内閣参質一五七第一六号
平成十五年十一月二十一日
内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎
参議院議長 倉田寛之 殿
参議院議員小池晃君提出国立高度専門医療センターにおける看護体制問題等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員小池晃君提出国立高度専門医療センターにおける看護体制問題等に関する質問に対する答弁書
一の 1 について
国立高度専門医療センター(以下「センター」という。)においては、超過勤務の縮減及び勤務時間の適正な管理の観点から、業務上超過勤務が必要な場合には、センターの総長又は総長から超過勤務を命ずる権限を委任された職員(以下「総長等」という。)が事前に職員に超過勤務を命令し、事後にその命令した内容が達成されたか否かを確認するなどした上で、職員の勤務時間等を記録しており、これにより勤務時間の把握を行っているところである。
したがって、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)別表第八に規定する医療職俸給表(三)の適用を受ける職員(以下「看護師等」という。)が行った業務上必要な超過勤務については、総長等が把握し、その時間に応じて適正な超過勤務手当を当該職員に支給しているところであり、業務上必要な超過勤務時間と超過勤務手当の支給実績との間には乖離はないと考えている。
一の 2 について
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」(平成十三年四月六日付け基発第三百三十九号厚生労働省労働基準局長通知)の対象となる事業場は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の規定のうち労働時間に係るものが適用され、かつ、労働基準監督機関の権限の行使の対象となる事業場であることから、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成六年法律第三十三号。以下「勤務時間法」という。)の適用を受けるセンターは、同通知の対象とはならない。
センターにおける勤務時間の管理の方法については、一の 1 についてで述べたとおりである。
一の 3 について
センターに勤務する看護師等の平成十四年度における一人一月当たりの平均超過勤務時間数を集計したところ、その時間数は八・〇時間となっており、その超過勤務は、救急患者の受入れや入院患者の病状の急変への対応等、臨時又は緊急の必要がある場合に行っているものであり、必ずしも深刻な人員不足によるものとはいえない。
センターにおいては、超過勤務の実施に当たって総長等が事前にその必要性を確認すること等を徹底すること、業務の繁閑に応じていわゆる早出勤務又は遅出勤務を活用するなど弾力的に勤務時間を割り振ること、業務内容の見直しを進めること等により、超過勤務の縮減に努めているところである。
一の 4 について
センターのすべての病棟において、午後五時から午前八時三十分までの時間帯に看護師等を三人以上配置し、一月当たりの夜勤回数が八日以内となるような体制を実現するには、約四百二十人の看護師等の増員が必要である。
国家公務員全体の定員の削減が求められている中で、センターの看護師等について、お尋ねのような増員計画を示すことは困難であるものの、センターの役割である高度先駆的医療等の提供を適切に行うため、個々のセンターの機能にふさわしいものとなるよう、これまでも必要な人員の確保に努めてきたところであり、今後とも、必要な人員の確保に努めてまいりたい。
一の 5 について
平成十四年度のセンターの看護師等の退職者数は三百二十二人であり、その平均退職年齢は二十九・九歳、平均在職期間は六・〇年、主な退職理由は自己都合によるものとなっている。
センターにおける看護師等の離職防止については、国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)に基づく育児を行う職員の負担を軽減するための措置、人事院規則一〇−七(女子職員及び年少職員の健康、安全及び福祉)に基づく母性保護の措置等を適正に実施するとともに、看護師等がその専門性を高めるための研修等を実施することにより、魅力のある職場づくりに取り組んでいるところである。
二について
「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」(平成十四年三月十九日付け基発第〇三一九〇〇七号厚生労働省労働基準局長通知)に基づく指導の対象となる医療機関は、労働基準法第四十一条及び労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第二十三条の規定に基づき、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について所轄労働基準監督署長の許可を受けた医療機関であることから、勤務時間法の適用を受けるセンターは、同通知に基づく指導の対象とはならない。
センターにおける薬剤師、臨床検査技師、事務職員などの休日及び夜間勤務については、勤務時間法において定められている宿日直勤務等により対応しているところであり、個々のセンターの機能等を踏まえつつ、職員の健康に配慮して適切に対処してまいりたい。
> 国立高度専門医療センターにおける
看護体制問題等に関する質問主意書