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2004年5月27日(木)159 通常国会
給付5割どころか2割台も年金法案 老後どんどんつらくなる
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共働き世帯は31・7%、男子単身世帯は29%にも――。
小池氏が「受給開始十年後、二十年後で、それぞれの世帯類型別に、(現役世代の)手取り賃金にたいする比率はどう変化するのか」とただすと、厚労省の吉武民樹年金局長が初めて、モデル世帯以外の給付水準の低下の試算を明らかにしました。
これまで公表していたのは、年金を受け取りはじめたときのデータです。四割台、三割台になることは認めていたものの、現行水準に比べれば15%カットという試算でした。しかし、受給開始後の低下はこれにとどまらなかったのです。八十五歳時点で現役世代の平均収入と比較すると20%カットの給付水準になるまで下げられます。
このため四十年間フルタイムで働いて年金を受け取る男子単身者の場合、六十五歳の36・0%から八十五歳で29%にまで下がります。厚生労働省はモデル世帯を含め六つのケースを明らかにしました(グラフ参照)。
吉武年金局長は、「共働きの方の場合は所得が高いので年金額は高くなる」などと前置きを長々とのべて言い訳。これまで国民にまったく説明してこなかった反省はありません。
給付水準の20%カットは前回改悪(一九九九年度)で、賃金上昇率にスライドさせて給付額を上げていく賃金スライドを凍結(受給後の場合)したことによるもので、20%以上の給付削減になると賃金スライドを復活する(八割ルール)ことにしていました。
坂口力厚生労働相は、この日の審議で初めて「八割ルールを継続する」と答弁。小池氏はなぜ法案にもりこまないのかときびしく批判しました。「年金が支給されてからは、物価スライドでというのが厚生労働省の考え方」と言い訳をする吉武年金局長。小池氏は「厚生労働省の考え方に合っているかではなく、国民の暮らしから見てどうかということだ」と批判しました。
政府は、受給開始後に給付水準が大きく落ち込むことを合理化するために「高齢になるほど消費水準は低下する傾向にある」(小泉純一郎首相、十二日の参院本会議)と繰り返しています。
そんなに低下するのか――。小池氏は全国消費実態調査を示しました。最新の一九九九年調査では六十代後半の基礎的消費支出を一〇〇として、七十代前半は一〇一、七十五歳以上は九三ですから、給付水準の大幅削減を押しつけるほどの格差ではありません。さらに調査の推移を見ると、八九年調査の七十代前半九五、七十五歳以上八四から九四年調査の七十代前半九八、七十五歳以上八八となっています。
小池氏は「前期高齢者と後期高齢者の消費水準の格差は縮まっているではないか」とただしました。厚労省の吉武年金局長は反論せず、「現役と高齢者を比較すると、現役の方の消費支出の減り方は大きく、高齢者の消費支出(の減り方)は現役に比べて少ない」と問題をすりかえました。
小池氏は、格差が縮まった九九年調査以降、介護保険制度の発足による高齢者からの保険料徴収、高齢者医療費の負担増があった経過を指摘。「社会保険料は消費支出には含まれず、基礎的消費支出には保健・医療費は含まれない」「前期高齢者と後期高齢者の(消費支出の)格差は実際はもっと小さくなっているのは間違いない」とのべました。
こうした経過に目を向けず、受給後の給付水準低下を国民に説明することなく「百年安心の年金」とごまかす政府・与党。小池氏は「高齢になるほど、どんどん年金の水準が下がっていく仕組みは、高齢者の生存権の破壊だ」と批判しました。
厚生年金の給付水準を引き下げていくが現役世代の平均収入の五割は確保する――年金を受け取りはじめるとき(新規裁定と呼ぶ)だけの話なのに、受給後は五割割れになる説明を政府は衆院の審議で一度も説明してきませんでした。これを“衆院でも議論してきた”と言い逃れる坂口力厚生労働相を再び小池議員が追及しました。
先週の厚生労働委員会(二十日)で、説明したかどうか「調べてみる」といわざるをえなくなった坂口厚労相。小池議員は「どうなったか」とただしました。
議論したという委員会は、小池議員が前回質問で指摘した通り、二月二十五日の衆院予算委員会で、民主党議員への答弁部分でした。
「(給付額の)名目額は決して減らさない」「物価の状況、あるいはまた経済の状況によって違ってくる」。議事録を手に自らの答弁を再度読み上げる坂口厚労相。結局、五割割れもあるのではないかという民主党議員の指摘に、まったく説明になっていない答弁を読み上げることしかできません。
小池議員は、法案の看板が偽りだったことを参院の審議で追及されるまで国民に一度も説明してこなかったのは「まったくけしからんこと」と批判し、「この一点をもってしても法案は撤回・廃案しかない」とのべました。
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