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160 臨時国会 厚生労働委員会質問

2004年8月5日(木)

  • 改悪年金法/経済、雇用に「それなりの影響」/参院厚労委小池議員追及に 厚労相が認める(関連記事
  • 36 億円すべて随意契約/厚労省 一括購入の出版物/小池氏追及、厚労相が調査検討(関連記事

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 厚生労働省職員の受け取る監修料のことが問題になっておりまして、これは選択エージェンシーをめぐっては逮捕者も出ています。最近の報道では、選択以外の企業からも監修料を受け取っていたということが明らかになっております。これ、疑惑の全容解明を求められていますが、その際、一つのかぎを握るのが不透明な随意契約の問題です。これ、随意契約を結ぶに当たって不正はなかったのか、あるいはその金額妥当なのか、徹底的な検証が必要だと思います。

 まずお聞きしますが、厚生労働省の各部局が出版物を発注した業者から一括購入した総額、これは昨年総額で幾らになるのか、そのうち随意契約はどれくらいになるのか、お示しいただきたい。

政府参考人(福井和夫君)

 お答えをいたします。

 昨年度でございますが、厚生労働省、これは社会保険庁を含みますが、厚生労働省におきまして一括購入をいたしました出版物の総額でございますが、三十六億六千二百三十九万七千五十四円でございまして、すべて随意契約によるものでございます。なお、これは購入部数が千部以上又は購入額が百万円以上のものを対象にいたしまして調査をさせていただいたものでございます。

  〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕

小池晃君

 一括購入した出版物だけで一年間で三十六億円に及ぶ。しかも、すべてこれ随意契約であります。厚生労働省が提出した資料によれば、出版物は四百八種類、中でも最大規模は社会保険庁で約十九億、それから次が労働基準局で十一億九千万円ほどです。約十九億円の購入をした社会保険庁から随意契約で受注した企業、団体の数、そしてそうした団体への天下りの数を示していただきたい。

政府参考人(青柳親房君)

 私の方からは、まず社会保険庁が随意契約により一括購入した団体、会社等の数についてお答えを申し上げたいと思います。

 平成十五年度におきまして、随意契約により購入した書籍のうち、購入部数が一千部以上又は購入額が百万円以上のものを発注した団体あるいは会社等の数について調べましたところ、その数は三十一件となっております。

政府参考人(福井和夫君)

 ただいま社会保険庁の方から三十一の団体があるということで御答弁申し上げましたが、この三十一の団体のうち、私ども厚生労働省の所管する法人における厚生労働省の言わば OB の在籍状況につきましてお答えをさせていただきたいという具合に思います。

 当省の所管法人の役員でありまして、本省の課長相当職以上を経験した者は現時点におきまして合計八団体、三十一団体のうちの八団体二十七人となっているところでございます。

小池晃君

 役員だけで二十七名。八団体の中で三名の天下りがいる全国社会保険協会連合会、これ一か所だけで三億二千万円の契約を結んでここにも監修料支払われているという報道が今日もされています。

 大臣に私、これお聞きしたいんですが、年金改悪などで国民に痛みを押し付けて、その改悪の中身を知らせる出版物を天下り先の会社に随意契約で発注する、そして監修料が厚労省に支払われる、こういう構造だと。大臣は今回報道されている国保課だけではなくて厚労省全体の監修料の実態を調査するというふうにおっしゃっていますが、問題はこうした取引がどういう経過で行われてきたのかと。例えば、選択エージェンシーの問題について、受け取った監修料の金額については、これは明らかにされましたが、なぜ、どうした経過で契約に至ったのか、それも随意契約に至ったのかということについては何一つ明らかになっていない。これでは国民は納得しないし、私は再発防止策などここからは生まれてこないと思うんです。

 大臣に私は、チームを作って調査をするということであれば、こういう出版物だけ取ってみても三十六億円と、このほかにも様々なビデオとかいろんなものあると思うんですが、これ徹底的にどういう経過で契約に至ったのかも含めて調査をすべきだと、解明すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 随意契約につきましては、前国会でも答弁を申しましたとおり、極力随意契約はないようにする。随意契約も内容は様々でございます。ある書物など、もう一つしかないといったようなものもありますから、競争相手、なかなかそれはないというものもあるわけでございますけれども、競争のできるものはすべて競争にしていくというふうに処したところでございますし、庁内におきましても省内におきましても、そういう方針で今後進みたいというふうに思っているところでございます。

