自民・公明両党は07年度めどに消費税を増税することを、「税制大綱」に明記しました。年金など社会保障の財源にするという言い分です。
基礎年金の国庫負担については、04年度からいまの三分の一を二分の一に引き上げると法律で決まっています。それを先送りしたうえ、低所得者ほど負担の重い消費税を財源にあてるというのですから許せません。
なんと「財産差し押さえ」!?
保険料は負担が上がるだけでなく、国民年金については、なんと「財産差し押さえ」までふくむ強制徴収の手順を決めています。
02年度、国民年金保険料の納付率は、前年比で8・1%落ち、62・8%になりました。落ちた原因は、保険料の免除基準がきびしくなったことです。国民年金の保険料は、所得に関係なく一万三三〇〇円。払えない人もでます。そのため全額免除の制度がありました。ところが半額免除を導入した02年から、基準自体をきびしくしてしまったのです。
02年度の全額免除者は、前年度より一三三万人も減って一四四万人に。私の試算では、免除対象から締め出されて全額納付対象となったために払えなくなってしまった人が、一一〇万人にのぼります。
「五割保障」のウソ
厚生年金について厚労省は、給付は「最低でも(現役収入の)五割保障」とくり返しています。しかしいま「モデル世帯」では、約六割の保障となっていますから、給付額は20%も減る計算になります。
しかもこのモデル世帯は、四〇年間夫がサラリーマン、妻は専業主婦。そんな家庭が、現実にどれだけあるでしょう。四〇年加入という人自体が、23%しかいないのです。
いま増えている共働きや、単身世帯の場合はどうなるのか。厚労相の答弁はこうでした。
四〇年間共働きの世帯では現在の46・7%が43・0%に、男子単身の場合は42・7%が39・3%に、女子単身の場合は53・3%が49・1%になる、と。これでなにが「五割保障」でしょう。
戦費調達の原資として
私たちは消費税の値上げに反対し、年金積立金を計画的にとり崩すことなどを主張しています。しかし厚労省案では、積立金は今後五〇年間も増やし続ける【表】というのです。
日本で初めての年金制度が議会で可決されたのは、1941年2月。この年の12月、日本は太平洋戦争に突入し、年金保険料は戦費調達の原資とされました。当時の大蔵主計官は「大蔵省として感謝にたえない制度であった」と語っています。
戦後も、時の政権や財界がつごうよく使える原資として積立金が使われ、その運用益だけを年金に回してきたのです。年金積立金を年金のために使うというのは当たり前のことです。しかしそれを実現するのは、まさに民主主義のたたかいなのだと痛感しているところです。