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168臨時国会 厚生労働委員会 年金保険料流用禁止法案(民主党提出)への質疑

  • 薬害肝炎/天下り官僚と謀議/旧厚生現職 リスト隠し/小池議員指摘(関連記事)
2007年11月1日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今日の質疑聞いておりますと、法案とは別の資料の問題とか財源の問題とか、ふだん余り政府の方からはきちんと説明していただいていないような問題を厳しく与党の皆さんが指摘しているので、今後、閣法の際の追及の参考にさせていただきたいなというふうに思っております。

 今日はグリーンピアの問題をお聞きしたいんですが、これは保険料流用の象徴的存在とも言えるわけですが、私、四年前の予算委員会の総括質疑でもこの問題を取り上げまして、保険料が建設費、借入金利息、維持費などで総額一体幾ら使われ、売却額は結局幾らということになっているのか、お答えください。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 お答え申し上げます。

 全国十三か所のグリーンピアの建設に要した費用は千九百五十三億円、借入利息として一千五百六十億円、維持管理費二百十五億円、合計で三千七百二十七億円となってございます。

 この事業につきましては、御承知のとおり、平成十三年の閣議決定等により、同十七年十二月に全施設の譲渡を完了したところでございました。それで、売却総額は四十八億円となっております。

小池晃君

 三千七百二十七億円の保険料を使った、建設費だけでも千九百五十三億円、それが四十八億円ということですから、建設費の二・四%ということで、大変な損失をつくったわけであります。今日、資料の一枚目にお配りしましたが、こうやって比較すると、本当に国民が血がにじむような思いで納めた保険料がかくも無惨に無駄遣いされたということに改めて愕然とするわけであります。

 今日はこの中で、基地の名前でいうと紀南、グリーンピアの名前でいうと南紀、この和歌山県のグリーンピア南紀の問題について質問をしたい。

 この施設も、百二十二億円の建設費で、それを二・七億円で那智勝浦町と太地町に譲渡をしたわけであります。これ、那智勝浦町は香港の会社ボアオと賃貸借契約を結んで運営することになったと。これが随意契約で行われたこと、それから、十年間の賃貸借契約の後、無償でボアオに譲渡するというんで、もう非常にこれどうなっているんだということがこの委員会でも度々取り上げられてまいりました。

 これ、その後どうなったのかといいますと、那智勝浦の町議会で九月二十八日に売却契約の解除を求める決議が採択をされまして、そして本日、先ほど町議会の特別委員会で、香港ボアオとの契約を白紙に戻すというふうに町長が表明をされたそうであります。施設を有効活用できるんではないかということで町民は期待したんではないかと思うんですが、雇用の面でも経済効果の面でもこの期待は裏切られたままになっている。

 そこでお聞きしますが、この問題は国会でもこの委員会でも問題になりまして、非常にその契約をめぐる経過がいろんな問題があるんじゃないかということが指摘をされておりますが、厚生労働省として、国会で指摘された後、調査されたんですか。政治家の関与も指摘されましたが、その件についてはいかがですか。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 厚生労働省は、旧年金資金運用基金、特殊法人の契約を引き継いで、十年間公共の用途に用いるという条項がございますので、その契約上の当事者としての地位を引き継いで、その契約に基づき定期的に、また国会での御審議ございますので随時、那智勝浦町あるいは太地町、そういうところに事情をお聴きする、また定期的な報告を求める、こういうことで状況を調査、掌握してきたところでございます。

 今御指摘のように、地元の中での様々な動きもあるやに聞いておりますが、直近の話につきましてはまた詳細を報告を求めたいと考えておるところでございます。

小池晃君

 局長はこれまで委員会で聞かれて、この経過については、一昨年十二月に那智勝浦町と香港ボアオの契約が結ばれた翌年一月に報告を受けた、それまでは知らなかったんだと。二〇〇四年二月四日にいろんなことがあったと思うが、それは知っていたのかという質問に対して、いや、それは知らないと、これはあいさつしただけなんだというふうに答弁されていますが、これ間違いございませんね。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 今委員おっしゃられたのは、たしか予算委員会でございましたでしょうか、御質疑があった中で、平成十六年でございますか、二月に当時の年金資金運用基金にあいさつに町長ほかが行ったという話の点でございます。