 今お話がありましたように、この随意契約に至った経緯といったようなことにつきましても、なぜ随意契約になったのかと。例えば、同じような内容のもの、ほかにもたくさんあるにもかかわらず一つのものに限定をしたといったようなときには、それはなぜそうなったのかといったようなことも含めて今後検討をしていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 私は、「選択」の問題というのは氷山の一角であって、国保課の問題も氷山の一角であって、こういう、厚労省全体がこういう問題が、構造があるのではないか。この問題、本当に徹底的にメスを入れるということを求めたいというふうに思います。

 続いて年金の問題ですが、八割の世論調査でも国民は白紙に戻せと要求しているわけですが、与党は年金財政赤字を止めるための改革だとおっしゃいます。しかし、本当にそうなのか。

 最初に、厚生年金の加入者の見込みについてお聞きしたいんですが、政府の見込みでは〇五年に三千二百三十万人、しかし直近の〇二年の実績は三千二百十四万人です。これ、二〇〇〇年からの二年間で、農林共済の統合と、それから六十五歳以上の適用拡大の影響を除けば、厚生年金の加入者は百万人以上減っているんです。

 ところが、突然増え始めて、三年後には十六万人増えると、こういう想定をしているわけでありまして、私はこれはなぜかということを説明する必要があると。法案の審議の中でもこれ答えていません。なぜなのか、説明いただきたい。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 お尋ねの件でございますが、もう先生御承知のとおり、年金制度は人の一生にわたる非常に長期の制度でございますから、財政計算に当たりましては短期的な変動ではなくて長期の趨勢に依拠する、これが大原則であろうかと思います。

 このような観点から、今御指摘の厚生年金の被保険者数の見通しを作成させていただいておりますが、今回の財政計算では平成十四年、二〇〇二年度実績を基に二〇二五年までの間の長期的な労働力率の上昇、それから第二に、この辺りがポイントなんでございますが、男性の労働力人口に占める被用者年金被保険者割合、労働力人口の中で被用者年金の被保険者の占める割合が、年齢的に見ますと、現時点、直近のデータに見ましても、三十代をピークに、大体七六%というところをピークに、四十歳代、五十歳代と年齢が高いほど低くなっているという傾向が見られるわけでございます。それは何を意味するかといいますと、世代が交代することにより今後とも長期的に見たときには被用者化が進展していくということが一つの大きなファクターとして見られるわけでございます。

 そういう要素を織り込んで長期的トレンドを推計した結果を基にいたしまして、財政再計算の起点であります平成十七年度、二〇〇五年度を見通したところ、厚生年金の被保険者数は直近実績に比べて若干増加する。先ほど引用いただいた数字で恐縮でございますが、旧農林共済を除く三千百七十万人という二〇〇二年度の数字から二〇〇五年度におきまして三千百八十万人、十万人の増の数字を起点として財政再計算の数字が並んでいくと、これはあくまでも長期的なトレンドを見た結果としてのこの二〇〇五年の数字でございます。

 こうした二〇〇五年の数値が実現可能かどうかというお尋ねでもございますけれども、繰り返しになりますが、長期的な趨勢に依拠する年金の財政再計算において、短期的なこの数字というもの、単年度の数字の達成ができるかどうかということは少々年金財政を判断する上では適切ではないと考えております。

 ただ、直近の動向から見ますと、私どもまだ十分精査しておりませんけれども、二〇〇三年の実績というもので見ると、若干厚生年金被保険者数の加入数というものが低下の傾向が少し止まってきている、こういう要素も見られるというふうに私どもは承知しております。

小池晃君

 いろいろおっしゃったんですけれども、その数字、労働力人口に占める被用者年金被保険者の割合、これは確かに若い世代ちょっと高めだから将来高くなっていくだろうというんですが、その若い世代の今の実績が今後一切変わらないということが前提なんですよ。

 しかし、この労働力人口に占める被用者年金被保険者の割合は、既にこのわずか一年後の〇二年度の実績で見ても二十代前半では一・六%、二十代後半では〇・七%、若い世代で下がってきているんですね。それから、さらにその前提となる労働力人口も減っているわけです。これ、政府の推計では、労働力人口は今後〇五年度にかけて二十代前半では〇・五%、二十代後半では一・八%伸びると見込んでいるんですが、これも実際には〇二年度までの段階で既に二十代前半で一・一%、後半で〇・一%下がってきていると。

