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161 臨時国会 厚生労働委員会 質問

2004年11月11日(木)

  • 「混合診療解禁」/保険会社の利益狙いだ/参院委 小池議員が追及(関連記事

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 小泉首相が改革と称して進めております混合診療の解禁の問題について今日はお伺いしたいと思います。

 規制改革・民間開放推進会議の中間取りまとめで、「質の高いサービスを提供することができる一定水準以上の医療機関において、新しい検査法、薬、治療法等を、十分な情報開示の原則の下で、利用者との契約に基づき、当該医療機関の判断により、「混合診療」として行うことを包括的に認める。」と、こういうふうになっているわけですが、私、これ本当に乱暴な議論だと思うんですね。

 これは結局、ある水準以上の病院であれば、医療機関と患者の合意あれば何でもできる、そういうことになるじゃないですか。内閣府としてはなぜこんなやり方で医療の安全性が守れるというふうに考えているのか、説明してほしい。

政府参考人(河野栄君)

 お答えをいたします。

 御指摘ございましたように、規制改革・民間開放推進会議の中間取りまとめにおきましては、混合診療の全面解禁を提言しつつ、御指摘ございましたような早急に講ずべき措置としての一定の提言もさしていただいているところでございます。

 この中で、提言に対しまして、混合診療の解禁は安全性あるいは有効性が確保できないおそれがあるという御見解もございますけれども、これに対しましては、規制改革・民間開放推進会議の中間取りまとめにおきまして、一つには、自由診療は容認されているわけでございまして、こういう現状におきまして混合診療に限って安全性や有効性を問題にすることは合理性がないのではないか、それからまた、保険外の診療の内容、まあリスクも含めてでございますけれども、料金等に関する適切な情報に基づいて患者自らが保険診療に加えて保険外診療の提供を選択する場合に、それを認めないでいる理由はないのではないかと、こういった反論もさしていただいているところでございます。

 なお、自由診療の安全性に関してでございますけれども、既に前身の総合規制改革会議から厚労省に対しまして、保険外診療、いわゆる自由診療につきましては、患者の健康、安全の観点から審査は必要がないのかと、こういう趣旨の照会を行っておりますけれども、これに対しまして厚労省からは、医療につきましては、途中省略をいたしますけれども、医師法、医療法、薬事法等によりまして、国民の健康の保持、安全の確保等の観点から必要な措置が講じられているところであり、保険外診療であるからといって患者の健康、安全の観点からの審査を必要としないという趣旨ではないという御回答をいただいておりまして、自由診療においても安全の確保はされているという趣旨の御回答を得ているところでございます。

小池晃君

 いや、私の質問に全然答えてないんですけど、要するに、ある程度の病院、例えば虎の門病院とかそういうふうになれば、そこで病院と患者が合意すれば何でもやっていいというのがこれ考え方でしょう。そういうことで医療の安全性が保たれるのかと。こんなことやったら無政府状態で、もう、どんな治療が行われたって全く責任持てないということになるじゃないですかと。そこに全く、その安全性それで大丈夫だという根拠を示していただきたいんです。

政府参考人(河野栄君)

 先ほども御答弁さしていただきましたけれども、混合診療の解禁といいます場合には、保険外診療と保険診療を併用することでございまして、保険外診療であった部分が保険診療に転用されるということではございません。そもそもそこに、保険外診療について安全性が担保されてなくていいのかという問題が背景にあるわけでございまして、それにつきましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、自由診療につきましても、医療法、医師法あるいは薬事法等によって安全の確保の措置が取られておると、こういう御回答をいただいておるところでございます。

小池晃君

 まああんまりかみ合わないんですけれども。

 私たちは、この特定療養費制度というのがやっぱりそういう意味では一定の安全性確保する担保になるというふうに思うんですよ。もちろん特定療養費制度そのものにも問題がないわけじゃない。選定療養、高度先進というのを逸脱しているんじゃないかと思われるような百八十日以上の入院とか、二百床以上の初再診料という問題点ある。しかし、こういう新しい検査法、薬や治療法ということでは、やはりその安全性、有効性を確認できるのであれば速やかに特定療養費の対象にして、さらに保険適用にしていくということをやることで十分私は新しい技術に適用できる問題だというふうに思うんです。

