医療改悪法案がとうとう国会で成立させられました。くやしい思いでいっぱいです。
この法案は、高齢者や重症患者に情け容赦ない負担をかぶせる点でも、混合診療の「実質解禁」で、保険証の使えない自費診療を広げるという危険性でも、問題だらけの法案でした。参議院の委員会採決直前の理事会の席上、自民党議員が「欠点のある法案だ」といわざるをえないほど。法案審議中に与党からこんな発言がでたのは、私も初めての経験で、驚き、あきれました。
数の力による強行に審判を
採決前日に北海道千歳市でおこなわれた地方公聴会では、与党推薦の公述人からも疑問点が次々に出されました。私たちが推薦した公述人、北海道勤医協副理事長の堀毛清史医師が地域医療崩壊の危険性を鋭く告発し、「薬の間引きをしたり、食べるものを食べないでしのいでいるお年寄りがたくさんいる。憲法25条に保障された基本的人権を守るために時間をかけてしっかり議論をしてほしい」と切々と訴えた時には、各党議員も神妙に聞き入っていました。
公聴会終了後に、堀毛先生は与党推薦の公述人から「北海道の医師の思いを代弁してくれてありがとう」と声をかけられたとも聞きました。
これだけ問題点が浮き彫りになりながら、最後はいつものことながら数の力による強行。心の底から怒りを覚えます。来年の選挙では、ぜひみなさんの力できびしい審判を下してください。
2000万人の反対署名で
しかしこのたたかいは決して徒労に終わったわけではありません。全国各地から2000万人もの反対署名が寄せられ、東京民医連のみなさんは雨の日も風の日も、文字通り“毎日”座り込みを続け、国会の傍聴席はかたずをのんで見守る市民でいっぱいになるなかで、政府も「必要な医療は引きつづき提供される」「新しい治療法は保険でうけられるようにする」と答弁せざるを得ませんでした。こうした答弁を実現させるたたかいが始まったのです。
改悪された医療保険制度のもとで、医療を受ける権利が奪われる人、命を落とすような人が一人も出ないようにしなければなりません。療養病床の廃止で、医療が崩壊するような地域を一つもつくってはなりません。2000万人の反対署名のエネルギーで、攻撃の具体的な現れを一つひとつ打ち砕いていきましょう。
命脅かす勢力に未来はない
一方で、政府・与党は医療改悪成立直後から、軽い病気に保険がきかなくなる「保険免責制度」の導入や75歳以上の高齢者の「2割負担」など、次の改悪の準備にさっそく取りかかっています。まったく油断できない輩です。
巨大企業やアメリカへの奉仕とひき替えに、医療をこわし、国民のいのちを脅かす勢力に未来はありません。憲法9条と25条を生かして、いのちを守る政治を実現するためにひきつづきがんばります。
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