本文へジャンプ
日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

161 臨時国会 決算委員会質問

2004年12月2日(木)

  • 国際人道法違反に加担/首相に対して自衛隊のイラク撤退を迫る/小池議員(関連記事

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 二〇〇三年度予算の予備費からイラクへの自衛隊派兵経費二百六十八億六千万円が計上されています。支出されました。今日の審議でこのイラク戦争とは一体何だったのか検証したいというふうに思います。

 イラク戦争では多数の民間人が犠牲となりました。さらに、十一月八日からは、米軍はイラクの都市ファルージャを一万五千人の兵力を投入して総攻撃を行いました。人口三十万人の都市を空爆して、包囲、封鎖をして、市街戦を行って病院やモスクまで攻撃をする。アメリカ自身がベトナム戦争以来最大の攻撃だと言う大規模な戦闘であります。これだけ大規模な戦闘の結果、市民にも多数の犠牲が出ております。(資料提示)

 御承知のように、国際人道法はこうした無差別攻撃を厳しく禁止をしておりまして、ジュネーブ条約第一追加議定書第五十一条、民間人、住民への攻撃は禁止をしています。それから、住民の間に恐怖を広めることを目的とした暴力による威嚇、これも禁止をしている。それから、軍事目標と民間人、民用物を区別しない無差別攻撃も禁止をしています。さらに、文民病院はいかなる場合にも攻撃してはならないというのが第四条約の第十八条。で、第一追加議定書の第五十三条では、文化財及び礼拝所、まあモスクも含めて、敵対行為という広い範囲で禁止をしています。

 小泉総理にお伺いしますが、今回のファルージャ総攻撃は明らかにこうした国際人道法に違反するものではないでしょうか。

 ちょっと、総理に聞いているんです。

国務大臣(町村信孝君)

 今回のファルージャの事態で民間人が死傷者が出たということは、それはもう残念であるということは、もうそれは論をまたないところであります。

 今、イラク暫定政府は、ファルージャにおけるこうした活動を含めて、要は法の支配をできるだけ早く確立をしたい、そして来年一月三十日に行われる予定であるこの選挙を始めとして、来年は様々な政治プロセスが展開をされ、年末までには一つの独立した民主的な国家として自立をしていく、そのためのプロセスの中で誠にやむを得ざる措置であったのではないだろうかと、こう認識をしているわけであります。

 委員御指摘の様々なジュネーブ諸条約、あるいはこの追加議定書にお触れをいただきました。実際どういう活動が現地であったのかということは詳細に私ども承知をし得る立場にはありませんので、余り確定的なことを申し上げるのは難しいとは思いますが、あえて申し上げれば、確かに今、委員御指摘のようなことはそれぞれ決まっているわけでありますけれども、例えば一般論ですけれども、文民であるとか病院、文化財、礼拝所、これらについては別に無条件にそれは保護が与えられるということではなくて、敵対行為にその文民が直接参加していないことであるとか、あるいはそこに書いてある民用物も、軍事上の支援のために使用されていないこと、文化財、礼拝所も、軍事上の努力を支援するために利用してはいけないということが別途決まっていたり、そういうような限定付きのものであるということは委員御承知のとおりであろうかと思います。

小池晃君

 目的のためならどんなことをやってもいいのかということなんですよ。こういう無差別攻撃が許されるのかと。私は、いろいろとおっしゃいましたけれども、アメリカがファルージャで行った総攻撃の中身を見れば、これは絶対に正当化できるようなものではないというふうに思うんですよ。

 例えば、どんなことをやっているか。まず、病院を占拠したんだと。これは、なぜ病院だったのかと。四月の攻撃で民間人の犠牲を告発する発信地となったからだと言われている。アラブの通信社、クドス・プレスによれば、米軍がファルージャ総合病院を急襲して、外科医をすべて拘束して、緊急手術できる医師が一人もいなくなったと伝えています。

 AP通信カメラマンの証言によれば、米軍の狙撃兵が、川を泳いで渡ろうとした五人家族を撃ち殺したと。どこもかしこも破壊された。死体が道に横たわり、けが人が血を流しているのに助ける人もいないんだと。

