これは、二〇〇四年は一億五千二百万、二〇〇五年は一億四千三百万、二〇〇六年が一億三千九百万、そして来年度予算で一億二千五百万円と、毎年こう減っているわけですね。これでは、やっぱり解消どころか後退しかねないという実態だと思うんです。
しかも、その内容が非常に巧妙になってきている、悪質になってきているということでありまして、先ほど午前中にも紹介した労働弁護団の長時間労働酷書でもこんな例があります。
これは飲食店の五十代の男性で、月の実残業百五十時間ですが、正社員にはタイムレコーダーの時刻を打刻しないように設定されている、残業代の欄には固定額が記載されている。これは整備工場の三十代の男性の例ですが、全員六十時間以上残業しているが、十五時間分しか支払われない、自己申告制で、提出先の工場長が月十五時間になるように書き直し、本社に報告している。大手電機メーカー四十代の男性、月百時間以上残業がある、会社はパソコンで労働時間を把握しているが、過少申告を強要している、最高で四十時間しか出ない、残業代が一定程度を超えれば無能とみなすと脅かされているという告発です。こうした手口というのは、これは管理職一人がやればできるわけじゃないわけでありまして、正に企業ぐるみでやらなければできないだろうと。しかも、こうしたことが、前回も質問しましたが、三井中央信託銀行であるとか、あるいは大手宅配便会社であるとか、だれでも知っているような大企業で起こっているわけです。
ところが、おととしの暮れに、日本経団連が経営労働政策委員会の報告というものの中で、労働基準監督行政に対してこう言っているんですね、企業の実態を無視したかのような指導がなされていると、はね付けるような見解出しました。その際、厚労省は文書も出して、労使慣行に介入していないと、実態に合った指導監督をやっていると、そして指摘を受けた企業は冷静に自らの企業の在り方を見直すことから始めることが望ましいと、日本経団連においてもそのような立場で傘下の企業の指導を行うことを期待したいという文書を出された。これは、当時、尾辻大臣にもお聞きをして、尾辻大臣は厚労省の考え方を申し入れて、経団連側も地方組織にその趣旨を伝えると回答したと、回答どおりにやってくれるかどうかまず見たいと答弁をされています。
そこで、大臣にお聞きしたいんですが、その後、日本経団連はこの問題についてどのような取組をやっているか、厚労省としてどのように把握されていますか。