○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
法案ですけれども、ストレスチェックを職場改善につなげることを明記をしておりません。法案作成の前提になった労政審の報告書も、対策の方向性として、個人が特定されない形で集団的に分析された評価結果を入手し、当該職場ごとのストレス状況を把握し、職場環境改善に生かすという方法も考えられるというふうに言っています。また、日本産業衛生学会の意見も、職場の心理社会的な環境、職業性のストレスなどを事業場ごとに評価してその対策の立案、実施、改善を行っていくリスクアセスメントを推進する制度への転換が望ましいとしております。
大臣、ストレスチェックをやはり個人の気付き、責任にとどめるのではなくて、職場環境の改善、いわゆる一次予防につなげることが不可欠だったと思うんですが、これが法案に盛り込まれなかったのは非常に残念だと思っています。これ明文化されるべきじゃなかったんでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) このストレスチェックの結果を、労働者の特定ができないような形にしてこれを集団的に集計して分析して、そのデータを職場環境の改善のためにつなげていくと、これは意味のあることだというふうに思います。
ただ一方で、これ、それぞれの事業所によって、その事情によっていろんな工夫があるわけでありまして、具体的な運用方法に関してはそれぞれによって違ってくるということでございますので、そういう意味では、法律に明記するというよりかは、これはここに、今言われたとおり、指針の中で示すという方がより弾力的に使えるのではないかというような形の中で、今般は法律には明文化しなかったということであります。
○小池晃君 これは実施後の課題ということで、是非考えていく必要があると思っています。
それから、法案には面接指導を受けることを申し出たことを理由とする不利益取扱いの禁止はあります。しかし、受診しないとか、受診内容を報告しないというようなことを理由にした雇い止め、解雇、様々な労働者の不利益を許さない取組が必要だと、歯止めが必要だと思うんです。
今でも精神疾患とかストレスに対する弱さというのが解雇の理由にされております。いわゆるブラック企業は、解雇リスクを避けるために大量に学卒者を採用して、達成不可能なノルマを課して、未達成だったら責任を取れというやり方で、過酷な仕事でメンタル不調をつくり出す、うつ病や適応障害に追い込んでいく、そして病気のためだという自己都合退職という形に追い込んでいく。今野晴貴さんなどはこれをブラック企業の手法の一つとして指摘をしておるわけです。労働政策研究機構の調査でも、メンタルヘルス不調で休職した社員の四二%が、休職制度の利用中や復帰後に退職をしております。
厚労省に聞きますが、精神疾患などによる解雇、あるいは休職中の半ば強制的な自己都合離職などについてやっぱり実態を調べる、あるいは不利益な取扱いを許さないルールを徹底していく、相談窓口を設置していくなど必要だと思いますが、どのような取組を考えておられますか。
○政府参考人(中野雅之君) ストレスチェック制度は、労働者自身のストレスの気付きを促すとともに、職場環境の改善につなげることを目的としたものでございまして、正当な理由なく労働者に不利益な取扱いがなされることはあってはならないと考えております。このため、結果については直接労働者に通知されまして、同意なく事業者には通知されない仕組みにするなど、労働者の意向に反してこのような情報が取り扱われることがないような仕組みとしております。
また、ストレスチェックを受けなかったことや結果の通知に同意しないことのみをもって不利益な取扱いを行うことも法の趣旨を踏まえれば不適切と考えられるため、労働者の受診義務の規定がないことの趣旨等を指針等に示すことによりまして、事業者への周知を図っていきたいと考えております。
さらに、労働者の申出に応じた面接指導につきましては、御指摘がありましたように、申出をしたことを理由とする不利益な取扱いにつきましては法律上禁止するとともに、面接指導の結果を踏まえた事後措置の適切な方法や不利益取扱いと認められる事業者の行為を今後指針で示すことなどによりまして、正当な理由なく不利益な取扱いがなされないような仕組みとしており、これらに沿って適切な運用がなされるよう周知啓発、施行後の必要な監督指導を行っていきたいと考えております。
また、JILPTの調査等のお話もございましたが、その調査によりますと、復職支援プログラムがない場合はメンタルヘルスによる離職、退職率が高いこと等も認められておりますので、今後とも、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」というものを作成しておりますが、これによる周知啓発や、産業保健総合支援センターを通じました職場復帰支援プログラムの支援等によりまして、事業者またそれからいろんな厚労省におけるポータルサイトの運用等によりまして支援に努めていきたいと考えております。
