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「いつでも元気 2004.11 No.157」より |
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9月5〜10日、超党派の日中友好議員連盟の若手議員団の一員として中国を訪問しました。アジアでの平和戦略をすすめる中国との交流は有意義なものでしたが、とりわけ、若手政治家や研究者との意見交換は刺激的でした。
「最大のテーマは社会保障」
中国の経済政策の中心をになっている北京大学経済研究センター。ここで林毅夫教授と懇談しました。林教授は、台湾陸軍の若手将校だったときに、海を泳いで渡って中国に亡命したというエピソードで知られています。52歳ですが、いまでは中国を代表する経済学者の一人です。
「ここには、文化大革命時代の下放政策(都市に住む青年を農村で労働に従事させた)で農村の最底辺に身を置き、その後大学に入学した世代が集まっています。中国の改革のプロセスを身をもって体験し、80年代にアメリカなどに海外留学。94年にセンターを設立したのです」
林氏が強調したのが、今後の中国にとって最大のテーマの一つは「社会保障制度」ということ。日本の場合は、一定の経済成長のあと高齢化がきたが、中国では経済成長と同時進行で急速に高齢化が進んでいる。国営企業を民営化したこともあり、年金制度など、社会保障制度の整備が緊急課題だと語っていました。
その後、北京から鄭州に向かう中国南方航空の機中で英字新聞「CHINA DAILY」が配られましたが、一面全部を使って中国の社会保障制度について最近発表された「白書」の特集をしていました。巨大な国家である中国が、社会保障制度をどのようにつくり上げようとしているのか、注目していきたいと思います。
「地方政治で重要なのは民生」
河南省鄭州市では中国共産党の河南省党委員会を訪問。李克強書記らと会談しました。李書記は49歳。穏やかで省のトップとしての自信と風格を漂わせた人物でした。
李氏は主に河南省(人口1億人)の経済について発言し、「成長率は9%を維持しています。現在のGDP(国内総生産)は1千億ドルですが、一人あたりでは中国の中でもまだ遅れています。2020年にはGDP3千億ドルが目標で、これは実現できると思います。上海や広東省など経済活動が活発な地域との格差をどう縮めるのかが課題です」と。
私が「国民の自発性と創意を重視する社会主義市場経済に注目しています。しかしそうはいっても、省の経済のかじ取りをすることは容易ではないと思いますが、どういうことを心がけているのですか」と質問すると、こんな答が返ってきました。
「地方政治で重要なのは民生、つまり庶民の生活をどう豊かにするかです。経済を発展させ、生活を豊かにし景気をよくすることで、庶民に実益をもたらす政治をすれば、支持を得ることができます。しかし、一部の人を豊かにするのは簡単ですが、1億人みんなを豊かにするのはむずかしいことです」
中国の発展の息吹を感じるとともに、平和でゆたかなアジアをつくるために日本は何をするべきなのか、数多くの示唆を与えてくれる旅でした。(詳しくはホームページに掲載)
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