 BBCの現地記者は、たくさんの遺体が路上に放置をされて、死臭が耐えられないほどだと惨状を報じている。

 十一月二十七日のBBCは、イラクの赤十字、赤新月社のスポークスマンが、攻撃の犠牲者は六千人以上の可能性がある、こう報道しています。このスポークスマンは、死体が余りにも多いので町の中を移動するのは困難だと。

 赤新月社の緊急援助団の報告では、路上のあちこちに遺体が放置され、野犬が遺体を食べる姿を目撃されたと。

 もう正に地獄絵なんですよ。三十万人の市民のうち二十五万人が避難民になっている。この中から死者が出ているという報道もあるんです。

 私、総理にお聞きをしたい。総理は、このファルージャ総攻撃を成功させなければいけないと言った。しかし、これは正に国際人道法違反を日本が認めたと世界に表明するようなもんじゃないですか。どうでしょうか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 ただいま町村外務大臣が答弁したとおり、その国際人道法の規定というのは無条件に定められているというものではないと。あるときには、民用物を武装テロリストが普通の民間人を殺傷する一つの手段として使っている場合もあると。また、私が、ファルージャの作戦は成功させなければいけないと言っているのは、これは一月末に行われる国民議会の選挙、これを成功させるためには、この選挙を妨害させようとしている、混乱させようとしている武装勢力、テロリスト勢力、こういう勢力を排除しない限りは難しい情勢であるということから、米軍はイラクの暫定政府の部隊とともにこのファルージャを武装勢力の拠点としないために行った作戦であると。そして、この作戦実施の前にはファルージャの住民に対して退避勧告を出して、できるだけ民間人に被害が及ばないような対応をしているということでありまして、私は、今イラク人自身がようやくフセイン独裁体制から解放されて、自分たちの国をつくろうとして選挙を実施しようとしている極めて大事な時期にあると思っています。だからこそ、この選挙を成功させるためにファルージャの武装勢力を排除して、選挙が実施されるような努力は成功させなければならないと言っているのはそのためであります。

小池晃君

 イラクのすべての人が参加する選挙を成功させなければいけない、これは当然のことであります。しかし、アメリカの軍事行動が正にその選挙を不可能にしつつあるんですよ。イスラム聖職者協会は選挙ボイコットを呼び掛ける声明出した、さらにスンニ派やクルド人系など十五の政党が選挙の延期を求めている、これが現実なわけです。

 しかも、何かその攻撃によってそういういい方向のように向いているかのように言うが、例えばアメリカ国防総省、まあつい先ごろ発表しましたが、駐留米軍の規模を現在の十三万八千人、十五万人にすると。これ、イラク戦争以来最大規模ですね。これ、正に治安がどんどんどんどん悪化をしている何よりもの証拠じゃないですか。テロがなくなるどころじゃないんだ、アメリカの攻撃によってそれが怒りを引き起こしてテロをまた呼んでいるんだ、これが現地の実態なんですよ。

 イラク戦争でアメリカは今まで一体どれだけ軍事行動やってきたか。ブッシュ大統領は昨年五月に戦闘終結宣言出しましたが、それ以来名前が付けられた作戦、これが一体幾らあるか、総理は御存じですか。

国務大臣(町村信孝君)

 米軍の一々の活動について今どれだけの作戦があったかと、突然のお問い合わせですから私も今答えるすべはございませんけれども、それはいろいろな形でのあれがあったと思います。

 ただ、念のために申し上げておきますが、私は、先般エジプトで行われましたシャルム・エル・シェイクにおけるイラクに関するG8及び近隣諸国会合に出席して、そこでイラク暫定政府の外務大臣と私は直接話をいたしました。ズィバーリ外相は、ファルージャにおける作戦は成功であったと、今回の活動を通じてファルージャがテロリストのセーフヘーブンであった、どう訳すのか、多分安全地帯とでも訳すんでしょうか、であったことが判明をしたと。ファルージャでは大量の書類、武器を押収をしてきたということでございますし、また実際にファルージャでは市民の格好をした者たちが武器を取って戦っていた事実も多数あるというような発言もあります。

 さらに、これは米国防省の発表でありますけれども、ファルージャでは二百か所近い武器貯蔵庫、多数の即席爆弾、大規模な爆弾製造施設、拷問部屋等を発見したというような発表もございます。現に、大変驚いたわけでございますけれども、香田さんの旅券も現地において米軍が発見をしたというような事態もあるわけでございまして、こうしたことをやはり私どもは総合的に勘案して、なぜこういうものが必要であったのかということをやっぱり考えなければいけない。