○小池晃君 丁寧な対応を求めていきたいというふうに思います。
先月、最高裁では、心の疾患については社員の申告がなくても会社に安全配慮義務がある、事業所の責任は免罪されないという判決が出されております。労働者からの申出がなかったからといって、うつ病の発症などが個人責任にされて、使用者責任が免罪されることはあってはならないというふうに思っております。
それから、メンタルヘルス対策というのは、年一回のチェックだけでは済まないと思います。やはり雇用者は、その責任として、長時間労働の抑制、休養をしっかり取ること、福利厚生の充実、いろんなハラスメントの根絶など、うつ病予防をきちんと行うことが求められるというふうに思うんですね。
大臣、我が党は、今国会、本院にブラック企業規制法案を提出をしております。やはりメンタルヘルス対策に正面から取り組むためにも、私たちの法案で提起をしているような中身、例えば残業時間の上限を三百六十時間、これを指針ではなく法定化をすると。あるいは、サービス残業が発覚した場合の残業代の倍返し制度と。その抑止効果を働かせるということで、残業代を倍返しさせると、発覚した場合には。それから、パワーハラスメントの法的な規制と。こういう中身で法案を提案しているんですが、やはり長時間労働を抑制するための制度、こういったことを法制化あるいはその様々な施策必要だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 残業代の倍払いですね。倍返しだと大変なことになっちゃいますので。
今お話ありました、例えば労働基準法に違反するような部分に関して、例えば賃金の未払でありますとか、そういうことは、これはもう適切に対応していかなきゃならぬわけでございまして、厳しい対応をしてまいりたいと思いますし、労働時間等々もしっかりと我々はチェックしていかなきゃならぬというふうには思っておりますが、一方で、今言われたように、三百六十時間を厳密に扱うでありますとか、倍払いでありますとかということは、これはいろいろとこれから労使の中でも御議論をいただかなきゃいけない話なんだろうと思います。
いずれにいたしましても、労使でお決めになられることでありますが、そういうような御意見があるということは参考にさせていただきたいというふうに思います。
○小池晃君 是非しっかり参考にしていただきたいと。
やっぱりきちっと法制化したり、様々な制度、先ほども長時間労働の話があったけれども、やっぱり三六協定で特別条項なんていうのはもうどんどんどんどん天井なしでやっているのが実態で、それでやっぱり過労死超えるような基準で働かせているわけで、やっぱり歯止めは必要だということを改めて私も言いたいと思います。
それから、先ほども議論ありましたが、今回五十人未満の中小企業、中小規模事業場のメンタルヘルス対策は努力義務となっているわけですが、その点ではやっぱり地域産業保健センターの役割が大きいと思います。
地域産業保健センターのホームページを見ますと、小規模事業場の労働者に対して、医師による面接指導の相談とか健康窓口の開設とか、個別訪問による産業保健指導の実施、産業保健情報の提供等、小規模事業者への利便性を考慮して地域ごとに置いたという、非常に大事なことだと私は思う。
しかし、これだけの役割を、これ非常勤のコーディネーター一人でこなさなければならないという仕組みで、これまでは月八日でよかったというのを二十日に延ばすというのでそれで前進だというふうに説明を受けたんですけど、やっぱりそれでも掲げた今の中身を実施することは難しい。センターというのであれば、せめて複数の専門家を常勤で置くということをやるべきではないかと思います。
大臣、やはり中小企業対策、先ほども大事だという指摘もあったので、やはりこの地域産業保健センターの抜本的な強化が必要ではないかと思いますが、いかがですか。
○大臣政務官(鳥修一君) 小池委員にお答えをいたします。
産業保健活動総合支援事業は、これまでの産業保健推進センター、地域産業保健センター、メンタルヘルス対策支援センターの各事業を平成二十六年度より一元化したものでありまして、各都道府県単位で設置する産業保健総合支援センターにおいて、心と体の相談等をワンストップサービスで提供するなど、事業場の産業保健活動を総合的に支援する機能が強化されているものと考えております。
産業保健総合支援センターは、地域窓口を設けまして専門的なコーディネーターを配置いたしまして、小規模事業場を対象に産業医や保健師による労働者の健康管理に係る相談対応や個別訪問指導のほか、産業保健に関する情報提供などの支援を行うことといたしております。