 その点につきましては、私ども、当時の基金の幹部に事情を確認したところ、ごあいさつをいただいたということを確認した旨、御答弁申し上げたところでございます。

小池晃君

 契約内容は知らなかった、あいさつしただけだと、いまだにそうおっしゃるんですか。

 今日、資料をお配りいたしました。これは那智勝浦町の担当課長が作られたグリーンピア南紀についてというメモの一部を持ってまいりました。これ、二〇〇二年五月から二〇〇四年五月までの経過を記したメモであります。このメモは別に何か怪文書とかというものではございませんで、この存在については、先月の那智勝浦町議会の特別委員会で課長本人がこのメモの存在を認めておるものであります。

 そのメモ、二枚目めくっていただくと、二〇〇四年二月二日、二階事務所よりテル、町長に上京してほしいとあります。四日、東京に出張したと。四日の十時に、二階氏とそれからボアオのオーナーとそれから町長と基金へ行ったと。基金というのは年金資金運用基金のことだと思います。近藤理事長、近藤純五郎さんですね、あの事務次官を天下りされた、それから野末理事、杉浦課長。で、計画案の説明もされ、近藤理事長は、両町で話し合い、両者で運営することは可能かというふうに発言している。それに対して理事も、計画が実現できるか協力したいと言って、二階氏も、グリーンピア施設の継承と発展のため努力したい。これがあいさつですか。正に年金資金運用基金でしっかり説明を受け、今後の計画について相談をしているじゃないですか。局長のあいさつに行っただけだという答弁は全く事実と異なるのではないですか。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 今お見せいただいているこの資料は、私ども、それから私自身、今初めて見るものでございます。

 私ども、せんだっての国会での御答弁の際には、先ほど申し上げましたとおり、当時の基金の幹部にその年の二月の初めのそういう基金での起こったことについて私どもとしてお伺いしたら、やはりこれはよく、こうした売買案件でございますので、いろんな経緯はあるけれども、ごあいさつをいただいたという性質のものであったという旨私どもは直接基金の幹部から報告を受けたということで御答弁を申し上げたものでございます。

 ここに書かれている事実が、私ども、そういうことであったのかという点については、現時点でまだ確認を取っておりません。

小池晃君

 重大ですよ。国会で言ったこと、全くうそだったんですよ。翌々年まで全然知りませんでしたと、あいさつ行っただけですなんて全くうそじゃないですか。厚生労働省にこういう報告が行かないはずがないんですよ、当時。しかも、このメモには、これは二〇〇四年二月二日には、二階事務所よりテル、町長に上京してほしいと。町長に上京させて協議するなど、ここは頻繁に二階氏の名前が出てきます。相当の関与をしたことがうかがえます。

 そもそも那智勝浦町とボアオの貸借契約は、当時経済産業大臣だった二階俊博氏の大臣応接室でその契約が結ばれたと、この事実は局長も国会で認めていらっしゃいますが、これは間違いございませんね。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 その点につきましても別の機会で国会で御答弁申し上げておりますが、そうしたお問い合わせに対し、当該那智勝浦町に確認、照会したところ、そういうことであったという旨を国会で御答弁申し上げております。

小池晃君

 これ重大ですよ。

 メモでは二階氏何と言っているか。中国と日本の慣習の違いから、この○氏、オーナーですね、から申出書、町長から受入れ書の交換をと、契約を促す発言しているわけですよ。競争入札じゃなくて随意契約で行われた経緯に正にこれは二階氏が深くかかわっていたということを示すものにほかならない。そして、この日を境に急速に話がまとまっていく経過も文書には全部出ているわけであります。

