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歯科医師連盟の自民党費立て替え-20万人分8億円 (5月30日予算委員会・集中審議2)
○小池晃君
(中略)歯科医師会の問題であります。
歯科医師会の選挙活動についてお聞きをしたいと思うんですが、九九年度の国民政治協会への政治献金五十五億六千万円のうち、日本歯科医師連盟からは六億六千万円、断トツ一位であります。自民党の最大の支援組織だと。これは経済的支援だけじゃなくて選挙支援を各地でやっている。鹿児島県では、県の歯科医師会長が政治連盟の名前で自民党比例候補の票に直結する確実な名簿を一会員当たり二十名分送れという指示を出している。これは県歯科医師会の封筒で出されて、返送先も県歯科医師会だと。
総務大臣にお聞きしたいんですけれども、公益法人と政治団体が一体となったような、こうした特定候補の支援活動、選挙活動というのは許されるんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君)
歯科医師会は公益法人ですね、歯科医師政治連盟は政治団体でございまして、そこで公益法人が政治活動ができないんだと。これはできるんです、法的には、禁止されておりませんが。ただ、公益法人ですから、その法人の設立目的等の議論があると、こういうことでございまして、多くは政治団体をつくっておやりになっている。メンバーがどうだとか、中身がどうだとかということは一切わかりませんが、観念的にはそういうことでございまして、政治団体が政治活動をするのは当たり前であります。
○小池晃君
私が言っているのは、出してきた封筒も、それから後援会名簿の返送先も歯科医師会だということなんです。政治連盟、政治団体だったら何でも許されるのかということで、ちょっと資料をごらんいただきたいんです。
〔資料配付〕
○小池晃君
これは福岡県の歯科医師会の機関誌です。「歯界時報」という雑誌の九七年十二月号の記事です。これは前回、参議院選挙に向けた日本歯科医師連盟の臨時評議員会の報道記事でありますけれども、驚くべきことに、これは一人六名分の獲得党員の党費を自民党に支払うための借入金、記事の中にありますが、八億円です。この八億円の支出を評議員会で承認したとあります。
二十万人分の党費をどこからか借金して用立てた、これは私はKSD以上に露骨なひどいやり方だと思うんですが、総務大臣、こうしたやり方も政治団体だったら構わないということになるんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君)
これも既にお答えしたことがありますが、私どもの方は、事実関係を確認して、それをチェックしてと、こういう役割機能を持っているわけじゃないんですね。政治団体のいろんな、例えば政治献金をどうしたとか集めたとか、そういうことの報告をもらって公表して、あとは社会的ないろんな評価にまつと、こういうことでございますので、事実関係がわからない以上、コメントができないことを御了解いただきたいと思います。
○小池晃君
政治団体、政治連盟は歯科医師会と別だというふうにもおっしゃるわけですが、本当にそうなのか。
資料の二枚目を見ていただきたい。これは、鹿児島県歯科医師会の総会で配付をされた預かり金の収支計算書であります。これを見ると、日本歯科医師会の会費と日本歯科医師政治連盟の会費が全く同じ銀行の全く同じ口座番号に振り込まれております。財布は一緒なんです。医師会費と一緒に集められた一人年間三万五千円の政治連盟の会費が日本歯科医師連盟に上納され、それが党費の立てかえ払いに使われると。これを見れば歯科医師会と政治連盟は一体である、はっきりしていると思うんですね。
それからさらに、これは歯科医師会自身が認めている、政治連盟自身が認めている。実は、今、全国の歯科医が政治連盟からの退会の自由を求めて訴訟を行っている。その訴訟で、被告鹿児島県歯科医師連盟の代理人、それから日本歯科医師連盟の代理人は、準備書面で弁護士さんはこう言っているんです。規約上も実態としても歯科医師連盟の入退会は歯科医師会の入退と同時でなければならない。日本歯科医師会と政治連盟は車の両輪で密接不可分。
これ、私、歯科医師会の広報、新聞ですけれども、持ってきましたけれども、この中には何と書いてあるか。連盟を脱退しようとするときには日本歯科医師会を退会せよというふうに書いてある。歯科医師会と政治連盟というのは完全に一体なんですよ。歯科医師会そのものがはっきりこれを認めているんです。
厚生労働大臣にお聞きしたいんですが、厚労省所管の公益法人であります。そこが政治団体と一体であることを公言して政治活動をやっている。公益法人のあり方としては大変問題があるんじゃないですか。
○国務大臣(坂口力君)
政治連盟の活動の中身について私たちがとやかく言う立場にはありません。しかし、その活動、これからどういうふうに活動されるかということについて不適切な部分があるというふうになるならば、それは私たちは指導しなければならないというふうに思っております。
今、初めて聞いたところですから、よく一遍調べた上での話でございます。
○小池晃君
一般論ではなく、歯科医師会の入退会と歯科医師政治連盟の入退会は同時でなければならないと。言ってみれば、歯科医師会に入ったら自動的に政治連盟に入るんだ。そうすれば、実態としては特定政党の特定候補の支援活動をやっている。これが嫌だという人は、政治連盟をやめたいと思ったら歯科医師会をやめなさいと、これははっきり書いてあるんですよ。