委員の御指摘も踏まえまして、今後とも小規模事業場において産業保健総合支援センターの積極的な活用が図られるよう機能強化に努めるとともに、周知広報に努め支援を行っていきたいと考えております。
○小池晃君 しっかりやっていただきたいというふうに思います。
また、法案では重大事故を繰り返す事業主に対して公表する制度を作るわけですが、労災の死亡事故が年間千人超えているというのは本当に重大だと思います。
建設業についてお聞きしますが、厚労省の報告では建設業で働く労働者の事故は減っているとなっているんですけれども、しかし、全建総連は、厚労省の統計の建設業部分には一人親方や事業主の事故が入っていないと。実態でいうと、やっぱり一人親方は事業主とされているケースが非常に多いわけですね。一人親方の場合は、特別加入という形で労災に入って認定もされているのに、この統計の公表からは除かれていると。やはり、建設業で一人親方や事業主の死亡事故を除いた数字で事故減っているというのはおかしいではないかと、対策にも影響するという指摘をされています。
厚労省に聞きますが、何で一人親方や事業主を労災事故統計に入れないのか。組合の要求で昨年七月から十二月までの数字調べたと聞いていますが、これはどれだけあったんでしょうか。
○政府参考人(半田有通君) お答えします。
一人親方につきましては、特別加入に入っているのに労災に入れていないのは私どもの考えではございませんで、労働者性がないということで労働者統計から外してございます。ただ、作業実態が、結局、労働者の皆さんと同じような危険な環境で危険な作業に従事しておられる方が多々あるということで、これを救済する必要があるということで特別加入制度が設けられているものだと理解しております。
それで、ただいまそういう状況で統計には入ってございませんが、先生から御指摘ございましたように、私どもの方ではこの一人親方の災害発生状況について調査する必要があると考えてございまして、二十五年八月から調査を行っているところでございます。現在、半年分の調査結果について集計しているところでございまして、取りまとめが終わり次第、直ちに公表する予定としてございます。
以上でございます。
○小池晃君 これ、早く発表して、必要な対策取っていただきたいと思います。
受動喫煙の問題について聞きます。前回提出法案の義務規定から努力義務規定になって、後退したわけですね。今回、義務規定変更した理由として、建議での義務化すると国の現行の支援がなくなるとの意見に十分留意したと、これよく分からないんですけど、そんなことが書いてあるんですね。
それでは、じゃ国の支援というのはどうなっているのかと。配付資料を見ていただきたいんですが、中小企業への受動喫煙防止対策助成金の推移見ますと、二〇一二年度は予算五・六億円だったものを、昨年はこれを、先ほども説明あったように、対象を全業種に広げたと、上限も引き上げたと、予算額七・六億円になったと。ところが、実績は三・九億円で、三百五十七件でしかない。今、これ対象とすべき事業所ってどれだけあるかと計算してみると、全業種で三百八十五万です。そのうち、既に分煙に取り組んでいるという六割を除いたとしても百五十四万事業所が対象になるのに三百五十七、四千三百事業所に一件と、極めて支援規模小さいわけですね。
先ほど指摘もあったように、これ助成率、やっぱり引き上げるべきですよ。もっと使えるような制度にしなきゃいけません。ところが、今年度予算を見ますと、更に予算を七・三億円に減らしているんですね。今でも余りに低い水準なのに何で更に下げたんですか、今年の予算で。
○政府参考人(中野雅之君) 平成二十五年度の受動喫煙防止のための助成金は、それまでの執行状況や二十五年度から行った助成率の引上げ及び業種拡大を総合的に判断して七・六億円の予算でございました。しかしながら、助成金についての周知広報が十分でなかったこともありまして、二十五年度の助成金の執行率につきましては、ただいま委員御指摘がございましたように、三百五十七件、三・九億円、二月現在、そういう見込みでございます。このような状況を踏まえまして、二十六年度の予算においては七・三億円という状況でございます。
今後とも、助成金が十分活用されるよう、より一層周知広報に努めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 努力義務にする法律を通そうというときに予算は減るというのは、これはやっぱりおかしいというふうに思うんですよ。この法案が成立して、多数の事業者の申請が殺到して予算不足したらどうするのかと。
