質問第四二号
イレッサの副作用被害問題に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成十九年五月二十二日
小池 晃
参議院議長 扇 千景 殿
イレッサの副作用被害問題に関する質問主意書
ゲフィチニブ(商品名「イレッサ」、以下「イレッサ」という。)は平成十四年七月五日に、手術不能又は再発非小細胞肺がんを適応対象とし、世界で最初に承認された抗がん剤である。販売開始直後より、急性肺障害・間質性肺炎等の重篤な副作用被害が相次ぎ、平成十八年九月末までに六百七十六人もの副作用死が報告されている。また、抗がん剤としての有効性の指標である延命効果については、これまで世界で行われた四回の第V相臨床試験(INTACT1、INTACT2、ISEL、SWOG0023)において、いずれも認められなかった。さらに、承認条件として実施されたドセタキセルと比較する国内第V相臨床試験の結果が平成十九年二月一日に報告され、イレッサが有効性においてドセタキセルに劣ることが示された。
よって、以下質問する。
- 一
- イレッサについて、平成十九年三月末時点(未だ集計されていないときは直近)における①累積副作用報告数、②副作用報告のうちの副作用死亡数、③累積使用患者数(実数を把握していないときは推定でもよい)をそれぞれ明らかにされたい。
- 二
- イレッサについて、年次別における①副作用死亡患者数、A累積使用患者数をそれぞれ明らかにされたい。
- 三
- これまで日本で承認されたイレッサ以外の抗がん剤で、承認後の副作用死の報告数が多い十品目について、①一般的名称、②最初に承認された承認年月日及び同日に承認された抗がん剤の販売名、③累積副作用死亡患者数、C累積使用患者数(実数を把握していないときは推定でもよい)をそれぞれ明らかにされたい。
- 四
- このような事実関係を踏まえ、イレッサによる急性肺障害・間質性肺炎など副作用被害の実態についての政府の見解及び抗がん剤による副作用死等を防止するための政府の対策を明らかにされたい。
右質問する。
答弁書第四二号
内閣参質一六六第四二号
平成十九年六月一日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 扇 千景 殿
参議院議員小池晃君提出イレッサの副作用被害問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員小池晃君提出イレッサの副作用被害問題に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、集計の作業が膨大となること等から、お答えすることは困難であるが、厚生労働省として把握している限りでお答えすると、国内における急性肺障害又は間質性肺炎の副作用報告(厚生労働大臣等がアストラゼネカ株式会社から直接報告を受けたものに限る。以下「急性肺障害等副作用報告」という。)に係る症例及び死亡例の累積数は、それぞれ千七百九十七及び七百六である。
二について
お尋ねについては、集計の作業が膨大となること等から、お答えすることは困難であるが、厚生労働省として把握している限りでお答えすると、年次別の急性肺障害等副作用報告に係る死亡例の数は、平成十四年(七月十六日から十二月三十一日までの間に限る。)は百八十、平成十五年は二百二、平成十六年は百七十五、平成十七年は八十、平成十八年は五十一、平成十九年(一月一日から三月三十一日までの間に限る。)は十八である。
三について
お尋ねについては、集計の作業が膨大となること等から、お答えすることは困難であるが、厚生労働省として把握している限りでお答えすると、平成十六年度末日時点及び平成十七年度末日時点で我が国において承認されていた抗がん剤(ゲフィチニブを除く。)のうち、当該年度の副作用報告に係る死亡例(独立行政法人医薬品医療機器総合機構が当該抗がん剤の製造販売業者から直接報告を受けたものに限る。)の数が多い上位十品目(以下単に「上位十品目」という。)の一般的名称、最初に承認された承認年月日、同日に承認された抗がん剤の販売名及び当該死亡例の数は、次のとおりである。
一 平成十六年度の上位十品目
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、平成十一年一月二十五日、ティーエスワンカプセル20及びティーエスワンカプセル25、五十
- パクリタキセル、平成九年七月二日、タキソール注、四十三
- ドセタキセル水和物、平成八年十月九日、タキソテール注、四十
- シスプラチン、昭和五十八年九月二十一日、ブリプラチン注及びランダ注、二十八
- メシル酸イマチニブ、平成十三年十一月二十一日、グリベックカプセル100mg、二十六
- リツキシマブ(遺伝子組換え)、平成十三年六月二十日、リツキサン注10mg/mL、二十六
- 塩酸イリノテカン、平成六年一月十九日、カンプト注及びトポテシン注、二十五
- 塩酸ゲムシタビン、平成十一年三月十二日、ジェムザール注、十九
- リン酸フルダラビン、平成十一年九月二十九日、フルダラ、十五
- シクロホスファミド、昭和三十七年三月十四日、エンドキサン錠、十三
二 平成十七年度の上位十品目
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、平成十一年一月二十五日、ティーエスワンカプセル20及びティーエスワンカプセル25、五十八
- オキサリプラチン、平成十七年三月十八日、エルプラット注射用100mg、三十九
- パクリタキセル、平成九年七月二日、タキソール注、三十七
- メシル酸イマチニブ、平成十三年十一月二十一日、グリベックカプセル100mg、三十四
- ドセタキセル水和物、平成八年十月九日、タキソテール注、三十
- リツキシマブ(遺伝子組換え)、平成十三年六月二十日、リツキサン注10mg/mL、二十九
- 塩酸ゲムシタビン、平成十一年三月十二日、ジェムザール注、二十九
- シスプラチン、昭和五十八年九月二十一日、ブリプラチン注及びランダ注、二十五
- シクロホスファミド、昭和三十七年三月十四日、エンドキサン錠、二十四
- フルオロウラシル、昭和四十二年七月二十四日、5―FU協和、二十一
四について
厚生労働省としては、手術不能又は再発非小細胞肺癌の治療の際にゲフィチニブを使用したことにより、急性肺障害、間質性肺炎等の重大な副作用が発現することがあると認識しており、今後とも、ゲフィチニブを含む抗がん剤について、製造販売業者からの報告等により抗がん剤に関する知見の集積に努め、その内容も踏まえつつ、添付文書の改訂の指示等の安全対策を講じてまいりたい。
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