ライブドアとフジサンケイグループの「バトル」に、ソフトバンクも加わり、マスコミは過熱ぎみです。
「カネさえあれば何でもできるのか」「放送という公共性の高い事業がマネーゲームの対象になっていいのか、外資に支配されることになっていいのか」という主張は一理あります。しかしそれをいっているのが、フジサンケイグループ側だというところが、笑止千万です。
お台場の新社屋のために
民間放送会社の株式上場は、94年まで、事実上、禁止されていました。それが規制緩和されたのは、じつはフジテレビのためでした。フジテレビがお台場に新社屋をつくるのに資金が必要になり、資金調達のため、法律を変えて株式上場できるよう働きかけたといわれています。
自ら要求し、つくってきた規制緩和。その申し子がライブドアです。それを自分たちにとって邪魔になったとたん、政治家まで巻き込んで攻撃する。あまりに身勝手です。
ライブドアのやり方が、法にはひっかからなくとも、道義的にはかなり問題があることは事実ですが。
テレ朝「買収」のときは
じつは96年、テレビ朝日をソフトバンクが買収しようとしたときがあり、今回とまるきり同じ構図です。ソフトバンクは「世界のメディア王」といわれるマードック氏と組んで、テレビ朝日への経営参加を目標に、筆頭株主だった「旺文社メディア」を買収。テレビ朝日ががんばってソフトバンクは手を引いたのですが、政府や与党はどう対応したか。
当時は自社さ政権で郵政大臣は社会党の日野市朗氏(その後民主党)。彼は「歓迎する」といったのです。自民党も何も文句をいっていない。産経新聞は「番組が多様化していいんじゃないか」という社説まで出した。それが今回は大騒ぎして大反対。
本音はサンケイの右翼的な「正論」路線が外資によって歪んでしまっては困るからです。テレビ朝日が買収されるのは結構だ。しかし自分に都合のいいメディアであるフジサンケイが買収されては困る。だから外資による支配は許せないといい出す。
こういう社会でいいのか
つくづく、考えないといけないところにきていると思います。金さえあれば何でもできる。どんどん規制を取っ払って、弱い者は落ちていき、強い者は生き残る。そういう方向の社会でいいのかと。今回の騒動は、その流れのなかで、非常に極端な形で現われてきた事件といえます。
予算審議のなかで、小泉「改革」というのは?弱肉強食?社会をつくることだと、改めて痛感しています。
「サラリーマンの定率減税は止めるのに、同じ時期に始めた高額所得者・大企業への減税は続ける。応分の負担をしてもらったらどうか」と質問すると、小泉首相はいきり立って、「所得の50%以上が税金にとられるのでは、働く意欲がなくなる」と答弁。大企業の重役の勤労意欲は気にするけど、労働者の勤労意欲はほんとにどうでもいいんですね。
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