実は、この問題、以前に出たことがあるんですよね、外総診という形で。外総診の場合には外来患者の問題で、主病はそのときも一つだと。それで、それが物すごく反対が強かったものですから、それじゃ最終的にはレセプトの中に主病と思われるところを下線を引けということで、いつの間にかそれも必要ないということで、一度消えたものなんですね。ところが、今回また出てきましたのは、私はやっぱり厚労省の人たちがドイツとかフランスの制度を勉強しに行って、この制度があるんですよ。そうすると、確かに外国では主病は一つという、というよりも、主治医制度ができますとよその診療所に行けなくなるという非常に抑制が働いているという現実を見てきて恐らく導入したんだろうというふうに思います。
私は、これは若い人でも何でもみんなそういうふうになるわけですけれども、でもこの国は今まではそういう制限を加えなかった。要するに、今、例えば七十五歳以上の人が例えば目が悪くなった、あるいは別なところが悪くなったといっても、自分ではその病院に行けないんですよ。だから必ず家族の人が付いて連れていかなきゃいけない。そういう場合には本当に悪くならない限り行っていません。ですから、私はこのことも、またどこかで学んできたことを机の上で考えて、そうやれば複数の診療所に行かないだろう、医療機関に行かないだろうという単純な発想だったと思うんです。でも、私はやっぱり主病は一つだということで、その先生だけが高い診療料を取ったら、これはよその診療所に紹介しにくくなることは事実だろうと思います。
それから、もう一つですが、いつでもこの厚労省のやり方というのは、それは月に一回高血圧の薬をもらいに来る人があれば、今、再診料がわずか数百円の中で六千円もらえるのはこれは非常にいいことですから、むしろ今、開業の先生方だって普通のサラリーマンの収入になっておりますから、それから物すごく幅があります。本当に一千万行かない開業医が私の県には数人おります、粗収入でですね。ですから、そういう先生からすれば夢のような話で、入りたいという気持ちがあるだろうと思います。
ただ、そこで考えなきゃいけないのは、今は五千五百円以上の検査料は別に取っていいですよ、あるいは治療費は別に請求していいですよ、これは前の老健施設と同じなんですよ。レントゲンは別に取っていいですよ、それからおむつ代も別ですよ、何々も別ですよ。ところが、いったん包括医療を採用してしまうと、ただ一つ、これ全部中に、入院料に入りますと言われればそれで終わりなんですね。それでまた、その六千円が、実際この老健施設のように三十六万からいつの間にか三十万以下にされちゃったということも抵抗できないんです、決められたものになっちゃいますから。
だから、そういうふうになったときに、本当に医療側だけではなくて、御老人の検査あるいはいろんなことに対して、治療も今度含まれるようにもしなったとしたら、治療の薬すら制限しなきゃいけなくなるということで、さっき笹森参考人から何回も言われておりますように、この制度は保険料を物すごく高くするか、それから制限医療を物すごく追加しなきゃ、もたないんですよ。だからこの制度は早くなくさなきゃいけないというふうに思っております。