 それから、選挙がもうすっかりできないであろうというような今御指摘もございましたけれども、現実には選挙に向けて数多くの政党あるいは有権者が今登録をしていると。百六十以上の政党が登録をして、そのうち二十以上はスンニ派だということで、先ほど委員はちっとも選挙に向けて準備が進んでいないではないかと、ファルージャの攻撃によって選挙ができなくなってきているんじゃないかというお話がありましたが、決してそういう事態ではないということを念のためにお話をさせていただきました。

小池晃君

 テロは断じて許せないのは当然ですよ。しかし、このアメリカの攻撃がどんどんどんどんテロリストに怒りを呼び起こして、イラク全土をテロの泥沼に引き込んでいるじゃないかと。

 例えば、今質問に全く答えなかったんですけれども、十一月八日からのファルージャ総攻撃が、アメリカのその名前の付けられた攻撃の中では百十八番目なんです。そうして、それが終わってもいないのに、十一月二十三日からは百十九回目の新たな作戦、オペレーション・プリマスロック、これが始まっているんですね。もうとにかく、軍事行動をやれば住民の怒り高まり、テロが起こり、それに対してまた軍事行動で制圧をする。もう本当に泥沼の事態になっているんですよ。

 問題は、ファルージャの総攻撃だけじゃありません。イラク戦争の一年九か月というのはすさまじい規模での無差別爆撃の連続だったわけです。

 例えば、クラスター爆弾。これは投下された爆弾が地表近くで炸裂をして、二百個の子爆弾が飛び散ると。これがばらまかれて無差別に人々を殺傷すると。しかも、一割以上が不発弾となっていると、地雷になっちゃうわけです。マイヤーズ統合参謀本部議長は、イラク戦争で約千五百発のクラスター爆弾を使用したと発表しています。つまり、三十万発の子爆弾がばらまかれて、多くの不発弾が今もイラク市民を傷付けている。

 さらに、劣化ウラン弾。これは湾岸戦争でも大量に使用されて、その影響で白血病や悪性リンパ腫あるいは先天障害を持つ子供が相次いで生まれ、国際的批判を浴びながらも、またイラク戦争でこれを使用をしていると。

 バンカーバスター爆弾はどうか。これは地下三十メートルまで貫通をして、地中で大爆発をして周囲を根こそぎ吹き飛ばすと。これ、十一月十四日のCNNでは、ファルージャでもバンカーバスター爆弾が投下をされている。

 総理、今までこういうその数々の残虐兵器をアメリカは使ってきた。総理は今まで一度でもブッシュ大統領にこういう残虐兵器を使うのはやめるべきだと言ったことはありますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 私は、そういう話はしておりませんが、イラクの復興支援を国際社会が一致協力して進める体制を作らなきゃいかぬということを話しているわけであります。そして、できるだけ早い機会に米軍がイラクから撤収できるような体制を国際協調体制の下で作って、イラク人のイラク人のための政府を作るような支援をしていかなきゃならない。

 そして、ようやく今イラクの勢力が自分たちの国をつくろうとして、武装勢力、テロリストと断固として戦おうといって、選挙の実施に向かって努力している最中であります。もちろん、これからますますテロリストがばっこするような状況になるんじゃないかという意見もあります。逆に、いや、武装勢力がかなり勢力は弱まって、これは選挙に向けて着実に一歩前進だという見方もあります。

 そういう中で、私どもとしては、この一月の選挙に向けて暫定政府が強い決意を示している、そして多くのイラクの人たちがこの選挙に向けて参加しようとしている、この努力を今支援しない限り、果たして米軍が撤退したらどういう状況になるかと、これも考えなきゃいかぬと。この開戦の経緯においてはフランスやドイツとアメリカと対立いたしましたが、フランスもドイツも今米軍が撤退しろなんて一言も言っていません。米軍のイラクへの駐留は必要だと、治安活動は必要だということをはっきり言っているわけであります。

 そういう中において、日本は日本なりの支援活動をしなきゃ、このイラクの国民が今ようやく苦しい中でも自分たちの国をつくろうとしているときにどういう印象を与えるかということもやっぱり考えていかなきゃならない。

