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こんにちは小池晃です空爆の苦しみに怒り「しんぶん赤旗」(東京、南関東版)より転載
イラク戦争の報道に接するたび、思い出すことがあります。三年前の米軍によるアフガニスタン空爆のさなか、日本共産党調査団の一員としてパキスタンを訪れたときのことです。 私が、アフガン国境近くの町クエッタで最初に出会った被害者は、生後十カ月の男の子でした。頭に包帯を巻いたその子は元気そうでしたが、レントゲン写真には脳に突き刺さった爆弾の破片が写っていました。 傍らには全身に爆弾の破片を浴びた母親が横たわり、呼びかけてもぴくりとも動きませんでした。病院の医師は「見てくれ。この家族はテロリストとは何の関係もない。アメリカは、テロをなくすための戦争だと言うが、こんな爆撃が許されるのか!」と怒りを込め、私は言葉を失いました。 イラクでも、同じような苦しみや怒りが繰り返されています。それを描くガルフ 弟の戦争」(青年劇場)が先ごろ上演されました。 しばらくぶりの演劇でしたが、会議が予定より早く終わったので、幸運にも足を運ぶことができました。これはロンドンに住む一家の物語で、主人公は兄のトムです。弟のアンディは感受性が強く、木から落ちた子リスや飢えたエチオピア難民など、次から次へと弱いものにとりつかれたように感情移入していきます。 イラクのクウェート侵略が始まると、「自分はイラクの少年兵だ」と言い出します。そして迎える湾岸戦争。遠く離れたイラクの少年兵を襲う無差別爆撃を、アンディも同時に体験します。自分にしか見えない空爆におびえ、逃げまどうアンディ。なすすべもないトム。ロンドンの平和な家庭と、イラクの民衆の惨禍が交錯する見事な演出です。そしてアンディにとりついた少年兵の死とともに混乱は終息するのですが…。 イラン・イラク戦争、湾岸戦争、そして今回のイラク戦争と、イラク民衆の歴史は戦争の連続でした。空爆の下を逃げまどう民衆の苦難を、アンディのようにわが身に引き寄せて想像すると、あらためて怒りが込み上げてくるのです。 |
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