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2003年3月27日(木) 厚生労働委員会

年金給付削減法案反対討論(大要)

日本共産党 小池 晃

 私は日本共産党を代表して、政府提出の「平成 15 年度における国民年金法による年金の額などの改定の特例に関する法律案」について反対の討論を行ないます。

 物価スライドの凍結解除で年金給付が 0.9 %引き下げられようとしていますが、年金額の引き下げは、制度発足以来はじめてのことです。年金の給付総額で 3700 億円の削減となり、年金に依存する多くの高齢者など 2950 万人の年金受給者の生活を直撃することになります。

 さらに、今回の措置は、児童扶養手当や障害者関係手当、被爆者関係手当など 10 種類の諸手当に連動し、30 億円の給付が削減されます。政府は高齢者の年金削減は「保険料を払っている現役世代の賃金が下がっているから」と言いますが、保険料で支えられているわけではない各種手当の削減を説明することはできません。

 来年度の高齢者の負担増は年金給付額の削減にとどまりません。年金から天引きされる介護保険料が多くの市町村で引き上げられようとしているため、手取り額はさらに減少します。しかも、すでに昨年 10 月に施行された老人医療自己負担の定率化による負担増も深刻です。高齢者医療の負担増と介護保険料の引き上げ及び年金給付の減額による高齢者の負担増は、一人当たり年間 3 万円にのぼり、年金受給者の生活にとって耐えがたい打撃となることは明らかです。しかもその影響すら検討していないのですから、あまりにも無責任です。

 一方、年金資金運用基金の積立金運用の累積赤字は 2001 年度決算で 3 兆円を超え、さらに 2002 年 12 がつまでで 2 兆円を超えています。累積赤字は本「改正」案による影響額の 14 倍にも及びます。積立金運用の責任は誰も取らずに、一方で高齢者の年金額を引き下げるなどということも許されません。

 物価スライド制は、物価高騰による年金の実質減額を防止する仕組みとして導入されたもので、年金生活者の生活水準を維持することがその趣旨であります。4 年前から物価は下がっていたのに、年金受給者の生活を考慮して政府は物価スライドを凍結してきたのです。さらに物価が下がったのに今度は凍結解除と言うのではスジが通りません。そもそも月額 4 万円未満の年金受給者が 520 万人にも上る現状を放置して、さらにその引き下げをはかることなど断じて認められません。不況に苦しむ障害者や被爆者などの手当を削減することも、もってのほかであります。

 年金給付削減は、高齢者の所得を奪い、消費不況を加速します。それは失業・倒産の連鎖へとつながり、結局社会保障財政の悪化をもたらす悪循環の道にほかなりません。そうではなく、社会保障に重点的に予算を配分して給付カットを凍結することこそ、日本経済再建の第一歩であることを強く主張して、反対討論とします。

>> 速記録

>> 「年金改悪など高齢者直撃 影響は年 3 万円にも」

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