「道路特定財源」と、ガソリンなどの「暫定税率」が大問題になっています。
50年前、30年前の制度のまま
「道路特定財源」というのは、ガソリンや軽油にかかる税金(揮発油税など)と自動車を買うときや車検のときの税金(自動車取得税、重量税)は、「道路をつくるためにしか使えない」という制度です。
つくられたのは1954年。あの田中角栄氏らによる議員立法でした。当時の道路舗装率は5%以下。それから50年以上がたち、道路舗装率は97%となりましたが、いまだに特定財源のまま続いています。これがムダな道路建設を続ける「自動装置」になっているのです。
「暫定税率」は、この特定財源を支えるために、本来の税金に上乗せしたもの。たとえばガソリンにかかる揮発油税でいえば、本来の税金は1リットルあたり 24円のところが48円に。地方税分も合わせると1リットルあたり25円の上乗せです。これがムダな道路づくりを加速してきました。
暫定税率ができたのも、今から30年以上前の1974年。「30年も続く“暫定”なんてあり?」という疑問も当然です。
10年間で59兆円の道路計画
道路特定財源は、国と地方合わせて約6兆円です。批判が高まる中で政府は「特定財源と暫定税率を10年間維持する」という方針を決め、その根拠として示したのが「道路中期計画」。10年間で59兆円もの道路建設計画です。
「通学路の整備のため」「災害対策のため」などといいますが、「中期計画」で、通学路の歩道整備に使うのは4・3%、防災、防雪対策は2・5%とごくわずか。約4割の24兆円は「国際競争力の強化」のための「基幹ネットワークの整備」です。
小泉内閣のとき、「ムダな道路はつくらない」といって道路公団を民営化しましたが、結局、9342キロの建設計画を全部つくりきる計画になりました。と ころがこんどの「中期計画」では、20年前の「四全総(第四次全国総合開発計画)」で決めた1万4000キロの計画が“復活”。「全国71カ所の拠点港 湾、空港とインターチェンジを10分以内で結ぶ」など、ゼネコンや輸出大企業が喜びそうな計画もてんこもりです。
考え方の根本が間違ってる
計画の中には「地域の活力」という項目もありますが、「医師不足から病院が減っており、町の中心部から救急病院まで1時間以内でいけるように道路を整備する」といいます。
こんなことをするなら、病院をつくればいいではないですか!
せっせと道路をつくっても、つないだはずの病院がなくなってしまっては元も子もありません。地域づくり、国づくりの根本的な考え方が間違っています。
与党は何が何でも暫定税率を維持しようとしています。徹底的に議論して、国民生活にとって、この国の未来にとって、一番いい方法は何かを示していきたいと思います。
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