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153-参-予算委員会-5号
2001年11月14日


○小池晃君 冒頭、薬害ヤコブ病の問題についてお聞きをしたいと思います。
 つい先ほど、薬害ヤコブ病訴訟に関して、国と企業の責任を認めて早期に被害者を全面救済すべきと、こういう東京地裁の所見が出されました。大津地裁でも同様の所見が出ました。この所見を直ちに受け入れて、被害者の早期全面救済を図るべきではないでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) ヤコブ病に関します和解勧告につきまして、本日その内容を御提示をいただくということを聞いておりましたが、私、まだその内容を拝見をいたしておりません。
 ただし、裁判所の方が早く決着をすべきであるという、そういう御意思をお示しになったということを十分に私たち、尊重をしなければならないというふうに思っております。この御提示を十分に尊重して、結論を出したいと思っております。

○小池晃君 総理、この裁判で一番初めに裁判を提起された滋賀県の谷たか子さん、ことし一月に亡くなった。この方が、硬膜を使った手術を受けたのは八九年の一月なんです。総理が厚生大臣のときなんです。汚染された乾燥硬膜が使われ続けたその責任は私、重大だと思うんです。
 ぜひ総理、これ原告の皆さんにお会いになって、いかに苦しんでこられたか、私、直接お話聞いていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この病状の問題、いろいろ私も厚生大臣だったとき、よく伺っています。厚生労働大臣ともよく相談の上に検討してみたいと思っております。

○小池晃君 一日も早い救済が求められております。被害者全員の救済を求めて、次の質問に移りたいというふうに思います。
 アフガニスタンへの空爆の問題です。
 まず、総理にお聞きをしますが、あなたは、アメリカは市民への巻き添えを、空爆の巻き添えですね、これを防ぐようにアメリカは努めているんだと国会で答弁されていますけれども、一体何を根拠にそういうふうに言われるんでしょうか。総理。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) できるだけ無辜の市民を巻き添えにしないように細心の注意を払っているということは再三アメリカ政府も明言しております。

○小池晃君 アメリカがそう言っているというだけじゃないですか。実際、どうですか。赤十字の倉庫だって爆撃しているんです。砂嵐の中ではGPSとかレーザーの誘導というのは極めて不正確だと。そんなこと百も承知でアメリカは爆撃をやっているんですよ、危険な爆撃を。
 私はパキスタンに行って、一体どんなひどいことになっているのかこの目で見てまいりました。日本共産党のパキスタン調査団の一員として行ってきました。私は医者でもあります。実際、空爆の負傷者十八名の傷を調べて、レントゲンも見せてもらいました。足を吹き飛ばされた人、手を砕かれた人、本当にめったに見ないようなひどい傷ばかりでした。これは、南部の都市クエッタにあるアフガン難民病院に入院していた負傷者の一人、サミード・ウラちゃん、一歳の男の子であります。(資料を示す)
 これ元気そうに見えますけれども、レントゲンを見たらば脳の中に爆弾の破片が突き刺さっているんです。私たち行ったとき、二日前に手術をしたばかりだと。この子の傍らにはお母さんが横たわっていて、その方はもう爆弾の破片を全身に受けているんですね。重体であります。クラスター爆弾の被害者だと。皆タリバンと何の関係もない人たちです。この一族は、一回の爆撃で二十六人が亡くなった。五名が負傷して入院しているわけです。
 総理は、あなたはニューヨークでは五千人以上が亡くなったんだと、だからあらゆる手段を尽くすことが必要だとおっしゃる。もちろんテロは絶対に許せない。テロリストは憎んで余りあるわけであります。しかし、だからといってこういう何の罪もない人たちが傷つけられ命を奪われていいのかと。
 アフガンの女性のNGO、原理主義にもテロにも戦争にも反対だと、こういうNGOの方は、空爆を本当にやめてほしいんだと切々と訴えておられました。この声を無視していいんだろうか、そのことを当総理にお尋ねしたい。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まことに痛ましい写真であり、戦争というものはむごいものだということはわかっておりますが、それではこのテロに対してほっておいてテロがなくなるのかと。そうでもないんですね。そこが難しいところなんですよ。だから、一日も早くテロリスト、またテロリズムをなくすために国際社会が戦っている。こういうのは毅然として立ち向かわなきゃならない。そういう中で、できるだけ無辜の市民を犠牲にしないような配慮は当然なされるべきだと思っております。