 大臣、グリーンピア南紀の問題というのは、これは自治体への譲渡と活用に当たっても利用者やあるいは公共団体本位の計画でなかった可能性が出てくるわけであります。計画そのものが業者寄りの計画になってきた疑いも濃いわけであります。しかも、そこに政治家、しかも現職、当時経済産業大臣が深くかかわっているとすればこれは極めて重大なことになるんじゃないですか、大臣。そして、その結果、今日、正に那智勝浦の町議会でこの契約を白紙に戻すと、とんざしたわけですよ。厚生労働省も問題を知りながらこれを放置して、ついに破綻をしたと。

 これ、様子を見るということじゃ済まない、厚生労働省としても重大な責任がある、そういう問題だと大臣、お考えになりませんか。

国務大臣(舛添要一君)

 まず、地元の議会で今日破棄したかどうかというのは、私はまだ連絡をいただいていませんですから、この情報については、まずそう申し上げておきます。

 今、私もこの小池委員がお出しになったメモを見てみましたけれども、これだけでどういうふうに二階氏が介入したのか、どういうことをやったのかはつまびらかではありません。我々のところにもいろいろ地元の方が訪ねてこられたりする、それはしょっちゅうあることですから、その中で例えば職務権限に応じてどういうことをやったのかと、それはもう少し精査をしてみないと、この紙だけでどうだということで、そもそもこのメモはだれがどこでどう書いたメモなんでしょうか、そういうことも分かりませんので、これはきちんと調査をした上でないと軽々に私は答えることは不可能だとしか申し上げられません。

小池晃君

 冒頭申し上げましたように、これは担当課長が、那智勝浦町の担当課長が作ったメモであります。二階氏のかかわりについては、それはもう調査をしていただきたい、きちんと。

 しかし、それはそれとして、正に厚生労働省としてこういう経過になって、売却計画が破綻にまで行ったということについて、これ、以前の国会では知っていたかというのに対して、知らなかったと言っているんですよ。ところが、経過を見ればこれは知っていたの当然じゃないかと。これで結局破綻して、住民の皆さんだってここから新しい事業が始まるかもしれないと思っていたのが全部破綻した、雇用も失われた、経済効果も期待できなくなった。

 この経過について、厚生労働省として責任はないんですかと聞いているんです。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 繰り返しになりますが、このメモはただいま私ども目を通したところでございます。そして、このグリーンピア南紀の売買契約の関係がどういうふうにまとまったかということにつきましては、以前から答弁しておりますように、私自身は、この時点ではなくて翌年でございましたでしょうかね、翌年ですか……

小池晃君

 翌々年です。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 翌々年ですね。済みません、ありがとうございました。の冬に、年明けのころだと思いますがお伺いしたと、こういう事実関係でございます。

 その間、これは私どもが直接携わって事務をしていたわけではなく、当該特殊法人が行っていたことでございますが、私どもの方にこういう詳細な事情の報告というものは少なくとも私のところには届いていなかった、まだ模索している最中というような状況であったというふうに承知をしております。

 それから、何であれ契約が十七年の末でございますか結ばれて、当該太地町、那智勝浦町に譲渡されることとなったということでございまして、その契約書におきます、その契約書の各条項に基づく権利義務というものを年金資金運用基金が有するわけでございますが、年金資金運用基金が廃止になりましたものですから、その監督に当たる私ども年金局がその時点で契約上の立場を引き継ぐということで今日に至っているわけでございます。したがいまして、契約書上、これ民事契約でございますが、現場で本来の趣旨に沿って町が取得した土地を有効活用されるということを私ども念じておるわけでございますし、そういった観点から契約に基づく様々なチャネルでよく相談に乗ってまいりたいというふうに思っております。

小池晃君

 年金資金運用基金というのは監督責任あるんでしょう。そして、そこの理事長は厚生労働事務次官を務めた近藤純五郎氏ですよ。全然知らないなんて済む話じゃないんですよ。

 大臣、この経過を見れば、正にこの平成十六年二月の段階から年金資金運用基金が深く譲渡契約そして賃貸借契約を結ぶということまで含めて深くかかわって計画を進めていたということは明らかじゃないですか。そのことが厚生労働省が知らなかったんだとすれば、正に厚生労働省として年金資金運用基金に対する監督責任が問われるんじゃないですか。