 しかも、混合診療になってしまうと、特定療養費の場合は一応その治療成績のデータを提出するというふうな仕組みがあるわけですが、全くそういう仕組みもなくなるということになるわけで、これはEBMを確立するという点でも非常に有害だというふうに思うんですね。

 何でこういうやり方で、その新しい医療技術をできるだけ安価に利用できる仕組みを広げていく、これで十分じゃないですか。何でいけないんですか。

政府参考人(河野栄君)

 お話がございましたように、現行制度の下では混合診療は特定療養費制度という形で限定的に認められておるところでございます。

 しかしながら、特定療養費制度におきましては、これは基本的な現行制度の枠組みは医療技術及び医療機関ごとに個別の承認を必要とすると、こういう仕組みになっているわけでございまして、手続にも一定の時間は掛かるわけでございますし、そういう意味で患者のニーズにも的確に対応できないという面があろうかと思います。さらにはまた、医療現場の創意工夫を促すこともできないということで、これは前身の総合規制改革会議の時代から、混合診療を包括的に認める制度の導入が必要であると、こういう提言を申し上げてきているところでございます。

小池晃君

 これ、医療現場の創意工夫を生かすことが何でできないんですか。全く理解できない。

政府参考人(河野栄君)

 繰り返しになりますけれども、現行制度では個別の医療技術及び医療機関ごとの承認が必要と、こういうことで初めてそういった導入ができるわけでございますから、やはりそこには一定の時間も掛かりますし……

小池晃君

 いいじゃないですか。

政府参考人(河野栄君)

 包括的に認める方が、こういった現場の創意工夫を促すことにも資するという趣旨でございます。

小池晃君

 一つ一つ時間を掛けて確認していくことに意味があるんですよ。イレッサの問題だって、これは早けりゃいいというものじゃないわけで、安全性、有効性、確認するということが必要なわけです。同時に、やはり早くしなけりゃいけないというのは、それは確かにあるかもしれない。やはり、できるだけ迅速にやりながら安全性、有効性を、一つ一つの医療技術について、一つ一つの医療機関について丁寧にやっぱり確認していく作業をやることによって安全性、有効性、担保していくという仕組みなわけでしょう。何でこれでいけないのかと私、本当に理解できない。

 大体、ニーズ、ニーズと言うけれども、いろいろと挙げるのは、乳がんの治療後の乳房再建術とか舌がんの摘除後の形成術が混合診療を認められるべきと言うけれども、これ、実態いろいろお聞きすると、保険と自費ですみ分けてやっていたり、あるいは保険適用を広げて何とかカバーしてやっているというケースも非常に多いんですね。

 私は、こういうことで結局、その患者の利益になる、メリットになると言うけれども、実態としてはそういうことはほとんど認められないのではないかというふうに思っておりますし、逆に自費をどんどん拡大していくことによって経済的な格差、これによって受けられる医療が決まるという大変な弊害をもたらすものだというふうに思うんです。

 いろんな新しい技術を本当に適用していくということは確かに重要なことなんで、これは厚生省に聞きたいんですが、やはり特定療養費というのを固定的なものとして考えてはいけないと。やっぱり時々刻々変化していく医療技術や患者さんのニーズにこたえる形で、やはり常にアップデートしていくという努力は、これはどうしても必要だと思うんです。

 私は、内閣府の言うような新しい治療法や薬や検査ということについては、これは安全で有効性確立されれば特定療養費、更に速やかに保険適用と、こういうことをきちっとやっていけば、内閣府にいわれのないこういう言い掛かりを受けることなく安心、安全な治療法、普及していくことを十分私はできるというふうに思うんですが、厚生労働省としてはどのようにお考えですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 実績でお答えしたいと思いますけれども、特定療養費で認められております高度先進医療の実績で申し上げますと、昭和五十九年以来、全体で百五十六の技術が承認されております。そのうち、実は保険に導入されたものが五十八技術、それから取り消されたものが十技術ということで、現在は八十八技術が承認をされているということでございます。

 このように、適宜高度先進医療について承認をしてきている実績がございます。

小池晃君

 いや、今後の進め方について、やはりこういう新しい技術なんかを適用していく上で判断基準明確にするとか、あるいは審議内容とか結果をオープンにするとか、そういう努力が必要ではないかと私は申し上げているわけです。

 もう一つお聞きしたいのは、これ、混合診療を進める人たちがよく言うのは、高度先進に係る医療を保険適用していくと医療費が大変膨れ上がるんだというようなことをおっしゃるんですが、ちょっと高度先進に掛かる医療費というのは幾ら掛かっていて、国民医療費に対してどの程度の比率を占めているのか、お聞かせ願いたいと思います。