○小池晃君 しかし、四週間爆撃やったんですよ。テロリスト、全く無傷じゃないですか。そして、実際には無辜の人たちが次々に命を奪われているんです。ビンラディンなんて無傷じゃないですか。そして、爆弾をアメリカが一つ落とす、二つ落とす、落とせば落とすほど逆にパキスタンやアフガニスタンの中にはテロリストの応援団になる人が生まれてきている、こういう実態があるわけですよ。だから、テロを根絶しなければいけない、それはまことにそのとおりだと。しかし、そのために今の空爆というのはまさに逆行なんじゃないかと、私はそれを申し上げているんです。
 実際に使われているクラスター爆弾であります。これは、地表近くで炸裂して小型爆弾とか地雷が飛び散るんだと。爆弾の場合も一〇%から一五%は不発弾として残る。住民がそれに触れれば地雷と同じことになるわけであります。
 私は、このクラスター爆弾で被害者も傷ついた、こういう中で、世界でクラスター爆弾の使用をやめるべきだという声が広がっていること、このこと総理は御存じでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) クラスター爆弾の破壊的威力というものは伺っております。しかし、テロリストが無傷だから何にもならないと言いますけれども、テロリストが無傷でも、じゃ、テロリスト以外の無辜の市民、全世界で今まで何人殺されているんですか。そういう視点というものをどう考えるのか、共産党は。じゃ、空爆しないでテロリストを無傷にほっておいて、空爆しないでテロがなくなるんですか。あえて私はお聞きしたいね。
 今まで共産党は、裁判に訴えろ、裁判に訴えろ、タリバン出てこい、出てこい、国連でもっと有効に活用するように協力しろと。ところが、ウサマ・ビンラーディン自身、国連に反対しろと言っているじゃないですか。国連なんかへとも思っていないじゃないですか。こういうことをどう思うんですか。

○小池晃君 共産党、共産党とおっしゃるけれども、この問題は答えが出ているんです。共産党だけが言っているんじゃないんです。
 例えば、あなたが参加したAPECの首脳会議、あるいはASEANの首脳会合、何と言っていますか。爆撃しろって言っていますか。そんなこと一言も言っていないんですよ。あそこで言っているのは、国連が主要な役割を果たすべきだ、国際法と国連憲章に基づく解決をと、これが共産党だけじゃない世界全体の共通の意思なんですよ。あなたもそれにサインしている。それこそ解決の道なんです。
 ところが、今やっていることは、逆に無辜の市民を殺すようなクラスター爆弾をまいている。どうですか。クラスター爆弾の使用をやめるべきだと、私の質問に答えていただきたい。それをやめるべきだという声が世界に広がっていることを御存じですかと聞いているんです。答えてください。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、アメリカの軍事作戦について日本は参加しませんから。しかし、APECでもアメリカを初め国際社会がテロに向かって毅然として立ち向かうということは全部支持していますよ。しかし、軍事攻撃に対してのニュアンスは若干国によって違います。(「質問に答えてよ」と呼ぶ者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 質問の時点で尋ねてください。

○小池晃君 テロに対して対決するなんというのは、私は当然ですよ。それはもう全世界の人たちが言っているんです。問題はそのやり方なんですよ。そのやり方のことを私は問うている。だから、ちゃんと答えていただきたい。クラスター爆弾を使用をやめるべきだと、この声が世界に広がっているじゃないですか。どうですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは時と場合によりますよ。無辜の市民を傷つけないようにどういう軍事戦略をとるか。それは、アメリカがこれは今細心の注意を払って考えているんですから。私は今回のアメリカの行動を支持している、APEC諸国も支持している、しかし、軍事攻撃によって、若干国によって違いがあるということを言っているんです。これが答弁です。

