田村憲久厚生労働相は10日、医療・介護総合法案を審議中の参院厚労委員会で日本共産党の小池晃議員の追及を受け、介護保険の利用料引き上げ(1割から2割へ)の論拠を全面撤回しました。厚労省は年金収入359万円(可処分所得307万円)の夫婦をモデル世帯とし、支出を引いても「手元に60万円残る」から負担可能だと説明していました。
田村氏は、モデル世帯の支出額を決める根拠にした、家計調査の「年間収入250万~349万円」の階層について、「実態からいえば350万円以上(の階層)が(モデル世帯に)近い」と答え、従来の説明を撤回。「60万円残る」という論拠の撤回(5日)と併せて、負担増の論拠がすべて崩れ去りました。
小池氏は「年間収入350万円以上の階層の消費支出は342万円だ。モデル世帯は60万円余っているどころか、35万円足りない。貯金を取り崩しているのが実態だ。黙っていても2割負担できるのではなく、支出を急激に削らなければいけないということだ」と指摘しました。
田村氏は「反省している」と答え、2割負担については「消費支出342万円は充実した支出だ。何とかご理解いただきたい」としか言えませんでした。
同日の参考人質疑では「認知症の人と家族の会」の勝田登志子副代表理事が、「手元に60万円残る」との資料の誤りが明らかになったことについて、社会保障審議会介護保険部会の委員として「驚きと怒りを覚える」と発言。「審議会で真摯(しんし)に議論していた資料が間違っていたので撤回するというなら、審議会に差し戻すべきです」と述べました。
コメントする