 私、大臣にお聞きしたいんですが、長期的、長期的とおっしゃるけれども、既に現実の問題として、今の若い世代の中での労働力、労働者になる比率も、それから労働者の中で被用者年金に入っている比率も下がってきているんですね。ですから、私、こういう中で厚生年金の加入者が当面、二〇〇五年まで増えるんだということは、私、全く根拠がないのではないかと思うんですが、大臣、そこはどう見ていらっしゃいますか。

国務大臣(坂口力君)

 確かにこの数年、経済状況が非常に悪かったわけでありますから、労働力人口が少し若い世代のところで落ちてきている、あるいはまた、この被用者年金被保険者割合というものが低下してきているということはあるいはあるかもしれません。しかし、これは経済の動向等かなり影響するわけでありますから、私は今後、だんだんと今後下がっていくというふうには思っておりません。

  〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕

 間もなく、二〇〇三年の数字が間もなく出るだろうというふうに思っておりますが、私は現在の段階でそれほどここが落ち込んでいくというふうには考えておりません。

小池晃君

 私は、その根拠を、今もそうならないと思うという希望的観測だけで、根拠は示されていないと思います。

 それから、更にお聞きしたいのは、保険料がこれから上がるわけです。ところが、政府の試算では、保険料が上がることによる経済や雇用への影響を全く見込んでいないと。これは一体なぜなんですか、簡単に説明していただきたい。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 この保険料水準の引上げにつきましては様々な御議論がございました。この委員会におきましてもいろいろ御指摘をいただいておりますが、中には、厚生年金の保険料が現在の経済状況の下で一気に引き上がった場合にどういう影響があるかという、何といいますか、評価というようなことも交ざっておりまして、私どもは、今回の改正によりまして十四年掛けて段階的に引上げをなだらかに行うということ、それから、この十四年の間の我が国の経済社会というものが現在と同じ状況にとどまっているわけではなく、生産性の上昇など経済の変化の中でこうした保険料の引上げの影響というものをとらえていくべきものではないかというふうに考えている次第でございます。

小池晃君

 大臣ね、十四年掛けてじっくり上げるから影響はないんだって、それは余りにもおかしいと私は思うんですよ。

 だって、日本経団連のアンケート調査でも、保険料を引き上げられた場合にはコストを勘案して労働形態の転換を検討する企業、これ七八%です。それから、内閣府がやったアンケートでも、これ経済財政白書に載っているんですが、年金保険料の引上げで消費支出を減らすと答えた人が五〇・六%なんです。これ来年のことなんですね。経済財政白書では、一年間のわずかな保険料、わずかではないと思いますが、これでもこれだけ半分の人が消費支出を減らすと言っているのはこれ重大だというふうに分析している。

 私は、この保険料の引上げが経済や雇用に影響を与える、これは必至だと思うんですが、大臣はそうではないというふうにおっしゃるんですか。

国務大臣(坂口力君)

 この議論は、年金の財源をどこに求めるかということに私はなる議論だというふうに思っております。保険料としてこれは納めるのか、それとも税として納めるのか、あるいは、その両方ともやらないのであれば年金が更に小さくなっていくけれども果たしてそれでいいのか、そこは私は両方あると思っております。

 例えば、現在四十二兆円の年金が出ているわけでありますから、この四十二兆円の年金が全国津々浦々出ておりまして、地方におきましては消費の約二割ぐらいをこの年金が支えているとさえ言われております。したがって、景気が悪いときでも年金は出るわけでありますから、非常に大きな支えになっている。そうしたプラス面も見ていただかなければならないわけでありまして、保険料、確かに保険料も私はゼロだとは決して申しません、それなりの影響はあるかもしれない。しかし、それによって一方において年金がそれだけ維持されていくということになれば、双方を見ていただければ、この年金がマイナス面だけではないと私は思っております。

小池晃君

 いや、私はそういうことを聞いているんじゃなくて、今回の再計算が保険料の値上げの影響ないというふうに分析しているわけです。それはおかしいんじゃないかと。大臣もおっしゃるように、あるとおっしゃるわけですから、だとすれば、今回の年金の再計算の基礎は間違っているということになるわけですよ。

