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「いつでも元気 2007.10 No.192」より |
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「テロ特措法」の延長が問題になっています。この法律は9・11テロへの報復としてアメリカが始めた戦争に、自衛隊を海外派兵させるためのもの。アーミテージ国務副長官(当時)が「ショウ・ザ・フラッグ(旗幟鮮明にせよ)」と日本に迫って、つくられたことで有名です。
無償ガソリンスタンドか!
この法律にもとづき、海上自衛隊がインド洋に派遣され、米軍をはじめとする多国籍軍への給油などの支援を続けています。提供しているのは艦艇やヘリコプター用の燃料や水で、ことし2月末までにかかった費用は720億円。このほかイラクへの自衛隊派遣にも930億円が投入され、あわせて1650億円。
これは障害者自立支援法による国庫負担の削減(510億円)の3年分や、中小企業対策費(1625億円)を上回ります。
国民のくらしを犠牲にしてまで「無償ガソリンスタンド」を続けさせるわけにはいきません。
戦争の被害者は子どもたち
しかも、こうした米軍の報復戦争は新たな怒りを呼び、テロを世界中に拡散させています。「戦争でテロはなくせない」ことは、世界のニュースで毎日証明されています。
推理小説で有名なアガサ・クリスティは、自伝の中で「戦争は何も解決しない。勝つことは、負けることと同じくらいの災難だ」と書いています。
テロに対する報復戦争はなおさらです。アフガンへの報復戦争からイラク戦争へと突き進むなかで、世界中の人びとがテロの恐怖の中でくらすことを余儀なくされています。
私は2001年の米国軍によるアフガン空爆のさなか、アフガンとの国境近くのパキスタンの町、クエッタを訪れました。空爆の被害者のすさまじい傷、とりわけ子どもたちの包帯姿を見て、「こんな戦争はどんなことがあっても正当化できない」と怒りに震えました。
被害にあっていたのは、タリバンとは何の関係もない普通の市民でした。こんなやり方は新たな憎しみを呼び起こし、さらなるテロの報復という悪循環を生むだけだと痛感しました。
そして、会う人がみな「日本はイスラムを侵略したことのない国。ヒロシマ、ナガサキでアメリカに痛めつけられた国。だのになぜアメリカと一緒に軍隊を送るのか」と問いかけてくるのに、答えることができませんでした。
ほんとうの国際貢献は
この法律の期限切れは11月末。延長案を否決すれば、自衛隊の派遣をやめさせることができます。
選挙の結果、参議院では野党が多数を占めました。民主党もこれまでテロ特措法延長には反対してきたのですから、成立に手を貸すようなことをすれば世論が黙っていないでしょう。
選挙で示された民意を受けて、テロ特措法の延長を参議院で否決し、自衛隊の撤退を実現する。これが本当の国際貢献ではないでしょうか。
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