医療・介護総合法案で介護保険サービス利用料を2割(現在1割)に引き上げる「年金収入280万円以上」の人について、"お金が余っていて負担能力がある"という厚生労働省の説明の根拠データが虚偽だったことが3日、わかりました。日本共産党の小池晃議員が参院厚生労働委員会で明らかにしたもの。田村憲久厚労相らは答弁できず、委員会審議は一時中断。負担増の論拠の破たんが浮き彫りになり、石井みどり委員長は「後刻、理事会で協議する」と述べました。
厚生労働省が示してきた負担増モデル世帯は夫(年金280万円)と妻(基礎年金79万円)の可処分所得が年307万円のケースです。これと、収入250万~349万円の世帯の平均消費支出247万円を比較。可処分所得から消費支出を引くと60万円余り、この差額によって利用料2割を負担できるというのが厚労省の説明でした。
しかし政府の家計調査によると、「収入250~349万円」の世帯は平均可処分所得が年197万円しかなく、預貯金を取り崩すなどして生活しているのが実態です。
小池氏は「平均可処分所得が200万円にも満たない世帯の消費支出を、300万円以上の可処分所得と比べれば、お金が余るのは当たり前だ」と指摘。「2割負担を合理化するための恣意(しい)的な資料だ。可処分所得307万円の世帯で、毎月お金が余って年60万円資産が増えるという想定は現実に合わない」と批判しました。
田村氏らは答弁に立てず、与野党の理事に「説明できるのか」と詰め寄られる事態に。委員長が速記を止めて協議したものの、田村氏は「根拠も含めて答えをつくるので、今日のところは許していただきたい」としか答えられませんでした。
小池氏は「2割負担が可能な根拠として説明してきたデータが間違っていることは明らかだ。2割負担の根拠は崩れている」と強調しました。
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