暑い夏、障害者のみなさんの「障害者『自立』支援法ハンタイ!障害者のことを、障害者の声を無視して決めるな!」という熱い怒りの声が国会に鳴り響いています。
日々の生活の実態を
「肢体不自由児通園施設に通う3歳の息子がいます。月9300円という所得に応じた保育料を払い、『生きること』の意味をかみしめ、喜びと悲しみを受け止めながら、特別扱いではなく、普通に生きていくための訓練や給食、保育を受けさせていただいています。でも、定率負担が持ち込まれると3万円以上の負担になります。我が家の収入では、月のうち3分の1しか通わせてやれなくなり、幼児期に重要な訓練、療育を受けさせてやれなくなります。障害者自立支援法案は、子どもたちの未来をも奪ってしまう法案です」
こんな切々としたメールやファクスも毎日大量に寄せられています。日々の生活の実態を自分の言葉で語り、法案が強行されたら「生きてゆけない」という怒りに満ちています。
無罪の人から保釈金か
政府が提出した障害者「自立」支援法は、いままで所得に応じた「応能負担」原則を守ってきた障害者の福祉・医療サービスに、「応益負担」、つまり所得にかかわらず一律の定率負担(1割)を導入しようというものです。国の支出を減らすことだけが目的の、「自立支援」ならぬ「自立破壊」の大悪法です。
そもそも障害者の社会参加のための施策を「応益」すなわち「利益」として、負担を求めること自体が許せません。手話通訳を受けることが「利益」でしょうか。点字に翻訳してもらうのが「利益」でしょうか。透析に週3日通いながら生活することが「利益」だというのでしょうか。
これらは利益でも何でもない。健常者と同じスタートラインに立つための「権利」に他なりません。本来は無料にすべきものです。東大の福島智助教授が「障害者に定率負担を求めるのは、無罪の罪で収監された刑務所からの保釈金に等しい」といわれましたが、まさにその通りです。
命をかけたたたかいが
当初、与党は「5月中に成立させる」と豪語していました。しかし障害者団体が立場の違いをこえて団結し、くり広げた運動によって、政府・与党のタイムスケジュールは大幅にくるい、会期末ギリギリまでもつれ込んでいます。
とにかく迫力ある運動でした。5月12日、6600人が日比谷公園を埋めつくし、7月11日には1万1000人の怒りが国会を取り囲む。国会前でデモ行進を迎えましたが、車いすから必死に声をふりしぼり「ハンタイ!」「決めないで!」と訴えるみなさんに、目頭が熱くなりました。
このような命をかけたたたかいを前にすれば、いくら多数を占める与党でも、強行突破はむずかしい。あらゆる分野でこんなたたかいができれば悪政もストップできるのでないか。障害者のみなさんに教えていただきました。(8月3日現在)
|