今回の差別禁止の対象をどう定めるかということにつきましては、これ、基本的に均衡処遇を全体にかぶせていく中で、しかし、通常の労働者と同視できる人はどういう人かということをまず確定しなければいけないということで、例えば同じ職場にいて一時的に業務的には同じことをしていても、しかし一方はその本社が採用していろんな場所を経験してそして今そこにいる人もいれば、いろんなケースがある。そうすると、同視するべきはどういう方かということについて、これは審議会でも相当精緻な議論を、これは過去、歴史的にもどういう人を同視すべきかという議論があったわけであります。
ここで、今回正社員と同視して、その処遇についても、これは退職金から住居手当からみんな同じだという人はどういう人かということになりますと、これは我が国の雇用システム全体、正社員のこれは雇用システムも見渡して、ある程度の長期の雇用を想定してこれは人材育成を行うとともに待遇の決定が行われているということから、通常の労働者と同視すべきであるかどうかという主張として、このある一時点でない、職務内容以外の長期的な見方が要ると。そのために、三要件と申しますけれども、職務が同一であるということ、それから無期契約又は有期契約であっても、実質的に無期契約となっている場合であって長期雇用を前提としていること、それからその人材活用を同じようにされている、こういった要件を備えたわけでありまして、そういったことが同視するべき人というさっきのルールの中では必要かつ十分なものであったのではなかろうかというふうに考えているわけであります。
しかしながら、これまでの参考人の質疑それから御議論の中で若干、先生方に誤解はないと思いますけれども、議論の中に誤解が生じやすいのは、何かパートタイマーはその転勤要件というか、転勤をしないと正社員並みではないと、こういったちょっと誤解が一部にあるような気がいたします。
これは、同じ事業所において自分が正社員並みであるといった場合に、対象となる方々と同じであるかということを比べているわけでありまして、その比較対象の方が、それが転勤していない方であれば、それはその方と同じであれば、それで差別禁止の対象になるわけでありますから、言ってみれば、その通常の労働者の中に転勤する方されない方、むしろいろんな方々がいて、むしろそれはその通常の労働者の中にもいろんなその働き方があるべきであるという昨日参考人の御意見もありましたが、そういう中で比べていくというわけでありますから、正にその配置転換が必要だからその家庭責任を有する労働者差別というふうに一概には言えないんではないかというふうに考えております。