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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]
「いつでも元気 2005.12 No.170」より

Dr. 小池の国会奮戦記
障害者を身ぐるみ剥ぐ「自立支援」法/1日800円で暮らせというのか

 10月4日の参議院予算委員会で、障害者「自立支援」法案の問題をただしました。準備のため法案全体を再度見直し、実にひどい中身だとあらためて怒りがわきましたが、質問時間はわずか“7分”。

 そこで私は法案のひどさを示す2点にしぼって追及しました。

工賃の4倍の利用料なんて

 ひとつは、授産施設や共同作業所などの仕事場でも「応益負担」の名で1割の利用料を徴収することです。現在、95%の障害者が無料で授産施設や共同作業所に通っていますが、1割負担になれば月2万9200円(課税世帯)に。作業所の平均工賃はわずか7300円なのに。

 日本のどこに、賃金の4倍もの「利用料」を取る職場があるでしょうか。

 「身ぐるみ剥ぐとはこのことだ」と批判すると、小泉首相はきめ細かな配慮を強調し、「身ぐるみ剥ぐなんて遺憾だ」と色をなしました。しかし尾辻厚労相の答弁で、たとえ負担軽減の対象になっても、工賃より高い利用料に変わりがないことが明らかになり、苦い顔でした。

 もう一つ取り上げたのが、入所施設の「減免制度」の実態です。「自立支援」法案では、施設での食費(月4・8万円)、水光熱費(月1万円)、利用料の1割負担(応益負担)の合計が新たな利用者負担となります。障害者の収入となる障害基礎年金(2級、6・6万円)を大きく超える負担となってきます。

 厚労省はそういう人のために「個別減免制度が設けられている」といいますが、そのしくみもひどい。「減免」といっても、手元に月2万5000円(1日800円)のお金を残して、あとは全部取り立てるというしくみなのです。

「朝日訴訟」を思い出した

 私は、「障害者は1日わずか800円で暮らしていけというのか。外出もままならない。洋服も買えない。人間らしい生活といえるのか。もし病気になったら多額の持ち出しで暮らしが破たんする」と批判しました。

 すると尾辻厚労相は、家計調査の統計を持ち出し、年収200万円の世帯(2人以上)の生活費は2万1000円程度だといいだし、「それでもがんばっている人がいる」のだからと開き直ったのです。

 私は「朝日訴訟」を思い出しました。朝日訴訟は、重症結核患者の朝日茂さんが生存権の保障をもとめ1957年に始めたたたかいです。このとき政府側証人にたった大学教授は「日本のチベットといわれる岩手の山奥では、お尻を拭くのに紙ではなく藁を使っている。生活保護ではちり紙代をみているから、十分健康的で文化的だ」といったのです。

 この裁判は60年に東京地裁でほぼ完全に勝利しました。45年後の参議院予算委員会で、厚労大臣が同じ視点で答弁をするとは驚きです。

 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とした憲法25条。障害者の命と権利を守るたたかいを地域からまきおこし、障害者の真の「自立」を実現する政治に転換させましょう。

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