○小池晃君 何が注意して使っているですか。これで大変な被害が出ているからこそ国際赤十字も反対している。アムネスティーも、イギリスのダイアナ記念基金も、地雷禁止国際キャンペーンもクラスター爆弾の使用中止を求めているんです。
 非人道的兵器といえば地雷があります。外務省にお伺いをしたいんですけれども、対人地雷については日本政府はどういう態度をとってきましたでしょうか。

○政府参考人(宮本雄二君) 対人地雷につきましては、従来から、特に人道上の観点から全面禁止を提唱してきておりまして、御案内のとおり、一九九八年に対人地雷禁止条約、オタワ条約を批准いたしました。同時に、対人地雷の禁止を国際社会の原則ということで確立するためには、一国でも多く参加されることが重要であると、普遍化が重要であると考えております。
 したがって、多くの国が対人地雷の禁止に対する共通の認識を持った上でこの条約に参加することが可能にできる、こういう配慮も必要かというふうに思っております。

○小池晃君 スピーチの中身を。

○政府参考人(宮本雄二君) 委員御指摘の黒河内外務省参与によります、先般開かれましたオタワ条約第三回締約国会議におきます演説でございますが、この演説の中で黒河内代表は、以上のような基本的考え方に立ちまして、我が国は人道的な観点から対人地雷を禁止すべきであるという国際社会の強い願いを重視し、率先してこの条約を締結し、さらに条約を批准していない各国政府に対して条約への参加を働きかけた旨紹介いたしております。
 さらに、締約国をふやすという観点から、余り条約を厳しいものにする場合、これから締約国になろうとする国がかえってちゅうちょすることになることを懸念する、この旨もあわせて申し上げております。
 さらに、黒河内代表は、最後でございますが、我が国としては国際社会の悲願とも言うべき対人地雷問題の解決に向けて一致団結して頑張っていきたいということをおっしゃっております。

○小池晃君 非常に積極的な提案をしているわけですよ。こういう国際公約から見て、総理、少なくとも私、直ちに空爆中止すべきだと思うけれども、せめてこういう非人道的兵器は使うべきでない、クラスター爆弾中止、やめよと、これ言えないんですか、どうですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、アメリカが無辜の市民を犠牲にしないように細心の注意を払って使っているということでありますし、我々は、このテロの、反テロリズムに対して国連が、国際社会が一致して協力するということに従って日本としては行動したいと思う。

○小池晃君 私は、そのクラスター爆弾によって無辜の市民が殺されているという事実を言っているんです。だからこそ、これをやめるべきだ、そのことすらも言えないのか、憲法九条を持っているこの日本の総理大臣がこんなことすら言えないのかと、全く情けない話だというふうに私は思います。爆撃をとにかく早く中止してほしいと国連のアナン事務総長も言っております。直ちに空爆中止することを求めて、次の医療制度の問題に質問を移りたい。
 今回、厚労省と財務省それぞれが医療制度の改革案を発表しておりますけれども、その結果、各年齢ごとの負担がどのようになるのか、示していただきたい。

○国務大臣(坂口力君) 厚生労働省試案として示しましたものは、三歳未満の乳幼児は二割負担、三歳以上七十歳未満の被用者保険及び国民健康保険の被保険者は三割負担、そして七十歳以上七十五歳未満の方は二割負担、そして七十五歳以上の老人医療の対象者は一割負担、こういうことを示しているわけであります。

