お答えを申し上げます。
私ども会計検査院では、従来より、社会保険庁における物品等の調達につきましては、契約方法、仕様、調達数量、そういったものが適切か検査を行っておりまして、随意契約につきましても、法令の趣旨に反していないかなどの観点から検査をしているところでございます。
そのようなことで、本年、検査を実施いたしましたところ、先ほど御指摘ございましたが、適切でないと認められる事態が見受けられましたので、去る今月九日に総理に手交いたしました平成十五年度決算検査報告に不当事項として掲記しているものでございます。
掲記した事項は二件ございまして、その概要を申し上げさせていただきますと、まず、国民年金推進員が未納者を戸別訪問する際に携行するために導入した携帯用端末、いわゆる金銭登録機についてでございますが、社会保険庁ではこれをそれぞれの社会保険事務所等で調達をさせ、これらの社会保険事務所等では取り扱う業者がほかにないことなどを理由に随意契約によりカワグチ技研から購入しておりました。しかし、この金銭登録機は大量に調達するものであるということ、それからまた複数の会社で販売されるなどしておりましたことから、こうした調達の仕方は契約の公正性、透明性等が確保されておらず、一般競争契約を原則としている会計法令の趣旨に反していて適切でなく、不当と認めたものでございます。
それから次に、社会保険業務に関する届出書等を印刷するなどのための届出用紙等印刷システムの提供を受ける契約についてでございます。
社会保険庁では、これをカワグチ技研と随意契約により締結し、社会保険事務所あるいは市区町村等に設置をしておりました。しかし、その使用実績等について検査いたしましたところ、全く使用実績のないものがあったり、使用実績があるものでも一年間に百枚程度であったり、そういうことでほとんど使用されていない状況となっておりました。こういうことで、導入に当たって検討を十分に行っておらず、コピー等で対応が可能であったのにこの印刷システムを導入したのは適切でないということで、不当と認めたものでございます。