大臣、これは予算はもう通ってしまったので、これ変えることできないわけですけれども、やっぱり新たな財源確保してでも、全面禁煙、空間分煙進めるために、もう少なくとも申請には全て応えると、ありとあらゆる手だてを尽くすと。こういうやっぱり予算減らすなんてことはちょっとやめてほしいなというふうに思うんですけど、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) やはり、執行状況というものを見て、財務当局とのやり取りの中で今般こうなったわけでありますが、法律を成立させていただければ、これ、説明会含めて、我々もPR、広報、しっかりやりながら、本年度の執行状況を上げていけば、当然来年度は更に予算を要望ができるわけでございますので、そのためにも御協力をいただければ有り難いと思います。
○小池晃君 十分協力していると思うんですけれども。是非頑張ってほしいと思います。
原発労働者の健康問題について聞きます。
福島第一原発の中で死亡事故が起きました。三月二十八日に、掘削作業をしていた下請会社の作業員が土砂の下敷きになり死亡した。本当に痛ましい事故で、御冥福を心からお祈りしたいと思います。報道では、救出から医師の診療まで二十五分掛かっているというふうに言います。
福島第一原発は、日々四千人もの方が危険な作業に当たられている極めて特殊な職場でありますし、これから廃炉まで今後数十年掛かると。二度とこんなことが起こらないような対策が必要だと思います。今回の事故の検証、そして事故発生時の連絡体制の再徹底は当然だけれども、やはり医務室への医師の常駐ということだけじゃなくて、今回のような重大事故に対応できるような本格的な医療体制をつくるべきではないだろうかと。私は、これは大臣、危険作業に従事している作業員への国のやっぱり姿勢を示すことにもなるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(鳥修一君) 東電福島第一原発の事故収束に向けまして、多くの作業者が過酷な環境において作業いたしておられることから、委員御指摘のとおり、こうした労働者に対する医療体制は大変重要であると認識をいたしております。
厚生労働省といたしましては、事故当初の早い段階から発電所構内に医師を常駐させる体制の構築を指導いたしておりまして、この結果、救急医療の専門医等が常駐する救急医療室が発電所構内に既に設置をされております。また、傷病者の症状に応じましてより高度な医療機関への搬送を適切に行うため、搬送体制等を確保するよう指導いたしまして、その結果、ドクターヘリにつきましては発電所北側三キロ付近の駐車場に既に発着場を確保しているところでございます。
○小池晃君 ありとあらゆる手だてをやっぱり取ると。それから、やっぱり本格的な医療施設みたいなものも私は考える必要があるというふうに思っています。
放射線被曝によってがんや白血病を発症し、労災認定になった場合の給付について聞きます。
労災保険の仕組みでいうと、認定を受けると基礎日額の八〇%が休業手当として支給されるわけです。放射線によって起こる疾病というのは、これは長い期間掛かって発症します。一方で、労災認定となったときの給付の基準は最終職場の賃金となっています。福島第一原発のあの非常事態の中で働いた労働者が、その後、廃炉作業あるいは除染作業に就いた場合も、その最終事業場での賃金が基準とされる可能性があります。
今、現場を見ますと、今も重層下請構造で、危険な作業についてもピンはねが行われていて、危険手当含めても一万円以下というような訴えも寄せられているんですね。仮に、放射線による労災が認定されても、最終職場の賃金の算定ということでは、生活保護水準以下の労災ということになる労働者が多数出る危険があります。
やはり、最悪の事態に文字どおり命を張って尽力した労働者に対して万が一労災の事案が起こったときに、やっぱり私はこれ冷たいと思うんです。
放射線などに被曝して、その後、時間を置いて発症した労災の賃金日額の算定というのは、大量被曝をした事故直後の緊急作業時の賃金を基にして、本来労働者に渡るべき危険手当も含めて基礎日額を算定するような特別の措置をとるべきではないでしょうか。厚労省、いかがですか。
○政府参考人(安藤よし子君) お答え申し上げます。
労災保険制度におきましては、被災労働者の稼得能力を適正に評価し、これに基づいた補償を実施するという趣旨に鑑みまして、労災保険法第八条第一項で、業務上の疾病の場合の給付基礎日額について、疾病の発生が診断により確定した日を起点に算定するというように定めております。このため、疾病の診断確定日に放射線業務に従事している場合には、賃金の高低にかかわらず、その事業場における賃金を基礎とすることになっております。また、診断確定日に放射線業務に従事した事業場を離職して、もはや放射線業務には従事していないという場合には、直近に放射線業務に従事した事業場における賃金を基礎とするということにしております。