○国務大臣(塩川正十郎君) 財務省の案といたしましては、これはまだ厚生省の方とすり合わせしておるところでございますけれども、原則論を言いますと、高齢者のところで、七十五歳以上のところでございますが、原則は一割負担としておりますが、特に高所得者に対しましては二割負担と、こういうぐあいになっております。
 それじゃ、七十四歳以下は全額どうするかということでございますけれども、全部、七割の給付にいたしまして、三割負担となっておりますが、しかし外来関係は別でございまして、一回入院一日五百円までという免責制をとっておる、こういう制度でございまして、なお、この激変緩和の措置といたしまして、七十歳から七十四歳までの間についてまだ現在検討中であります。

○小池晃君 いずれの案も大変な負担増であります。高齢者はことし四月から年金の支給減、それに加えて十月からは介護保険料が倍加しました。しかも、医療費は一月から一割負担に上がったばかりだというのにまた引き上げかと。それから、現役世代は、国保の自営業者だけではなくてサラリーマンまで含めてすべて三割であります。
 きょうはこの現役世代三割の負担の問題に絞ってお聞きをしたいんですが、坂口大臣、あなたが所属している公明党は、ことしの参議院選挙に当たって、開業医の団体である全国保険医団体連合会のアンケートで、健保本人の三割負担には反対とはっきり答えておられます。そのことを御存じでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 党は党であります。厚生労働大臣は厚生労働大臣としての立場があります。

○小池晃君 そんな無責任な話ありますか。坂口さん、あなた、公明党から大臣になっているんでしょう。政党の言うことと大臣になったら言うことが違う。こんな無責任な話あるか。七月には三割負担反対だと言っておきながら、四カ月しかたっていないのに三割負担だと。こんな無責任な話ないと思います。もう一度答えていただきたい。

○国務大臣(坂口力君)
 党は現在も党としての意見を持っております。しかし私は、厚生労働大臣は厚生労働大臣としての案をつくらなければならないわけでありますから、そして現在出ておりますものは一つの試案であって、そしてこれから与党内でいろいろの御意見をいただいて、最終的にこの案というのはことしの十一月の末か十二月の初めになりますけれども、そのころに本当の案をつくるということでありますから、これからでございます。

○小池晃君 もう余りにも無責任で話になりませんよ。これじゃ選挙で国民は政党を選びようがないです。
 サラリーマン本人の負担を三割に引き上げる、一体どういう負担増になるのか。これは富山県の保険医協会の調査であります。軒並み負担増になっていくと。(図表掲示)
 総理、これはあなたが厚生大臣のときやっぱり二割負担に引き上げた。それで消費税の増税とあわせて景気がぐんと冷え込んだという経過がありました。それから四年たつ。可処分所得は減っている、さらにこのような負担増、これはまさに景気を冷え込ませるのではないかというふうに考えませんか。どうですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、患者負担だけのことを取り上げて言えばそういう議論になるかもしれませんが、医療保険財政をどうやって持続的に維持していくか、あるいはこれからの税負担というものはどうあるべきか。
 じゃ、患者負担を引き上げない場合に、共産党は恐らく税金で負担しろと言うんでしょう。税金だって国民負担ですよ。現在七兆円ですよ、医療費だけの税の負担が。その場合、共産党は国庫負担しろ国庫負担しろ、公費負担しろ公費負担しろと言うけれども、わかりやすく言えば税金で負担しなさいということじゃないですか。これも国民負担なんですよ。
 経済全体のこと、財政状況のこと、今の医療保険制度のことを考える、さらに高齢者はどんどんふえてくる、保険料を負担する若い人が減ってくる、病気にならない人も毎月毎月保険料を負担しなきゃならない、そういう全体のことを考えていかに医療保険制度を維持発展させていくか。病気になったときには軽い負担でいい医療を受けられるかということを考えているのであって、今三割負担、二割負担と言っても、百万円の負担、これを三割負担だから三十万円負担しろと言っているんじゃないですよ。上限がありますから、六万何がしかの、たとえ二割でも。百万だったら、二割だったら二十万ですけれども、それは六万円でいいとか、低所得者はその半分でいいとか、上限区切っているんですから。
 こういうさまざまな配慮をしながら、いかに医療保険制度を持続的に維持発展させていこうかということを考えているのであって、患者さんの負担ばかり引き上げるからけしからぬ、けしからぬと言ったら、病気にならない健康な人の負担を引き上げるということと同じ議論なんですよ、税金で負担しろ、国庫負担で負担しろと言うことは。これは税金ですよ、国民負担に変わりないんです。そういうことも総合的に考えていただきたいと思います。

