お尋ねの件でございますが、もう先生御承知のとおり、年金制度は人の一生にわたる非常に長期の制度でございますから、財政計算に当たりましては短期的な変動ではなくて長期の趨勢に依拠する、これが大原則であろうかと思います。
このような観点から、今御指摘の厚生年金の被保険者数の見通しを作成させていただいておりますが、今回の財政計算では平成十四年、二〇〇二年度実績を基に二〇二五年までの間の長期的な労働力率の上昇、それから第二に、この辺りがポイントなんでございますが、男性の労働力人口に占める被用者年金被保険者割合、労働力人口の中で被用者年金の被保険者の占める割合が、年齢的に見ますと、現時点、直近のデータに見ましても、三十代をピークに、大体七六%というところをピークに、四十歳代、五十歳代と年齢が高いほど低くなっているという傾向が見られるわけでございます。それは何を意味するかといいますと、世代が交代することにより今後とも長期的に見たときには被用者化が進展していくということが一つの大きなファクターとして見られるわけでございます。
そういう要素を織り込んで長期的トレンドを推計した結果を基にいたしまして、財政再計算の起点であります平成十七年度、二〇〇五年度を見通したところ、厚生年金の被保険者数は直近実績に比べて若干増加する。先ほど引用いただいた数字で恐縮でございますが、旧農林共済を除く三千百七十万人という二〇〇二年度の数字から二〇〇五年度におきまして三千百八十万人、十万人の増の数字を起点として財政再計算の数字が並んでいくと、これはあくまでも長期的なトレンドを見た結果としてのこの二〇〇五年の数字でございます。
こうした二〇〇五年の数値が実現可能かどうかというお尋ねでもございますけれども、繰り返しになりますが、長期的な趨勢に依拠する年金の財政再計算において、短期的なこの数字というもの、単年度の数字の達成ができるかどうかということは少々年金財政を判断する上では適切ではないと考えております。
ただ、直近の動向から見ますと、私どもまだ十分精査しておりませんけれども、二〇〇三年の実績というもので見ると、若干厚生年金被保険者数の加入数というものが低下の傾向が少し止まってきている、こういう要素も見られるというふうに私どもは承知しております。