政府参考人(水田邦雄君)

 平成十四年六月から平成十五年五月までの一年間の高度先進医療に掛かる医療費でございますけれども、これは合計で二十三億円でございます。ちょっと時点ずれますけれども、平成十四年度の国民医療費は三十一兆一千二百四十億円でございますので、便宜的に率ということで計算をいたしますと、高度先進医療に掛かる医療費の国民医療費に占める割合は〇・〇〇七%となっております。

小池晃君

 まあ〇・〇〇七%ですから、本当に誤差の範囲なわけで、これを保険適用、もちろん安全性、有効性そして普及ということを考慮しながら保険適用していくことに、私は何の問題もないというか、むしろ積極的にやっていく方向で努力をしていくべきだというふうに思うわけです。

 以上の議論を踏まえて大臣にお聞きしたいんですけれども、内閣府の議論というのは私は説明聞いても、なぜ混合診療が必要なのかと、今の制度を有効に活用していくことで十分患者さんのニーズにはこたえられるというふうに思うわけですね。同時に、こういうことをやると弊害が非常に大きいわけで、やはり費用負担できる人とできない人の間にその格差が生じると。

 アメリカなんかは、混合診療を推進する人たちはモデルにしているようですけれども、アメリカは、医療費はGDPに占める割合は世界一位で、一方で、WHOによる健康達成度は十五位ということで、営利化が進めば効率が良くなるかというと決してそうではないということは証明されているわけです。

 日本の医療のやっぱり一番の良さというのは、保険証一枚あれば、これはアクセスできるし、同時に高度医療まで受けることができるということが日本の医療の一番いい点で、国民皆保険制度を守るとおっしゃるけれども、これは単に保険に加入できるということだけじゃなくて、やはり保険証一枚でそこまで、やはり納得できる治療までカバーしているというところに大きな意味が私はあるというふうに思うんですね。

 その点で、私、混合診療の解禁ということをやれば、この日本の医療の一番やはり優れている点が破壊されることになるというふうに考えますが、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 そこの点については小池先生と意見が全く一致していると思います。そのまず前段の部分について申し上げます。

 私が言いたいのは、国民皆保険を守らなきゃいけない、そしてまたそれにフリーアクセスというのが伴って守らなきゃいけないと思いますという意味で、小池先生と意見が一致しますということをまず申し上げたわけであります。

 その中で、じゃ、いわゆる混合診療についてどう考えるかということでございますが、もうこれについては何回も御質問いただいておりまして、いつも同じ答えをさせていただいております。すなわち、我が国の国民皆保険を将来にわたり守り、必要な医療を、失礼しました。今、ちょうど同じようなところを見ておりましたので国民皆保険について触れてしまいましたが、失礼しました。混合診療の部分で申し上げますと、いわゆる混合診療を無条件で解禁することは不当な患者負担の増大を招く、有効性、安全性を確保できないといった懸念があることから、適正なルールの設定が不可欠であると考えております。

小池晃君

 資料配付していただきたいんです。

  〔資料配付〕

 私、この混合診療というか、なぜこういうふうに熱心に進めるのかなということでいろいろと調べておりますけれども、結局、先ほど二十三億円と言いましたけれども、国民医療費全体から見れば小さい数字ですが、マーケットとしてはこれは大きい。そういう中で、やはりこういう公的医療保険利かない分野がどんどん増えていくということで、一番利益を上げるのは公的保険の対象外となる診療費を対象とする保険商品を売り出す企業だと。セコムは富国生命と共同で既にそうした商品を十月から販売している。

 こうしたことを考えていったときに、内閣府の規制改革・民間開放推進室の職員名簿をいただいたんです。私、見て、これ驚いたんですが、ごらんいただけるように、室員二十七名中十四名が民間企業からの出向なんですね。しかも企業名、これ見ると、オリックス、セコム、第一生命、三井住友海上、東京海上火災保険、これ、結局、どういう企業かというと、ほとんど混合診療で保険商品を売り出そうとしているような企業ばっかりなんですよ、これ。これが役所なのかと、私、見て目を疑いましたね、はっきり言って。もう内閣府の殻かぶった企業集団ですよ、これ。私、これ内閣府に、なぜこういう人たちを選んだのか、お聞きしたい。

