日本共産党の小池晃議員が5日の参院本会議で行った社会保障プログラム法案の反対討論(要旨)は次の通りです。
「赤旗」12月7日付け
本法案は衆院での採決強行に続き、参院でも本会議の趣旨説明・質疑を求めた野党の要求を無視し、付託が強行されました。厚労委でも不正常なまま、わずかな審議時間で採決されようとしています。与党に一義的な責任がありますが、「3党合意」を推進し、委員会審議に欠席を続けた民主党も、その責任を免れません。
反対理由の第一は、社会保障制度改革の基本を「自助・自立のための環境整備」と規定したことです。社会保障制度改革国民会議「最終報告」にあった「自助、共助、及び公助」という言葉すら消えうせました。憲法25条に基づく社会保障という考え方を完全に放棄し、国民を無理やり「自助」に追い込む宣言にほかなりません。
反対理由の第二は、医療・介護・年金など社会保障の全分野にわたる制度改悪の実行を政府に義務づけていることです。
医療では、70~74歳の窓口負担増が高齢者をさらなる生活苦や深刻な受診抑制に追い込みます。入院給食費を保険給付から外せば、数千億円規模にのぼる患者への負担増になりかねません。国保加入者の貧困化が深刻になる中、「財政の都道府県単位化」によって国保税の値上げを迫る姿勢が、矛盾をいっそう深刻化させます。
介護保険では、利用料の2割負担への引き上げが広範な利用者に襲いかかり、要支援者の介護サービスの切り捨てや軽度者の特養ホーム入所制限が必要な給付を抑制して高齢者の要介護度の重度化を招きかねません。
年金では、今年度から3年間かけて実施される約1兆円の支給削減につづき、マクロ経済スライドの発動で連続的な支給削減のレールが敷かれたうえ、支給開始年齢の先送り、年金課税の強化も検討されています。
子ども・子育て支援新制度が保育現場に深刻な影響を与える点も指摘されています。
政府が決めた社会保障大改悪のスケジュールを国会に可決させ、"お墨付き"を与えるものとなっており、自作自演の"既成事実化"は容認できません。
反対理由の第三は"消費税の増税分を社会保障に"という「一体改革」の偽りの看板すら投げ捨て、社会保障の理念と制度を根底から掘り崩すことです。
昨年成立した社会保障制度改革推進法では、社会保障の公費負担は消費税収を「主要な財源」としていましたが、本法案では社会保障給付に「活用」する規定にとどまり、「社会保障の給付の重点化及び制度の運営の効率化」による社会保障費削減を行うとしています。「消費税は社会保障のため」という議論は、もはや完全にほごとされたのです。
日本共産党は、安倍・自公政権の社会保障解体路線と全面的に対決し、消費税に頼らずに社会保障を再生・充実する対案をかかげ、国民的共同を広げてたたかう決意です。
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