 確かに戦争は残虐です。戦争を避けなきゃいけないという気持ちはだれでも持っていると思います。しかし、今ここでテロリストの思うつぼにはまったら世界はどうなるのか。イラク国民だけが非難、批判、被害を受けるだけじゃありません。ここにテロリストが拠点にイラクをしようとする考えが成功したならば、我々はもっと不安な状況に陥るということもやはり考えていかなきゃならないのではないでしょうか。

小池晃君

 国際社会は一致して、こういう国際法違反の無差別攻撃に対しては批判していますよ。そのことを、過度の武力行使はすべきでないということをはっきり言っているじゃないですか。

 総理は、何度も何度もイラクがあたかもいい方向に向かっているかのように言うけれども、何よりもアメリカが増派を決めたんですよ、この時点で。これが何よりも今本当に事態が深刻化しているということの、何よりもアメリカが行動で示しているじゃありませんか。

 そもそも、日本はどれだけこれにかかわってきたのか。イラクに対する先制攻撃の第一撃は、横須賀に配備されていたミサイル巡洋艦からトマホークが発射されたんです。そして、イラク戦争に、在日米軍基地からは、横須賀を母港とする空母キティーホーク打撃群、厚木基地の第五空母航空団、それから三沢基地からも、嘉手納基地からも沖縄の第三海兵遠征隊、約一万人の米兵が参加をして、新たに二月、八月と部隊も派遣されている。

 総理、現在、ファルージャの最前線に沖縄の海兵隊がいることを御存じですか。

国務大臣(町村信孝君)

 米軍の、米国の発表によりますと、約五千名の沖縄の海兵隊員が日本を離れているということは承知をしております。

小池晃君

 ファルージャの最前線には、八月に沖縄から出撃していった第三十一海兵遠征隊がいるんです。アメリカ海兵隊ニュースでは、その戦果が誇らしげに報道されています。ある砲兵部隊が百五十五ミリりゅう弾砲六門から十二発をファルージャに撃ち込んだ。指揮官は部下に対して、今日我々は敵を殺した、後味の悪さを感じているかもしれないが、これが我々の任務だと。

 総理は、真っ先にイラク戦争を支持して自衛隊を派遣した。そして、日本から出撃した米軍が今ファルージャの最前線で国際法違反の無差別攻撃を行っている。結局、この戦争は一体何だったのか。イラクが大量破壊兵器持っていると。結局なかったじゃないですか。そして、国連決議なしに先制攻撃やった。国連憲章は無惨に踏みにじられた。残虐行為は数限りない。テロをなくすためと言いながら、イラク全土がテロリストの巣窟になっている。正にイラク戦争は人権と人道を踏みにじる、無法に、その連続だったというのが実態だと私は思う。

 総理、あなたは、日本をこんな戦争の共犯者にしたんですよ。そのことをどう考えているんですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 テロというのはイラク戦争の開始前からあったんです。テロとの戦いというのは、国際社会が今一致して対応しなきゃならないということであると思います。

 我々としては、このテロとの戦い、これは国際協調体制、日米同盟、そしてイラクがイラク自身の復興支援に努力している、そういう活動を支援するということでやっているんであって、あの国連決議に基づいて、フセイン政権が大量破壊兵器を持っていませんと、国連決議を遵守して査察を受け入れていれば戦争は起こらなかったんです。こういう点も考えなきゃいけないと。現在、じゃフセイン政権が存在していたら、どれだけまたイラク国民が被害を受けたかと、世界に脅威を与えたかという点も同時に考えなきゃいけないと思っております。

小池晃君

 何と言おうと、国際人道法違反の無差別攻撃を支援しながら、人道復興支援なんて口にする資格はありません。

 政府と与党は、あした国会の幕無理やり引き下ろして、閉会後に自衛隊派兵の延長を決めようとしていますが、これ断じて許すことできない。このまま無法なイラク戦争に加担続ければ、日本が犯している誤りが一層取り返しの付かないことになる。二十一世紀に本当に禍根を残すことになるんだと。憲法違反の自衛隊派兵は直ちに中止をして撤退せよと、そのことを強く求めて私の質問を終わります。

ページトップへ
リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。 © 2001-2010 Japanese Communist Party, Akira Koike, all rights reserved.