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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

159 通常国会 厚生労働委員会質問

2004年3月24日(水)

  • 薬価下げ患者負担やめよ/小池参院議員 小児慢性疾患で迫る関連記事
  • リンパ浮腫の理学療法の保険適用について
  • 医師臨床研修予算について
  • 医薬品の安全確保と医薬品機構について

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 難病あるいは慢性疾患の子供の医療費を全額公費負担する、小児慢性特定疾患治療研究事業について質問します。

 来年度予算で、これ約三十億円増えて百二十七億円計上されています。親たちの切実な願いが実って、対象疾患の追加やあるいはすべての疾患への通院の対象拡大、それから二十歳までの年齢延長、こういったことは前進だというふうに思います。日常生活用具支給など、福祉サービスも実現しておりまして、これまでの運動の成果だと思っているんですが、最初に大臣にお伺いをしたいんですけれども、この小児慢性疾患特定治療研究事業、これはこれからも病気に苦しむ子供と家族にとって大切な制度だというふうに思います。充実が求められておりますので、大臣に最初に御決意を伺いたい。

国務大臣(坂口力君)

 御指摘のように、この小児慢性特定疾患、その治療研究事業というのは非常に大事な部門でございまして、難病等で苦しむ小児を持つ、御本人はもちろんでございますが、御家庭にとりましても大変重要な課題であるというふうに思っております。また、医療界全体にとりましても、これからその研究を進めていって、そしてその難病を克服をしていくという意味からもこれは大事なところでございまして、研究の推進と医療の確立、普及という両面から非常に大事な問題だというふうに思っております。

 あわせまして、患者家族の医療費の負担軽減という意味も大変重要な視点であるというふうに考えている次第でございます。

 制度創設以来四半世紀がたちまして、この事業を取り巻きます環境もかなり大きく変化をしてきております。そういうときでありますので、在り方に関する考え方というものをもう一度議論をしようというので議論をしてきたところでございますが、それらの議論を踏まえまして、児童福祉法に位置付けますとともに、制度の改善、重点化を今後も図っていきたいというふうに思っている次第でございます。

小池晃君

 今、私指摘した前進面だけではなくて、いろいろと問題もございます。重点化あるいは所得に応じた自己負担ということが新たに導入されると、御家族からも不安の声が出ております。

 まず、重点化についてですが、新たに設置される医学的基準に基づいて判断するとされていますが、これは私、治療の継続が必要な患者さん外すべきでないと思っているんです。

 参考人にお伺いしたいんですが、これまで対象となっていた患者が対象外になるということは、これは起こってくる可能性があるんでしょうか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 今回の小児慢性特定疾患の治療研究事業の見直しでございますが、ただいま大臣からも御説明申し上げましたように、現在の医学的知見に基づいてこの対象疾患の追加、除外を行うと、それから対象者をある程度重点化をして継続的、安定的な制度にしていこうということでございますので、具体的な作業はこれからでございますが、対象疾患から外される疾病もありますし、これに追加されるものもあるということでございますので、それによって対象とならない患者が出てくるということもあり得るかというふうに思っております。

小池晃君

 私は少なくとも現状より後退させないということをすべきだと思うんですね。少子化対策の名に私は逆行することになると思います。

 それからさらに、自己負担の導入の問題ですが、これまでは全額公費負担だったわけです。今回所得に応じた自己負担導入すると。これで毎月の負担は最高で一体幾らになるんでしょうか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 これはそれぞれの患者の世帯の保護者の所得によりまして負担の区分を考えておりまして、おおむねまあ一か月当たり外来で五千円、入院で一万円程度というようなことに制度を設計するように考えております。

小池晃君

 私が提出した質問主意書の回答では、九割の患者が自己負担の対象となって、年間負担額は一人当たり約二万円という御回答でした。二万円は平均額で、今の御答弁では、最高、通院で一年間にすると六万円以上、入院では十数万円の負担増ということになってくる。これ非常に重い負担になると。この新たに生じる患者負担の総額というのは一体幾らほどになるんでしょうか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 患者全体としての負担の総額でございますが、これはまあおおむね概算で見込みまして、医療費の自己負担分、これはそれぞれ患者さん、三歳未満は今二割負担、それから三歳以上は三割負担ということになっておりますが、この自己負担分の約一割程度を費用徴収といいますか、費用として負担をしていただくというようなことになろうかと思っております。