 そういうことも含めてこの経過に責任はないと言えるのかと聞いているんですよ。答えてくださいよ。

国務大臣(舛添要一君)

 先ほど委員が御指摘のように、二千億円近い建設費用、それで四十八億円で売却と、これはもうこういうことが二度とあってはならない。

 ただ、どういう形で売却するかというときに、きちんと条件を付けて資産全体を一括して譲渡しますよと。それから、地元の地方公共団体を優先して譲渡いたします、それから譲渡後も公共のために使ってくださいよ、それから職員の雇用も確保してくださいよと、こういうぴっしり条件を付けて、そして基本的には地元の地方公共団体と、今回の場合だとその民間の会社との間の契約ですから、いろんな報告を受け、今言った三つの条件が確保されているかということについてはこれはきちんと監視はしますけれども、今委員が指摘されたこの課長さんのメモに基づいて、じゃ一つ一つ毎回我々が報告を受けていたのか、じゃそこまでできるのかと、そういうことを含めてこれはきちんとこのグリーンピア南紀については精査をし、その上でなければどういう判断で、例えば二階氏の名前が今出ていることを御指摘になりましたけれども、そこまで我々が、厚生労働省が監督権が及ぶのかどうなのか。

 私は今申し上げたように、基本的に国民の財産であるそれの譲渡について三つの条件を先ほど申し上げた、付けた、それがきちんと保たれることを我々は報告や何かを通じて監督していく、そういうことであろうと思います。

小池晃君

 だから、その三つのルールに照らして重大なんですよ。これは公共的用途に用いることと言っていたけれども、実は香港系の業者のリゾート施設に使われるという、そういう契約だったんじゃないか、それが破綻したと。これ正に、この三つのルールに照らして果たして妥当な賃貸借契約が結ばれたのかというのは、これ厚生労働省としてはしっかりチェックしなきゃいけない問題じゃないですか。だから言っているんです、私は。すべて一々というんじゃないですよ。これは二年間にわたって全然知りませんでしたというようなことで、厚生労働省としてこれだけ重大な国民の財産を処分するその過程の責任として責任を果たしたと言えるんですかと、そう言っているんですよ。

国務大臣(舛添要一君)

 何もかも国がはしの上げ下げまでどうということではないというのは今おっしゃった。

 しかし、これは地方公共団体の自主性に任せてあるわけですよ。要するに、その町の、これは町議会、那智勝浦でもそうですが、町議会においてそのたびに報告がある。その町できちんと監査をしている。まあ今回の結果は私まだ知りませんよ、報告受けていないから、契約破棄したと。地方自治ですから、その町議会がしっかりその町のやることをチェックしていく、それが毎回きちんと行われている、私は市町村を固く信じておりますから、自主的なこの御判断、町議会を信じておりますから、それに加えて中に入ると、介入するということでは良くないと思います。

小池晃君

 私、国民の財産の譲渡を本当に無責任だと思いますね、自治体がやっているからいいんだと。国の責任は一体どこへ行ったんですか。私、極めて責任重大だということを申し上げておきたいと思いますし、このメモは、例えば当初は、この売却額についても二〇〇二年の七月には十億切るのではと書いてある。それが時を追うごとに低くなっていくんですね。

 まあ配付した資料には該当箇所はありませんけれども、私の持っている全文にはあるんですが、南紀の場合、七、八億、譲渡価格は四億プラスアルファになるのでは、〇二年十二月に野末理事が言っている。それが〇三年六月には野末さんは、九月までに再鑑定すれば三億プラスアルファで売れる。結局、譲渡価格は二億七千万なんですよ。正にバナナのたたき売りみたいに莫大な保険料をつぎ込んだ施設が売られていく経過、もう克明にここに記されております。

 後でこれ全文大臣に渡しますから、これきちんと調査していただきたい、そして国会に報告をしていきたいということを求めたいと思います。

 〔委員長退席、理事家西悟君着席〕

 発議者にお聞きをします。

 こうしたグリーンピアへの流用とその後の売却で更に損失を広げたということについて、私は極めて責任は重大だというふうに思うんですが、今のやり取りもお聞きいただいて、政府の責任についての御見解をお願いいたします。

