四兆五千億円。何が増えているかというと、上がっているのは、役員報酬や配当が二兆円増えているんですよ。これが実態なんですね。

 財務大臣にお聞きしたいんですが、九九年には高額所得者だって庶民だって一緒に減税されたはずです。それなのに、収入が増えている高額所得者の減税は指触れない、そのままだと。収入が減っている庶民には増税だ。これ説明付かないんじゃないんですか。いかがですか。

国務大臣(谷垣禎一君)

 確かに小池委員がおっしゃるように、平成十一年のいわゆる恒久的減税法を入れましたときには──小池さん、私と議論する気おありですか、横見ないでこっち向いてくださいよ、私の顔も。定率減税のほかに所得税減税の最高限や法人税率を下げたことも小池委員のおっしゃるとおりです。

 ただ、当時、所得税、地方税と合わせまして最高税率は六五%だったというふうに私は記憶しておりますが、やはり当時の停滞した経済環境というだけじゃなく、これだけグローバル化が進んでまいりますと、六五%の所得税というんじゃ、なかなか個人もやる気が起きないと、こういうことがありました。そのために、例えば課税するベースをどっかに持っていっちゃうということもありました。法人税でも同じようなことがあったわけであります。

 ですから、こういう今の点は、単なる景気対策でやったんではなくて、こういう高齢化や、あっ、高齢化じゃない、国際化や何かが進んでまいりますときに、競争力を維持して、やっぱり全体の体力を高めていくためにやったことの一つでもあるわけです。

 定率減税の方は、当時の著しく停滞した経済に対応するために、これは一律二〇%の減税をやりました。それで、それは、今日、委員はいろいろ御意見がおありかと思いますけれども、不良債権処理や産業再生も進んできて、当時の停滞した経済環境とは大きく異なってきていると思います。委員は多分、税の上では所得再分配機能をもっと発揮せよとおっしゃると思いますが、日本は世界でも最も所得課税が低い水準にありますので、所得税がそういう役割を果たそうにもなかなか果たせない、果たしにくいところまで私どもの所得税というのは来ているわけでございます。

 そういうようなこともいろいろ踏まえまして、今回、定率減税は縮小してくださいというお願いをいたしているわけでございますので、何とぞ御理解を賜りますようにお願い申し上げます。

小池晃君

 今の説明で全く理解できないですよ。全く説得力ないですよ。私の質問に全く答えていない。

 役員報酬の実態は一体どうか。これやみに包まれています、分からない部分もありますが。例えば、日経新聞の調査では、主要企業百社の役員報酬の平均は三千二百万円です。公表されている中で、恐らくもっと多いところあると思うんですが、一番多いのは日産自動車で平均二億三千五百万円です。武田薬品は一億四千九百万円です。日産自動車を例に取れば、年収二億三千五百万円の場合に、これは財務省にも確認しましたが、これ九九年の減税で所得税や住民税三千万円減税されているんですね。

 総理にお聞きしたいんですが、これですよ、(資料提示)こういう形で、収入が増えている、あるいは二億円超える収入を得ていて三千万減税されている。で、一方で、収入が減っている労働者には増税をかぶせる。何でこっちの減税はそのままにしておいて、こちらの減税だけやめようというのか。国民から見たら、こういうときに真っ先にやはりここにメスを入れなきゃいけないんじゃないかというふうに思うの当然じゃないですか。総理、お答えいただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 日本の給与を見ますと、先進国に比べると、いわゆる役員とか社長とか一般社員との差は一番低いんですよ。そして、だれでも所得の五〇%以上取られるというんじゃ働く意欲なくなると。そういう点もやっぱり考えないといけない。やっぱり、稼いでくれば五〇%も負担してくれるんですから、税金納めてくれるんですから、そういう人たちが多い方が税収上がってくる。

 現に、去年の大企業、業績が上がれば、ようやくこれ一般にもいい状況もたらしてくれると思います。冬のボーナスは八年ぶりに増えてきました。雇用者の収入もようやく前年に比べて、一%ですけれども、増加してまいりました。それ大企業ばっかけしからぬ、けしからぬと共産党は言いますけれども、大企業も企業なんですよ。大企業が、痛め付けて日本の経済発展しますか。大企業が発展して中小企業も潤うようにしていくのがこれから施策として大事なんですよ。大企業を痛め付けて中小企業の発展ないですよ。関連企業なんです。お互いがやっぱり共存共栄していこうという、そういう対策が必要なんです。日本だけ大企業に重税掛けたら、どんどんどんどん外国に逃げちゃいますよ。そうしたら、雇用の問題にも税収の問題においても産業の発展においても大きな悪影響をもたらします。

 やっぱり、日本国内だけでなくて、世界全体を見てどうやって経済を発展させて雇用者の収入を増やしていくかという点も考えていただきたいと思います。

小池晃君

 大企業どうなってもいい、つぶれてもいいなんて一言も言っていないでしょう。大企業減税は、大企業減税はそのままにしておいて、庶民減税だけ元に戻すのはおかしいじゃないかって言っているんじゃないですか。そのことに何にも答えていないですよ。よく分かった。役員の勤労意欲は大変心配だが労働者の勤労意欲は何の心配もないんだと、そんなことです。あなたの姿勢よく分かる。痛みを伴う改革だと言いながら、結局、痛みを強いているのは庶民、労働者だけですよ。で、大企業、高額所得者には減税そのまま、これが小泉改革の正体なんです。

 私、今までこれ議論してきましたけれども、政府は社会保障を本当に重荷のようにしかとらえていないけれども、私は社会保障を中心にした国の立て直しというのを本当に考えるべきだと思うんですよ。

 例えば、経済経済と言うけれども、長野で何が起こっているか。これは、長野ではおととし二月に産業活性化・雇用創出プランというのを発表して、これ、完全失業者が四万二千人いたんです。二万人の常勤雇用を生み出すという計画で、その常勤雇用を生み出す中心は福祉や教育なんですね。これ二年たちましたが、毎年達成して九千人近い常勤雇用を生み出して、その六割は福祉、医療なんですよ。

 雇用、経済、そういう点でいっても本当に社会保障大事だと思いませんか。そういう取組、国としてもやるべきだと考えるんですが、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 福祉が大事だからこそ、今日本は国民の税金を福祉関係費用に一番充てているんです。二十兆四千億円ですよ、この新予算において。一方、公共事業では、削れ削れと言うけれども、かつて十兆円あったのに今七兆五千億に削っているんですよ。すべての税金、一番使っているのは、日本政府は社会保障関係です。よく考えてください。

小池晃君

 高齢化が進む中で社会保障予算が膨らむのはこれは当然のことで、どう支えるかです。しかも、もうこれ質問しませんが、時間が来たので、これ見てくださいよ。特別養護老人ホームの待機者どんどんどんどん増えていく一方で、今年の予算でもどんどん削っている。保育所の待機児童どんどん増えていく中で施設整備予算削っている。(発言する者あり)

委員長(中曽根弘文君)

 静粛に願います。

小池晃君

 これが小泉政治のやり方だと。こういうやり方では日本の経済も未来がないということを申し上げて、私の質問を終わります。

委員長(中曽根弘文君)

 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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