○小池晃君 あなたは、口を開けば持続可能な制度、持続可能な制度と、そう言うけれども、しかし何で持続可能じゃなくなってきているのか。医療保険財政の最大の危機は、これは保険料収入の減少ですよ。例えば保険料算定の基礎となる平均賃金、標準報酬月額、九八年、九九年連続減です。それから加入者の数も減っています。言うまでもなくリストラが原因であります。こうした中で負担増を強いれば個人消費の足を引っ張る、景気を悪くする、そうすればますます保険料収入は減るじゃないですか。まさに悪循環の道なんだと。
 あなたは、もちろん医療保険を持続可能な制度にすることは私たちもこれは当然必要だと。しかし、あなたたちのやるような窓口での負担をふやすだけのやり方では、制度の土台を掘り崩して、逆に持続不可能にしてしまうんだというふうに思うんです。じゃ、共産党はどうするかと先ほど提案ありました。私たちは解決の方法を持っています。
 まず、お聞きしたいんですけれども、あなたは三方一両損だと先ほどから言っています。この三方というのは一体何ですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 医療いわゆる診療側、支払い側、患者側、これに対して今までどおりというわけにはいかないので、少しはやっぱり痛みを負担してもらって、最終的には国民が全部得になるような制度を考えようと。三方一両損という損だけじゃなくて、結果的には全国民が、ああ日本はかなり低い負担で医療を受けられるな、お医者さんを選ぶことができるな、よその国ではお医者さんを選ぶことはできない、病院をかえることはできない、しかし今の日本の医療保険制度はみずからお医者さんを選ぶこともできる、病院をかえることもできる、そして負担が低くて医療を受けられる、月百万、月一千万かかっても上限が六万円程度で済む、なかなかいい制度じゃないかと。患者負担をゼロにすればいいんですけれども、そうなると病気でない人まで病院に行っちゃう、こういう悪い点も直そうじゃないかということでいろいろ案が出てきているんじゃないですか。
 ただだったら一番いいですよ、それができれば。税金を負担しないでいい医療が受けられるならこれは一番いいんですけれども。結局、どの程度税金を投入することができるか、健康な人もどの程度保険料を負担してくれることができるか、病気になった場合はどの程度の負担なら耐えられるか。お医者さんもみずからの医療行為が国民に評価され、大事な仕事、感謝されるような励みの出る報酬はどの程度か、しかるべき技術料が正当に評価されているか。
 そういう点も含めて、いい医療行為をできるだけ軽い負担で、そして永続的に維持できるようなこの保険制度を維持していこうという観点からこの改革をしようとしているんであって、一部だけ、患者負担が上がれば全部国民負担だ、経済が悪くなるんだと言いますけれども、じゃ消費税にしても下げていい、患者負担も下げてもいいと、結局どこかで増税しなきゃできないじゃないですか、共産党の言っていることを考えれば。かといって、増税はいかぬと言うんでしょう。
 そういう、総合的に考えてもらわなきゃ。一部だけ取り上げてあっちやれこっちやれ、あとは税金で見なさい、しかし増税はいけません、消費税は三%に引き上げろ。できればいいですけれども、じゃどこでだれがやるんですか。もっと総合的に考えていただきたい。