政府参考人(河野栄君)

 お答えをいたします。

 規制改革会議、規制改革・民間開放推進会議そのものが民間の委員の方の知見を生かしつつ規制改革に取り組むということで、民主導で取り組んでおります。事務局につきましても、そういった民間の方々の経験なり知識も活用したいということで御出向いただいているところでございまして、今御指摘ございましたように、現在の室員のほぼ半分は民間からの出向者でございますけれども、これは事務局員も内閣府の職員として現在は真摯に業務に取り組んでいただいているところでございまして、御指摘のような問題はないものと考えております。

小池晃君

 そんなの言い訳にならないんです。民間といったって、民間というのは企業だけじゃないんです。例えば医療を受けている患者さんであるとか、医療従事者であるとか、病院の関係者とか、あるいは医療関係以外の市民だっているわけで、それで、民間というので選ぶのはほとんどもうこれ、要するに混合診療で一番期待をしている企業の人たちばっかりじゃないですか。何でこれで、あなた、これで行政の中立性担保されると思いますか。

政府参考人(河野栄君)

 お話しいただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、民間からの出向者、ほぼ半数はおりますけれども、内閣府の職員として辞令を受けて真摯に取り組んでおります。

 それから、規制改革・民間開放推進会議の、これは答申等を作成して提言をしてまいるわけでございますけれども、この答申の作成につきましては、先ほども申し上げましたように、優れた識見を持つ方として任命された委員による合議制の審議によりあくまで行われるわけでございまして、御懸念のようなことはないものというふうに考えております。○小池晃君 いや、その御懸念のようなことがあるわけですよ。その優れた識見を持つ人のトップが一体どういう人ですか。オリックスのグループのCEOの宮内義彦さんでしょう。オリックスというのは、保険商品、特に今、保障性商品で一番もうけようとしているところですよ。しかも、プロ野球の分野ではもう頑固に市場参入をストップさせながらこの分野では市場開放というのは、私はどう考えたってこれは金もうけのことしか考えていないというふうに言っても失礼には当たらないのではないかというふうに思うような人です。

 大臣、私、こういう形で本当に日本の医療の根幹にかかわる政策が議論されていると、省が違うのでというのはあるかもしれませんが、こういう室員を集め、その司令塔は混合診療を進める営利企業の総帥が仕切っている、こういうことでいいんでしょうか。率直な、私、御見解をお伺いしたい。

国務大臣(尾辻秀久君)

 私どもは私どもなりにきっちり議論をいたしますから、この規制改革の御議論は御議論として、それはまたそのお立場での御議論があるでしょうから、それはそれとしてお聞きしながら、私どもは私どもの立場をきっちり守る、こういうことだと考えます。

小池晃君

 そんな、ちょっとね、ことでは困るんですね。やっぱり内閣一体なんですから、やっぱりこういうやり方しているということに担当大臣、一言やっぱり言うべし、言うべきですよ、こういうやり方でいいのかと。

 私、今日実は質問通告に当たって、これはやっぱり内閣府の大事な問題だから、副大臣なり政務官なり出てもらえないかと言ったんですけれども、それは御勘弁願いたいと言うわけですね、内閣府の方は。やっぱり政治家不在なんですよ、これ。それで、こういう企業集団がこういう何か本当に得体の知れない推進室というのを作って、どんどんどんどん医療の重要な方針について方針を出して、それが厚生労働省にどんどんどんどん今来ているわけでしょう。私は、はっきり物を言うべきだと、こんなやり方でいいのかと。

 こういう路線に乗っかって、そしてこれがあたかも医療改革の根本であるかのようなあの小泉内閣のやり方について、担当大臣として私は物を言うべきだというふうに思いますけれども、もう一回聞きますけれども、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 必要があれば物を言うつもりでございます。

小池晃君

 これは必要が大いにあるというふうに思いますので、物を言っていただきたい。

 ちょっと時間がなくなってきちゃったので、あと残りで国民年金保険料の未納問題、聞きたいんですが、ちょっと厚労省として把握している今の未納者の数、端的にお願いします。

政府参考人(青柳親房君)

 私ども社会保険庁におきましては、三年ごとに国民年金の被保険者実態調査というものを実施しております。その中で、その調査時点からさかのぼりまして過去二年間に国民年金の保険料を全く納付していない方、この中からは免除などで制度的に保険料納付を要しない方は除いておりますが、こういう方々を未納者とまず定義しております。その数字は直近の調査結果におきましては、平成十三年度末で三百二十七万人というふうになっております。