足立信也君

 お答えいたします。

 全体一くくりで話す議論と、今、小池議員のように一つを取り上げてしっかりデータを出すということもまた大事だと思います。

 先ほど、大臣が二千億円というふうにおっしゃいましたが、グリーンピア事業のこれ費用の総額は、先ほどありましたように三千七百二十七億ですね。そうですね。それで売却額が四十八億二千万で、三千六百八十二億円の損失だと。それから、それ以外の年金福祉施設等、これに関しては、もうずっと先日来ありますように計一兆四千億円掛かっていると。そして、整理機構に出資された福祉施設が三百二施設のうち百十三施設が総額五百四十三億円で売却されたと。これが経緯のことでございます。

 続いて、政府の責任についていいですか──短くね。分かりました。

 ここは年金福祉還元事業については、当初は国民に有用であったがその後役割を終えたもの、その後も存続しているものもあれば、当初からやっぱり存在意義が非常に低くて天下り用につくられた、厚生労働省が年金福祉施設の委託先である公益法人を天下り先として多くのOBを送り込んできた、これも数多くあるということは指摘されております。そこで莫大な資金があった年金保険料をそれに使うということに至ったんだと思います。厚生労働省が自らの利権を守るために歴史的使命を終えた福祉還元事業を続けた結果、巨額の保険料の無駄遣いが行われたと、これは明白であると思います。

 ですから、政府の責任は極めて重大であると思います。過去の経緯を振り返れば、保険料を使って無駄な事業を行うのではないかと、このことは福祉施設の規定を削除しただけではその国民の不安を払拭することには至らないと私どもは考えておりまして、年金保険料給付に限定する今回の法案を提出したわけでございます。

小池晃君

 私も、こういったことを二度と繰り返さないという政治の決意を示す上でも今度の法律は極めて重要だというふうに考えます。

 続いて、昨日総務省が年金問題の検証委員会の報告を出しました。

 総務省おいでいただいておりますが、いろんなことが、サンプルの年齢別の内訳、男女別の内訳、加入年代、通算加入期間とあるんですが、なぜ納付保険料額というのがこの報告ではなされていないのか。ここに国会の審議でも我々非常に注目を集めたわけですけれども、そのことについて、なぜ今度の検証委員会では報告していないんですか。

政府参考人(関有一君)

 今回、検証委員会で行いましたサンプル調査でございますが、今委員がおっしゃいましたもののほかに、生存者の記録か死亡者の記録か、脱退手当金を受給している記録がどれだけあるかというような記録の内容に関する事項について調べました。また、氏名、生年月日、性別が正しく記載されているかどうかなど、記録の正確性に関する事項についても調べております。

 ただ、基本的には、この五千万件というこの膨大な年金記録がなぜ未統合のまま残ってしまったのかという観点から調査を実施したものでございまして、保険料につきましては調査の対象といたしませんでした。

 〔理事家西悟君退席、委員長着席〕

小池晃君

 いや、どれだけ国民の払った保険料がこう宙に浮いているのかというのは一番国民知りたいところなんですよ。で、それをわざわざサンプル集めながら調べないというのは、私は今の説明ではちょっと理解できない。大臣ね、これやってないんですね。まあそれは、これはやるべきだというふうに改めて申し上げたいと思うんですが。

 それで、昨日のこの報告が出た後で、大臣は記者会見で、照合が難しいのは一割程度ではないかというふうに発言されている。その根拠は一体何ですか。

国務大臣(舛添要一君)

 社会保険庁でこれに基づいて一定の調査をいたしました。そうすると、細かい詳細な数字は政府委員に答えて、来ていないかな。

小池晃君

 いや、細かい数字はいいです。

国務大臣(舛添要一君)

