北朝鮮が突然のミサイル発射をおこないました。国際社会から非難の声が上がったのは当然です。
実はミサイル発射の瞬間、私は超党派の日中友好議員連盟訪中団の一員として中国に滞在中でした。中国側の反応は比較的冷静ではありましたが、深刻な問題として受け止めていることは肌で感じました。
六カ国協議の議長役をつとめている武大偉外務次官には、「平和的解決を望んでいます。六カ国協議の早期再開を」とお話ししました。
その後、国連の安全保障理事会が全会一致でミサイル発射を批判し、六カ国協議の再開を決議したことは非常に重要な成果です。北朝鮮はただちにこの決議に従うべきです。
日本が戦争を仕掛けるのか
一方、この事態をめぐって日本政府の中枢から出てくる発言には、ほとほとあきれました。
安倍晋三官房長官などからは「敵基地攻撃論」が飛び出しました。相手国がミサイル発射に「着手」したら、日本がその時点でその国の基地を攻撃してもよい、というものです。
しかし「着手」というのはきわめてあいまいです。思い起こせば、「満州事変」のきっかけとなった柳条湖事件も、日中全面戦争のきっかけとなった廬溝橋事件も、中国軍の「攻撃」を口実に日本が攻撃を開始したのです。「敵基地攻撃論」は、まるで戦前へのタイムスリップです。
結局この議論は「撃たれそうになったらこちらから撃つ」ということにつながり、先制攻撃、全面戦争を日本が仕掛けることになります。「戦争をしない」という憲法九条を持つ日本の政府が、口にすることすら許されない暴論ではないでしょうか。
一家に一台ミサイルを!?
テレビ討論で石破茂前防衛庁長官は「今こそミサイル防衛だ」と息巻いていました。彼の話ではミサイルを簡単に打ち落とせそうですが、とてもとても。マッハ10で落下してくるミサイルを打ち落とすなど至難の業で、アメリカが失敗をくり返しながら実験を続けている段階です。
しかも最終段階で「ミサイルを待ち受けて打ち落とす」のが「PAC3」。地上発射のミサイルです。この射程距離は15。これで日本を守ろうとするなら、国土のあちこちにまるでハリネズミのようにミサイル発射台を設置しなければなりません。そのうち「備えあれば憂いなし!一家に一台ミサイルを」などといい出しかねません。
「金正日に感謝」と麻生外相
こうした中、麻生太郎外務大臣は、「金正日に感謝しなければならない」と発言しました。すぐに「冗談だ」といったそうですが、それこそ冗談ではありません。日本の平和や安全を考えているどころか、ミサイル問題を利用して憲法改悪や軍拡を進めるのが本音だということになります。
こんな無責任な人たちには、日本国民の命も安全も守れません。国際社会の一致した力で無法な行動を押さえ込み、戦争のない平和なアジアをつくるために力をあわせましょう。
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