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「いつでも元気 2006.11 No.181」より |
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9月16〜21日まで、西アジアのパキスタンを訪問しました。訪問の内容の全体は、いろいろな場所でお話しする機会もあると思いますので、ここでは最終日に行った地震被災地のことを。
地震で7万人の犠牲者
昨年10月、パキスタン北部を襲ったマグニチュード7.6の大地震では、7万人をこえる犠牲者が出たといわれています。私たちが訪れたのは震源地に近い北西辺境州バタグラム県でした。
一行は首都イスラマバードから、パキスタン政府のヘリコプターで出発。旧式のヘリで、しかもタリバンが潜んでいる危険もあるという山の中を、冷や冷やしながら50分。いくつもの山並みをこえてバタグラムの仮設へリポートに着陸しました。上空からは、壊れた家屋やがけ崩れの跡がよく見え、被害のすさまじさを実感しました。
「浄水施設があれば…」と
現地では日本の援助で建設中の病院も見学(写真)。病室と手術室、分娩室だけのプレハブづくりですが、100Km圏内にほかには病院がないとのことで、文字通り住民の命綱です。日本政府の援助の中にはムダづかいもありますが、役に立っているものもあるのですね。当然のことながら、ちょっと見直しました。
現地の医師の話では、一番多いのは下痢、そして呼吸器感染症。交通事故も多いとのことでした。小さな子どもたちが、下痢でたくさん命を落としているという話には胸が痛みました。
「病院も大切だが、水質が悪いのが最大の問題。浄水施設があれば、それだけで多くの命が救われる」とのこと。自衛隊が給水活動をするなら、こうした場所でこそおこなうべきではないでしょうか。
インダス川の河岸には日本の風景を思い起こさせるような棚田が美しく広がっていました。そのほとりにある小学校も訪問。地震で崩壊したため再建中の新校舎のわきでは、子どもたちが「青空教室」の真っ最中でした。
中には10Km以上の道のりを、毎日歩いて学校にやってくる子どももいるとのこと。日本からの突然の訪問客に目を丸くしていましたが、口々に「支援をありがとうございます。一生けんめい勉強します」と。じんとしました。
テロと報復に翻弄されたが
パキスタンのあいさつは、いつでも「アッサラーム・アライクム」。ウルドゥ語で、「あなたの上に平和を」という意味です。そうすると相手はニッコリほほえんで「アライクム・アッサラーマ(あなたにこそ平和を)」とこたえます。
テロと報復戦争に翻弄された国ですが、日々のあいさつで口にするほど平和を愛する人々なのです。
パキスタンにも、イラクにも、レバノンにも、朝鮮半島にも「アッサラーム・アライクム」。この合言葉でいきましょう。
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