 それで、例えば結婚している人それから死亡した人、これが大体どれぐらいか、それから今、私はプログラムを組んで名寄せの作業をやっています。そうすると、入力ミスがあって誕生日が一日間違えている。で、小池の晃という字が間違えている、そういうものが大体二割ぐらいあります。二割で、二次名寄せの今プログラム組んで、正にそこを救い出せるシステムになっていますので、それが順調にいったときに、まあその二割の内訳はまだ分かりません、だから私は感想でと申し上げたんですけれども、まあ半分がざっくりその第二次名寄せでできるとすれば、台帳にまで行ってやればできるんです。それが残りの一割ぐらいで、今私が持っているツール、すぐ使ってやれるのがまあ九割あるとすれば、台帳のところまで行って、小池さんどうでしたって、こういうふうに見るのにほぼ一割かなと感想を申し上げましたけれども、これやってみて五%かも分かんない、三%かもしれない、その今の私は感想を申し上げた。私の現場を見た感です。

小池晃君

 しかし、大臣は一人残らずやるんだと、もうすべてやり尽くすんだとおっしゃったけれども、一割難しいと。そうすると、大臣がおっしゃったすべて解決するということは、これはできないというふうに変更されるわけですか。

国務大臣(舛添要一君)

 全く違います。最後の一人、最後の一円まで全力を挙げてやるということは変わっていません。要するに、今申し上げたように第一次名寄せもう既に始めています。相当分かると思います。第二次名寄せでも今言った一八%ぐらいのうちの、分かる、じゃ、あと何が残っている、難しいという言葉が不正確であれば、今のプログラムですぐできない、すぐぱっとコンピューターに掛けてできないだけであって、台帳との突き合わせをやっていけばできますよと。ですから、何とかして一生懸命それをみんなでやろうとしているわけですよ。それでそのいろんな道具を使ってやろうとしている、三月までに最後の一人まで頑張ってやると。これはきちんとその決意でやっていますよ。

 それで、毎月、今ここまで行きました、ここまで行きましたという国民に御報告する。だけど、例えば第二次世界大戦中、インドシナ半島で大日本帝国陸軍で戦った人のこれが出てきた。身寄りもいない、何もいない。ここまでやったけどこの方は見付かりませんでしたと、そういうときに国民の皆さんがそれはもうひどいじゃないかとはおっしゃらないと思います。もう私のこの公約を曲げる気は全くありませんし、政府も与党も全力を挙げてそれをやると。ただ、私は、難しいという表現がまずければそれは撤回すればいいんで、今持っている名寄せの作業、ぽんとコンピューターに入れて出るということに比べれば相対的に難しいと、そういう表現を申し上げた次第であります。

小池晃君

 これ、できない、できないとあげつらうつもりはございませんので、一人残らずやると言明された以上、そして三月までにとおっしゃられた以上、そのためのあらゆる努力を払っていただきたいというふうに思います。

 それから、薬害肝炎のことについてお伺いしたいんですが、厚生労働省が発表された資料の中に、今日お配りをしております昭和六十二年四月二十一日のミドリ十字と厚生省との協議の記録がございます。これはいわゆる青森県での集団発生の直後の打合せの記録であります。

 で、この中に、二枚目のところに当時の厚生省側の指示として書かれていることに、今のところ○○医院のみにとどまっているので、もしほかの話が出た場合は直ちに牧野室長へ連絡すること、会社からは積極的に話はしないよう、やむを得ず公表するときはできるだけ早く連絡をお願いする、あるいはそのフィブリノーゲン関係の窓口は必ず一人に絞ること、報道関係者、医療機関従事者、患者等は相手から何かを引き出そうとしているので特に注意を払ってほしい等々のやり取りが記載をされております。

 局長、こういう事実、やり取りがあったということはお認めになりますか。

政府参考人(高橋直人君)

 このメモは、平成十四年八月九日に三菱ウェルファーマ社が私どもに提出した資料に含まれていたものでございますが、旧厚生省として当該打合せの事実を記した資料は、私の中では今のところ見当たらないところでございます。

小池晃君

 しかし、厚生労働省としてこれを資料に加えたわけですね。これをね、公表されたわけです。

 そこで、お聞きをしたいんですが、この文章を書いた人の名前、東京支社の今村という判こが押してあります。この文書の作成者がこの東京支社の今村さんという方だと思いますが、この今村さんという方のフルネームはどういうことになっていますでしょうか。