小池晃君

 いや、ですから総額で一体幾らになるのかとお聞きしているんです。

政府参考人(伍藤忠春君)

 約二十億円程度ではないかというふうに推計をしております。

小池晃君

 二十億円新たに患者負担生まれるわけですよ。しかし、私は、これは本当に少子化対策だというのであればこういう負担増というのはいかがなものかというふうに大変疑問に持つんです。

 そこで、小児慢性疾患の中で非常に大きな比重を占めているのは低身長症なんですね。例えばその低身長症の薬、こういう薬剤費というのはどうなっているのか。こういう外国と比べて非常に高い薬剤引き上げる、引き下げれば私はいろんな財源生まれてくるんじゃないか。

 そこで、ちょっと保険局長お伺いしたいんですけれども、この小児慢性の中で多くの患者が使っている成長ホルモン製剤、これ、国内価格と諸外国の価格がどうなっているか、お示しいただきたい。

政府参考人(辻哲夫君)

 この御指摘の成長ホルモン、ソマトロピンというものについて御報告申し上げますと、幾つかの企業の様々な含量、一つ当たりの重さでございますが、含量の製品が薬価基準に掲載されておりますので、事例的に申しますと、ある企業の五・三ミリグラム入りの製剤につきましては、国内の現行薬価が六万三千六百三十七円、外国平均価格が三万八百二十七円、また別の企業の十二ミリグラム入りの製剤につきましては、国内薬価が十四万六千七百九十三円、外国平均価格が七万一千六百八十九円でございます。

小池晃君

 このように外国価格と比べると日本の成長ホルモン製剤の価格というのは二倍にもなるわけです。これ、患者にとっても保険にとっても非常に大きな負担になっている。これ中医協でも大変大きな問題になった。私は、こういう内外価格差を解消することは本当に急務だと思っているんですが、今回の薬価制度の見直しの中で、こういう外国と比べて高過ぎる薬価の引下げのための改善策というのは果たして取られたのでしょうか。

政府参考人(辻哲夫君)

 今回の十六年度薬価改定の議論の中で、中医協において議論がなされました。御指摘の成長ホルモン製剤に関しまして、これいわゆる内外薬価価格化調整が行われる前のものというふうに承知しておりますけれども、これについて差があるではないかということについて公開の場で議論がされました。

 具体的には、この成長ホルモン製剤につきましては、平成八年度の薬価改定におきまして、薬価がまず決められた後の薬価改定におきまして、製造方法が変更されたことに伴います市場拡大再算定という仕組みによりまして一三・二%の薬価の引下げが行われた、あるいは本製剤の日本における市場が縮小してきていると、こういったような議論が行われまして、その結果、特別な新たな再算定ルールを設けることなく、他の医薬品と同様に、今回市場実勢価格に基づく改定を行うこととされたものでございます。

小池晃君

 結局、外国と比較して下げるというそういう問題提起しながら、そういう結論にならずに実勢価格で下げただけなんですよね。以前、製剤変わったとき、リコンビナントが登場したときの下げ幅だって一三%では低過ぎるんですよ。

もう遺伝子組み換え製品出たときにもっと下げなきゃ本当はいけなかったのにそれやってないと。 結果として、依然として外国の二倍近い価格だと。しかも、成長ホルモン製剤については、これ引下げどころか引上げも去年されたわけですよね。昨年七月に新規収載されたファイザー社のジェノトロピン十二ミリグラム、これは過去の製剤に比べて一ミリグラム当たりの薬価は三二・三%も引き上げられた。これ日本小児内分泌学会から厚労省に抗議文書が行っているはずであります。

 私は、薬剤の内外価格差なくして適切な引下げを行うべきときに、逆に去年は引上げまでやっていると、どう考えても納得できないんですが、これはどういうことなんでしょう。

政府参考人(辻哲夫君)

 御指摘の製剤につきましては、現行の薬価算定ルール、これいわゆる自社製品、自ら出している同じような自社製品の規格間比を用いた規格間調整により薬価算定を行うというルールになっています。