このような基本的な考え方の下、現時点において御指摘のような特例等を設けるということは困難であると考えておりますが、今後とも具体的な事例に即して適切な保険給付がなされるように対応してまいりたいと考えております。
○小池晃君 そういう堅苦しいことでいいんですか。大臣、やっぱりこれ異常事態だったわけですよ、非常事態だったわけですよ。そこで献身的に頑張ったわけですよ。仕組みはそうだというのはそのとおりだと思うんだけど、やっぱりここはちょっと特別な手当て考えるということを、これはすぐにでなくても、検討課題でもいいですからやっぱり考えるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 委員の御意見として参考とさせていただきます。
○小池晃君 私は、これは本当に真剣に考えるべきだと思います。
それから、今回の福島第一原発の事故を受けて、緊急作業従事者の一部には健康手帳を出すことになって管理することになりましたが、それ以外のその原発事故の関連作業従事者に対しては事業主の管理責任という、行政は監督指導をするだけになっています。これではやはり現場で働く作業従事者の不安拭えないと思うし、これから除染、廃炉ともう何十年にわたって被曝する作業が続くわけで、若い人本当に多いんですよ、現場には。皆さん将来の自分の健康への不安抱えているし、自分の子供たちの健康にまでその不安は及んでいるわけで、私はこれを国として今のままの制度でいいのかというふうに申し上げたい。
日本医師会は、原発事故関連の作業を行った従事者が離職後、再従事するようなことを繰り返すような場合でも、作業従事者の雇用状況が事業主に確認できるような一貫した健康管理が可能なものにすべきだと提言をしております。そして、福島第一原発の収束作業に従事した全労働者はもとより、全ての放射線業務従事者、除染等業務従事者、特定線量下業務従事者であった者に健康管理手帳を交付し、在職中及び離職後の健康診断を保障する制度の早急な構築が必要だと提言しています。
大臣、私は、これは非常に貴重な提言ではないかと。原発作業員の生涯健康管理を、やはりその手帳制度なども創設をして国が責任を持って行うということを、これは私、検討すべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 原子力発電所の作業員に関しましては、もう御承知のとおり、法令で事業主が線量管理でありますとか健康管理をこれはしているわけでありまして、これは法令にのっとってでありますから、厚生労働省といたしましても監督指導をしっかりやって履行の徹底をしておるわけであります。
この緊急作業員、緊急作業時に作業された方々に関しましては、これは、そのときに緊急作業ということで、事故が起こった直後でございますから、その被曝限度量も二百五十ミリシーベルトまで上げたわけであります。さらには、極限状態で作業をされておられますから大変な心理的負担もあったわけでございまして、これに関しては国がデータベースを作った上で長期にわたって健康管理をやるということになっておるわけでありますが、これは、そういうような特別な状況の中で、被曝線量も多いかも分からないという中で作業をされたということにおいてそのようなことをやっておるわけでございまして、一般の作業員の方々、原子力発電所の作業員の方々に関しましてはこの対応という形ではないわけでありまして、法令にのっとって事業主に対応していただくということであります。
○小池晃君 私は、三・一一の前と後とでは違っていると思うんですよ。やっぱり、今の除染、廃炉の作業というのは通常の業務ではないわけですよ。線量が今の瞬間はそんなに高くない場面もあるのかもしれません。しかし、やっぱりああいう異常な環境の中で働いているという人たちに対して、私は国が責任を持って生涯の健康管理をやるんだということを示すべきだと思いますよ。これは是非検討していただきたい。
それから、データベースに登録をしているわけですが、このデータベースの登録状況についても、登録率が低いということについて日本医師会は、これはなかなか事業主任せの健診になっているということがあるというふうに指摘をしていて、国が強制力を持った健診をやるべきだというふうに言っています。検査データは、長期的な健康管理への活用はもちろん、疫学的研究においても非常に重要になるという指摘です。私も、これ全く同感です。
同時に、データベース登録対象者のうち、健診の対象となっているのは、白内障の検査で被曝量は五十ミリシーベルト超え、がん検診では百ミリシーベルト超え、合わせて九百五名です。それ以外の一万二千人近い人々は対象外です。
厚労省に聞きますが、やはり原発事故の収束作業に当たっている労働者全員について私は定期的ながん検診やるべきだと思いますけれども、せめて事故後に高い線量を被曝した可能性が高いデータベースの登録対象者については、やはりこれは国の責任でがん検診を行うべきではないですか。
