暮らし削り米軍聖域
骨太方針を小池氏批判 どこが「改革」か
日本共産党の小池晃政策委員長は、二十三日放送のNHK日曜討論に出演し、小泉内閣が「骨太方針2006」で打ち出した社会保障の大幅削減、消費税増税路線について「歳出削減といえば暮らしに切りこむ、歳入の見直しといえば庶民増税、消費税。いったいどこが『改革』なのか」と批判しました。
■削減の中身
五年間で最大十四・三兆円の歳出削減という方針について、小池氏は「徹底的に歳出削減をやれば、国民から悲鳴があがり、増税がやりやすくなる、と小泉首相も言っている。兵糧攻めにしたあげく、消費税増税を押しつけるという狙いだ」と強調。「問題は削減の中身だ。本来メスを入れるべきところを聖域化している」として、生活保護や雇用保険を削る一方、道路特定財源約六兆円の一般財源化は先送りし、在日米軍再編には三兆円も注ぎ込もうとしていることをあげました。
自民党の甘利明政調会長代理は、米軍のグアム移転費用について「できるだけ既存の予算のなかでとりくむが、はみ出る部分も当然ある」とのべ、「別枠扱いだ」との小池氏の指摘を認めざるをえませんでした。
消費税増税問題について甘利氏は「(法案提出は)〇八年度ということになる」とのべ、民主党の伴野豊政調副会長は「消費税の議論は大いに結構だ」と発言。公明党の山口那津男政調会長代理は「(基礎年金国庫負担引き上げの)安定的な財源として消費税は有力な選択肢だ」と語り、社民党の阿部知子政審会長は、大企業や高額所得者に負担を求めたうえで、「その結果、消費税しかないとなれば、国民も納得すると思う」とのべました。
小池氏は、日本の貧困率は世界第二位という数字をあげ「一番格差を拡大する税金を唯一の選択肢として押しつけるのは許されない」と批判しました。
■目的税狙う
小池氏は、政府・与党内で浮上している「福祉目的消費税」構想について「消費税は一番福祉を必要としている人に重くのしかかる一方、大企業は社会保険料負担がなくなる。社会保障にもっともふさわしくない」と批判。「社会保障の低い水準を我慢するか、それが嫌なら消費税増税だという最悪の選択肢を国民に押しつけることになる」とのべました。
「財源を示せ」という甘利氏の発言に、小池氏は、大企業がバブル期を超える最高益をあげながら、法人税減税によりピークの一九八九年度と比較して法人税収が六兆円も減っていること、所得税の最高税率の引き下げにより、日銀の福井俊彦総裁のように役員報酬三千六百万円に加えて年金額が七百八十万円の場合、年間二百万円もの減税になっていることを指摘。財源を言うのなら「こういうところにメスを入れるべきだ」とのべました。
「法人税が低いアジア(諸国)と競争しなければいけない。消費税は内外無差別だから、国際競争力に影響しない」と増税を合理化する甘利氏に対し、小池氏は「国際競争力の土台は、国民の暮らしだ。国民の暮らしをこわして、国際競争力を言う資格はない」ときっぱり反論しました。
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