 これ、具体的には含量、先ほどミリグラムでございますけれども、それと薬価の比率、この比率を既存の既に出ているものから求めまして、それで更に重いものが出たらその比率を適用して機械的に算定を行うということでございますけれども、そのような規格間調整による算定式によって薬価算定を行いますと、相当以前からあった製剤に比べて含量当たりの価格が高くなったという御指摘のことが起こっております。

 このような状況にかんがみまして、平成十六年度の薬価算定ルールの見直しにおきましてはその点の見直しを行うという観点から、類似薬の規格間比が一を超える場合にはその上限を一とすると。これは具体的には、より重いものになりますと通常は量が増えますので価格が落ちるというのが普通ではないかと思いますけれども、それが一を超えるということは単価が重くなればなるほどむしろ高くなると。この点はもうその一を上限とするというようなルールの改定を行っておりまして、今後とも薬価の適正化に努めることとされております。

 それから、今の御指摘の製品につきましては、この新ルールはさかのぼって適用されませんが、今回の薬価改定におきます市場実勢価格による見直しによりまして薬価が相当下がっております、四分の一近く下がっておりまして、類似の、既存の類似薬と整合的な価格水準に現時点ではなっているというふうに考えております。

小池晃君

 そのミリグラムが二倍になったら薬価は二倍まで上げていいという話でしょう、結局。それは本当手ぬるいと思いますよ。普通は、だって、一ミリグラムが二ミリグラムになったら価格は二倍じゃなくてもう少し下げるというのは当然であって、それでは全く適切な対応にはなっていないのではないかと。

 そもそもこの成長ホルモン製剤の薬代がこれが小慢事業全体に占める割合、極めて大きいと思うんです。医療費に対する下垂体性低身長症の割合というのは医療費ベースでこれはどれぐらいになるのか、お答えいただきたいんですが。

政府参考人(伍藤忠春君)

 小慢事業全体の医療費に占める下垂体性小人症の医療費、約四分の一程度でございます。

小池晃君

 これ、治療研究事業予算は国と地方を合わせて約二百億円なわけですよ。そのうち四分の一、約五十億円が低身長症の医療費なわけです。この低身長症の治療における成長ホルモン製剤の薬剤比率というのは物すごく高いんです。大体七割から八割がこの薬剤費用だと言われている。ということは約四十億円になるわけですね。で、もしもこの四十億円の成長ホルモン製剤の費用が、値段が諸外国並みに半分になれば、これは二十億円の医療費が節減できることになってくる。

 私は、この高過ぎる薬価にメスを入れることで患者負担分の財源を生み出すことができると。患者負担導入だって、これだったらその必要がなくなるんじゃないか。大臣、今までの議論を聞いていただいて、私は、患者さんの自己負担を導入するよりまず先にやることがあるんじゃないか。この小慢事業についていえば、この高過ぎる薬価にメスを入れると、これ是非検討すべきではないかというふうに考えるんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 このホルモン剤に限らずに、諸外国と日本の間で薬剤費あるいはまた医療機器の間で非常に格差が大きい、私も問題にいたしております。できる限りこの格差を是正をして、そして日本の高いものを引き下げていくという努力を全体にしなきゃいかぬというふうに思っている次第でございます。

 一つその中で、外国でできました薬を日本に輸入をいたしますときに、外国と同じ値段でというわけにもいかないんだろうというふうに思うんですね、日本で作ったものじゃありませんから。外国の企業もそれなりにやはり外国に出すときには利益を得たいというのは当然だろうというふうに思うんですが、倍というのはちょっと高過ぎると私も思うんですね。そこはもう少し我々も努力しなきゃいけないし、積算基礎なるものも、外国から来るようなものについてはどういうふうな積算基礎にするかということを少し考えていかなきゃいけないと私も思っております。

 この薬だけに限定して物を言うわけにはまいりませんけれども、全体としてそういう格差是正に努めていきたいというふうに思います。

小池晃君

 今回、この自己負担が導入されるということで新たに収入証明などが求められる、家族にとって大変手続的にも大きな負担だという声も上がっています。その上その負担が増えると。こういう薬剤費にメスを入れれば負担増しなくていいじゃないかという声が御家族からも上がってくるのは、私当然だというふうに思うんですね。