小池晃君

 一方で、会計検査院の報告概要を出されましたが、ここで言う未納者、それからそのうち七か月分以上の未納の人の人数を言ってください。

説明員(増田峯明君)

 お答え申し上げます。

 私ども去る九日に総理に手交しました平成十五年度決算検査報告の中で、特定検査対象に関する検査状況として、国民年金事業の実施状況についてということで掲記をしております。その中で今お尋ねの件数を記述しておるわけですけれども、十五年度末時点でございますが、一か月分以上の保険料が未納となっている方の数、これは一千百二十九万余人でございます。それから、そのうちの六か月分を超えた保険料の未納がある方の数は八百四十万余人ということでございます。

小池晃君

 これお聞きしたら、会計検査院は社会保険庁からこの数字をいただいたと。これ要するに、社会保険庁が言う未納者というのは、二年間一度も保険料を払っていない人を未納者と言うんですよ。会計検査院の未納者というのは、一か月分でも払わなければ未納者と。同時に、その中で半年以上はどうか、一年分以上はどうか、一年半以上はどうかというふうにちゃんと分けているわけですね。

 私、社会保険庁はこれまでこういうデータを私何度も問い合わせたんですが答えていただけなかったんですが、実はこういうものを持っていたと。しかし、今まではこれを出さずに、二年間一度も保険料を納めなかったという、本当に小さく小さく見せる数字しか示してこなかったというのは本当に大問題だというふうに思うんです。

 大臣にお聞きしたいんですが、私は会計検査院が明らかにした一千万人、一千万人の中には恐らく一月、二月間違っちゃったという人もいるでしょう。しかし、やっぱり半年分以上となったらこれはかなり深刻な滞納の状況になりつつあると見るべきだと。それは八百万人いると。

 大臣ね、私これは国民年金制度の崩壊につながるような本当に深刻な事態だと思うし、こういう数字を厚生労働省が会計検査院入るまで出さなかったということは私はこれは問題だと思いますが、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 おっしゃるように、こういう統計の取り方というのは結構難しいところがあります。二年間ですから二十四か月です。そのうちの一か月だけ納めていなかった人をどう思うのか。また、今度はそれと一か月だけ納めて二十三か月納めていない人、この辺をどういうふうに把握しながら統計出すかというのはそれなりに難しい面を持つことは事実であります。

 そこで、国民年金の未納者数につきましては、これまでも三年に一回の調査で公表してまいりましたけれども、受給権を確保できないおそれのある方などの実態については、社会保険庁が管理している被保険者記録の限界や個々人の状況を特定するための前提条件の定め方など難しい面もあり、確固たる数字をお示しすることができませんでした。

 しかしながら、今後は国民にいたずらに不安や誤解を与えることがないような形でこれらのデータについても調査、公表する方向で検討をいたしたいと考えております。

小池晃君

 これからは公表するとおっしゃるけれども、やはりこういう大事な数字を出さずに議論したっていうこと、本当に問題だと私は思うんですね。

 同時に、ちょっとこれはもう意見を述べるにとどめますが、この今回の検査報告見ますと、納付期間が短くてこのままでは老齢基礎年金受給資格なくなる人三十九万人で、それからもう一つ注目したのは、これから任意加入した場合に受給資格があるという人は七十九万人いるわけです。要するに、あと数年あればこれは受給資格もらえるという人で、これ逆に言えば二十五年という長いこの期間が少しでも短くなればこういう人は救済されるわけですよ。

 私どもは、やはり二十五年というのは異常だということを言ってまいりましたし、先日、与党議員からもそういう御指摘あったと。私、今回のこの数字を見て、本当に真剣にこの二十五年という受給期間について見直すこと始めるべきだというふうに思いますが、ちょっとうなずいていらっしゃるんで、大臣、ちょっと見解お聞きします。どうですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 二十五年がどうなのかというのはいろんな議論がありますので、また御議論いただきたいと思います。

 ただ、あえて申し上げますと、その二十五年に足らない部分のところは六十九歳までは払えるわけでありますし、そうしたことでカバーしていただくという方法もある、考えておりますので、二十五年そのものの長さについての御議論はまたさせていただければというふうに思います。

小池晃君

 終わります。

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