救急の出場件数といいますのは年々増加いたしておりまして、平成十七年中は約五百二十八万件でございますので、十年間で約六一%増加する一方で、救急隊の方の数は十年間で約九%の増加にとどまっております。
これらの結果、救急隊の現場到着所要時間というのは十年間で六分から六・五分ということで遅延傾向にございますので、救命効果の低下が非常に懸念されるところでございます。
消防庁といたしましては、真に緊急を要する傷病者への対応が遅れることがないように、平成十七年度に救急需要対策に関する検討会というのを開催いたしまして、民間搬送事業者の活用とか、あるいは救急車の適正利用の呼び掛け、あるいはポンプ車との連携の推進等を対策として示してきたところでございます。
この中で、一一九番受信時やあるいは救急現場におきまして緊急度あるいは重症度を選別しようとするトリアージにつきましては引き続き検討が必要であるということから、昨年、十八年度でございますが、救急業務におけるトリアージに関する検討会を開催いたしまして、緊急度、重症度選別のための判断基準でありますとか、あるいは質問要領の作成、さらには消防本部におきます検証を行ってきたところでございます。
しかしながら、御指摘にもございましたように、緊急度、重症度の高い事案を次に低い事案と誤認することを少なくしていくこととか、あるいは最も低い事案というのは非常に少のうございましたのでそれを拡大するとか、そういう判断基準とかあるいは質問要領の完成に向けた更なる検討が必要であるというふうに考えております。また、住民等への周知あるいは合意形成の必要性というのも課題として指摘されております。
こういうことでございますので、今年度も引き続きましてこういう課題を検証いたしまして、緊急度、重症度が高い事案により迅速な対応が可能となるように検討を進めてまいる所存でございます。