|
「いつでも元気 2005.10 No.168」より |
|
「官から民へ」「民間にできることは民間に」、そして「小さな政府」をつくると叫ぶ小泉首相。首相がいう「小さな政府」とはなんでしょう。
自民党のホームページがズバリ、こう書いています。「『小さな政府』とは、官が民の邪魔をしない政府のことです」。「民」は国民のことかと思うとわかりづらい。財界・大企業と置き換えれば、はっきりします。
社会保障抑え消費税上げろ
郵政民営化はその「改革の本丸」です。郵便貯金や簡易保険は、手数料はなく政府保証があり、国民にとっては便利で安心。それが邪魔で、「同一の競争条件に」「本来は廃止が望ましい」と求めてきたのは日米の大手銀行や生命保険会社です。
郵政民営化を突破口に、次の標的にしているのは社会保障の切り捨てです。すでに70歳以上の高齢者の医療費自己負担(現行1割)を2〜3割に引き上げることが検討されています。年金・介護に続いて給付を減らし、国民の負担を増やす流れをますます強めようとしています。
社会保障の抑制も財界が強く求めていることです。財界は、社会保障の企業負担分の軽減や法人課税のさらなる引き下げとセットにして、消費税の引き上げを要求しています。
消費税が導入された89年以降04年度までに、消費税の税収は合計148兆円。一方、この間の法人税の税収は145兆円の減。法人税の減収分を消費税の税収で穴埋めしているのが実態です。財界はこれをさらにすすめろと要求しているのです。
財界・大企業の邪魔をするなという「小さな政府」は、結局、国民に大きな痛みを押しつけるものです。
不足している教員・消防士
公務員も少なければ少ないほどいいという議論がありますが、そうでしょうか。国民生活を守るうえで、公務員が足りない分野は少なくありません。まず教育。30人学級を実現するには、新たに11万人の教職員が必要です。消防士も、基準を6万人も割り込んでいます。
教育や保育、福祉など「民営化」が始まったところでは、人員減やサービスの切り捨て、負担増が国民に押しつけられてきています。
国家公務員の41%は自衛官
国家公務員で一番人数の多いのは誰だと思いますか?
国が給与を払う61万5千人のうち41%(25万2千人)が自衛官。続いて刑務所・海上保安など治安関係が6万3千人。国民生活に直結する社会保険・労働分野は4万人にすぎません。労働基準監督官は全国で2859人、下請け代金検査官にいたっては専任は46人しかいません。
公務員の配置でみればすでに日本は「軍事・治安国家」なのです。
軍事や公安警察、高級官僚などの分野にはまったくメスを入れず、教育、福祉など国民サービスをまもる分野を目の敵にしている小泉首相。「小さな政府」で税金のムダ遣いをなくすかのようにいいながら、国民にさらに痛みを押しつけようというのは許せませんね。
|