|
「いつでも元気 2004.12 No.158」より |
|
保険料の際限ない値上げ、給付の大幅カット、出生率の低下など、都合の悪いことをひた隠しにしてきた年金大改悪。さらにもう一つの重大問題が明らかになってきました。「定率減税の廃止」です。10月18日の衆議院予算委員会で、日本共産党の志位委員長の追及に、小泉首相が「選択肢のひとつ」と認めたのです。
年収5百万円で22%増税
今回の年金改悪では、5年前に法律に盛り込んだ「04年度までに基礎年金への国庫負担を3分の1から2分の1へ引き上げる」という約束を、さらに6年後まで先送り。しかもその財源を、税金のムダ遣いをやめて生み出すのではなく、庶民からの増税で生み出そうというのです。
問題の「定率減税」とは、いったいどんなものか。サラリーマンの所得税額の20%、個人住民税額の15%を差し引く減税で、景気回復のために「恒久的減税」として99年から始まりました。日本の給与所得者の税金は今、約2割減免されているのです。これを廃止すればその分税金が増え、今よりも「増税」となってしまうのです。
どれだけの増税になるのかといえば、年収6百万円で5万6千円、年収8百万円では11万1千円です。税金の額が増える比率は、年収5百〜6百万円が22%で最も高く、高額所得者になるほど減り、年収3千万円ではわずか3%(表)。
?働き盛り世代?を直撃する庶民大増税になります。読者のみなさんも、自分の増税額を考えるとぎょっとするのではないでしょうか。
景気回復というのなら
政府はなぜこんなひどいことをやろうとしているのか。その言い分は「景気が回復してきたから、減税の必要がなくなった」。とんでもありません。サラリーマンの年収はこの5年間で21万円も減。庶民のくらしは「景気回復」とは無縁です。
一方で大企業は5年間で9兆円も収益を伸ばしました。「景気回復」というなら、リストラや下請けいじめで空前の利益をあげる大企業に応分の負担をしてもらうべきです。
ところが小泉首相は、大企業にはことのほか甘いのです。そもそも99年の減税では、定率減税(3・5兆円)だけでなく、大企業向けの法人税率引き下げ(2・7兆円)、金持ち向けの所得税・住民税の最高税率の引き下げ(0・5兆円)もありました。それなのに、あとの二つにはいっさい手をつけようとしません。
「圧制を変じて良政に改め、自由の世界として人民を安楽ならしむべき」。1884年、秩父事件での農民のスローガンです。映画「草の乱」でも描かれている、民衆を重税と高利貸しが苦しめる姿は、今の小泉構造改革とダブって見えます。ゆずれない思いにかけて、たたかいに立ち上がった120年前の人々。私たちも黙っているわけにはいきません。
|