 少子化対策の名の下に、慢性疾患、難病に苦しむ患者、家族に負担を押し付けるというやり方は私は許されないということは申し上げておきたいと思います。

  〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕

 それからもう一つ、診療報酬改定に絡んでお聞きしたいんですが、四月から診療報酬改定で肺血栓塞栓症の予防で弾性ストッキング、これを含めた管理料が新たに認められることになりました。これ、以前から衆議院で、日本共産党の児玉健次議員が何度も取り上げてきて、坂口大臣も多分御記憶にあるかと思うんです。この乳がんや子宮がんの術後に発生するリンパ浮腫の患者さんたちからこれを保険適用してほしいという要望がございました。

 今回、その弾性ストッキングが、別の病気ではありますけれども、そして予防管理ではありますけれども、保険で認められたわけであります。これ、二〇〇二年にも、リンパ浮腫について現段階で一番有効な治療は理学療法だというふうに当時の健康局長が国会で答弁されております。大臣も、苦痛が少しでも和らぐように、患者さんが少なくなるように努力しなければならないと、こう答弁されている。

 私、今回の、別の疾患ではありますが、保険適用されたということも含めて、踏まえて、やはりこれは本当に、私も実際リンパ浮腫の患者さん診察していたことがありますけれども、昔、乳がんとかリンパ節、あるいはその周辺組織も含めて物すごいごそっと取るような手術をやっていたときに、リンパ管も全部結紮してしまって、もうリンパが、に対して手がぱんぱんにはれてくると。これは女性にとってみると、非常にエステティックな面から見ても、大変心の重荷になっている非常に深刻な病気なんですね。私は、この唯一の治療といえるような理学療法なわけですから、政府参考人、お答えいただきたいんですけれども、是非これを保険適用するということを前向きに検討するべきではないかというふうに考えるんですが、この点についてお伺いします。

政府参考人(辻哲夫君)

 このたびの肺血栓塞栓症に対する弾性ストッキングなどを用いた予防技術、これを導入されたという経過を併せまして、このリンパ浮腫に対する弾性ストッキング等を用いた治療について適用されなかった経過をちょっと御説明申し上げたいと思います。

 新しい医療技術の保険適用につきましては、中医協で、特に去年七月からは、その中の診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会という専門家のお集まりの下で、学会からのデータ等を基に総合的に検討を経て中医協で決定するというルールで運用されております。その中で、肺血栓塞栓症に対する弾性ストッキングなどを用いた予防技術につきましては、当該分科会にその様々な効果等のデータが学会から提出されまして、それに基づいた議論が行われて診療報酬評価が行われるようになったものでございます。

 御指摘のこのリンパ浮腫の患者さんに対するそういう療法につきましては、調査票を学会等に配って御主張いただくようにという手順を取りましたけれども、その言わば有効性、安全性、効率性、普及性といったような一定の私ども専門的な判断をいただくために必要なデータの提出がなかったということで今回見送られたものでございます。そういうことから、この中医協の仕組みというものに沿って今後検討されるものと存じます。

小池晃君

 これは是非、学会からデータも出してもらって前向きに検討して、是非実現を図っていただきたいと思っています。

 それから次に、医師の臨床研修の必修化の問題についてお伺いをします。

 これを機会に研修条件の抜本的な改善を図ることが求められているというふうに思います。教育内容の改善はもちろんですが、アルバイトをせずに研修に専念できる生活条件、経済条件の改善、急務です。過労死まで生んでいる労働条件の改善も大事であります。

 そこで最初に、来年度予算、この臨床研修費補助金について、教育指導経費百十一億円、これは今年度の四十三億円から増額が図られているわけですが、必修化に当たってどのような点を強化されたのか御説明願います。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 指導、教育指導経費は百十一億円を計上しております。具体的には、研修を行う診療科の増加に伴う指導医の指導時間の延長による研修内容の充実、それから研修プログラムに基づいてそれぞれの研修医が到達目標を達成できるようになるためのプログラム責任者の配置、研修管理委員会の設置などについて新たに所要の経費を積み上げたものということでございます。

小池晃君

 補助金の増額は貴重な前進だと思うんですが、これにとどまらず、引き続き増額を図るべきだと。しかも、今年は一年次だけが必修化されたわけですから、来年度以降は二学年を必修化されていくわけです。私は、来年度予算、来年度というか、もう再来年度予算については、来年度以上にこれは予算確保に向けた努力をこの面でしていくべきだというふうに考えておるんですが、大臣にその点の、もうちょっと先の話で少し気の早い話ではありますが、今年を更に前進させるという御決意をお伺いしたいと。