政府参考人(高橋直人君)

 その御指摘のある資料の中の今村と書いてございますが、これは恐らくはということでございますが、旧厚生省の元職員であります今村泰一という方だと考えられます。

小池晃君

 今村泰一さん。旧厚生省ではどういう職歴だったでしょうか。特に薬務関係に関して言ってください。

政府参考人(高橋直人君)

 この今村氏は、昭和五十三年八月に国立衛生試験所総務部長を最後に旧厚生省を退職をしておられます。この国立衛生試験所総務部長の前は、その二年前の四月から、四十九年の四月からでございますが、厚生省の薬務局企画課課長補佐の経歴でございます。

小池晃君

 これね、どういうことだか分かります、大臣。ミドリ十字でこの問題の打合せの文書を作ったのは、当時ミドリ十字東京支社長の今村泰一さんなんです。今村泰一さんという人は、十年前に厚生省を退官して天下りをして、ミドリ十字の東京支社長になったんです。それでこういう文書を作っている。相手は当時の厚生省の役人ですよ。

 皆さんね、これもう有名な話ですが、松下廉蔵という薬務局長が天下りをしてミドリ十字の副社長になり、社長になったわけです。そして、その松下廉蔵氏の下で薬務局企画課長補佐をやってきたのがこの今村泰一さんです。その方もミドリ十字に天下りをして東京支社長になったわけです。併せて言うと、経済課長補佐だった富安一夫さんという方もミドリ十字の薬事部長に天下りをしている。当時、ミドリ十字が薬務局に移ってきたと言われた、それほど露骨な天下りが行われた。

 実際ミドリ十字で、十年前に退官した先輩官僚ですよ、そういう人と厚生省の当時の官僚が打合せをして、これで外に出すのはやめようじゃないかと、マスコミ関係者に聞かれても黙っていようと、そういう打合せをやってるんじゃないですか。まさにこれ、当時のミドリ十字と厚生省の共同の犯罪ですよ。

 こういう事実をひた隠しにする、私はこういう構図の中で、はっきり言ってこれ、昨日の衆議院の厚生委員会でもこの問題、大問題になっていましたね。六十二年のあの青森での集団感染のときに八人中八人が発症したと、このとき何で気付かなかったんだろう、これは重大な問題だと大臣も昨日答弁されています。それがこういう形で、天下りした官僚とそして当時の現職の官僚がみんなでこれは口裏合わせてもみ消しを謀ったんじゃないですか。

 これ重大だと思いませんか、大臣。お答えいただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 国民の目線に立って国民の常識から考えれば、私はそういう疑義を小池委員と共有をします。したがって、きちんとこの先般出ました四百十八人のリスト、そしてその背景にある問題点、どれだけ私一人の力でできるか分かりませんですけれども、今調査チームをフル稼働させてきちんと、二度とこういうことがあってはいけない、そういう思いで、国民の目線でこの厚生労働省をきちんとした省にする、そして本当に国民の命を守る役所にすると、そういう思いで日々努力をしております。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)

小池晃君

 頑張れって、そういう問題じゃないよ、これは。本当にひどい構造ですよ。薬害エイズのときからずっと同じなんですよ。そういう構造の中で、本当に多くの人が命を落としているんですよ。そのことを本当に真剣に反省して、これ徹底的に解明しないといけないと思います、私、この構造を。二度と再びこういうこと、まあこういう議論が繰り重ねられてきたんだけれども、今回のことも含めて徹底調査すべきだと。

 しかも、現在もちょっと動き、非常に私疑問に思うのは、二〇〇二年のこの報告命令が出されて、写しが出されて、その厚生労働省が持っているもので氏名が確認されたのは二名だけだったんですね。一方で、メーカー側のデータではフルネーム百九十七名あったんですよ。何でこんな違うんだということが問題になった。