 さらに、国民年金保険料の納付率が〇七年には八割になると想定している。これは、先日発表された納付率は六三・四%なんですね。これは四年間で六割が八割まで改善すると。これは徴収対策を強化するからだというのが政府の説明です。それ、答弁もう結構です、分かりますから、そんなの、聞けば。

 私、大臣にお聞きしたいんですよ。今、これから保険料を上げるというときに、何でその六割の納付率が八割に上がるというふうに、これは前提なんですから、これおかしいと思いませんか。

 だって、今その国民年金保険料未納の最大の理由というのは、これは、国民年金加入者の四割ぐらいは、今、非正規雇用になってきていて、フリーターの方たちです。本来厚生年金に入るべき人たちが国民年金に行っていると。そういう人たちが一番納付率引下げの原因になっているんですね。こういう流れがどんどん進んでいる中で、幾らその分取立てを強めたって、二〇〇七年までに八割の納付率ですよ、こんなことがどうして実現できるんですか。大臣、これ実現できるというんだったらその根拠を説明していただきたい。私はこの点でも今回の政府の試算の前提は危ういのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 国民年金を納めていない皆さん方のカーブというのは、納めている人のカーブとまあ大体パラレルなんですね。必ずしも低所得の人たちだけではなくて、所得の高い層の皆さん方におきましても、この国民年金の支払というのが行われていない。半分は大体所得のある人でございます。

 ですから、この皆さん方に、年金というのはお互いに支え合うもの、個人の、自分は所得があるからもう納めなくてもいいんだというお考えは、それは違っておりますと。お互いにこれは支え合うものということをどう理解をしていただくかということによって非常に大きな影響を私は与えるというふうに思っております。

 その辺のところがどれだけこの皆さん方に御理解をしていただけるようになるかということによってこのパーセントは変わってくるというふうに思っておりますので、その辺のところを十分にこれから力を入れてやっていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 年金改革の三つの問題お聞きしましたが、どれも私、全く納得のいく説明いただけませんでした。これはやっぱり廃止をしてやり直すということが求められていると思います。

 最後に一つ、日歯連の政治献金問題についてお聞きしたいんですが、これは私たちの調査では、〇二年に医療関係団体から政界へ流れた献金額、地方、中央も含めて二十一億二千八百万円です。〇一年は二十五億五千五百万円、二〇〇〇年は二十四億八千八百万円。これは三年間で七十二億円に及びます。

 大臣、最後にお伺いしますが、こういう社会保障の財源を原資とした団体からの政治献金というのがこれだけの巨額に及んでいる。これは速やかに中止すべきではないか。

 それからあわせて、一部報道では、坂口大臣が薬剤の関連団体から政治献金受けていると報道されています。メディカル一光、オリエンタルコーポレーション、それから医療法人永仁会。この三社で、私どもの調査で献金額は四年間で七百四十一万円に及びます。大臣はかつて、厚生労働大臣就任中は政治連盟からの献金はどんな形であれ受け取らないというふうに答弁しましたが、この答弁に照らしても、こうした医療関係団体、政治連盟ではありませんが、こういったところから受け取っていたということは問題があるのではありませんか。お答えいただきたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 まず、全体の問題でございますけれども、これは社会保障だけでなく、そのほかにも公的な資金の関係している団体というのはあるわけであります。例えば公共事業等、それを受けているようなところもこれは公的な資金とのかかわりがあるわけでございまして、社会保障だけではないというふうに思います。

 したがって、全体の問題といたしましては、今後そうした問題をどうしていくかということを御議論をいただかなければならない。現在のこの社会保障だけでは私はないというふうに思っているところでございます。

 それから、私にかかわりますところのお話ございましたけれども、私が申し上げたのは、関係する業界の政治連盟等から私はこの任期中、もらわないということを申し上げているわけでありまして、その中で薬品のことをやっている個人あるいは企業、企業と申しますかそのやっている企業ですね、企業とか、あるいはまた医師の皆さん方や医療を行っている病院、そうしたところからまで私ももらわないと言っているわけではありませんで、それはやむを得ないんじゃないでしょうかね。

 私は、その関係する業界政治連盟からもらわないということを申し上げたまででございます。

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