国務大臣(坂口力君)

 今年の予算、まだ御審議をいただいている段階でございますから、来々年のことを言うのはいささか早過ぎますけれども、しかし、御指摘のようにこの研修生が増えることは間違いのない事実でございますので、できる限り私たちも頑張ってその予算額は確保していきたいというふうに思っております。

小池晃君

 さらに、今回新たに設けられた導入円滑化加算六十億円ですが、この補助金はどのような基準で配分されるのか、基本的な考え方を御説明いただきたいと思います。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 導入円滑化特別加算は、特に支援が必要と認められる病院に対しまして、宿日直研修の実施に伴う経費を補助することにより、宿直、日直等の研修の円滑な実施を推進するものでございます。

 補助対象となる病院については、原則として、経営が平均より厳しく、特に経営支援を図る必要があると認められた病院、また、及び医師不足地域に所在する病院を考えております。

 現在、関係の病院を対象に宿日直研修事業の実施見込み調査を行っております。これらの調査結果を踏まえ、具体的な補助基準を決定したいと考えております。

小池晃君

 この補助金の配分の考え方の中に、今年度の処遇が年額三百六十万円以下の病院に配分するということが入っているわけですね。しかし、今まで懸命な努力で研修医の処遇改善に努めて、既に三百六十万円以上の処遇を実現した病院にはこれは支給の道がないと。一方で、これまで処遇を怠ってきた病院には比較的手厚いと。これは今までの努力が報われないじゃないかという声が上がってきているんですけれども、私、これ当然のことではないかというふうに思うんです。こういう点について、やはり何らかの是正、改善をこれは図る必要があるというふうに考えるんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 先ほども申し上げましたが、新制度を三十八年ぶりに導入するということでございますので、やはり経営が平均より厳しい、経営支援が必要だというところに我々としては補助をしていくというふうに考えております。要するに、研修医の処遇改善が進まなければいけないわけですから、そういう意味で、年額三百六十万以上払っている病院については、医師不足地域に所在する病院を除いて、補助するのはちょっと難しいかなと考えております。

 ただ、いずれにしても現在、各病院の状況につきまして、二月二十日現在で、提出期限を求めて問い合わせしたところ、二千の病院から報告が来ておりますので、これを今精査している範囲でございます。こういうところで宿日直の研修実施の見込み調査の結果を踏まえ、補助対象の範囲を決めたいと考えております。

小池晃君

 その経営状態がいいか悪いかということと、三百六十万以上の処遇を保障しているかどうかというのは別問題ですよね。経営が厳しくたって研修医の処遇をしっかり確保しようという病院だってある。だから、私は、経営の状況を見るというのは別問題として、今回、補助基準として処遇が既に三百六十万円以下の病院を対象とするという、こういう枠組みをはめてしまうと非常にやっぱり問題があるのでないかと、そういう御指摘をしているので、その点についてお答えをいただきたいと。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 先ほど申し上げました今のこの、いずれにしてもどのような形で補助ができるか、私ども、この宿日直の研修事業というものに着目しておりますので、これがどの程度の病院で、どのような形で行われているか、最低賃金、あるいはどういう実態かということをまず調べて、それを基に考えていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 そもそも、今年度の段階で研修医の一年次年収が三百六十万円未満のそういう研修医、それから病院、これは一体幾つあるのか、全体が幾つで、三百六十万未満のは幾つなのか、そういう三百六十万未満の病院というのは一体どういう種類の病院なのか、その辺をお答えいただきたいと思います。

  〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕

政府参考人(岩尾總一郎君)

 平成十五年度において手当が年額三百六十万円を超えない研修医ということでございますが、平成十五年の五月に大学病院及び臨床研修病院を対象として調査いたしました。手当が年額三百六十万未満の研修医は、採用実績八千百六十六名のうち六千六百十名、約八一%でありました。

 また、研修医の採用実績があった四百七十六の病院のうち、研修医の手当が三百六十万未満の病院は二百十病院、四四%でありまして、そのうちの百四十三病院、六三%ですが、大学病院及び国立病院というふうになっております。

