自民、公明両党が教育基本法の「改悪案」をまとめ、国会に提出しようとしています。
「教育基本法」をお読みになったことがあるでしょうか。ぜひご一読をおすすめします。
心打つ国づくりへの息吹
日本の法律のなかでも、最も簡潔でわかりやすいものが教育基本法です。前文と11の条文からなり、わずか1300字足らず。はじめから終わりまで楽に読むことができる法律なんて、めったにありませんから。
もちろん、教育基本法の魅力は「短かさ」だけではなく「中身」です。敗戦直後の日本という国が、いかに平和で民主的な国づくりへの息吹にあふれていたかを伝えてくれます。
「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」
この冒頭部分は、何度読んでも心を打ちます。
耐震偽装事件も教育のせい?
一方で、政府や与党は教育基本法を目の敵にし、ことあるごとに、改正を要求してきました。
自民党の武部勤幹事長は、耐震偽装事件を例にあげて「日本は精神的に退廃してしまった。教育を見直さなければならない」。安倍晋三官房長官も、ライブドア事件は「教育が悪いから」、長崎県佐世保市で小学生が同級生を刺殺した事件も「教育の問題だ」として、「教育基本法の改正を」と主張しました。
しかしちょっと待ってください。「競争万能」「金もうけ第一」を国民に押しつけ、社会の荒廃をつくったのは自民党政治にほかなりません。その責任を棚に上げ、世の中の悪いことは、何でもかんでも教育基本法のせいにするのはやめるべきです。
世界には、日本の教育基本法をモデルに教育改革をして成功した国もあります。北欧のフィンランドです。
機会均等の理念をモデルに
フィンランドは、いまでは「学力世界一」で知られています。1クラス20人前後の少人数学級、競争や順位づけとは無縁の教育の結果です。フィンランドも、以前は幼いうちから子どもをコース別に振り分ける複線型の教育をおこなっていました。
しかし、日本の教育基本法に示されている教育の機会均等の理念をモデルにして、6・3制の総合教育を導入。その結果、学力の格差を小さくするだけでなく、世界の学力調査で、トップになりました。
これは、フィンランドの教育担当大臣の顧問を務めた早稲田大学名誉教授、中嶋博さんがおっしゃっていることですから、間違いありません。
外国がお手本にして、教育改革に成功している一方、日本はこの大事な教育基本法をないがしろにした教育で、学校の現場を荒廃させています。いま大事なのは、教育基本法を生かした教育改革をおこなうこと。あべこべにそれを投げ捨てるなど、とんでもありません。
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