○小池晃君 総合的に考えて言っているんですよ。三方一両損、保険者、患者、医療機関、国が入っていないじゃないですか。患者や医療機関に痛みを押しつけながら国庫負担だけ削減しようという話なんです。この間、老人医療も国保も政管健保も全部国庫負担比率削減してきている。その結果、どうなっているか。医療費に対する国庫負担は、一九八〇年には三〇%、それが九九年には二五%。一方で、家計負担は五%ふえている、四〇%から四五%。三十兆円の国民医療費のうち一兆五千億円が国庫負担から家計負担に移ったと、そういう勘定になるんです。
 景気の悪化がこれだけ進んでいる中で、さらに国庫負担下げる、国民負担ふやす、そうすれば景気の足を引っ張るというふうに私は申し上げているんです。国庫負担ふやせと言うと、増税するのかと。そんなこと私、一言も言っていない。税金の使い方を変えろと言っているんです。
 例えば、日本医師会が「医療構造改革構想」というのを出しています。この前文で何を言っているか。「国の財源の配分を公共投資をはじめとする基盤整備に投入し続ける従来の」「手法の転換を図らなければならない。すなわち、国民の幸福や生甲斐に直結する医療・福祉や文化に財源配分を行う」「手法への切り替えが求められている」、私、これこそ制度を持続可能にする道だというふうに思うんですが、どうですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国が負担していないと言うけれども、防衛庁は五兆円いっていないんですよ。医療費だけで七兆円国は負担しているんですよ。国も負担しているというのは国民が税金で負担しているわけです。
 今、医師会のことを言いましたけれども、医師会は消費税引き上げてもいいと言っているんですよ。共産党、消費税引き下げろと言っているんでしょう。

○小池晃君 財源配分変えろと言っているんじゃないですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 財源。だから、全体的に考えれば、共産党は国が負担していない、国が負担していないと。七兆円もう既に、ことしだけでですよ、七兆円の税金負担しているんです。患者さんの負担を下げれば、それじゃもっと税金を上げろということになるんですよ。そこをどう思うんですか。

○小池晃君 私は、財源の配分を変えることこそが今の問題解決の道だと言っているんです。そのことに全く答えていないじゃないですか。もうひどい話だ。
 しかも、あなたは日本の医療費が余りにも何か膨大に膨大に膨れ上がる、そういう言い方をするけれども、例えば主要国の比較でどうか。経済力と比較すれば、OECD加盟二十九カ国中、日本の総医療費は十八位であります。しかも、日本というのは高齢化が進んでいるんです。六十五歳以上の高齢者の比率は、すなわち高齢化率はスウェーデン、イタリア、日本、三番目なんです。そういう高齢化が進んでいる国で必要な医療費が使われていない、これが実態なんです。ここにこそメスを入れる必要があるんだ。
 私、もう一つの提案、改革の方向を示したい。もう一つは薬剤費ですよ。
 経済産業省にお聞きしたいんですけれども、産業構造審議会が薬剤費の削減の問題で試算を出されていますけれども、ちょっと示していただきたい。

○副大臣(大島慶久君) 小池議員にお答えをいたします。
 薬剤比率を適正化した場合の医療費削減効果ということで御説明を申し上げたいと思います。
 御指摘の試算は、薬剤費以外の医療費は現行と同程度とする、これが前提でございますけれども、それを前提として薬剤比率を諸外国並みの一六%まで仮に引き下げたとした場合の試算でございますけれども、その結果、約一兆四千五百億円の削減効果が得られるという試算は成り立ちます。
 しかしながら、本試算は薬剤比率を一六%まで引き下げることを前提としたあくまでも機械的な試算でございますから、その一六%が適切かどうかということもまだこれは議論をしなければならないことであります。
 繰り返し申し上げますけれども、あくまでも機械的な試算であり、今申し上げた数値が提示できるわけでありますけれども、そもそも我が国における適正な薬剤比率がどの程度であるのかどうか、これは医療サービスの質を低下させない範囲内で薬剤の効果的な使用を促進するためにどのような施策をとるべきかという観点から総合的に検討していく必要がございますので、今、小池議員の御質問に対しては、あくまでも機械的に計算をした数値を御案内を申し上げました。御理解をいただきたいと思います。