こういう入退会同時の原則ということを掲げていることが、ここを聞いているんです、私。入退会同時だと、歯科医師会と政治連盟というのは一体なんだと。歯科医師会に入るときは政治連盟にも入るし、政治連盟を抜けたいと思えば歯科医師会をやめなきゃいけない。これは公益法人のあり方としておかしいんじゃないですか。どうでしょうか。
○国務大臣(坂口力君)
そこがまさしく今訴訟になっているところだというふうに聞いております。
○小池晃君
そこは訴訟になっていない。
○国務大臣(坂口力君)
そこはなっていないの。 よく調査をいたします。
○小池晃君
そこは歯科医師会側が認めているんですよ。自分たちが準備書面でそう言っているんですから。入退会同時なんだ、これが原則ですと言っているんですよ。そこは争いはないんです。
総理、私、申し上げたように、これは調査して報告をしていただきたいんですけれども、総理にお聞きしたいのは、こういうあり方はおかしくないですか。それは歯科医師の中で、歯医者さんの中で自民党を応援したいという人が勝手に自民党を応援するのは全然悪くないと思いますよ。そうじゃなくて、歯科医師会に入ったら政治連盟に同時に入らなくちゃいけないんだ、そして政治連盟に入ればもう自民党の支援活動をやらされる、それが嫌だと言ったらば歯科医師会をやめなさい、これが今の日本歯科医師会のとっている態度なんです。これ、どう考えてもおかしいと思いませんか。総理、どうですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
いや、それは知らなかったんですが、やはり本人の意思でないのに党員になるというのは好ましいことじゃないですよね。本人が意思がないのに党員にさせられているというわけですか。
○小池晃君
党員じゃないんです。政治連盟です。政治団体。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
ともかく、本人の自由意思というものはやっぱり尊重されるべきではないかなと思います。
○小池晃君
総理、確認をしたいんですが、あなたは日本歯科医師政治連盟から九五年に百万円、それから神奈川県歯科医師連盟から九八年に百万円、九九年に二百万円の献金を受けておられる。これは事実でしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
政治資金収支報告書に届けられているのがすべてでありますから、お調べいただいてそうだったらそうでしょう。私は法にのっとって政治献金を受けておりますから。
○小池晃君
今、るる説明してきたように、日本歯科医師会と歯科医師政治連盟というのは、これは鹿児島の例ではありますけれども、会費の口座番号が全く一緒だというような、本当にずさんなお金の扱い方をしているわけです。そして同時に、歯科医師会に入れば政治連盟の会員だと、嫌なら抜けなきゃいけない、歯科医師会をやめなきゃいけない、こういう構造になっている。
そういうところから、これは恐らく歯科医師連盟の会費だってもうすべての歯科医師会から、歯科医師会員からこれは集めているわけですね。そこからの献金が出ている。別に自民党を支持する、小泉純一郎を支持するという人でない人からもお金が出ている構造なんですよ。これは、私はこういうあり方は大変問題が大きいんじゃないか。
総理、あなたは自民党の改革を断行するんだということをおっしゃって自民党総裁に当選したわけですけれども、しかし、じゃその後どうかというと、KSDの架空党員の調査結果もまだ出ないわけですね。さらに、この歯科医師会の問題で見れば、八億円ですよ、八億円の党費立てかえをやっている疑いが極めて濃厚だという事態も出てきている。第二のKSDを思わせるような事実である。これは、やはり九七年の党費立てかえ、これは自民党総裁としてこういう事実があったのかどうかということはぜひ調査をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
もう党費の立てかえはないように、今、自民党も改革をしておりますし、今後、一つの公認の基準が党員何名という基準ももう撤廃しました。もう無理に集めなくていいということでありますので、私は、今言ったような点も含めて、無理に党員になりたくない人あるいは党員でもない人に党費立てかえということはこれからないようにしていかなきゃならないと思っております。
○小池晃君
この問題はぜひ調べていただきたい。
それから、やはり公益法人と一体化したようなこういう集金、集票システム、私はこういうのはきっぱりやめるべきだというふうに思いますが、過去の事態について調査をするかどうかということと、こういう仕組みについてはきっぱりやめるかどうかということについて明確に御答弁願いたいと思う。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
私は、他の団体について自民党がとやかく言う必要はないと思いますが、もう党費の立てかえとか、無理やり党員にしたものを意思に反して自民党の党員に勧誘させるというようなことはあってはならないと思っています。
○小池晃君
他の団体とはいっても、これは自民党と密接に関係があるんですから、こういうのはきっぱりやめるべきだと申し上げたい。
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