○政府参考人(半田有通君) 先ほどの繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、今特別なこのデータベースを作ってやっているというようなところの理由というのは、非常に厳しい環境の中で緊急作業に従事されたということに対する配慮ということがございます。こういった方々に対する長期的健康管理をどうやっていくかということを専門家検討会で御検討いただいて、その報告に基づきまして指針を定め、それに基づいて管理をやっているところでございます。
こういう考え方でやってきておりますので、やはり基本的には事業主の方がそれぞれの管理をきちっとやっていただく、それを私ども国の方できちんと押さえてやっていくということでやっていくべきではないかなと考えてございまして、それは他の危険有害業務と同等の考え方であると考えておるところでございます。
○小池晃君 いや、全ての原発作業員の検診をやりなさいとは言っていないんですよ。今おっしゃったように、厳しい環境の中で働いたというこのデータベース登録者だけでもせめてやっぱり、これは国策として原発推進した、そしてあの緊急作業だって国の命令でやったわけじゃないですか。
それで被曝をしたという人たちに対してやっぱり国が責任を持って、せめてこのデータベース登録の一万二千人についてはがん検診をやるぐらいの、国としてやっぱりそういう姿勢を私は示すべきだと思いますよ。それが本当に真剣に頑張った人たちに対する私は対応だと思います。是非検討していただきたい。
最後に、労働条件の問題ですが、東京電力は下請業者を通じてアンケートをやって、これで法律違反の偽装請負が一七%あるというふうにされています。しかし、このアンケート後も、危険手当全く出ていないとか、偽装請負も表面上は変わったけれども中身変わっていないとか、まだ危険な業務が実際にはやられているとか、そういう告発はどんどん寄せられています。
現場では労働局が、偽装請負は違反ですというリーフレットを配布するなどの努力をしています。
しかし、実態はまだまだ不十分なんです。
私、提案したいのは、これは、下請事業者を介したアンケートだと正直にやっぱり書かないというんですよ、労働者に聞くと。やっぱり結局それが伝わっちゃうと。だから、これじゃ駄目なんじゃないかというのが現場の声です。事実も本音も明らかにできないと言っています。やっぱり危険手当がちゃんと届いているかどうか、偽装請負があるのかないのか、労働環境は本当にどうなっているのか、直接行政が私は労働者に対してアンケートをやるべきだと。それは繰り返し起こっている事業者に対する、違反事業者への警告にもなります。作業員に対しても、国はあなたたちのことを真剣に考えているんだよ、安心して働けるように頑張っているんだよというメッセージにもなります。
是非これは以前から厚労省にはやってほしいと言っているんですが、駄目なんですよ。大臣、ここは政治的な判断でこのぐらいのことはやったらいいじゃないですか。やっぱりきちっと労働者の声を国が責任を持って直接聞くということをやったらどうですか。いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 現状でも富岡監督署が定期的に入っているわけでありますし、今委員がおっしゃられたとおり、偽装請負でありますとか労働条件等々に関してはいろんな広報をしておるわけであります。今度、広野町にも新しく事務所をつくって対応しようというふうに考えております。
いずれにいたしましても、労働者の方々が相談をしやすい体制をつくって、生の声がいつでも我々しっかりと確認できるような、そんな体制を取る中において労働者のいろんな御意見を賜ってまいりたい、このように考えております。
○小池晃君 このくらいやるべきですよ。リーフレットを作っているんだから、そこのところの下の方に、ここに書いてくださいって何か返信用のはがきか何かを付けて、それをもう労働者に、集まっている場所あるわけだからそこで配る、それが返ってくると、それだけでいいじゃないですか。
やっぱり労働者にしてみれば、下請事業者からアンケートを書いてくれと言われたって、これは本当に書きにくいというんですよ。私もそうだと思いますよ。そうじゃなくて、これは直接富岡の労働局なり厚生労働省本省なりに届くというアンケートにすれば、やっぱり国だったら聞いてくれるんじゃないかということで僕は書いてくれると思うんです。是非これは、これぐらいのことはやっぱり検討してほしい、是非やってほしいというふうに重ねて要望にしておきますが、訴えて質問を終わります。
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