小池晃君

 それから、今回の財政措置を行った上で、なお処遇が三百六十万円を超えない病院というのは、これは残るのか、見込みはどうなのか、そしてそれはどういう種類の病院に多いのか、お答えいただけますか。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 今申し上げましたように、一番処遇の低いところが主に大学病院、それも私立の大学病院ということでございます。現在の研修医の処遇ということでは、特に大学病院、私立の大学病院を見ますと、全体で年間二百六十五万というところが百四十六万というふうに低いので、こういうところを重点的にかさ上げしていかなければならないということで、今回の措置によりまして、少なくとも最低賃金と言えるものは十分に超えていただけるだけのものは確保していただいているというふうに思っております。

小池晃君

 ちょっと文部科学省にお聞きしたいんですけれども、今回、国立大学附属病院にも必修化に対応する事業費が運営費交付金として出されると。その結果、研修医の処遇はどのように改善されるのか、それから、独立行政法人になるために裁量権があるわけですけれども、きちっとこれが研修医の処遇のために支出されることになるのか、お聞きをしたいと思います。

政府参考人(高塩至君)

 文部科学省といたしましては、国立大学附属病院におきまして研修を受ける者につきまして、新たに宿直等の研修事業に参加することによりまして、従来の給与に併せまして、研修に専念できる給与について各国立大学の運営費交付金の中に予算計上をいたしているところでございます。

 先生御指摘のように、この運営費交付金は、その性格上いわゆる渡し切りの経費でございますけれども、卒後臨床研修の必修化に伴う研修医の給与の支給というのは大変大事な問題でございますので、私どもの方から各大学病院の方にしっかりお願いしてまいりたいと、そういうふうに考えております。

小池晃君

 国立大学附属病院は処遇三百六十万以上に引き上げるという、それから国立病院もこれは引き上げると。すると、残る年収三百六十万円未満の病院、これは圧倒的多数が私立大学病院ということになる可能性が高いと思うんですね。これは補助金を支出しても、研修医の処遇が三百六十万円超えないという病院が私立大学で残ってしまう可能性が高い。これは極めて問題ではないかと。

 大臣、お伺いしたいんですが、私は、厚労省として、特に私立大学の病院に対して、今回必修化に当たって、やはりその研修医の処遇の改善というのを強く求めるということをすべきではないかというふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(坂口力君)

 大学病院の場合には、大学としての機能というもの、あるいはまた大学としての立場というものを踏まえて、今日まで歴史的経緯も踏まえながらこれは決めておみえになったんだろうというふうに思っております。しかし、全国一律にこうした制度を導入するわけでありますから、その趣旨を十分に尊重していただいて今後に臨んでいただきたいと思っておるところでございます。

小池晃君

 局長、この私立大学病院の処遇を改善するために具体的な措置は考えていらっしゃらないんでしょうか。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 私立大学協会その他で私どももお願いをいろいろしております。また、それぞれの大学の特色を生かして、あるいは経営などもいろいろとやっていただいているところでございますけれども、余り今のところは、とにかく先ほど言いましたように、三十数年ぶりに新しいルールを適用ということで、とにかくスムーズなこの研修体制がスタートをしていただきたいというふうに思っておるものですから、余り懲罰的なことで私ども指導するというよりも、まずはいろいろと、このような制度の中で処遇改善の計画ですとかそういうようなものをきちんと行っていただいて、そういうようなものの中で不都合なものがあれば私どもも指導していくというような形で、なるべくならばきちんとした形の研修が行われるようにしていただきたいというように考えております。

小池晃君

 ちょっと、これね、本当歴史的な大事業なのできちっとやっていただきたいと思うんですね。

 看護師の平均手当三百九十四万円、放射線技師は三百六十八万円、薬剤師が三百六十六万円、そういう中で、研修医、今二百六十五万円。私は、三百六十万円の処遇をやはりきちっと保障していくというのは、国家的な事業としてこれは臨床研修必修化やるんだったらやっぱり厳しく迫っていくべきだと。補助金出しながら三百六十万行かないという病院が私立大学中心に一杯残るという事態は何としても避けるべきだと。この点は本当に厳しく総力を挙げてやっていただきたいということを申し上げたいというふうに思います。