 どうもこの二〇〇二年の報告命令の中に、私、気になる部分があるんです。こう書いてあるんです。なお、薬事法の規定に基づき、旧厚生省又は厚生労働省へ文書により報告を行ったものについては、当該報告の際に提出した症例票を提出すること。これどういうことかというと、要するに、二〇〇二年にもう一回再報告を求めたときに、メーカーが持っているものを全部出せという指示じゃないんです。以前出した症例票を、以前出した場合はそれを出せばいいですということをわざわざなお書きで書いているんです。だから結局フルネームの記録ではなくて、イニシャルで記載されていたり名前がなかったりするものが厚生労働省には二〇〇二年に寄せられたと。

 結局、二〇〇二年に何でこんななお書きで指示出したのかということなんですよ。結局、この一九八七年のときもそうだけれども二〇〇二年のときも、メーカー側とこれは口裏を合わせて、できるだけ出ないようにしようということでわざわざなお書き付けたんじゃないですか。

 局長どうですか、これ。通告してあるよ。

政府参考人(高橋直人君)

 私は、ちょっと済みません、通告は受けてないような気がするんですが。

 当時はたしか、今ちょっと手元に資料がございませんが、平成十三年のころに昭和六十二、三年のころ報告された症例と、実際に当時の昭和六十二、三年のころ旧ミドリ十字が社内で把握していた数字が、肝炎のその症例数が違っていたと、つまり過小報告になっていたということは平成十三年ごろに判明したというふうにたしか記憶しております。

 それで、それを解明するためにこの調査が行われて、そのときに報告命令が出されておりますが、ですから、その命令の中では、旧厚生省又は厚生労働省へ文書により報告を行ったものと行っていないものの別を明らかにすることということで四百十八例全部出させて、ただ昔、文書によって報告を行ったものと行っていないものの区別を明らかにしてほしいと、こういったメールを出したというふうに記憶しております。

小池晃君

 もう時間ですのでやめますが、そうじゃないんです。一回報告したものは前出した報告書を出せばいいということをわざわざなお書きで書いているんです。

 大臣ね、これが結局二名と百九十七名の差になったわけですよ。きちっとこのときにフルネームも含めてメーカー側が持っているものを全部出しなさいという毅然たる報告命令出していれば、今日のこの事態なかったんですよ。責任重大じゃないですか。

委員長(岩本司君)

 大臣、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。

国務大臣(舛添要一君)

 そういうことも含めて、今、小池委員が御指摘された以外の要因もあると思いますから、きちんと検証チームで検証して御報告申し上げます。

【以下、年金保険料流用禁止法案(民主党提出)への賛成討論】

小池晃君

 日本共産党を代表して、民主党提出の年金保険料流用禁止法案に対する賛成討論を行います。

 強制加入である公的年金の管理運営は国の責任で行われるべきものであり、九七年以前は国民年金法など個別法によって事務費の国費負担が規定されてまいりました。ところが、九七年の財政構造改革法によって特例措置として事務費への保険料流用が開始され、通常国会で成立した社保庁解体法案によってこの特例措置が恒久化されました。この措置によって職員宿舎の建設、社保庁長官の交際費などにまで保険料が流用され、事務費への年金流用開始以降の社会保険オンラインシステム経費も急増しています。

 さらに、九七年以前から福祉施設事業として採算性を度外視して建設され大赤字に陥ったグリーンピアなど、莫大な年金保険料が浪費されてきました。この中には、歴代厚生大臣、年金局長の地元へ誘致されるなど、建設経過が不明朗と指摘されているものもあります。グリーンピアは建設費のわずか二・五%でしか売却できず年金財政に穴を空けましたが、こういった経過についてだれも責任を取っておりません。今、福祉施設事業が教育、広報、相談と名前を変えておりますが、更に同じような過ちを犯すことになる危険性をだれも否定できないと思います。

 こういった無駄遣いの温床となってきた年金保険料の流用を禁止することは当然であり、年金制度への信頼回復の第一歩になるものであり、参議院選挙での国民の負託にこたえるものであると考えます。

 以上、賛成の理由を申し上げ、討論といたします。

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