「いつでも元気 2011.11 No.241」より |
そもそも税金は、お金をたくさん持っている人や、大もうけしている企業などが応分の負担をすべきもの。何でもかんでも「消費税だ」なんて、納得いきません。
「億万長者に増税を」
そう思っていたら、こんな論文がアメリカの新聞「ニューヨーク・タイムズ」にのりました。題して「スーパーリッチを甘やかすな」。
書いたのは、有名な投資家のウォーレン・バフェット氏。バフェット氏は言います。
「貧困層や中間層がアフガニスタンで戦い、多くのアメリカ人が家計の帳尻合わせに四苦八苦している一方で、私たち億万長者が異常な減税を受け続けている」
バフェット氏の税金が減税された結果、課税所得の一七・四%であるのに対し、彼が経営する会社の社員は三三%から四一%の税負担になっていると言うのです。彼は自分が社員のだれよりも低い税率であることを怒り、「富裕層を絶滅危惧種のように保護するのをやめよ」と訴えました。
もしもバフェット氏が日本に住んでいたらどうでしょうか。株取引に対する税率はアメリカで二七%(ニューヨーク州の場合)ですが、日本はわずか一〇%(二〇〇三年、小泉内閣が本来の二〇%から減税)です。実は、日本はアメリカよりもはるかに"金持ち天国"なのです。バフェット氏が知ったら、もっと怒るでしょう。「日本の大金持ちを絶滅危惧種のように甘やかすな!」と言うに違いありません。
あのフェラーリの社長も
バフェット氏の呼びかけに、ヨーロッパの富豪から次々に賛同の声が。ドイツの資産家五〇人のグループがメルケル首相に対して、「財政赤字の打開策は、貧困層に不釣り合いに痛手となる歳出削減でなく、富裕層への増税を」と主張しています。
フランスでは富豪一六人が、週刊誌「ヌーベル・オプセルバトゥール」で、大金持ち対象の「特別貢献税」の創設を提案。名前を連ねたのは、航空会社エールフランスKLMの会長や大手化粧品会社ロレアルの社長、プジョー・シトロエン社の社長など、そうそうたる面々です。
イタリアでも"スーパーカー"フェラーリ社の社長が、財政再建は「富裕層に求めることから始めなければ」と語っています。
ドイツのグループの一人、レームクール氏は「われわれの資産の多くは相続したものであり、必要以上の金を持っている」「貧富の格差拡大を阻むため、手を打たなくてはならない」と。大金持ちとしての社会的責任をふまえた発言です。"スーパーリッチ"ならば、態度もこうでなきゃいけません。
かたや日本の富裕層は
こうした声を受けて、イタリアやフランスなどの政府は富裕層に対する増税を打ち出し、アメリカのオバマ大統領も一〇年間で三〇兆円を超える富裕層への増税を提案しました。
かたや日本はどうか。日本経団連の米倉弘昌会長は、東日本大震災の復興財源として消費税の増税を求める一方、大企業の法人税については「引き下げ」を求めています。
国会では、震災後にもかかわらず、株取引の税率一〇%への引き下げをさらに二年も延長することを民主・自民・公明の賛成でさっさと決めてしまいました。
株取引で何億円もうけようが、税率一〇%ですむなんておかしい。こんな連中には欧米の富豪たちの"爪のあか"でも煎じて、飲ませてやるしかありません!