○小池晃君 せっかく試算したんだから、そんなに機械的機械的と、発表したんだから、もっと堂々と言ってくださいよ。これはインターネットにちゃんと出ているんですから。
 こうすれば、これをやれば国民に負担を強いる必要なんかないじゃないですか。こういうところにこそ三方一両損。製薬企業は入っていないですよ。ここだってメスを入れるべきじゃないですか。
 例えば、昨年度の製薬企業大手十五社の経常利益、これは九八年に比べて一九・三%も伸びているんです。例えば、ことしも伸びていますよ、去年だけじゃない、武田薬品、今期の経常利益の見通しは前期比三二%増、過去最高なんです。十期連続の増益です。エーザイ、第一製薬、藤沢薬品、田辺製薬、大日本製薬、すべて過去最高益の見通しです。
 こんな産業は日本の産業界全体を見たってほかにないじゃないですか。国民に痛みを押しつけるということではなくて、こういう製薬企業の大もうけ、ここにこそメスを入れるべきじゃないですか。どうですか、総理。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 四年前に私が厚生大臣のときにもそのような御指摘をいただきまして、確かに日本人は薬が好きだ、薬を使い過ぎるんじゃないか、薬剤費の占める割合が高いというものですから、見直しを進めまして、既にもう三〇%から今二〇%に下がり、この四年間で薬剤費は一兆三千億円減少しています。
 そして、国民も病気にならないために、病気になったらいい薬が使えるために、薬会社も努力していただきまして、研究開発、投資開発、先進国におくれをとらないように、いい薬を開発、安い薬を開発してもらいたいということで一生懸命努力してもらわなきゃならないということから見ると、先進諸国に比べて日本の薬品会社はおくれている、投資に回せない、研究に回せない。むしろ、いい薬を開発してもらって民間の会社が利益を上げてもらうことによって税収もふえていただきますから、大企業を罪悪視しないで、むしろ国民にいい薬を提供するという意味において私は利益を上げていただくのはいいことと思います。
 それと、先ほどスウェーデンとか各国と比較して日本はまだまだ少ないと言うけれども、日本は消費税五%ですよ。スウェーデンは二五%ですよ。今、日本共産党は消費税を二五%にすると言えば、もうスウェーデンどころじゃない、もっといい医療体制できますよ。できるだけ安い消費税でいかにいい医療提供体制をつくるかという。スウェーデン、デンマークの例を挙げますけれども、消費税が二五%ということを考えてくださいよ。日本は五%ですから。

○小池晃君 消費税、消費税とおっしゃいますけれども、世界で一番医療費が高いのはアメリカです。アメリカには消費税ありません。そういうでたらめな、医療費を上げるためには消費税を上げなきゃいけないんだと、こんなでたらめな議論はないと私は申し上げたい。
 それから、国民にはこれだけ痛みを押しつけながら、そして国の財源の配分を見直すことは一切こたえない、そして製薬企業は守ると、ここにあなたの姿勢があらわれていると私は思います。
 製薬企業は昨年五月に製薬産業政治連盟を結成いたしました。その趣意書を見ると何と書いてあるか。政治の場によき理解者を求める。国会議員の先生方と接触するには政治連盟を持ち、資金管理を適切に行う。要するに政治献金をてこに製薬産業の主張を通すということです。二〇〇〇年の政治資金収支報告を見ると、製薬産業政治連盟から、製薬企業の政治連盟、自民党へは総額一億一千万円、総理、あなた個人も四百万円の献金を受けている。
 あなたの言う改革というのは、国民には医療費の負担増という痛みを押しつける、そして自民党や自分は製薬企業から多くの献金を受ける。これじゃ今までの自民党政治と何にも変わらないじゃないですか。全く今までの自民党政治そのものだ。医療は国民のものであります。そして、医療保険というのは、懐の心配がなく病気の治療に専念できるようにする、そのための制度で、景気が悪い今こそそれを国がしっかり支える、そのことが求められている。それなのに国民だけに負担を押しつける、こんな計画は撤回するべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

○委員長(真鍋賢二君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)。
 

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