「ホワイトカラーエグゼンプション」という聞きなれない言葉が、最近、新聞などで目立つようになりました。
過労死防ぐべき厚労省が
これは、日本経団連が提唱し、厚生労働省が来年の国会で導入をねらっている制度で、労働基準法を改悪して一定以上の収入のホワイトカラー労働者を、労働時間規制の適用外とするもの。つまり、使用者側が「キミは今日からエグゼンプション(除外)の対象だ」といったとたんに、深夜であろうが休日であろうが、いくら働いても一円も残業代が出なくなるという仕組みです。
まさに「残業代取り上げ法」「過労死促進法」と呼ぶのがピッタリです。
昨年一二月の私の国会での質問に対して、柳沢伯夫厚生労働大臣は「自由に働いてもらうことが日本経済のためにはよろしい」といってのけました。
私は思わず「厚生労働省が労働者の立場に立たずに、日本経団連の立場に立ったらダメなんですよ」と批判しました。今の日本に「自分の判断で自由に働く」労働者などいったいどれだけいるというのか。
こんなことをすれば、経営者に「自由に働かされる」だけではないでしょうか。
要求したのは日米財界!
職場では、いまでも労働基準法違反のサービス残業がはびこっており、労働者のたたかいで支払わせただけでも五年間で八五一億円を超える未払いの残業代がありました。過労死、過労自殺は、二〇〇五年に認定されただけでも三七二件を数えます。
こうした中で労働者をまもる手段となるのが労働時間規制のはず。ところが「エグゼンプション」になれば、使用者は労働時間の管理どころか把握する責任すら免れるのです。
日本社会が力をあわせてサービス残業や過労死の根絶にとりくんでいる最中に、こともあろうに、その先頭にたつべき厚生労働省がそれを困難にする制度の導入を打ち出すとはなんたることでしょうか。
私が「こんな制度を労働者は誰も求めていない。一体誰が要求しているのか」と問いただしたのに対して、青木豊労働基準局長は「日米投資イニシアティブ、日本経団連、在日米国商工会議所が要望している」と答弁。日米財界の要求だということを認めました。
残業代11.6兆円カットに
この制度の導入にもっとも強く反対しているのが、「全国過労死を考える家族の会」です。愛する家族を過労死で失った方々は「まじめに働く人たちの過労死・過労自殺に拍車をかける制度を、容認することはできません」と訴えておられます。
労働総研の試算によれば、カットされる残業代は、年間一人あたり平均一一四万円、未払いのサービス残業代を含めると総額一一・六兆円にのぼります。労働者の健康を破壊し、過労死を増やし、日本経済のプラスにもならない。こんな制度は撤回させるしかありません。
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