 最後に、四月一日から発足する独立行政法人医薬品医療機器総合機構について。

 これは一昨年の法案審議で大変問題になって、これ、被害救済おろそかになるんじゃないか、新薬の開発や承認がスピードアップされるだけじゃないかと、製薬企業が役立つだけじゃないかということが大問題になって、大臣も追加の発言までされて、情報の迅速かつ十分な提供と、安全対策の拡充強化と、そしてこの法人の存立の原点である健康被害救済制度については、より一層積極的な制度の周知を行うと。

 大臣、正に今回、独立行政法人、新しい医薬品機構の出発というのが、安全対策や副作用あるいは薬害被害の救済、抜本的に強化するものとなるべきであるというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(坂口力君)

 そのように思っております。できる限りそうした方向で進めていきたいと思っております。

小池晃君

 ところが、今議論されている中身はどうなのか。

 今日、資料でお配りをしておりますが、独法の発足に向けて中期計画、中期目標の議論がされてたたき台が出されているわけであります。これ、一部抜粋して今日示しておりますが。例えば、一枚目のページ見ていただきますと、健康被害救済給付業務と、それから審査等の業務について目標が書かれておりまして、健康被害救済業務については、標準的事務処理期間である八か月のうちに処理すべき目標は全請求件数の六〇%以上。一方で、審査業務については、期間中に当面七〇%を達成し、中期目標終了時には八〇%を達成し、医療機器については九〇%を達成すると。

 私、これもう単純に比較するだけで、目標値だけ取っても、被害救済よりも審査を、より力を入れて迅速に進めるというふうに、これ重視されているように見えてしようがないんですが、医薬局長、この点ではいかがでしょうか。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 結論から申し上げますと、決して医薬品被害救済業務を軽視しているわけではございません。

 現行の医薬品副作用被害救済制度の請求件数でございますけれども、昨今、制度の周知が進みまして請求件数は大変増えております。例えば、平成十三年度でございますと四百八十三件でございましたが、二年後の平成十五年度には約八百件に増加するということでございます。そういう意味で、約一・六倍ということで増加をいたしておりまして、私どもできるだけ事務処理期間を短くしたいと努力をいたしておりますけれども、標準的な事務処理期間として設定しております八か月以内でございますが、現実の事務処理で申し上げますと、残念ながら、平成十三年度は六七%程度、平成十四年度は四六%程度というふうに下がってきております。

 したがいまして、私どもとしては、何とか下げ止まりをして更に改善をするということを考えておりまして、今回新しく独立行政法人としてスタートするわけでございますので、医学、薬学的な事項に関して判定をするのは厚生大臣でございますけれども、それまでの前段階といたしまして、機構で、副作用の、医薬品の副作用情報でありますとか類似症例の紹介でありますとか、そういう意味で、事実関係の調査、整理の業務を充実をすると、新たに行うということによりまして給付決定の手続の効率化を図って、結果としては事務処理の簡素化に努めていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 いや、そういう声がたくさん寄せられているというのは、やっぱり今薬害あるいは薬の副作用に対する関心が高まっているということの表れで、増えているんであれば、それに見合う体制作ってそれをやはり処理するということをやるのが行政の仕事なんです。ところが、比べてみると、製薬企業から来た審査は八割、九割これ実現すると言いながら、患者さんから来る被害救済の申立てには六割まで対応すると。

 私、これでは本当に本気で取り組むつもりがあるのかという声が被害者団体から上がっているのも私は本当に当然だと思うんです。

 さらに、情報公開という点で見るとどうかというと、次のページめくっていただきますと、いろんな被害情報のフィードバックの仕方が、企業、それから病院、患者と三ランクに分けられています。企業へのフィードバックというのは、これは医薬品副作用情報を、自社製品に係る情報にアクセスできるシステムを構築すると。病院に対しては、添付文書改訂したときにその情報を提供する。患者の情報提供は、患者向けの説明文書を提供するとか自己点検表を提供すると。

 だから、要するに、企業に対してはもうリアルタイムで情報にアクセスできるようにすると。医療機関についてはその中から選んだ情報だけを流して、患者には相談に来れば応じますよと。だんだんだんだん腰が引けていく、情報公開が後退していく姿がここにはっきり出ているんじゃないだろうかと。

