ライブドア事件、耐震強度偽装事件…小泉政権がすすめた「構造改革」、規制緩和万能路線の実態が、日に日に明らかになっています。
「錬金術」を可能にしたのは
ライブドアは自社の株価を小細工でつり上げ、そこで得た資金を元手に企業買収をくり返し、急成長を遂げました。それを可能にしたのは何だったか。株価つり上げに使われたのは、株式交換、株式分割、投資事業組合。この3つの手法を組み合わせて「錬金術」をおこなったのです。
株式交換も、株式分割も、商法「改正」で、自由勝手にできるようになったものです。投資事業組合は法律上の規制すらなく、監督官庁もない。これをフルに利用したのです。
ライブドアの堀江前社長自身、自民党武部幹事長との対談で、「小泉内閣の規制緩和のおかげで非常に商売がしやすくなった」といっています。
株式の配当、譲渡益にたいする税率も、03年から10%に下げました。所得税・住民税は最低でも15%とられます。汗水流した労働者の賃金に対する税率よりも、パソコンのクリック1回で得た利益に対する税率が低いなんて、どう考えてもおかしな話です。マネーゲームで巨額の富を手に入れることが、まともな経済活動だとはとてもいえません。
政治家が天まで持ち上げて
ところが、安倍官房長官は「堀江さんの仕事の成功は、小泉改革の成果、規制緩和の成果だ」といい、武部幹事長は「わが弟、わが息子」と呼び、小泉首相は、「君のような若者が政治に入ってくるのはすばらしい」と天まで持ち上げていました。
総選挙で、郵政民営化反対の候補者をつぶそうと小泉首相が送り込んだ刺客の一人がホリエモンでした。「人の心はお金で買える」と公言してはばからなかった堀江氏を「改革の旗手」と持ち上げ、マネーゲームの風潮をあおった責任は重大です。
耐震強度偽装事件でも問題の根本にあるのは規制緩和です。98年の建築基準法改悪で、建築確認を民間検査機関に「丸投げ」できるようにしました。民間による検査が急増し「安さ」と「速さ」が競われ、「安全」は置き去りにされました。しかもゼネコンや住宅メーカーが、検査機関に出資できるようになった。自分の物件を、自分で検査するわけですから、これでは公正は保てません。
被害住民に銀行も協力を
いま問われているのは、悪徳業者だけではない。建築行政という国民の命に関わる制度にまで規制緩和と利潤第一主義をもちこみ、「大穴」を開けてしまった自民党政治の責任が問われています。
被害住民に対し、公的資金で救済された銀行が、知らん顔しているのも許されません。銀行は、不動産会社やゼネコンには不良債権を放棄して救済した。被害住民の住宅ローンについても、返済猶予や利子の引き下げなど、手だてを講ずるべきです。
いのちの「格差社会」、いのちの「規制緩和」は許さない。そのために力をつくします。
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