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国民に負担増 自民には献金
小泉・医療改悪 高薬価は野放し
小池議員追及 税金の使い方かえよ
参院予算委
「医療保険はふところの心配なく病気の治療に専念できるようにつくられた制度。国民だけに負担を押しつけることなど断じて許せない」。日本共産党の小池晃議員は十四日の参院予算委員会で、健保本人の三割負担など大幅な負担増をもたらす政府の医療改悪の撤回を求めました。
「痛みは国民だけでなく三方一両損だ」と繰り返す小泉純一郎首相。小池氏は「三方」とは患者、健保組合など保険者、医療機関のことで、国が入っていないことを指摘。一九八〇年と比べて、国庫負担は国民医療費の30%から25%に減っているのに対し、家計の負担は40%から45%に増えていることを示し、「患者や医療機関に痛みを押しつけながら、国庫負担だけ削減しようというのか」と引き上げを求めました。
首相は「国庫負担というが、どこかで増税しないと共産党のいうことはできない」と答弁。小池氏は「増税ではなく、税金の使い方をかえるべきだというのが日本共産党の提案だ」とのべ、日本医師会が国の財源配分を公共事業から医療・福祉重視に切りかえるよう求めていることを示しながら、「まさにこれこそ制度を持続可能にする道だ」と強調しました。
また、製薬企業大手十五社の経常利益が九八年度と比べて19・3%も伸び(二〇〇〇年度比)、今年も過去最高の利益となる見通しであること、製薬産業政治連盟から自民党に一億一千万円、首相に四百万円が献金されていることを示し、「三方一両損というが、製薬企業も入っていない。この大もうけにこそメスを入れるべきだ」と追及。高い薬価を野放しにしたまま「国民には負担増の痛み、自民党には献金という改革では国民は絶対に納得しない」と迫ると、委員会室は静まり返りました。
参院選では3割負担反対の公明党
選挙終わったら「党は党」と坂口大臣
今年七月の参院選にあたって、開業医の団体である全国保険医団体連合会のアンケートに「健保本人の三割負担には反対」と答えていた公明党。小池氏は、同党に所属する坂口力厚生労働相に対し、「四カ月しかたっていないのに、今度は三割負担だというのはいったいどういうことか」と迫りました。
坂口力厚労相は「党は党、厚生労働大臣は厚生労働大臣としての立場があります」「私は厚生労働大臣としての案をつくらなければならない」と、選挙が終われば公約など知らん顔とばかりの答弁。
小池氏は「政党の言うことと大臣になったら言うことが違う。あまりにも無責任ではないか。これでは、選挙で国民は政党を選びようがない」と厳しく批判しました。
論戦ハイライト
なぜ国民負担だけ増やすのか
参院予算委 小池議員 医療改悪で首相と白熱の議論
十四日の参院予算委員会で小泉内閣が「構造改革」の焦点としている「医療改革」について日本共産党の小池晃議員がとりあげ、小泉純一郎首相と白熱のやりとりとなりました。
小泉首相 負担は患者、保険者、医療機関に
小池議員 国と製薬企業が入っていない
三方一両損
「三方一両損になっている」。痛みは国民だけではない、だから我慢は当然とばかりに「三方一両損」と繰り返す小泉首相。小池議員が聞きました。
小池議員「三方一両損の『三方』とはなにか」
小泉首相「診療側と支払い側、それに患者側。いままで通りというわけにはいかないので少し負担してもらう」
小池「一両損といいながら国と製薬企業が入っていないではないか」
しだいに早口になり、まくしたてながら、肝心の改革のポイントには手をつけない首相の姿勢が、ここで一気に浮かび上がりました。
薬剤費の削減効果は経済産業省も試算ずみです。医療費の20・1%を占める薬剤費を先進諸国並みの16%に引き下げた場合の削減効果で、大島慶久同省副大臣(自民)は「約一兆四千五百億円となります」と紹介。厚生労働省が今回の改悪で目指している医療費削減分に相当する額です。
「国民に負担を強いる必要がなくなるではないか」。小池議員は迫りました。
小泉首相の答えは、「いい薬のため努力している」「もうけがなければ研究にまわせない」。製薬企業の代理人のような答弁の連発となりました。
武田薬品の利益(来年三月期、連結)は十期連続増益の見通しで、同じ勢いの各社の名前をあげて迫る小池議員の質問は議場を圧倒しました。さらに結成されたばかりの製薬産業政治連盟から自民党が一億一千万円、首相も四百万円の献金をうけているとつきつけ、「国民には痛み、自民党には献金という改革では国民は絶対に納得しない」と負担増の撤回を求めました。
ラジオ中継で質問を聞いていた京都の女性は「胸にひびいて感激した。すごくよかった。主人が狭心症で通院している。薬代の高さは実感している」と日本共産党の事務所に電話をかけてきました。
「持続可能」
「持続可能な制度にする」
政府与党が、患者負担を三割で統一するという医療負担増を国民に押し付けるため最大の口実にしているものです。医師として患者に接してきた小池議員。三割負担をなんとしても食い止めたいと、この言い分にも挑みました。
政府は、中小企業労働者が加入する政府管掌保険の場合、保険財源が枯渇し、来年度途中から「保険証」がただの紙切れになると説明。患者負担にとどまらず、年間六千億円を超える保険料値上げまで求めています。
小池議員は危機を招いた国庫負担の削減、保険料収入減の両面から政府の責任を問い詰めました。
保険料収入の算定の基礎となる平均賃金(標準報酬月額)。政管健保の場合、ことし二月現在、月二十九万七百六十三円。前回大改悪のあった九七年当時から三千円もさがり、加入労働者も四十万人も減っています。
小池議員はのべました。「保険料算定の基礎となる平均賃金は連続して前年割れ。その原因は不況で、負担増を強いれば家計を冷やしさらに景気を悪化させ、保険料収入は減少。持続可能どころか持続不可能になる」。
負担増→個人消費・景気悪化→保険料収入減→負担増という悪循環にはまった小泉内閣の姿勢をただしました。
さらに国庫負担の削減。制度改革があるたびに減らされた結果、一九八〇年度に医療費の30%だった国庫負担は九九年度に25%となり、反対に家計負担(保険料、患者自己負担)は40%から45%に増えたことを指摘。「医療費三十兆円のうち一兆五千億円の国庫負担が家計負担に移ったことになる」とのべ、問題にすべき中心ポイントをつきつけました。
小泉首相は「国庫負担も税金で、国民に負担を求めることになる。病気でない人の負担を引き上げろということと同じことになる」などと責任逃れの弁明。
小池議員は、公共事業重視の税源配分から医療、社会保障充実に配分先を転換することが「持続可能」にする道とのべました。税金の配分をかえる必要性について首相は反論しませんでした。
>>>【議事録】
(2001年11月15日(木)「しんぶん赤旗」より)
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