 私、これ逆じゃないかと思っていまして、まず真っ先にそういうデータを国民にお示しするというのが本当の情報公開ではないかというふうに思うんですが、局長、これで果たして国民、患者に対して十分な情報公開しますというふうに説得力を持って言えますか。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 医薬品に関係する情報提供をどう考えるかというのは大変難しい問題でございますが、私どもとしては精一杯企業にもあるいは医療関係者にも患者さん、国民にも十分な情報提供をいたしたいというふうに思っております。

 まず、企業への情報提供でございますが、企業は当然、自社製品を作っておりますので、今回、医薬品機構に新たなデータベースを作りますと、一義的な企業は責任持っておりますので、医薬品の製造業者として、今回は、他社が報告した情報であっても自社の製品に関するものであればアクセスできるということにいたしました。そういう意味で、企業側としての自社製品に関する情報についてのアクセスというのはかなり保障されているんではないかというふうに思います。

 それから二点目でございますが、医療関係者でございますけれども、医療関係者に対する情報提供につきましては、やはりその副作用情報を分析、評価された結果の情報を適切に供給するというか、提供することが必要ではないかというふうに考えておりまして、医薬品の服用に当たっての注意事項、いわゆる添付文書の改訂でありますとか、あるいはなぜその添付文書を改訂するに当たったかという意味での、その根拠となる症例の情報というものを提供するというふうに考えております。これにつきましては、患者さんの方も、インターネットといいますか、機構のホームページに載せますので、アクセスはできるということになります。

 それに加えまして、なお、患者さんあるいは国民の皆様方にもっと分かりやすい情報提供がないだろうかということで、相談業務でございますとか、あるいは副作用の早期発見に役立つような患者さん向けの分かりやすい説明文書とか自己点検表とか、そういったものを更に上乗せしてインターネットで提供したいというふうに考えております。

小池晃君

 この副作用被害対策にとって情報公開というのは私、第一歩だというふうに思っているんです。刻々と厚労省には副作用報告上がってくるんですから、私はそういう情報をリアルタイムで国民に伝えるというのが仕事だと思うんです。

 ところが、現状どうか。

 イレッサの副作用被害、大問題になりましたが、これ最新の副作用の症例数と死亡者数をちょっとお示しいただきたいんです。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 厚生労働省といたしましては、副作用情報報告につきましては節目節目で精査を行って報告をするという形で公表しております。今お尋ねのイレッサの件でございますけれども、ちょっと長くなりますのでコンパクトに申し上げます。

 副作用報告というのは、いろんな意味で必ずしも十分な精度を持っておりません。といいますのは、複数の情報源から報告されるというケースがあるとか、あるいは同一症例でも追加的にダブって、重複してカウントするケースがあるとか、あるいは後で取り下げたものもカウントされているというようなケースもあるので、そういう意味では精査をいたす必要があるわけですが、そういう粗い集計で、ダブりもあるという前提で考えますと、今御指摘のイレッサの件数でございますが、販売開始が平成十年の七月でございます。それからの累計数でいきますと千百五十一例ございます。それから、うち死亡例数は四百四十四例ということになっております。ただ、これは極めてダブりもあり得るということで、そういう意味での、今まで副作用報告があったものすべてを挙げた累計としてはそういう数字だということでございます。

小池晃君

 これ、何日時点ですか。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 ええと、平成十五年の三月の時点でございます。平成十六年三月。

小池晃君

 一昨日から問い合わせて、突然数字が出てきたので戸惑っておりますけれども、これ、今日、今初めてこの数字出るわけですよね。実際に公表されていたのは去年の九月までの数字が示されていたわけですよ。

 私は、やはりこういう情報が、こうやって国会で質問すれば数字としては出てくるわけですが、半年間ずっと去年の九月の数字で続いてきたわけで、私はこういう情報、本当にリアルタイムで国民に伝えていくというのがこういう副作用被害をストップさせていく第一歩になるんではないかというふうに思います。

 大臣に最後にお伺いしたいんですが、四月一日から独立行政法人スタートすると。私は今の中期計画を見ると様々問題点を感ずるわけです。このままで本当に副作用対策や情報公開という点で十分なものになるのか。私はここ、今日指摘された点も含めて、是非再検討していただきたいと。大臣がこれ認可するわけですから、そこをお願いしたいと思うんですが、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 新しく出発するわけでありますから、それにふさわしい内容にしていかなければなりません。あらゆる面で前進できるように最善の努力をしたいというふうに思っております。

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